○難病患者等ホームヘルプサービス事業の運営について
(平成18年3月28日)
(健疾発第0328001号)
標記については、平成10年4月9日健医発第635号厚生省保健医療局長通知「難病特別対策推進事業について」の別紙「難病特別対策推進事業実施要綱」の別添1「難病患者等ホームヘルプサービス事業運営要綱」(以下「運営要綱」という。)により示されているところであるが、この実施に当たっては次の事項に留意し、本事業が円滑に運営されるよう御配意願いたい。
1 対象者の決定について
(1) 対象者の決定に当たっては、当該難病患者等の身体その他の状況及びその置かれている環境を十分調査して決定するものとするが、あらかじめ「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準」(平成3年11月18日老健第102―2号各都道府県知事及び指定都市市長あて厚生省大臣官房老人保健福祉部長通知)を参考に、各市町村の実情に応じて対象者の範囲を定めておくことが望ましいこと。
(2) 運営要綱5の(1)による診断書の提出については、当該対象者が現に難病患者等短期入所事業等の難病患者等居宅生活支援事業によるサービスの提供を受けており、事業主体において症状等の確認が可能である場合にはその提出を要しないこととして差し支えないこと。
(3) 市町村長は、ホームヘルパーを派遣するか否かの決定をしたときは、速やかに「ホームヘルパー派遣決定(変更)通知書」又は「ホームヘルパー派遣申請却下通知書」を申請者に送付すること。
2 事業の実施手続及び留意事項について
(1) 派遣の決定
ア ホームヘルパーの派遣単位は、1時間単位を原則とすること。
イ 派遣決定通知の内容には、次の事項を必ず明記すること。
(ア) 派遣開始期日
(イ) 1週間当たりの派遣回数
(ウ) 1回当たりの派遣時間数
(エ) サービスの内容
(オ) 費用の負担区分
(2) ホームヘルパーの業務等
ア ホームヘルパーが本来の職務に専念できるよう派遣体制を整えること。また、一般事務等を行わせることのないよう配慮すること。
イ ホームヘルパーを派遣するに当たっては、利用者に対して本制度の趣旨及びサービスの範囲について周知徹底を図るよう配慮すること。
ウ ホームヘルパーは定められた時間数で、当該難病患者等に対して便宜の供与を行うこととし、利用者から時間数の延長等の申請等があった場合には、速やかに管理者(上司)の指示を受けるものとする。
エ ホームヘルパーに直接費用徴収事務を行わせてはならないこと。
(3) 非常勤ホームヘルパーの取扱い
臨時的な介護需要にも対応できるよう日給のほか、時間給のホームヘルパーの設置も行えるところであるが、これら非常勤のホームヘルパーの取扱いについては、次によること。
ア 採用又は登録時に本人の勤務条件、勤務日数又は勤務時間数を明確にしておくこと。
イ 台帳等を備え、臨時的な介護需要に十分対処できる体制をとること。
ウ 時間給のホームヘルパーに対する給与支払の対象時間数は、訪問先での業務時間数とする。ただし、管理者が指示又は業務報告のため市庁舎等への立ち寄りを命じた場合は、それに要した時間数を含めること。
エ 実施主体は、業務上の災害防止に努めるとともに、災害が生じた場合に備えて労災保険等への加入について配慮すること。
3 介護福祉士に対する難病患者等ホームヘルプサービス事業の委託について
運営要綱の2の(1)の「別に定める要件」については、別紙「介護福祉士に対する難病患者等ホームヘルプサービス事業委託基準」のとおり定めたので、これに留意のうえ適正に委託を行われたいこと。
4 事業対象者について
運営要綱の3の③にいう「介護保険法、老人福祉法等の施策」とは、介護保険法(平成9年12月17日法律第123号)第8条第2項及び第8条の2第2項並びに老人福祉法(昭和38年7月11日法律第133号)第10条の4第1項第1号に基づくホームヘルプサービス事業のほか、障害者自立支援法(平成17年11月7日法律第123号)第5条第2項並びに母子及び寡婦福祉法(昭和39年7月1日法律第129号)第17条及び第33条に基づくホームヘルプサービス事業を含むものであること。
5 費用負担の決定について
(1) 運営要綱5の(1)にいう「生計中心者」とは、当該難病患者等の属する世帯を事実上主宰し、生計維持の中軸となる者をいうこと。
(2) 利用者の費用負担額は、原則としてあらかじめ決定した時間数に基づき月単位で決定すること。
なお、利用者の申出により臨時にその時間数に変動があった場合は、その時間数とする。
(3) 運営要綱の5の(4)にいう「定期的に」とは、概ね3か月程度が適当と思われること。
なお、市町村長はホームヘルパーの派遣を廃止又は停止する決定をしたときは、速やかに「難病患者等ホームヘルパー派遣廃止(停止)通知書」を事業対象者に送付すること。
6 利用者負担金収納事務について
収納した金額は、業務の委託の有無に関わらず市町村の歳入として計上すること。
7 対象者の実態把握について
対象者の実態把握は、事業の実施及び推進のため極めて重要であるので、保健所等と協力しながらその実態の把握に努めること。
8 ホームヘルパーの派遣体制の整備について
派遣の申請状況及び派遣対象者の実態把握により潜在的派遣需要量等を勘案して、ホームヘルパーの派遣体制の整備を行うこと。
なお、整備計画の策定に当たっては、次の事項に留意すること。
(1) ホームヘルパーの活動実態(訪問家庭の分布、訪問・移動時間、休憩時間等)を十分考慮すること。
(2) ホームヘルパーの訪問先及びサービス時間数等を明記した訪問日程表を作成すること。
(3) 臨時的な介護需要にも十分対応できるよう配慮すること。
9 関係機関との連携について
市町村長は、都道府県が行う難病患者等に関する諸事業との連携を図るため、本事業によるホームヘルパーの派遣状況等について、定期的に当該市町村を管轄する保健所への情報の提供を行うよう努めること。
10 本制度の広報について
難病患者等ホームヘルプサービス事業が、適切に利用され円滑に運営されるためには広報活動が極めて重要である。本制度の目的及び利用方法等について「市政だより」等の広報誌を利用することはもとより、地域住民が理解しやすいように工夫された、ちらし、パンフレット等による広報活動を積極的に行うこと。
11 関係諸様式について
本事業に係る「ホームヘルパー派遣申請書」等の諸様式は、別紙様式例を参考として、それぞれ実施主体において創意工夫を加えて作成すること。
[様式例1]
[様式例2]
[様式例3]
[様式例4]
[様式例5]
[様式例6]
[様式例7]
[様式例8]
[別紙]
介護福祉士に対する難病患者等ホームヘルプサービス事業委託基準
1 要件
市(区)町村長が、次の事項のいずれにも該当する者であって、委託先として適当と認定した者とする。
(1) 介護福祉士資格を有する者であること。
(2) 介護業務に十分な経験(10年以上)を有する者であること。
なお、介護業務については、介護福祉士受験資格要件にいう介護業務に準ずることとする。
2 手続き
(1) 難病患者等ホームヘルプサービス事業の委託を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した「委託申請書」を、委託を行おうとする市(区)町村に提出すること。
ア 住所、氏名、年齢、性別、経歴、職業
イ 介護福祉士資格取得年月日
ウ 介護業務に従事した経歴
(2) 市(区)町村長は、要件等を審査の上、事業の委託を行う場合には、次の内容を記載した事業委託契約書を締結すること。
ア 受託業務の内容(派遣世帯の決定、サービス内容及び費用負担の決定は実施主体である市(区)町村が行う。)
イ 業務の受託期間
ウ 委託料の額
エ 業務に関する訪問日程表、活動記録簿等の書類の整理
オ 業務に関する報告書の提出
カ 契約解除等に関する事項
キ その他適正な業務履行の確保に関する事項
3 市(区)町村に関する事項
委託を行おうとする市(区)町村は、次の体制を整えておくこと。
(1) 市(区)町村のケースワーカー、保健師等が委託ヘルパーに対し、派遣計画等について調整、指導が行える体制を確保すること。
(2) 定期的に事業の実施状況につき報告を行わせ、事業の実施に必要な指導等を行うこと。
(3) 定期的に現任研修を受講させること。
(4) 委託先に対し、次のことを義務づけること。
ア 事業受託者は、事業実施上知り得た秘密を、正当な理由なく漏らしてはならないこと。
イ 事業受託者は、その責めに帰すべき理由により、事業の実施に関し、第三者に損害を与えたときの賠償等に対応するため、損害賠償保険等に加入しておくこと。
ウ 事業受託者は、心身の健康に留意し、疾病の早期発見及び健康状態の把握のために、定期的に健康診断を受けること。
4 その他
難病患者等ホームヘルプサービス事業の委託を受けたホームヘルパーが、相互の連携を図り、安定した事業の実施を行うため共同して事業を行うことは差し支えないこと。