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○特定疾患治療研究事業について

(昭和48年4月17日)

(衛発第242号)

別紙

特定疾患治療研究事業実施要綱

第1 目的

原因が不明であって、治療方法が確立していない、いわゆる難病のうち、特定疾患については、治療がきわめて困難であり、かつ、その医療費も高額であるので、特定疾患治療研究事業を推進することにより、特定疾患に関する医療の確立、普及を図るとともに、患者の医療費の負担軽減を図ることを目的とする。

第2 実施主体

実施主体は、都道府県とする。

第3 対象疾患

治療研究事業の対象疾患は、別表1に掲げるものとする。

第4 対象患者

第3に掲げる対象疾患にり患した患者であって、医療機関(健康保険法(大正11年法律第70号)に規定する指定訪問看護事業者並びに介護保険法(平成9年法律第123号)に規定する指定居宅サービス事業者(同法に規定する訪問看護を行うことができる者に限る。)及び同法に規定する指定介護予防サービス事業者(同法に規定する介護予防訪問看護を行うことができる者に限る。)を含む。以下同じ。)において当該疾患に関する医療保険各法若しくは高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)の規定による医療に関する給付を受けている者又は当該疾患に関する介護保険法の規定による訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、介護療養施設サービス、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション若しくは介護予防居宅療養管理指導を受けている者であって、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)の規定による被保険者及び健康保険法、船員保険法(昭和14年法律第73号)、国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)、地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)若くは私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)の規定による被険者又は被扶養者並びに高齢者の医療の確保に関する法律の規定による被険者とする。

ただし、他の法令の規定により国又は地方公共団体の負担による医療に関する給付が行われる者は除くものとする。

第5 実施方法

1 治療研究事業の実施は、原則として各都道府県が第3に定める対象疾患の治療研究を行うに適当な医療機関に対し、治療研究に必要な費用を交付することにより行うものとする。

2 前項の費用の額は、次の第1号及び第2号に規定する額の合計額から第3号に規定する対象患者が負担する額(以下「一部負担額」という。)を控除した額とする。

ただし、治療の結果症状が改善し、経過観察等一定の通院管理下で著しい制限を受けることなく就労等を含む日常生活を営むことができると判断される対象患者(以下「軽快者」という。)に対する治療研究を行った場合は費用の交付を行わない。

(1) 「診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)」、「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第99号)」、「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成20年厚生労働省告示第67号)」、「保険外併用療養費に係る療養についての費用の額の算定方法(平成18年厚生労働省告示第496号)」若しくは「厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法(平成20年厚生労働省告示第93号)」により算定した額の合計額から医療保険各法又は高齢者の医療の確保に関する法律の規定による医療に関する給付に関し保険者又は市町村が負担すべき額及び別に定める額を控除した額(高齢者の医療の確保に関する法律の規定による医療を受ける対象患者については、同法の規定による一部負担金、入院時食事療養標準負担額及び入院時生活療養標準負担額並びに基本利用料に相当する額の合計額からに定める額を控除した額)

(2) 「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月厚生省告示第19号)」、「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月厚生省告示第21号)」又は「指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生働省告示第127号)」により算定した額の合計額から介護保険法の規定による当該疾患に係る訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、介護療養施設サービス、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション及び介護予防居宅療養管理指導に関し保険者が負担すべき額(介護保険法第69条第3項の規定の適用がある場合にあっては、当該規定が適用される前の額)及び別に定める額を控除した額

(3) 対象患者が負担する一部負担額は次の区分ごとに定める額とする。

ア 入院

同一の医療機関(同一の医療機関における歯科診療及び歯科診療以外の診療は、それぞれの診療ごとに別の医療機関とみなす。以下同じ。)ごとに、1ヵ月につき別表2に定める額を限度とする額

イ 入院以外

同一の医療機関ごとに、1ヵ月につき別表2に定める額を限度とする額

ただし、医療保険各法又は高齢者の医療の確保に関する法律の規定による薬局での保険調剤、指定訪問看護及び指定老人訪問看護並びに介護保険法の規定による訪問看護及び介護予防訪問看護については、一部負担額は生じないものとする。

(4) 前号の規定は、第3に掲げる対象疾患を主な要因として、身体の機能障害が永続し又は長期安静を必要とする状態にあるため、日常生活に著しい支障(他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度)があると認められる重症患者、スモン、プリオン病、難治性の肝炎のうち劇症肝炎、重症急性膵炎及び重症多形滲出性紅斑(急性期)の患者については適用しないものとする。

第6 対象医療の範囲

治療研究事業の対象となる医療は、重症患者であるか否かにかかわらず、別に定める手続きにより認定された対象疾患及び当該疾患に付随して発現する傷病に対する医療に限られる。なお、スモンについては、主たる神経症状(下肢の異常知覚、自律神経障害、頑固な腹部症状等)に加えて、これが誘因となることが明らかな疾病若しくは状態(循環器系及び泌尿器系の疾病のほか、骨折、白内障、振戦、高血圧、慢性頭痛、めまい、不眠、膝関節痛、腰痛、歯科疾患等)を幅広く併発する状況にあることに留意すること。

第7 治療研究期間

治療研究事業の期間は、同一患者につき1カ年を限度とする。ただし、必要と認められる場合は、その期間を更新できるものとする。

第8 特定疾患対策協議会

1 各都道府県は、この治療研究事業の適正かつ円滑な実施を図るため、医学の専門家等から構成される特定疾患対策協議会を設けるものとする。

なお、各都道府県は、特定疾患対策協議会の運営に当たり、それぞれ対象となる患者数等を勘案して必要な人員の確保に努めるものとする。

2 特定疾患対策協議会は、都道府県知事からの要請により、治療研究事業の実施に必要な参考意見を具申するものとする。

第9 実施手続

治療研究事業対象患者の選定等事業を実施するにあたって必要な事務手続については、関係医師会等と十分協議のうえ定めるものとする。

第10 関係者の留意事項

患者等に与える精神的影響と、その病状に及ぼす影響を考慮して、治療研究によって知り得た事実の取り扱いについて慎重に配慮するよう留意するとともに、特に個人が特定されうるものに係る情報(個人情報)の取り扱いについては、その保護に十分に配慮するよう、関係者に対してもその旨指導するものとする。

第11 報告

都道府県知事は、別に定めるところにより、厚生労働大臣に対し治療研究事業に関する成果を報告するものとする。

第12 国の補助

国は、予算の範囲内において、都道府県がこの治療研究事業のために支出した費用に対し、その2分の1(ただし、スモンの治療研究事業分については、スモン恒久対策の観点から10分の10)を補助するものとする。

(別表1)

特定疾患治療研究事業の対象疾患

疾病番号

疾患名

1

ベーチェット病

2

多発性硬化症

3

重症筋無力症

4

全身性エリテマトーデス

5

スモン

6

再生不良性貧血

7

サルコイドーシス

8

筋萎縮性側索硬化症

9

強皮症、皮膚筋炎及び多発性筋炎

10

特発性血小板減少性紫斑病

11

結節性動脈周囲炎

12

潰瘍性大腸炎

13

大動脈炎症候群

14

ビュルガー病

15

天疱瘡

16

脊髄小脳変性症

17

クローン病

18

難治性の肝炎のうち劇症肝炎

19

悪性関節リウマチ

20

パーキンソン病関連疾患

(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病)

21

アミロイドーシス

22

後縦靱帯骨化症

23

ハンチントン病

24

モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)

25

ウェゲナー肉芽腫症

26

特発性拡張型(うっ血型)心筋症

27

多系統萎縮症

(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)

28

表皮水疱症(接合部型及び栄養障害型)

29

膿疱性乾癬

30

広範脊柱管狭窄症

31

原発性胆汁性肝硬変

32

重症急性膵炎

33

特発性大腿骨頭壊死症

34

混合性結合組織病

35

原発性免疫不全症候群

36

特発性間質性肺炎

37

網膜色素変性症

38

プリオン病

39

肺動脈性肺高血圧症

40

神経線維腫症

41

亜急性硬化性全脳炎

42

バッド・キアリ(Budd-Chiari)症候群

43

慢性血栓塞栓性肺高血圧症

44

ライソゾーム病

45

副腎白質ジストロフィー

46

家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)

47

脊髄性筋萎縮症

48

球脊髄性筋萎縮症

49

慢性炎症性脱髄性多発神経炎

50

肥大型心筋症

51

拘束型心筋症

52

ミトコンドリア病

53

リンパ脈管筋腫症(LAM)

54

重症多形滲出性紅斑(急性期)

55

黄色靱帯骨化症

56

間脳下垂体機能障害

(PRL分泌異常症、ゴナドトロピン分泌異常症、ADH分泌異常症、下垂体性TSH分泌異常症、クッシング病、先端巨大症、下垂体機能低下症)

(別表2)

自己負担限度額表

階層区分

対象者別の一部自己負担の月額限度額

入院

外来等

生計中心者が患者本人

A

生計中心者の市町村民税が非課税の場合

0

0

0

B

生計中心者の前年の所得税が非課税の場合

4,500

2,250

対象患者が生計中心者であるときは、左欄により算出した額の1/2に該当する額をもって自己負担限度額とする。

C

生計中心者の前年の所得税課税年額が5,000円以下の場合

6,900

3,450

D

生計中心者の前年の所得税課税年額が5,001円以上15,000円以下の場合

8,500

4,250

E

生計中心者の前年の所得税課税年額が15,001円以上40,000円以下の場合

11,000

5,500

F

生計中心者の前年の所得税課税年額が40,001円以上70,000円以下の場合

18,700

9,350

G

生計中心者の前年の所得税課税年額が70,001円以上の場合

23,100

11,550

備考:

1.「市町村民税が非課税の場合」とは、当該年度(7月1日から翌年の6月30日をいう。)において市町村民税が課税されていない(地方税法第323条により免除されている場合を含む。)場合をいう。

2.この表の「所得税課税年額」とは、平成23年12月21日健発1221第8号厚生労働省健康局長通知「控除廃止の影響を受ける制度等(厚生労働省健康局所管の制度に限る。)に係る取扱いについて」によって計算された所得税の額をいう。

3.10円未満の端数が生じた場合は、切り捨てるものとする。

4.災害等により、前年度と当該年度との所得に著しい変動があった場合には、その状況等を勘案して実情に即した弾力性のある取扱いをして差し支えない。

5.同一生計内に2人以上の対象患者がいる場合の2人目以降の者については、上記の表に定める額の1/10に該当する額をもって自己負担限度額とする。