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○雇用保険法等の一部を改正する法律及び雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令の施行について

(平成19年4月23日)

(厚生労働省発職第0423001号)

(各都道府県労働局長あて厚生労働事務次官通知)

(公印省略)

「雇用保険法等の一部を改正する法律」については、第166回通常国会において、平成19年4月19日に可決成立し、本日、平成19年法律第30号として公布され、同日(雇用保険の適用及び給付内容の見直しは同年10月1日、船員保険の統合に関する事項については平成22年4月1日等)から施行されることとなった。また、「雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令」については、本日、平成19年政令第161号として公布され、同日から施行されることとなった。

雇用保険法等の一部を改正する法律は、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律(平成18年法律第47号)に基づく特別会計の改革を実施するため、雇用保険の失業等給付に係る国庫負担及び雇用安定事業等並びに労働者災害補償保険の労働福祉事業の見直しを行うとともに、船員保険の職務上の災害等に関する給付制度を労働者災害補償保険制度に、失業等に関する給付制度を雇用保険制度に統合するほか、雇用保険制度における直面する課題に対応するための見直し等の措置を講ずるものであり、雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令は、雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴い、関係政令の整備等を行うものである。これらの主たる内容は下記のとおりであるので、その趣旨を十分理解の上、その施行に万全を期せられたく、通達する。

第1 雇用保険法等の一部を改正する法律関係

1 雇用保険法の一部改正(公布の日及び平成19年10月1日施行)

(1) 基本手当の受給資格要件等の改正

イ 被保険者資格区分の改正

一般被保険者及び高年齢継続被保険者に係る短時間労働被保険者とそれ以外の被保険者の区分を廃止することとしたこと。(雇用保険法第13条及び第14条等関係)

ロ 基本手当の受給資格要件の改正

基本手当の受給資格要件について、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12箇月以上であれば受給資格を取得できるものとするほか、その離職が倒産等に伴うものである者として厚生労働省令で定めるもの又は解雇その他の厚生労働省令で定める理由により離職した者については、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上であれば受給資格を取得できることとしたこと。(雇用保険法第13条関係)

ハ 被保険者期間の計算方法の変更

被保険者期間については、1月間に賃金の支払の基礎となる日が11日以上である期間を1箇月として計算することとしたこと。(雇用保険法第14条第1項関係)

(2) 特例一時金の改正

特例一時金の支給額を、基本手当の日額の30日相当分としたこと。ただし、当分の間、基本手当の日額の40日相当分とすることとしたこと。(雇用保険法第40条第1項及び附則第7条関係)

(3) 教育訓練給付の改正

イ 返還命令等の対象の追加

偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者と連帯して不正受給額の返還又は納付額の納付を命ぜられる対象として、偽りの証明等をした指定教育訓練実施者(厚生労働大臣が指定する教育訓練を行う者をいう。以下同じ。)を加えることとしたこと。(雇用保険法第10条の4第2項関係)

ロ 報告徴収の対象の追加

報告徴収の対象に、指定教育訓練実施者を加えることとしたこと。(雇用保険法第76条第2項関係)

ハ 支給要件期間の暫定措置

当分の間、教育訓練給付金の支給を受けたことがない者に限り、教育訓練を開始した日までの間に被保険者として雇用された期間が1年以上あれば、教育訓練給付金の支給を受けることができることとしたこと。(雇用保険法附則第8条関係)

(4) 育児休業給付の改正

イ 育児休業基本給付金の支給を受けた期間と基本手当に係る算定基礎期間の算定の調整

育児休業基本給付金の支給を受けた期間について、基本手当の所定給付日数に係る算定基礎期間(被保険者として雇用された期間)の算定から除くこととしたこと。(雇用保険法第61条の4第6項関係)

ロ 育児休業者職場復帰給付金の額の暫定措置

平成22年3月31日までに育児休業基本給付金の支給に係る育児休業を開始した被保険者については、育児休業者職場復帰給付金の額を、育児休業基本給付金の支給日数に休業開始時賃金日額の100分の20に相当する額を乗じて得た額とすることとしたこと。(雇用保険法附則第9条関係)

(5) 雇用安定事業等の改正

イ 雇用安定事業等の対象の明確化

雇用安定事業及び能力開発事業の対象として、被保険者になろうとする者を規定することとしたこと。(雇用保険法第62条第1項関係)

ロ 雇用福祉事業の廃止

雇用福祉事業を廃止することとしたこと。(雇用保険法第64条等関係)

(6) 国庫負担の改正

イ 高年齢雇用継続給付に係る国庫負担の廃止

高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金に要する費用に係る国庫負担は、平成19年度から廃止することとしたこと。(雇用保険法第66条第1項関係)

ロ 国庫負担に関する暫定措置

失業等給付に要する費用に係る国庫の負担額については、平成19年度以後当分の間、国庫が負担すべきこととされている額の100分の55に相当する額とすることとしたこと。(雇用保険法附則第10条関係)

(7) その他所要の規定の整備を行うこととしたこと。

2 雇用保険法の一部改正(平成22年4月1日施行)

(1) 雇用保険法の適用範囲の改正

雇用保険法の適用対象に船員を含めるとともに、政令で定める漁船に乗り組むため雇用される船員の一部を適用除外とすることとしたこと。(雇用保険法第6条第3号関係)

(2) 船員に関する特例

船員である者が失業した場合については、雇用保険の業務に関し、地方運輸局等においても実施することとしたこと。(雇用保険法第79条の2関係)

(3) その他所要の規定の整備を行うこととしたこと。

3 船員保険法の一部改正(公布の日及び平成19年10月1日施行)

(1) 失業保険金の受給資格要件等の改正

失業保険金の受給資格要件、教育訓練給付、育児休業給付及び国庫負担について、雇用保険法と同様の改正を行うこととしたこと。(船員保険法第25条ノ3第2項、第33条ノ3、第36条第7項、附則第25項等関係)

(2) 船員保険の保険料率の改正

イ 一般保険料率の引下げ

(イ) 失業等給付を受けることができる被保険者に係る一般保険料率を、1000分の117に災害保険料率を加えた率から1000分の113に災害保険料率を加えた率に引き下げることとしたこと。(船員保険法第59条第5項関係)

(ロ) 平成19年4月から平成22年3月分までの一般保険料率のうち被保険者の負担に係る率を、1000分の52.5から1000分の50.5に引き下げることとしたこと。(船員保険法附則第28項等関係)

ロ 一般保険料率の弾力的変更の範囲の改正

雇用の機会の減少等による失業に関する保険給付に充てるための一般保険料率の変更は、毎年度判断することとし、基本の一般保険料率から1000分の4の範囲で行うことができることとしたこと。(船員保険法第59条第11項関係)

ハ その他所要の規定の整備を行うこと。

4 船員保険法の一部改正(平成20年10月1日及び平成22年4月1日施行)

(1) 目的

船員保険法は、船員の職務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行うとともに、労働者災害補償保険による保険給付とあわせて船員の職務上の事由又は通勤による疾病、負傷、障害又は死亡に関して保険給付を行うこと等により、船員の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とすることとしたこと。(船員保険法第1条関係)

(2) 保険者に関する事項

イ 管掌

(イ) 船員保険は、健康保険法による全国健康保険協会(以下「協会」という。)が管掌することとしたこと。(船員保険法第4条第1項関係)

(ロ) 協会が管掌する船員保険の事業に関する業務のうち、被保険者の資格の取得及び喪失の確認、標準報酬月額等の決定及び保険料の徴収は、社会保険庁長官が行うこととしたこと。(船員保険法第4条第2項関係)

ロ 船員保険協議会等

(イ) 船員保険事業に関して船舶所有者及び被保険者(その意見を代表する者を含む。以下4の(2)において同じ。)の意見を聴き、当該事業の円滑な運営を図るため、協会に船員保険協議会を置くこととしたこと。船員保険協議会の委員は、12人以内とし、船舶所有者、被保険者及び学識経験者のうちから厚生労働大臣が任命することとしたこと。(船員保険法第6条、附則第20条関係)

(ロ) 協会の理事長は、船員保険事業に係る定款の変更、事業計画並びに予算及び決算等の立案をしようとするときは、あらかじめ、船員保険協議会の意見を聴き、その意見を尊重しなければならないこととしたこと。また、当該事項については、協会における船員保険事業に係る業務の円滑な運営を確保する観点から、運営委員会の議を経なければならないこととしたこと。(船員保険法第7条第1項及び第2項関係)

(ハ) 協会は、船員保険事業に関する業務に係る経理については、その他の業務に係る経理と区分し、特別の勘定を設けて整理しなければならないこととしたこと。(船員保険法第9条関係)

(3) 保険給付に関する事項

イ 職務外の事由による疾病等に関する保険給付

この法律による職務外の事由(通勤を除く。)による疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関する保険給付は、療養の給付並びに入院時食事療養費、傷病手当金、出産育児一時金、出産手当金、家族療養費、高額療養費等の支給とすることとしたこと。(船員保険法第29条第1項関係)

ロ 職務上の事由又は通勤による疾病等に関する保険給付

この法律による職務上の事由若しくは通勤による疾病、負傷、障害若しくは死亡等に関する保険給付は、労働者災害補償保険法の規定によるもののほか、休業手当金、障害年金、障害手当金、行方不明手当金、遺族年金、遺族一時金等の支給とすることとしたこと。(船員保険法第29条第2項関係)

ハ 給付の実施に必要な情報の提供

厚生労働大臣は、協会に対し、職務上の事由又は通勤による支給事由に関する保険給付の実施に必要な情報の提供を行うこととしたこと。(船員保険法第50条関係)

(4) 費用の負担に関する事項

イ 保険料等の交付

政府は、協会が行う船員保険事業に要する費用に充てるため、協会に対し、社会保険庁長官が徴収した保険料等の額から社会保険庁長官の事務の執行に要する費用に相当する額(当該費用に係る国庫負担金の額を除く。)を控除した額を交付することとしたこと。(船員保険法第115条関係)

ロ 保険料率等

(イ) 一般保険料率は、疾病保険料率と災害保健福祉保険料率とを合計して得た率とすることとしたこと。(船員保険法第120条第1項関係)

(ロ) 疾病保険料率は、保険給付に要する費用等に照らし、毎事業年度において財政の均衡を保つことができるよう、1000分の40から1000分の110までの範囲内において協会が決定し、厚生労働大臣の認可を受けることとしたこと。(船員保険法第121条第1項、第2項及び第5項関係)

(ハ) 協会が疾病保険料率を変更しようとするときは、あらかじめ、理事長は、船員保険協議会の意見を聴いた上で、運営委員会の議を経なければならないこととしたこと。また、理事長は、船員保険協議会の意見を尊重しなければならないこととしたこと。(船員保険法第121条第3項及び第4項関係)

(ニ) 災害保健福祉保険料率は、1000分の10から1000分の35までの範囲内において、疾病保険料率と同様の手続きを経て協会が決定することとしたこと。(船員保険法第122条関係)

ハ 保険料の負担区分

被保険者は、標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ疾病保険料率の2分の1に相当する率を乗じて得た額等を負担し、被保険者を使用する船舶所有者は当該被保険者が負担する額を除いた保険料額を負担することとしたこと。(船員保険法第125条第1項関係)

ニ 被保険者の負担に係る疾病保険料率に関する暫定措置

協会は、被保険者の負担に係る疾病保険料率について、当分の間、準備金の額、保険給付に要する費用の予想額等を勘案し、期間を定めて、協会が定める率を控除することができることとしたこと。(船員保険法附則第9条関係)

ホ その他

疾病任意継続被保険者等に係る保険料額の特例等の所要の規定の整備を行うこととしたこと。(船員保険法第125条第2項等関係)

(5) その他

片仮名書き・文語体となっている表記を、平仮名書き・口語体に改め、表記の平易化を図ることその他所要の規定の整備を行うこととしたこと。

5 労働者災害補償保険法の一部改正(公布の日から施行)

(1) 「労働福祉事業」の事業名を「社会復帰促進等事業」に改めるとともに、労働者災害補償保険法第29条第1項第3号の規定による安全衛生確保事業を「業務災害の防止に関する活動に対する援助、健康診断に関する施設の設置及び運営その他労働者の安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに賃金の支払の確保を図るために必要な事業」に改め、同項第4号の規定による労働条件確保事業を廃止することとしたこと。(労働者災害補償保険法第29条第1項等関係)

(2) その他所要の規定の整備を行うこととしたこと。

6 労働者災害補償保険法の一部改正(平成22年4月1日施行)

(1) 従来労働者災害補償保険法の適用除外とされていた船員保険の被保険者を適用対象とし、船員以外の労働者と同様の保険給付を行うこととしたこと。(労働者災害補償保険法第3条第2項関係)

(2) 厚生労働大臣から国土交通大臣に対し、船員法に基づく必要な措置を要請することができることとし、相互に情報提供を求めることができることとしたこと。(労働者災害補償保険法第49条の2等関係)

(3) その他所要の規定の整備を行うこととしたこと。

7 労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正(公布の日から施行(注))

(1) 失業等給付に係る雇用保険率の弾力的変更の範囲の改正

イ 労働保険特別会計の雇用勘定の積立金の状況による失業等給付に係る雇用保険率の変更は、毎年度判断することとし、基本の雇用保険率から1000分の4の範囲で行うことができることとしたこと。(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第12条第5項関係)

ロ 厚生労働大臣は、失業等給付に係る雇用保険率の変更に当たっては、被保険者の雇用及び失業の状況その他の事情を考慮し、失業等給付の支給に支障が生じないようにするために必要な額の積立金を保有しつつ、雇用保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるよう、配慮することとしたこと。(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第12条第7項関係)

(2) 雇用安定事業等に係る雇用保険率の弾力的変更の制限の廃止

労働保険特別会計の雇用勘定の雇用安定資金の状況による雇用安定事業等に係る雇用保険率の変更について、当該雇用安定資金の状況に、雇用安定事業等に係る雇用保険率が変更されている期間内の当該雇用安定資金の状況も含むこととし、当該変更されている期間に係る変更も行えることとしたこと。(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第12条第8項関係)

(3) その他所要の規定の整備を行うこととしたこと。

(注) 7の(1)のイのうち、基本の雇用保険率から-1000分の2~-1000分の4までの範囲の変更については、平成19年4月1日以後の期間に係る労働保険料について適用されることとなる。

8 労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正(平成22年4月1日施行)

船員保険法の改正に伴う所要の規定の整備を行うこととしたこと。

9 その他

(1) 施行期日

この法律は、公布の日から施行することとしたこと。ただし、1の(1)、(2)、(3)のハ及び(4)並びに3の(1)(国庫負担に係る部分を除く。)については平成19年10月1日から、4の(2)のロの(イ)については平成20年10月1日から、2、4((2)のロの(イ)を除く。)、6及び8については平成22年4月1日から施行することとしたこと。(附則第1条関係)

なお、2、4((2)のロの(イ)を除く。)、6及び8については、現在開会中の第166回通常国会に提出された日本年金機構法案において、この施行期日を「日本年金機構法の施行の日」(注)に改正することとされていることに留意されたい。

(注) 平成22年4月1日までの間において政令で定める日

(2) 経過措置及び関係法律の整備

この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、その他関係法律の規定の整備を行うこととしたこと。

第2 雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令関係

1 改正の内容

雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴い、関係政令について所要の規定の整備等を行うこと。

2 施行期日

この政令は、公布の日から施行することとしたこと。