添付一覧
○労災保険における看護の給付の取扱いの一部改正について
(平成18年12月21日)
(基発第1221003号)
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
(公印省略)
労災保険における看護の給付の取扱いについては、昭和62年3月12日付け基発第131号「労災保険における看護の給付の取扱いについて」(最終改正平成13年11月16日付け基発第998号)により取り扱ってきたところであるが、今般、健康保険診療報酬点数表の改正により看護の取扱いが変更されたことに伴い、上記通達の一部を下記のとおり改め、平成18年4月1日以降の看護に係るものから適用することとしたので、その運用に遺漏なきを期するとともに、併せて傷病労働者、関係医療機関及び関係看護団体等への周知徹底に努められたい。
記
1 記の第2を削除する。
2 記の第3を以下のとおり改める。
第2 看護の保険給付の基準等
1 看護の保険給付の基準について
保険給付の対象となる特別労災付添看護は、次の(1)及び(4)の要件を満たす医療機関において入院療養中の傷病労働者が、(2)の支給要件に該当し、かつ、(3)の看護形態等による看護を受けた場合の看護とする。
(1) 対象医療機関
対象となる医療機関(以下「特別労災付添看護病院等」という。)は、入院基本料の届出をした医療機関とする。
(2) 支給要件
特別労災付添看護は、次のイ~ニのいずれかに該当するものであって、神経系統、精神又は胸腹部臓器の傷病により療養しており、その症状の程度が傷病等級第1級の1又は2に相当する者に支給する。
イ 傷病労働者の病状が重篤であって、絶対安静を必要とし、医師又は看護師が常時監視を要し、随時適切な処置を講ずる必要がある場合
ロ 傷病労働者の病状は必ずしも重篤ではないが、手術等により比較的長期間にわたり医師又は看護師が常時監視を要し、随時適切な処置を講ずる必要がある場合
ハ 傷病労働者の病状から判断し、常態として体位変換又は床上起座が禁止されているか、又は不可能な場合
ニ 傷病労働者の病状から判断し、食事・用便とも弁じ得ないため常態として介助が必要である場合
(3) 看護形態
イ 看護担当者数については、上記(2)の支給要件に該当する傷病労働者(以下「対象傷病労働者」という。)2人につき看護担当者1人の割合(傷病労働者数を2で除した場合に生じた端数については切り上げるものとする。ただし、健康保険における入院基本料の看護配置が7対1、10対1又は13対1の病院においてはこれを切り捨てるものとする。)で認めることができるものとする。
なお、対象傷病労働者が親族、友人による看護を受ける場合は、当該傷病労働者を除いた対象傷病労働者2人につき看護担当者1人の割合(対象傷病労働者数を2で除した数に端数が生じた場合はこれを切り上げるものとする。)で認めるものとする。
ロ 看護形態については、傷病労働者の症状に応じ医師の判断によるものとする。
(4) 入院患者数
特別労災付添看護病院等は、対象傷病労働者を常時2人以上収容していること。
この場合において、「常時2人以上収容する」とは、当該医療機関において対象傷病労働者を月間の実数で2人以上収容していることを常態とするものであること。したがって、対象傷病労働者が月間の実数で2人未満となった場合には、当該月以降は当該特別労災付添看護病院等に入院療養する対象傷病労働者には特別労災付添看護は認められない。
ただし、従来から特別労災付添看護を認めていた対象傷病労働者については、当該月以降1年間に限り、引き続き特別労災付添看護を認めて差し支えないものとするが、2人未満となって1年を経過したときは、当該対象傷病労働者についても特別労災付添看護は認められなくなるものであり、この旨を対象傷病労働者、特別労災付添看護病院等に十分説明し、その周知を図ること。
2 看護担当者について
(1) 看護担当者は、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)に基づく保健師、助産師、看護師又は准看護師のいずれかの免許を有する者(以下「看護資格者」という。)とする。
ただし、看護資格者を求めることができないと認められる場合において、看護資格者以外の者(以下「看護補助者」という。)が当該医療機関の主治医又は看護師の指揮を受けて看護の補助を行うときには、当該看護補助者を看護資格者に準じて取り扱うものとする。
(2) 傷病労働者と親族又は友人関係にある者によって当該傷病労働者が受けた看護は、保険給付の対象として認められないが、緊急その他やむを得ない事由により前記(1)の一般の看護担当者を求めることができない場合に限り、これらの者による看護についても保険給付の対象とする。ただし、この看護は看護担当者1人が傷病労働者1人を担当する看護(1人付看護)の場合についてのみ認めるものとする。
3 看護費用の範囲について
(1) 看護に係る費用のうち保険給付の対象となるのは、看護料、受付手数料、紹介手数料、第二種特別加入保険料に充てるべき手数料及び次の(4)で定める看護担当者の往復旅費とする。
(2) 看護料には、看護担当者の食事料、寝具料等看護に必要な一切の費用を含むものとする。
(3) 受付手数料、紹介手数料及び第二種特別加入保険料に充てるべき手数料は、傷病労働者が有料職業紹介機関を通じて看護担当者を求めるために当該手数料を負担した場合に限り支給するものとし、その額は職業安定法施行規則第20条の別表に定める額の範囲内において実際に負担した額とする。
(4) 看護担当者は、傷病労働者が入院している医療機関に近い地域において求めるのが原則であるが、やむを得ない事由により当該医療機関より片道、鉄道100キロメートル、水路50キロメートル又は陸路25キロメートルを超える地域において看護担当者を求めた場合で、かつ、看護担当者の旅費を傷病労働者が負担した場合に限り、看護担当者の旅費としてその雇入れ期間を通じ1往復の実費(最も経済的な通常の経路及び方法によること。)を支給するものとする。
ただし、看護担当者が傷病労働者の親族又は友人であるときは、旅費は支給しない。
4 看護料の支給について
看護料は、昭和62年3月12日付け基発第132号の「労災保険における看護料算定基準」(以下「看護料算定基準」という。)に基づいて支給するものとする。
5 看護料の請求手続きについて
(1) 請求手続は、傷病労働者の所属する事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長に「療養(補償)給付たる療養の費用請求書」(様式第7号(1)又は第16号の5(1))により請求させること。
なお、当該請求書には「看護費用の額の証明書」(別紙様式1)を添付させること。
また、「看護費用の額の証明書」の右上余白には「特別」と表示させること。
(2) 特別労災付添看護病院等が労働者災害補償保険法施行規則第11条第1項の医療機関であって、対象傷病労働者に代わって当該病院の長がその看護料を立替払いした場合には、特に診療費と合わせ「診療費請求内訳書」により請求することができるものとし、その記入方法は、当該内訳書右片の「((80))その他」欄に「特別労災付添看護料」と表示し、その金額を記載させること。
なお、この場合、当該内訳書には「特別労災付添看護費用明細書」(別紙様式2)を添付させること。
6 誓約書について
入院療養する傷病労働者の看護に当たることとなる外部からの看護担当者であっても、当該医療機関の主治医又は看護師の指揮の下に看護を行うものであるため、当該医療機関の長は当該看護担当者から主治医又は看護師の指揮に服する旨の誓約書(別紙参考)を徴しておくよう関係者を指導すること。
3 記の第4を以下のとおり改めた上で、記の第3とする。
平成18年3月31日において、この通達による改正前の昭和62年3月12日付け基発第131号(以下「旧通達」という。)の記の第2の労災付添看護を受けており、引き続き看護が必要な傷病労働者については、この通達の支給基準等にかかわらず、旧通達の記の第2の基準により保険給付を支給することとする。
また、この場合、看護料については、平成18年3月31日における看護料算定基準の労災付添看護に基づいて支給するものとする。
4 記の第5を以下のとおり改めた上で、記の第4とする。
本通達の取扱いにより難い事案については、本省に協議されたいこと。