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○障害者就業・生活支援センターの指定と運営等について

(平成14年5月7日)

(職高発第0507004号、障発第0507003号)

(各都道府県労働局長・各都道府県知事あて厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長、社会・援護局障害保健福祉部長通知)

障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(平成14年法律第35号)については本日公布され、障害者就業・生活支援センター事業については同日付けで施行されたところであるが、同法に基づく障害者就業・生活支援センターの指定と運営について、別紙1のとおりとするので、御了知の上、制度の適切な運営につき特段の御配意をお願いする。

また、別紙2のとおり「障害者就業・生活支援センター事業(雇用安定等事業)実施要綱」を、別紙3のとおり「障害者就業・生活支援センター事業(生活支援等事業)実施要綱」を定め、同法に基づき指定された障害者就業・生活支援センターを活用し障害者の就業面及び生活面に関する一体的な支援を行う事業を実施することとしたので、これら事業の適正かつ円滑な実施を図られたい。

なお、平成11年4月1日付け障発第246号、職高発第12号「障害者就業・生活支援事業の実施について」は、廃止する。

別紙1:障害者就業・生活支援センターの指定と運営について

別紙2:障害者就業・生活支援センター事業(雇用安定等事業)実施要綱

別紙3:障害者就業・生活支援センター事業(生活支援等事業)実施要綱

(別紙1)

障害者就業・生活支援センターの指定と運営について

第1 目的

第2 制度の概要

第3 支援対象障害者の範囲

第4 運営主体

第5 指定に係る事務

1 指定の申請

2 指定に当たっての勘案要素

3 指定に係る公示等

4 都道府県知事の監督

5 活動の区域

6 あっせん型障害者雇用支援センターからの移行(経過措置)

第6 業務の内容及び留意事項

1 法に基づく指定業務

2 支援対象障害者の把握等

3 支援対象障害者に対する指導・助言

4 関係機関との連絡調整

5 基礎訓練の実施

6 職業準備訓練のあっせん

7 職場実習のあっせん

8 就職に向けた準備

9 各種就職支援措置の活用

10 就職後の職場定着支援

11 事業主に対する雇用管理に関する助言

12 関係機関や職業リハビリテーションに係る情報の提供

13 障害者職業総合センターによる助言、指導その他の援助

障害者就業・生活支援センターの指定と運営について

第1 目的

障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号。以下「法」という。)第2章第5節の障害者就業・生活支援センター(以下「センター」という)は、職業生活における自立を図るために就業及びこれに伴う日常生活、又は社会生活上の支援を必要とする障害者に対し、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関との連携を図りつつ、身近な地域において必要な指導、助言その他の支援を行うことにより、その雇用の促進及び職業の安定を図ることを目的としている。

第2 制度の概要

都道府県知事は、職業生活における自立を図るために就業及びこれに伴う日常生活、又は社会生活上の支援を必要とする障害者の職業の安定を図ることを目的として設立された民法法人(社団法人及び財団法人)、社会福祉法人、特定非営利活動法人又は医療法人であって、下記第6の業務に関し次の基準に適合すると認められるものを、その申請により、当該業務を行う者として指定することができる(法第33条、障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則(昭和51年労働省令第38号。以下「則」という。)第4条の10)。

① 職員、業務の方法その他の事項についての業務の実施に関する計画が適正なものであり、かつ、その計画を確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すると認められること。

② ①のほか、業務の運営が適正かつ確実に行われ、センターの支援の対象とする障害者(以下「支援対象障害者」という。)の雇用の促進その他福祉の増進に資すると認められること。

第3 支援対象障害者の範囲

支援対象障害者は、職業生活における自立を図るために就業及びこれに伴う日常生活又は社会生活上の支援を必要とする障害者(法第33条)である。具体的には、以下に該当する者である。

① 就職するため、また、継続的に雇用されるため、就業に係る支援と同時に日常生活において相当程度の支援が必要な者

② 一旦就職したものの、職場不適応を起こし離職、若しくは休職するおそれがある者、又は職場不適応により離職した、若しくは休職している者など、職場定着のために継続的な支援が必要な者

第4 運営主体

センターの運営主体は、支援対象障害者の職業の安定を図ることを目的として設立された民法法人(社団法人及び財団法人)、社会福祉法人、特定非営利活動法人、医療法人であって、都道府県知事が指定した第2の①及び②のいずれにも該当する者である(法第33条、則第4条の10)。

第5 指定に係る事務

1 指定の申請

(1) 申請書

第2の指定を受けようとする法人は、次の事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない(則第4条の13で準用する則第4条の7第1項)。

イ 名称及び住所

ロ 代表者の氏名

ハ 事務所の所在地

(2) 添付書類

(1)の申請書には、次に掲げる書面を添付しなければならない(則第4条の13で準用する第4条の7第2項)。

イ 定款又は寄付行為及び登記簿の謄本

ロ 資産の総額並びにその種類及びこれを証する書類

ハ 第6の1の業務に関する基本的な計画

2 指定に当たっての勘案要素

センターの指定に当たっては、都道府県知事が、第5の1の申請に係る書類を審査し、第4に該当すると認める必要がある。それら要件に該当するか否かを判断するための具体的基準は、都道府県知事において定めるものであるが、センターが行うべき業務の内容に鑑みて、以下の事項を含むべきである。

(1) 第6の業務に必要な職員を配置している又は確実に配置できるなど、事業の実施のために必要な体制が確保できると認められること。

(2) 事業を行うに十分な財政的基礎を有すること。従って、十分な自主財源を有する場合以外は、国からの「障害者就業・生活支援センター事業(雇用安定等事業)」の委託及び「障害者就業・生活支援センター事業(生活支援等事業)」の補助金の交付を受けている、又は受ける見込みがあること。

(3) センターが活動を行う地域にある公共職業安定所、地域障害者職業センター(以下「地域センター」という。)、障害者雇用支援センター、社会福祉施設、医療施設、特別支援学校、精神保健福祉センターその他の関係機関との連携が十分に可能と認められること。

(4) 支援対象障害者を継続して確保できる見通しがあること。(具体的には、事業を実施する地域における人口、身体障害者手帳所持者数、療育手帳所持者数、精神障害者保健福祉手帳所持者数、当該地域を管轄する公共職業安定所における障害者の求職者数等を参考として判断するものであること。)

(5) 基礎訓練(第6の5参照)の実施体制が適切であること。具体的には、基礎訓練を行うための併設施設又は提携施設を確保しており、当該施設等において基礎訓練を適正かつ確実に行うことができると認められるものであること。

(6) 職業準備訓練及び職場実習のあっせん及びその対象者への支援の実施体制が適切であること。具体的には、職業準備訓練及び職場実習中の支援、職場定着支援等のための人的体制が確保されていること、職業準備訓練及び職場実習の協力事業所の確保の見通しがあること。

(7) 職業準備訓練又は職場実習の修了者の雇用の場の確保の見通しがあること。

(8) 障害者の就業及び生活に関する支援活動の実績があること。

(9) 地元自治体の積極的関与があること。具体的には、障害者の就職支援について地元自治体に積極的な姿勢が認められること、地元自治体の障害者プラン等においてセンターが位置付けられること、センターのケース会議等に地元自治体の福祉部局等の参加が予定されていること等が考えられ、センターの運営主体となる法人と地元自治体との間に良好な関係があることが必要であること。なお、地元自治体の障害者対策を所管する部局のみならず商工部局等も関与することが望ましい。

(10) 法人の運営に関し特段の問題が認められないこと。具体的には、本事業以外のものを含めた当該法人の事業運営に関し、当該法人に係る主務官庁、所轄庁等からの改善命令等、特段の処分を受けていないこと、法第43条に基づく法定雇用障害者数以上の身体障害者、知的障害者又は精神障害者を雇用していること、その他労働関係法令等に違反し社会通念上著しく信用を失墜している等本事業遂行に支障を来すとされる者でないことなどが考えられること。必要に応じて、当該法人に係る主務官庁、所轄庁等から情報を得ることも必要と考えられる。

これらの要素を参考として、地元自治体との連携の下に事業が円滑に展開できることを総合的に勘案して判断すること。

3 指定に係る公示等

(1) 都道府県知事は、障害者就業・生活支援センターを指定したときは、指定を受けた者の名称及び住所を公示しなければならない(法第35条で準用する法第27条第2項)。

(2) センターは、その名称及び住所並びに事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に届け出なければならない(法第35条で準用する法第27条第3項)。この届出があったときは、都道府県知事は当該届出に係る事項を公示しなければならない。

4 都道府県知事の監督

(1) 事業計画等

センターは、毎事業年度、当該事業年度開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)、事業計画書及び収支予算書を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、遅滞なく、変更した事項及びその理由を記載した書面を都道府県知事に提出しなければならない(法第35条で準用する法第30条、則第4条の13で準用する則第4条の10第1項、第2項)

また、センターは、毎事業年度終了後3ヶ月以内に、事業報告書及び収支決算書を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。

(2) 監督命令、指定の取り消し

都道府県知事は、センターの適切な運営に必要な限度において、センターに対し、法第34条に定められた業務に関し監督上必要な命令をすることができる(法第35条で準用する法第31条)。

また、都道府県知事は、法第34条に定められた業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき、指定に関し不正の行為があったとき、又は、センターに関する法の規定に違反したときは、指定を取り消すことができる。都道府県知事は、指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない(法第35条で準用する法第32条)。

都道府県知事は、センターの事業の適正な運営を確保するため、これら監督命令、指定の取り消しの権限を適切に行使すべきであり、このため、(1)の事業計画・事業報告書等により、センターの事業の運営状況を把握しておくことが必要である。また、都道府県知事はむやみに法に基づく監督命令や指定の取り消しの権限を行使することは適当ではなく、監督命令等を行使する前に、把握した運営状況を踏まえた指導を行うことにより、適正かつ効果的な事業運営の確保を図るべきである。

5 活動の区域

都道府県知事によるセンターの指定に当たっては、センターの活動区域に関する指定は法律上は定められていない。

ただし、都道府県内にセンターが複数存在する場合など、適切な運営を確保するために活動区域を定めて業務を実施することが必要と認められる場合には、センターや関係する市町村、関係機関と調整の上、都道府県知事がその活動区域を定めることも可能である。

また、センター自身が特定の区域内において活動を行うことを計画する場合には、指定の申請書への添付書類である業務に関する基本的な計画(1の(2)のハ)にその旨明記することが必要である。

なお、活動区域を定める際には、公共職業安定所の管轄区域、障害保健福祉圏域など、関係する施策に係る区域を考慮することも、関係機関との連携を円滑に行う上で望ましいと考えられる。

6 あっせん型障害者雇用支援センターからの移行(経過措置)

障害者就業・生活支援センターの創設前の障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「旧法」という。)第9条の12第1項による指定を受けていた社会福祉法人であって、旧法第9条の13第1号のあっせんの業務を行っていた者(以下「あっせん型障害者雇用支援センター」という。)は、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(平成14年法律第35号。以下「改正法」という。)施行後においては、障害者就業・生活支援センターの指定を受けた者とみなすとともに、旧法第9条の12第2項又は第4項に基づき当該あっせん型障害者雇用支援センターについてなされた公示であって改正法施行の際現に効力を有するものは、当該障害者就業・生活支援センターについてなされた公示とみなすこととされている。また、この旧法に基づいて行われた公示のうち旧法第9条の12第2項の指定に係る地域に係る部分については、改正法施行と同時にその効力を失うものである。

したがって、改正法施行に伴い、あっせん型障害者雇用支援センターは障害者就業・生活支援センターに移行することとなり、指定及び指定に係る公示の手続きを改めて行うことは必要ない。ただし、障害者就業・生活支援センターの業務を適正かつ確実に実施することができると認められず、上記第2の①及び②に該当しなくなった場合には、その時点で、上記4の(2)の措置を講じることが必要となる。

なお、旧法又はこれに基づく命令によりあっせん型障害者雇用支援センターに対して行い、又は当該あっせん型障害者雇用支援センターが行った処分、手続きその他の行為は、改正後の法又はこれに基づく命令に基づき、障害者就業・生活支援センターに対して行い、又は障害者就業・生活支援センターが行った処分、手続その他の行為とみなされる(改正法附則第2条)。

第6 業務の内容及び留意事項

1 法に基づく指定業務

(1) 法に定められたセンターの業務は次のとおりである(法第34条、則第4条の11、第4条の12)。

イ 支援対象障害者からの相談に応じ、必要な指導及び助言を行うとともに、公共職業安定所、地域センター、障害者雇用支援センター、社会福祉施設、医療施設、特別支援学校その他の関係機関との連絡調整、支援対象障害者に係る状況の把握、支援対象障害者を雇用する事業主に対する雇用管理に関する助言、関係機関に係る情報の提供その他の支援対象障害者がその職業生活における自立を図るために必要な援助を総合的に行うこと。

ロ 支援対象障害者が障害者職業総合センター、地域センター、障害者雇用支援センター、職業準備訓練を適切に行うことができると認められる事業主により行われる職業準備訓練を受けることについてあっせんすること。

ハ イ、ロのほか、支援対象障害者がその職業生活における自立を図るために必要な業務を行うこと。

(2) 秘密保持義務

センターの役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、上記(1)の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない(法第36条)。

ここでいう「秘密」とは、支援対象障害者や事業主等に関する個人情報をいうが、私生活に関するものには限られない。

したがって、当該情報を、下記4の関係機関との連絡調整の一環として支援対象障害者に関する情報を提供する場合や、関係機関から情報提供を受けようとする場合には、そのことについて、本人の同意を得ておくことが必要である。

2 支援対象障害者の把握等

(1) 支援対象障害者の把握

センターによる支援を実施するためには、まず支援対象障害者を把握することが必要である。センターによる支援開始のきっかけは、支援対象障害者からの相談に応じることが基本であるが、このためには、障害者自身やその家族、障害者に対する支援を実施する関係機関等に対して、センターに関する周知を図っておくことが必要である。また、関係機関との連携を図り、平素から相互に情報交換を行う等により、関係機関の支援対象障害者に関し、センターによる支援が必要となるような状況が生じた場合にセンターへの相談が寄せられ易くなるような関係を形成しておくことが有効と考えられる。

(2) 支援対象障害者に係る状況の把握

支援対象障害者に対して支援を実施する場合には、当該支援対象障害者の状況について十分に把握することが必要である。このため、最初に相談が寄せられた際には、障害者本人や、家族、同行者等から当該支援対象障害者の障害の状況やこれまでの経歴(就業経験の程度等)、相談に係る問題点等につき十分聴取し、記録し保管しておくことが必要である。

(3) 支援計画の策定

把握した支援対象障害者の状況に鑑みて、基礎訓練、職業準備訓練、職場実習等の具体的な支援が必要であると考えられる場合には、必要に応じケース会議を開催し、又は関係機関の助言等を得つつ、支援対象障害者の個々の課題に即した基礎訓練、職業準備訓練又は職場実習の内容、実施施設・機関等の具体的な訓練方法を示す個別支援計画を策定し、これに従い計画的に支援を実施することが必要である。ただし、個別支援計画における職業準備訓練の内容、そのための実施施設・機関等の具体的な訓練方法に関しては、下記6に従い、地域センターにおける職業評価を依頼した上で、地域センターの策定した職業リハビリテーション計画に基づいて策定する必要がある。

なお、基礎訓練の進捗状況を踏まえ、必要に応じ地域センターに対し個別支援計画の修正等に係る技術的援助を求め、適宜その見直しを図ることが必要である。

3 支援対象障害者に対する指導・助言

障害者からの相談に応じ、障害者の職場での問題や日常生活上の問題に関し、把握した支援対象障害者に係る状況を十分踏まえ、解決策を提案するなどの指導・助言を行う。職業生活の維持には、障害者自身の生活習慣の形成や日常生活の自己管理などが必要であり、また、住宅の確保、家族・知人との関係も含め、さまざまな環境が影響を及ぼしている。このため、支援対象障害者が、日常生活面を含めた職業生活を円滑に送れるように、センターにおいて幅広い職業生活上の問題について相談に応じるものである。

(1) 就業面を中心とする相談に対する指導・助言

障害者の就業面を中心とする相談に対する指導・助言については、以下のような例が考えられる。

イ 在職中の者の場合:仕事の遂行に関する悩み、職場での上司や同僚とのトラブル等に関する問題についての指導・助言。必要に応じ、事業主や家族からも事情を聞き、問題解決に必要な協力に関する指導・助言。

ロ 離職者の場合:離職理由を分析し、離職を繰り返すことを防ぐために、再就職に際して留意すべき事項や就職活動、及びそのために関係機関から受けるべき支援に関する指導・助言。

ハ 就職したことのない障害者で就職を希望する者の場合:就職活動の実施、家族の協力、活用可能な関係機関の支援等に関する指導・助言。

(2) 生活面を中心とする相談に対する指導・助言

障害者の生活面を中心とする相談に対する指導・助言としては、例えば以下のような例が考えられる。

イ 日常生活の自己管理に関する指導・助言

障害者が職業生活を継続する上で必要となる生活習慣の形成や日常生活の自己管理のための助言、健康管理や金銭管理等に関する指導・助言。必要に応じて、保健医療機関、生活支援サービスの利用の支援等。

ロ 地域生活に関する指導・助言

障害者が地域で生活を行う上で必要となる住居の確保や年金等の申請のほか、活用できる福祉サービスの利用調整などの指導・助言。必要に応じて、終業後や休日における余暇活動などについての指導・助言。

ハ 生活設計に関する指導・助言

長期的な視野で、自ら望む生活の在り方を組み立てるための生活設計などについて指導・助言することによる、本人の自己選択・自己決定の支援等。

(3) 情報の把握

上記(1)、(2)のような指導・助言を的確に行うためには、関係機関が行う障害者に対する支援に関する情報や、障害者雇用に係る労働市場の状況、事業主の動向、障害者の就業・生活に関する問題の発生に係る動向とその適切な解決策等についての情報を十分に把握しておくことが必要である。

4 関係機関との連絡調整

支援対象障害者が持っている問題の解決のために他の関係機関の支援を受けることが必要な場合に、その調整を行うなど、関係機関との連絡調整を実施する。必要に応じて、支援対象障害者や家族の了解を得た上で、当該障害者に対する支援を行ったことのある関係機関から過去の支援の実施状況についての情報を得たり、今後の支援の実施方法について意見を求める。

また、連絡調整業務を円滑に行い、効果的な支援を実施するため、協力して支援に当たる際の役割分担や連絡方法、及び具体的な支援方法についての検討、情報交換などを行う連絡会議を開催することが必要である。

主な関係機関との連絡調整の内容については、以下の例が考えられる。

(1) 公共職業安定所との連絡調整

求職中の支援対象障害者が公共職業安定所の職業紹介等を受けようとする際に、支援対象障害者が自らの状況や就職に関する希望等、適切な職業紹介を受けるために必要な事項について公共職業安定所の職員に対して十分に伝えることが困難な場合に、センターにおいて把握している内容を公共職業安定所に情報提供する等、公共職業安定所との必要なコミュニケーションに関する支援等が考えられる。

また、公共職業安定所に相談に訪れた障害者について、公共職業安定所からの要請により、センターにおいて支援を行うことも考えられる。

(2) 地域センターとの連絡調整

支援対象障害者が地域センターの職業カウンセラーによる専門的な知識に基づいた職業評価等の職業リハビリテーションの措置を受けることが必要であると考える場合に、地域センターに支援対象障害者を紹介し、必要に応じて当該障害者の状況、それまでの支援の状況について連絡し、職業リハビリテーション計画の作成等に当たって参考となる情報を提供するなど、各々の支援の実施について相互に協力すること等が考えられる。

なお、地域センターはセンターの行う業務に関して必要な技術的、専門的事項に関して援助を行うこととされており、さらに、センターの行う職業準備訓練のあっせんについては、地域センターの行う支援対象障害者に対する職業評価に基づいて実施するものであることから(下記6参照)、地域センターとの密接な連携を図る必要がある。

(3) 障害者雇用支援センターとの連絡調整

1の(1)のロの障害者雇用支援センターにより行われる職業準備訓練を受けることについてのあっせんを行う場合に、対象となる支援対象障害者の状況について連絡したり、各々の支援の実施について相互に協力すること等が考えられる。

(4) 職業能力開発校との連絡調整

支援対象障害者の就職支援を行うために、障害者の態様に応じた多様な委託訓練(下記9(4)参照)を受講することが効果的であると考えられる場合に、都道府県に配置されている障害者職業訓練コーディネーターと連絡調整し、委託訓練先の開拓等を行い、委託訓練を実施することが考えられる。

また、障害者職業能力開発校等を修了した障害者について、障害者職業能力開発校等の要請により、センターにおいて支援を行うことも考えられる。

(5) 社会福祉施設との連絡調整

支援対象障害者や家族の了解を得た上で、支援対象障害者が過去に利用していたことがある等の社会福祉施設から支援対象障害者の情報を得ること、また、当該障害者に対する支援について意見を求めること等が考えられる。

(6) 医療施設との連絡調整

支援対象障害者や家族の了解を得た上で、支援対象障害者がその障害に関する治療を受けている等の医療施設に対し、支援対象障害者が可能な就業に係る条件などの支援に必要な意見を求めること等が考えられる。

(7) 特別支援学校をはじめとする支援対象障害者の出身校との連絡調整

支援対象障害者や家族の了解を得た上で、当該障害者の出身校である特別支援学校等から当該障害者の特性等について情報や支援の方法についての意見を得ること等により、学校が行う卒業生へのフォローアップと連携を保ちながら効果的な支援が行えるよう、互いに協力しながら支援を行うこと等が考えられる。また、学校からその生徒等の求職活動や職場定着に関する支援を求められた場合に、求められた支援を実施すること等が考えられる。

(8) 福祉事務所、更生相談所との連絡調整

支援対象障害者について、在宅又は施設サービスを利用することが必要な場合には、福祉事務所に連絡し調整を行うことが考えられる。また、身体障害者又は知的障害者の福祉に関する指導・援助を行う場合に、身体障害者更生相談所又は知的障害者更生相談所の支援を受けることが考えられる。

(9) 保健所、精神保健福祉センターとの連絡調整

支援対象となる精神障害者について、各種保健サービスや精神障害者社会適応訓練を利用することが必要な場合には保健所に連絡をし調整を行うことが考えられる。

また、精神障害者についての保健福祉に関する専門的な指導・援助を行う場合に、精神保健福祉センターの支援を受けることが考えられる。

(10) 地域産業保健センターとの連絡調整

小規模事業場で就業する支援対象障害者について、専門の医師や保健師の相談が必要と考えられる場合に、地域産業保健センターの利用について助言や調整を行うことや、支援対象障害者に対する支援について助言を受けること等が考えられる。

(11) 当事者団体との連絡調整

障害者やその家族の団体は、各障害種別の特性及び支援のニーズについて熟知していると考えられ、これら当事者団体から、センターの行う支援の実施方法等について助言を得ることが考えられる。

5 基礎訓練の実施

(1) 基礎訓練の目的

センターにおける職業準備訓練のあっせん及び職場実習の業務を的確に行うため、その前段階として、必要に応じ、①支援対象障害者との信頼関係の形成、②支援対象障害者の能力・特性等の把握を目的とした「基礎訓練」を行うことが望ましい。

(2) 基礎訓練の方法

基礎訓練の実施方法としては、併設施設又は提携施設において実際の作業を行わせることを通じて実施することが考えられる。

また、必要に応じて、適宜職場体験、通勤指導を実施することが望ましい。

なお、センターが基礎訓練を実施するために利用できる次のイからトの施設であって、センターの運営主体が自ら運営するものを以下「併設施設」といい、また、センターと提携して基礎訓練の場を提供する施設として位置づけられるものを以下「提携施設」という。

イ 就労移行支援事業所

ロ 就労継続支援事業所

ハ 知的障害者援護施設(知的障害者通勤寮を除く。)

具体的には、知的障害者更生施設、知的障害者授産施設を指す。

ニ 精神障害者社会復帰施設

具体的には、精神障害者生活訓練施設、精神障害者授産施設、精神障害者福祉工場を指す。

ホ 身体障害者更生援護施設(身体障害者療護施設を除く。)

具体的には、身体障害者更生施設、身体障害者授産施設を指す。

ヘ 障害者能力開発施設

能力開発助成金を受けて運営されている能力開発訓練施設、その他障害者に対して能力開発のための訓練を行う施設を指す。

ト その他

その他訓練効果が期待される実際の作業を行わせることが可能な施設を指す。

(注1)

(イ) 職場体験

支援対象障害者の就業意欲を高めるとともに、事業所側の視点からの問題点を把握するため、協力事業所を確保することにより、職場体験(基礎訓練の一環として、事業所において実際の仕事を体験する機会を付与すること。)を実施することをいう。

(ロ) 通勤指導

基礎訓練の一環として、公共交通機関を利用する等の通勤に必要な知識・技能を体得させる通勤指導を適宜実施することをいう。

(3) 必要な併設施設・提携施設の確保

基礎訓練を実施するためには、当該訓練を実施する場となる施設を確保しておく必要がある。したがって、センターの運営主体である法人がそのような施設を運営している(併設施設を有している)か、又は基礎訓練の実施のためにそれら施設と提携している(提携施設を有している)ことが必要である。

なお、センターの支援対象障害者は障害種別を問わないことから、併設施設の対象が特定の障害者(例えば知的障害者)である場合で、特定の障害者以外の支援対象障害者(例えば精神障害者)に対する支援が困難な場合には、併設施設以外の施設等(例えば精神障害者社会復帰施設・小規模作業所、精神障害者社会適応訓練事業の受託事業主)で行われる訓練も活用して基礎訓練を行うことが必要となることから、併設施設がある場合でも、予めほかに提携施設を定めておくことが必要である。

(4) 併設施設又は提携施設における基礎訓練の取扱い

併設施設又は提携施設を活用して基礎訓練を行う場合については、基礎訓練はセンターの事業として行うものではないため、各施設の利用手続を経ることが必要となる。したがって、それら施設と基礎訓練実施に係る取り決めを整備しておく必要がある。

(5) 他の機関で実施される訓練の活用

基礎訓練は、上記(1)の目的のために実施するものであるが、事業所を活用して行われる訓練に基礎訓練と同様の効果が期待できる場合がある。このような基礎訓練と同様の効果が期待できる事業所を活用した訓練としては、「精神障害者社会適応訓練事業」があり、これらの事業は基礎訓練そのものではないものの、基礎訓練が行われる段階に基礎訓練に替わるものとして活用することが考えられる。

同事業のように、他の機関で実施される訓練を活用する場合には、それぞれの実施要綱等に従って訓練を受けることができるよう、実施機関との間で事前に十分調整を行うとともに、必要に応じ訓練が実施される事業所等への同行等の支援を行いつつ、支援対象障害者の状況把握に努めることが必要となる。

(注2)精神障害者社会適応訓練事業

(イ) 都道府県が事業主に委託して行う事業であり、精神障害者を一定期間事業所に通わせ、集中力、対人技能、仕事に対する持久力、環境適応能力等の涵養を図るための社会適応訓練を行い再発防止と社会的自立を促進し、精神障害者の社会復帰を図ることを目的とするもの。

(ロ) 委託期間は原則として6ヶ月で、3年を限度として更新することができる。

(ハ) 委託事業主に対し訓練生1人当たりの日額の協力奨励金(委託費)が支給される。

6 職業準備訓練のあっせん

(1) 概要

支援対象障害者が障害者職業総合センター、地域センター、障害者雇用支援センターその他職業準備訓練を適切に行うことができると認められる事業主により行われる職業準備訓練を受けることについてあっせんすることが、センターの業務の一つとされている(法第34条第2号、則第4条の12)。

この職業準備訓練のあっせんは、地域センターの行う支援対象障害者に対する職業評価に基づいて実施することとされている(法第35条で準用する法第29条)。

(2) 職業準備訓練の目的

職業準備訓練は、具体的な作業に従事させることにより、基本的な労働の習慣を体得させることを目的とするものである。

(3) 対象者

職業準備訓練は、地域センターの職業評価に基づき策定された職業リハビリテーション計画により、センターがあっせんする職業準備訓練の措置を受けることが適当であると判断された者が対象となる。

(4) 職業準備訓練実施前の職業評価及び職業リハビリテーション計画の策定

支援対象障害者に対する職業準備訓練のあっせん業務は、地域センターの行う職業評価に基づき行うこととされている(法第35条で準用する法第29条)ことから、支援対象障害者で上記(3)に該当すると考えられる者については、センターとしての職業準備訓練のあっせんに係る支援を開始する前に、地域センターに対して職業評価を依頼する必要がある。これを受けて地域センターが職業リハビリテーション計画を策定し、その中でセンターの職業準備訓練あっせんの対象とすることの適否並びに就業に向けての具体的な課題及び適切な支援内容が示されることになる。

なお、職業評価を受けるために障害者が地域センターを訪問する際の連絡、同行等については、センターとして可能な範囲で支援できるよう配慮するべきである。

(5) 職業準備訓練の進め方

基礎訓練が終了した際には、センターは、その結果を踏まえ、ケース会議を開催し、職業準備訓練を実施することの可否を判断するとともに、職業準備訓練を実施する上での課題、方法等について検討する。この場合において、必要に応じ個別支援計画を見直すものとする。

センターによる職業準備訓練のあっせんは、障害者職業総合センター、地域センター、障害者雇用支援センターで行われるものをあっせんする場合と、事業所をあっせんする場合があるが、いずれの場合においても地域センター及び各訓練実施主体と事前に十分に調整を行い、必要に応じ訓練先への同行等の支援を行うべきである。

以下、センターから事業主に直接あっせんする場合の進め方について記載する。

イ 期間

地域センターが策定する職業リハビリテーション計画に基づいて、支援対象障害者の能力、適性、実習作業の内容等に配慮し、ケース会議で必要な職業準備訓練期間を設定することが適当と考えられる。

ロ 職業準備訓練あっせん先事業所の選定

(イ) 障害者を雇用している事業所、障害者を雇用する意向のある事業所等の情報を自ら集めるとともに、公共職業安定所、地元自治体等から随時情報を入手すること等により、職業準備訓練をあっせんするための事業所リストを作成し、これらの情報を基に支援対象障害者の能力、適性、基礎訓練の状況等に応じたあっせん先事業所を選定する。

(ロ) あっせん先事業所としては、次の点を満たしていることが必要である。

① 障害者の就業問題に理解があること

② 施設及び設備に職業準備訓練を行う余裕があること

③ 職業準備訓練を行うに当たって担当者の配置ができること

④ 労働基準法、労働安全衛生法その他の労働関係法規を遵守していること

⑤ 施設及び設備に支援対象障害者の作業上危険と認められる箇所が無く、事故防止のための配慮がなされていること

ハ 適切な職業準備訓練あっせん先事業所の依頼

事業所での職業準備訓練については、就職に結び付く重要な機会の一つであることから、公共職業安定所の協力を得ながら職業準備訓練のあっせん先事業所を広く開拓するとともに、職業リハビリテーション計画を踏まえ、支援対象障害者の能力や適性に即した訓練先事業所をあっせんすることにより、できるだけ訓練後に引き続き当該事業所に就職できるよう配慮する。

ニ 職業準備訓練中の支援

職業準備訓練中の支援内容としては、以下の事項が挙げられる。

(イ) 支援対象障害者が交通機関の利用等に慣れるまでの間、訓練先事業所に同行することや、訓練初期において訓練先事業所を訪問し様子を見ること等により、支援対象障害者の不安の解消に努めるとともに、その後も継続的に訓練先事業所への訪問、電話連絡を行うこと等により、できる限り、事業主、職場の上司、同僚等から支援対象障害者の就業状況を聴取し、支援対象障害者の就業状況等の把握に努め、働くことについての理解のための支援を実施する。

(ロ) 必要に応じ、職業生活を送る上で必要な事項についての助言等を実施する。

(ハ) (イ)による支援にも関わらず、職業準備訓練を休むことが続く等、働くことについての理解の見込みが無いと判断された場合には、当該職業準備訓練を中断するとともに、必要に応じ再度基礎訓練を実施し、新たな事業所における職業準備訓練をあっせんする。

(ニ) 職業準備訓練の期間中には、必要に応じ障害者雇用支援者を活用することにより対応する。

(ホ) 事故への対処

a 支援対象障害者が職業準備訓練中又は訓練先事業所への往復途上において、事故に遭遇することがないよう特段の注意を払う。

b 支援対象障害者の職業準備訓練中の事故に備え、民間の傷害保険等に加入させることが望ましい。

(6) 就職準備段階の職業評価等

当初策定した職業リハビリテーション計画の終盤に、課題の改善状況等を確認し、地域センターと協議の上、必要に応じ職業リハビリテーション計画を見直すための職業評価を依頼する。

地域センターは、職業リハビリテーション計画を策定するに当たって、必要に応じ拡大ケース会議を開催することとされており、その構成員としては、センター、公共職業安定所等の職員に参加を求めることとされている。

7 職場実習のあっせん

求職者である支援対象障害者の就職のために有効であると認められる場合には、上記1の(1)のハの業務として、事業所を活用し、職場への適合性を見極めることを目的とした、短期の職場実習を行うことも考えられる。

職業準備訓練は働くことについての理解の促進を目的としており、そのための基礎的な労働習慣の確立のための計画的な指導が必要であることから一定の期間を要するとともに、障害者職業センターにおいて職業評価、職業リハビリテーション計画の策定を行った上で、当該計画に従って実施することが必要となっているが、一方、この職場実習は、基礎的な労働習慣については習得済みでありその点に関し綿密な指導を要しないような支援対象障害者を対象に、職場への適合性を見極めることを目的に実施するものであることから、一般的には職業準備訓練と比較して短期間で実施するものと考えられる。

実習先事業所の選定に当たっては、上記6の(5)のロの職業準備訓練あっせん先事業所の選定に関する規定を準用可能であるとともに、実習中の支援についても、職業準備訓練の場合に準じて、職場への適合性を高めるための支援を実施することが必要である。

職場実習の進め方については、上記6の職業準備訓練に準じて実施することが適当であるが、地域センターの職業評価は必ずしも要するものではない。

また、実習終了後においては、引き続き実習先事業所へ就職することが期待されるものであり、その見込みがある事業所を実習先として選定することが望ましい。

8 就職に向けた準備

(1) 公共職業安定所での求職登録

支援対象障害者であって求職登録をしていない者については、原則として居住地を管轄する公共職業安定所において求職登録を行わせる。

(2) 事業主への支援制度の説明

支援対象障害者が事業所において雇用される可能性がある場合には、公共職業安定所との連携の下に、当該事業所に対して障害者雇用に伴う支援措置の内容等について説明を行うこととする。

なお、助成金制度の詳細については、事業主に対し公共職業安定所又は都道府県障害者雇用促進協会(雇用開発協会及び総合雇用推進協会を含む。)を紹介するとともに、センターとしても基礎的な情報の収集に努めておくことが必要である。

9 各種就職支援措置の活用

労働行政機関においては、障害者の就職支援のための各種制度を実施しているので、これを活用することが適当と考えられる支援対象障害者については、当該制度に係る関係機関との十分な連絡・調整を図り、その活用のための支援を行うことが適当である。

活用が考えられる主な制度を以下に例示する。

(1) 短期職場適応訓練

都道府県が事業主に委託して行う事業であり、障害者に対し実際に従事することになる仕事を経験させることにより就業の自信を与えるとともに、事業主に対しては障害者の技能の程度や職場への適応性を見極めさせることを目的としている。事業の実施期間は原則2週間(重度障害者の場合は4週間)以内で、事業主に対しては訓練費、訓練生に対しては訓練手当が支給される。

申込みの窓口は公共職業安定所であるので、活用に当たっては、公共職業安定所と十分調整を行うことが必要である。

(2) 障害者試行雇用事業及び精神障害者ステップアップ雇用

障害者試行雇用事業は、事業主が、障害者を3ヶ月間、トライアル雇用として雇い入れることにより、障害者雇用への理解を深めるとともに、当該トライアル雇用期間中に雇用継続の可能性を見極めさせることにより、事業主と障害者の間のマッチングの機会の増大を図る事業である。トライアル雇用期間中は、事業主に奨励金が支給される。

精神障害者ステップアップ雇用は、事業主が、当初から週20時間以上勤務することが難しい精神障害者を雇い入れ、一定の期間(6~12ヶ月間)をかけて、徐々に就業時間を延ばしながら週20時間以上の就業を目指すことを通じ、精神障害者の雇用への理解を深めるとともに、当該雇用期間中に、精神障害者の特性や職場適応を事業主に見極めさせることにより、事業主と精神障害者の間のマッチングの機会の増大を図るものである。ステップアップ雇用の期間中は、事業主に奨励金が支給される。また、ステップアップ雇用に係る数人の精神障害者をグループ雇用(同一事業所において互いに支え合いながら働くこと)として雇い入れる場合には、奨励金に加えてグループ雇用奨励加算金が支給される。

障害者がトライアル雇用又は精神障害者ステップアップ雇用を利用する際には、公共職業安定所に求職登録を行い、トライアル雇用又は精神障害者ステップアップ雇用の対象となる求人を出している事業所に紹介されることが必要であるので、トライアル雇用又は精神障害者ステップアップ雇用の活用が見込まれる支援対象障害者については、公共職業安定所に求職登録を行わせるとともに、公共職業安定所と十分に調整を行うことが必要となる。

一方、事業主がトライアル雇用又は精神障害者ステップアップ雇用を利用する場合には、公共職業安定所に求人申込を行い、併せてトライアル雇用又は精神障害者ステップアップ雇用求人関係資料を提出することが必要であるので、当該制度を活用することが見込まれる事業主に対して、その旨説明することが必要である。

(3) 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援

イ 職場適応援助者支援事業

地域センターが提供する職業リハビリテーションサービスの一つで、知的障害者、精神障害者等の就職及び職場適応が困難な障害者を対象に、円滑な就職及び職場適応を図るため、職場に職場適応援助者(ジョブコーチ)を派遣して、障害者及び事業主、障害者の家族に対して専門的な支援を行う事業である。

本支援は、地域センターの職業リハビリテーション計画において、当該支援の実施が必要と判断された障害者及び事業主を対象とすることから、本支援の活用に当たっては、あらかじめ地域センターに職業リハビリテーション計画の策定を依頼する等十分な調整を行うことが必要となる。

ロ 職場適応援助者助成金を活用したジョブコーチ支援

職場適応援助者助成金とは、障害者の円滑な職場適応を図るため、職場適応援助者による援助の事業を実施する社会福祉法人等が配置するジョブコーチ(第1号職場適応援助者)並びに事業主が配置するジョブコーチ(第2号職場適応援助者)による援助の実施に対して支給される助成金である。(それぞれ第1号職場適応援助者助成金、第2号職場適応援助者助成金。)

本助成金に基づく援助を活用する場合には、本助成金の対象となる社会福祉法人等や事業主と十分調整を行うことが必要である。なお、援助の実施に当たっては、職業リハビリテーション計画の策定、支援計画の承認等地域センターとの連携が欠かせないことに十分留意する必要がある。

(4) 障害者の態様に応じた多様な委託訓練(障害者委託訓練)

国から都道府県に委託して行う事業であり、障害者が居住する地域で、企業、社会福祉法人、NPO法人等多様な委託先を活用し、個々の障害者の態様に応じた職業訓練を実施するものである。訓練期間は標準3ヶ月、1ヶ月当たり100時間であるが、6ヶ月まで延長して実施することができる。都道府県に障害者職業訓練コーディネーターが配置されており、職業能力開発校を委託元として障害者と委託先のマッチングを行っている。

委託訓練を受講するには、公共職業安定所長の受講あっせんを受ける必要があるが、訓練期間が2ヶ月以下の場合や受講指示又は受講推薦による職業訓練受講修了後1年以内に就職促進のために委託訓練を受講する場合は、受講あっせんを受ける必要はない。ただし、この場合においても公共職業安定所と連絡を取り合うことがその後の職業紹介等に円滑につなげるためにも重要である。

10 就職後の職場定着支援

(1) 職場定着支援の実施

センターのあっせんした職業準備訓練、又は職場実習を経て就職した者を含め、在職中の障害者であって必要な者に対し、職場定着のための支援を実施することは、上記1の(1)のイ又はハの業務の一環としてセンターの業務に含まれる。

以下、職場定着支援の実施手順のモデル的な例を示す。

(2) 職場定着支援プログラムの作成

支援対象障害者の就職が決定した段階(在職中の障害者からの相談を発端として職場定着支援を実施しようとする場合には、その必要性を認めた時点)で、センターは、就職の決定した事業所における業務を踏まえた職場定着支援プログラムを作成する。その際、必要に応じ、地域センター、公共職業安定所、基礎訓練の実施機関・施設、職業準備訓練あっせん先事業所、職場実習先事業所、雇用(予定)事業所の職員のほか、就職後の支援に関わる保健・福祉・教育等の関係機関・施設の職員の参加を得て、ケース会議を開催し、また地域センターが策定する職業リハビリテーション計画を活用するなどにより、関係機関と連携を図るとともに、それら機関の行う支援との整合性を持った計画とすることが適当である。

(3) 職場定着支援プログラムの内容

職場定着支援プログラムにおいては、職場訪問の頻度、支援対象障害者や事業主に対する当面の指導支援事項、就職後に生じる可能性のある職場不適応の予測と現実に職場不適応が生じた際の対応に関する各支援機関の役割分担等について具体的に記述するとともに、その作成に当たっては、職場での生活にとどまらず、職場生活に影響を及ぼす日常生活面も視野に入れるよう配慮する。

職場定着支援プログラムは、支援対象障害者の職場への適応状況を踏まえたものとすべきものであり、適切な状況把握に基づき、適宜、状況に即した内容のものに変えていく必要がある。このため、必要に応じ地域センター、公共職業安定所のほか、就職後の支援に関わる保健・福祉・教育等の関係機関・施設等の参加を得たケース会議を開催して、見直しについて検討する。

(4) 在職中の状況把握

支援対象障害者が就職した事業所との間で、訪問や電話連絡等を通じて密接に連絡を取り合うとともに、在職中の支援対象障害者に関わる関係機関等とも密接に情報交換を行い、支援対象障害者の状況把握に努める。

在職中の支援対象障害者の状況把握については、実際の職場を訪問することによって、電話による照会だけでは把握することが難しい本人の職場での状況、職場の雰囲気、事業主や職場の上司、同僚等の本音の意見等を把握することが可能となり、職場不適応が顕在化する以前に早めに問題点を把握できることから、職場への計画的訪問による状況把握を基本とすべきである。

在職中の職場定着支援には期限がないものであり、センターとしては事業主、職場の上司、同僚等、支援対象障害者の身近にいる者が支援対象障害者に対し適切に支援できるようにしていくとともに、本人・家族・職場での支援者等との電話連絡や郵便による定期の状況把握調査等を通じて、職場への定着状況等が的確に把握できるように努める必要がある。

関係機関の支援を受けることが必要と考えられる場合には、上記4の業務として、関係機関との連絡調整を行うことが適当である。

また、在職中の職場定着支援が必要な支援対象障害者が一定数以上に達しているセンターにおいては、在職中の支援対象障害者を対象として、職場で生じる様々な課題をテーマとしたグループワークや勉強会等を定期的に開催することを通じて、職場不適応を早期に把握することや職業生活上の課題を解決するための援助を行うことも重要である。在職中の支援対象障害者を対象とした定期的な集まりには、同窓会、茶話会その他余暇行事等のレクリエーションを通じて、支援対象障害者同士が交流することにより問題解決が可能となる面もあることから、センターにおいてこうした機会を提供することや、併設施設等で開催される行事を活用することも有効である。

(5) 職場不適応者への対応

在職中の支援対象障害者への対応については、問題が生じてから対応するのではなく、問題が生じる前から常時状況を把握し、早めに対応していくことが肝要である。

状況把握の結果、支援対象障害者が職場で不適応を生じていると判断した場合には、速やかに本人、家族、事業主、職場の上司、同僚等から聴取した状況等を踏まえ、必要な対応策を検討するとともに、解雇されることがないよう、公共職業安定所との連携も取りながら事業主に対して協力を依頼する。対応策の検討に当たっては、必要に応じケース会議を開催する。

職場不適応を起こした者の状況を改善するために必要がある場合には、関係機関による支援を受けることについて調整することが考えられる。この関係機関による支援には、地域センターによる職場適応援助者(ジョブコーチ)の派遣、雇用管理サポート事業も含まれる。さらに、必要な場合には、一時的に休職させ、センターの併設施設又は提携施設における再訓練等を行うことも考えられる。

この場合に、精神障害者の社会復帰施設にあっては、ほかの入所者の処遇に支障が生じない範囲で利用できる扱いとなっている。

(6) 生活のリズムの乱れに起因する場合の対応

職場不適応が生じる原因が日常生活のリズムの乱れにあるような場合には、一時的に生活の場を併設施設等に移して生活指導を行い、生活のリズムを回復させることが考えられる。

このような場として、精神障害者については、精神障害者生活訓練施設又は生活訓練施設が運営するショートステイ施設や生活訓練施設がバックアップするグループホームが想定されるところであるが、このような形で一時的に施設を活用するに際しては、利用者と施設との契約による利用も可能とされている。

(7) 雇用継続が困難な場合の対応

就職した支援対象障害者について、その就職した事業所での雇用継続が必ずしも望ましくないと判断される場合には、当該支援対象障害者の状況に即した就労等の場に移行できるよう助言・援助する。

離職後に自宅に引きこもって就業意欲が失われたりすることのないよう、再就職に向かうまでの一時的な受け皿としては、センターの併設施設や提携施設を活用することが考えられる。

11 事業主に対する雇用管理に関する助言

(1) センターの支援を受けて就職した者を含め、在職中の支援対象障害者から相談があった場合で、事業主が雇用改善の取組を行うことが必要と考えられるケースにあっては、事業主に対し、雇用管理に関する助言を行う(法第34条第1号、則第4条の11)。

(2) 職場定着のためには、支援対象障害者を雇用する事業主側を支援していくことも必要であり、センターとしては、法第34条第3号の業務(第1号・第2号の業務のほか、支援対象障害者がその職業生活における自立を図るために必要な業務)として、地域センターと連携しつつ、雇用に際して事業主に対して支援対象障害者の能力、特性並びにそれを踏まえた雇用管理上必要な措置等についての情報を伝えるとともに、職場不適応が生じた場合の対応についての相談に応じるべきである。

12 関係機関や職業リハビリテーションに係る情報の提供

上記4による関係機関の支援や職業リハビリテーションを受けることについて本人や家族の決定の参考とするために当該関係機関や職業リハビリテーションに関する情報が必要な場合等において、必要な情報の提供を行う。このため、普段から関係機関との連絡を密にし、職業リハビリテーションに関する制度、関係機関が提供する支援内容や支援の実施状況について把握しておくことが必要である(法第34条第1号、則第4条の11)。

13 障害者職業総合センターによる助言、指導その他の援助

(1) 助言等

障害者職業総合センターは、センターその他の関係機関に対し、職業リハビリテーションに関する技術的事項についての助言、指導その他の援助を行うこととされている(法第20条第4号)。センターは、障害者職業総合センターに対し、職業リハビリテーションに関する技術的事項について、助言等を求めることができる。

(2) 職員の研修

センターにおいて支援対象障害者に対する支援の業務に従事する者は、障害者職業総合センターにおいて実施される、支援対象障害者に対する指導に関する専門的知識等についての研修を受講することが望ましい。

(別紙2)

障害者就業・生活支援センター事業(雇用安定等事業)実施要綱

第1 目的

障害者の雇用を進める上では、就職や職場適応などの就業面の支援ばかりでなく、生活習慣の形成や日常生活の自己管理などに関する生活支援も重要であり、身近な地域で、就業面及び生活面で一体的かつ総合的な支援を提供することが必要である。

このため、就職を希望する障害者、職場不適応により離職した障害者や離職のおそれがある在職中の障害者に対し、障害者就業・生活支援センターにおいて、就業及びこれに伴う日常生活、社会生活上の支援を行うことにより、障害者の職業生活における自立を図る。

第2 事業の内容

本事業は、障害者の就業・生活支援を行う団体に委託して、就職を希望する障害者、離職した障害者及び在職中の障害者の職業生活における自立を図るため、以下の業務を行う事業である。

1 障害者からの相談に応じ、その就業及びこれに伴う日常生活上の問題について、必要な指導及び助言その他の援助を行うこと。

2 事業主に対して障害者の就職後の雇用管理に係る助言等を行うこと。

3 障害者に対して障害者職業総合センター、地域障害者職業センター、障害者雇用支援センター又は事業主により行われる職業準備訓練を受けること及び職場実習を行うことについてあっせんすること。

4 前各項目の業務の円滑かつ有効な実施に資するため、公共職業安定所、地域障害者職業センター、障害者雇用支援センター、社会福祉施設、医療施設、特別支援学校、当事者団体等の関係機関(以下「関係機関」という。)との連絡会議を開催し、これら機関との連携を図ること。

第3 委託先の要件

本事業は、民法第34条の法人(公益法人)、社会福祉法第22条に規定する社会福祉法人、特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人又は医療法人であって、以下の基準に照らして本事業の委託先として相応しいと認められるものに対して委託して実施する。

1 障害者の雇用の促進等に関する法律第33条(昭和35年法律第123号。以下「法」という。)に基づき、障害者就業・生活支援センターとして指定されているか又は指定される見込みがあること。

2 定款又は寄付行為において、上記第2に掲げる業務を実施することが規定されていること。

3 事業を実施する地域における障害者の数等に鑑みて、本事業による支援の対象となる障害者を継続して確保できる見通しがあること。

4 事業を実施する地域において、支援の対象となる障害者との信頼関係の形成、障害者の能力・特性等の把握を目的とした訓練を行う併設施設又は提携施設を確保しており、当該施設等においてかかる訓練を適正かつ確実に行うことができると認められること。

5 事業を実施する地域における関係機関との関係が良好であり、円滑な連携を図ることが可能であると認められること。

6 上記第2の業務の実施(実施体制を含む)に係る計画が適切であること。

7 職業準備訓練又は職場実習の修了者の雇用の場の確保の見通しがあること。

8 障害者の就業に関する支援活動の実績があること。具体的には、以下の要件を満たすこと。

(1) 当該法人の支援を受けた障害者で就職した者が過去3年間で10名以上であるか、又はこれに準じるものであること。

ただし、現に本事業を受託している法人にあっては、障害者就業・生活支援センターにおける支援対象障害者で就職した者数が当該受託期間1年間当たり10名以上であるか、又は今後1年間において10名以上確実に見込めること。

(2) 当該法人の支援の対象者について事業所等に依頼して行われた職場実習が過去3年間で20件以上であるか、又はこれに準じるものであること。

ただし、現に本事業を受託している法人にあっては、障害者就業・生活支援センターにおける支援対象障害者に対して行った職業準備訓練及び職場実習のあっせんが当該受託期間1年間当たり20件以上であるか、又は今後1年間において20件以上確実に見込めるものであること。

(3) 現に本事業を受託している法人にあっては、障害者就業・生活支援センターにおける支援対象障害者の職場定着のために、障害者や事業主に対する相談・助言、職場訪問、関係機関との調整、在職者の集いの開催等の支援を行っていること。

9 地元自治体の関与があること。

10 当該法人の運営に関し特段の問題が認められないこと。具体的には、法第43条に基づく法定雇用障害者数以上の身体障害者、知的障害者又は精神障害者を雇用していること、その他労働関係法令等に違反し社会通念上著しく信用を失墜している等本事業遂行に支障を来すとされる者でないこと。

11 公益法人にあっては、本事業を委託した場合において、国からの補助金、委託費等(本事業に係るものを含む)が、当該法人の年間収入の3分の2を下回る見込みであること。

12 上記各要件を満たすものとして、都道府県知事の推薦があること。

第4 都道府県知事の推薦

本事業の受託者を推薦する場合には、都道府県知事は、以下の資料を添えて、都道府県労働局長あて推薦するものとする。

(1) 当該法人の定款又は寄付行為

(2) 当該法人の受託することとなる事業年度に係る収支予算書及び事業計画書、並びにその前事業年度の収支決算書及び事業報告書

(3) 上記第3の1から11の各基準への該当状況に関する都道府県知事の意見(当該意見の理由、根拠となるデータを含む)

第5 委託契約

都道府県労働局長は、都道府県知事から上記第4の推薦があったときには、管下の公共職業安定所、地域障害者職業センター等との連携の見通しその他当該地域における職業リハビリテーションの状況を踏まえ、当該法人が本事業の委託先として相応しいと認められる場合、予算の範囲内において、「障害者就業・生活支援センター事業(雇用安定等事業)委託要綱」に基づき委託契約を締結するものとする。

第6 支援担当者の配置

本事業を受託した法人は、上記第2の業務を担当する者として、主任就業支援担当者及び就業支援担当者を配置するものとする。

第7 その他

上記のほか、本事業の実施のため必要な手続きその他の事項は、別途定めるものとする。

(別紙3)

障害者就業・生活支援センター事業(生活支援等事業)実施要綱

第1 目的

障害者の雇用を進める上では、就職や職場適応などの就業面の支援ばかりでなく、生活習慣の形成や日常生活の管理など生活支援も重要であり、身近な地域で、就業面及び生活面で一体的かつ総合的な支援を提供することが必要である。

このため、職場不適応により離職した者や離職のおそれがある在職者など、就職や職場への定着が困難な障害者及び就業経験のない障害者に対し、障害者就業・生活支援センター(以下「センター」という。)において、就業及びこれに伴う日常生活、社会生活上の支援を行うことにより、障害者の職業生活における自立を図る。

第2 実施主体

本事業の実施主体は、都道府県とする。

第3 職員の配置

センターには、生活支援を専門に担当する職員(以下「生活支援担当職員」という。)を置くものとする。

生活支援担当職員は、身体障害者、知的障害者及び精神障害者のいずれかの障害者の生活支援について相当の経験及び知識を有する者であり、かつ他の障害福祉についても熟知しているものであること。

第4 対象者

本事業の対象となる者は、職業生活における自立を図るために就業及びこれに伴う日常生活又は社会生活上の支援を必要とする障害者とする。(以下、「支援対象障害者」という。)

第5 事業の内容

生活支援担当職員は、支援対象障害者の家庭等や職場を訪問すること等により、支援対象障害者の生活上の相談等に応ずるなど就業及びこれに伴う日常生活又は社会生活に必要な支援を行うものとする。

第6 事業の実施方法

1 都道府県は、事業を適正に実施することができる社会福祉法人等を指定する。

なお、都道府県は、都道府県知事が指定した、又は指定する予定の社会福祉法人等に対して事業を委託するものとする。

2 センターに生活支援担当職員を配置する。

3 基礎訓練(職業準備訓練の前段階として、支援対象障害者との信頼関係の形成、支援対象障害者の能力・特性等の把握を目的とした訓練)を実施する場として、併設施設及び提携施設を確保する。

なお、センターが、基礎訓練を実施するために利用できる下記(1)~(7)の施設であって、センターの運営主体が自ら運営するものを「併設施設」といい、また、センターと連携して基礎訓練の場を提供する施設として位置付けられるものを「提携施設」という。

(1) 就労移行支援事業所

(2) 就労継続支援事業所

(3) 知的障害者更生施設、知的障害者授産施設、知的障害者福祉工場

(4) 精神障害者生活訓練施設、精神障害者授産施設、精神障害者福祉工場

(5) 身体障害者更生施設、身体障害者授産施設、身体障害者福祉工場

(6) 障害者能力開発施設

(7) その他事業が適切に実施されると認められる施設

第7 関係機関との連携

事業の委託を受けた社会福祉法人等は、事業の実施について、市町村、公共職業安定所、社会福祉施設、医療機関、特別支援学校、福祉事務所、更生相談所、保健所、精神保健福祉センター、関係施設及び民生委員、身体障害者相談員、知的障害者相談員、精神保健福祉相談員等と連携を密にし、本事業が円滑かつ効果的に行われるように努めなければならない。

第8 留意事項

1 都道府県は、本事業の実施について、地域住民に対して広報紙等を通じて周知を図るものとする。

2 生活支援担当職員が、その業務を行うに当たっては、障害者本人の人格を十分尊重するとともに、当該障害者の身上及び家庭に関する情報については、支援業務以外に用いてはならない。

3 生活支援担当職員は、その他必要な地域生活の支援について、関係機関等との連絡調整を行う。

第9 費用の支弁

センターに要する費用は、都道府県が支弁するものとする。

第10 経費の補助

国は、都道府県がこの事業のために支出した費用について、別に定めるところにより補助するものとする。

○「障害者就業・生活支援センターの指定と運営等について」の一部改正について

(平成20年4月1日)

(/職高発第0401013号/障発第0401001号/)

(各都道府県労働局長・各都道府県知事あて厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長、社会・援護局障害保健福祉部長通知)

障害者就業・生活支援センターの指定と運営等については、平成14年5月7日付け職高発0507004号、障発第0507003号「障害者就業・生活支援センターの指定と運営等について」(厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長、社会・援護局障害保健福祉部長連名通知)に基づき実施しているところであるが、今般、通知の一部を別紙のとおり改正することとしたので、内容を十分ご理解の上、制度の適正な運用について特段の御配意をお願いする。

別紙

1 改正内容

別添「『障害者就業・生活支援センターの指定と運営等について』新旧対照表」のとおり。

2 改正の概要

改正の概要は以下のとおり。

なお、今回改正するのは、平成14年5月7日付け職高発第0507004号、障発第0507003号「障害者就業・生活支援センターの指定と運営等について」(以下「通知」という。)のうち、別紙1「障害者就業・生活支援センターの指定と運営について」(以下「指定と運営」という。)の一部、及び別紙2「障害者就業・生活支援センター事業(雇用安定等事業)実施要綱」(以下「実施要綱」という。)の一部である。

(1) 指定の勘案要素及び委託先の要件における法人の運営に係る要件の追加

【新「指定と運営」第5の2(10)、新「実施要綱」第3の10】

障害者就業・生活支援センターは、障害者雇用促進法に規定される職業リハビリテーション機関であり、障害者の就業面・生活面に関する相談・支援をはじめ、支援対象障害者を雇用する事業主に対して雇用管理に関する助言を行うなど、障害者の雇用・就業に関して他の事業主に率先垂範すべき立場にあることに鑑み、障害者就業・生活支援センター事業の指定に当たっての勘案要素及び障害者就業・生活支援センター事業(雇用安定等事業)の委託先の要件に、障害者雇用率を達成している法人であることを盛り込んだところである。

これに加え、労働関係法令等に違反し社会通念上著しく信用を失墜している等、本事業遂行に支障を来すとされる者でないことを求める必要があることから、指定に当たっての勘案要素及び委託先の要件に、これを加えることとしたこと。

(2) 精神障害者ステップアップ雇用に関する記載の追加

【新「指定と運営」第6の9(2)】

平成20年度に精神障害者ステップアップ雇用奨励金が創設されることに伴い、精神障害者ステップアップ雇用の趣旨及び活用にあたっての留意点について、明記することとしたこと。

(3) 在職中の支援対象障害者の状況把握を目的としたグループワークや勉強会等に関する記載の追加

【新「指定と運営」第6の10(4)】

在職中の支援対象障害者が一定数以上に達するセンターにおいては、職場で生じる様々な課題をテーマとしたグループワークや勉強会等を定期的に開催することを通じて、職場不適応を早期に把握することや職業生活上の課題を解決するための援助を行うことが有効であることから、これを明記することとしたこと。

(4) 障害者雇用支援者に関する業務の廃止

【旧「指定と運営」第6の13、旧「実施要綱」第2の4】

障害者雇用支援者の活用等に関する業務については、各センターにおいて障害者雇用支援者に対する研修を行い、登録者の拡大に努めてきたところであるが、ボランティアという位置づけの障害者雇用支援者に、通勤支援、職場適応支援その他の相談援助に関する業務を行わせるという実施手法には限界があり、効果的な活用を図ることが困難となっていることから、当該業務については平成19年度末をもって廃止することとし、当該業務に係る規定を削除することとしたこと。

(5) 支援対象障害者の範囲の明記

【新「実施要綱」第1及び第2】

平成19年の雇用保険法の改正により、雇用保険二事業の直接の対象者として「被保険者又は被保険者であった者」に「被保険者になろうとする者」が加えられたことに伴い、支援対象障害者の範囲に「就職を希望する障害者」を明記することとしたこと。

(6) 主任就業支援担当者の配置の明記

【新「実施要綱」第6】

様々なニーズを有する障害者に対して、必要な支援をマネジメントする機能を十分に発揮していくため、平成20年度から、専門性の高い「主任就業支援担当者」を配置することとしたことを踏まえ、これを明記することとしたこと。

3 適用期日

本改正は、平成20年4月1日から適用する。

別添

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