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○特定疾患治療研究事業の実務上の取扱い

(平成13年3月29日)

(健疾発第22号)

1 特定疾患治療研究事業対象患者が負担すべき医療費の患者一部負担額について

(1) 入院の患者一部負担

① 実施要綱第5の2の(3)のアにより特定疾患治療研究事業対象患者(以下「対象患者」という)が医療機関に支払う入院の患者一部負担(以下「入院の一部負担」という。)の額は、1ヵ月の医療費の患者負担分及び食事療養標準負担額(健康保険法に規定する特定長期入院被保険者については、生活療養標準負担額のうち、食費に係る費用の額)の合計額又は1ヵ月の指定介護療養施設サービスの利用者負担分が実施要綱別表2に定める額に満たない場合は、その全額を負担すべきものであること。

② 同一の月に同一の医療機関に再入院した対象患者の入院の一部負担額は、再入院分を含めて実施要綱別表2に定める額を超えないものであること。

③ 次の場合は、同一の施設として取り扱い、患者一部負担額を算定するものとすること。

a 指定介護療養型医療施設に入院し指定介護療養施設サービスを受けている対象患者が、同一の月に急性増悪等の理由から当該指定介護療養型医療施設に付設する指定介護療養型医療施設以外の病棟(以下「医療病棟」という。)において、医療保険の医療を受けた場合

b 緊急やむを得ない理由により、指定介護療養型医療施設において医療保険の医療を受けた場合

c 医療病棟において医療保険の医療を受けている対象患者が、同一の月に医療病棟に付設している指定介護療養型医療施設に移り指定介護療養施設サービスを受けた場合

なお、これらの場合の一部負担額の算定方法は、それぞれの施設において本来患者が負担すべきである医療保険の自己負担額及び介護保険の利用者負担額の按分によって行うものとすること。

(2) 外来等の患者一部負担

① 実施要綱第5の2の(3)のイにより対象患者が医療機関に支払うべき入院以外の患者一部負担(以下「外来等の一部負担」という。)の額が、実施要綱別表2に定める額に満たない場合は、その全額を負担すべきものであること。

② 同一の医療機関における医科と歯科の診療については、それぞれ別の医療機関における診療とみなされること。

③ 同一の月における同一の医療機関における診療であっても、入院と外来による診療が別の期間に行われた場合は、入院、外来別に入院の一部負担及び外来等の一部負担が生じること。

④ 老人保健法適用の対象患者については、老人保健法上の患者負担額の範囲内で、同一の保険医療機関ごとに、実施要綱別表2に定める額を限度とする外来等の一部負担が生じること。

⑤ 同一の月に同一の医療機関において、対象患者が医療保険の医療と介護保険法の規定による訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション又は介護予防居宅療養管理指導を受けた場合には、同一の施設として取り扱い、患者一部負担額を算定するものであること。

なお、これらの場合の一部負担額の算定方法は、それぞれの施設において本来患者が負担すべきである医療保険の自己負担額及び介護保険の利用者負担額の按分によって行うものとすること。

2 医療給付の申請について

医療給付の申請は(1)又は(2)により行うものとする。、

なお、都道府県知事は、患者の病態に配慮し、郵送等による申請受付など窓口での対面による申請受付以外の申請受付体制の整備を推進し、申請手続きにおける患者の負担軽減及び迅速化に努めるものとする。

(1) 医療給付の申請

実施要綱第5の1に定める医療の給付を受けようとする者は、別紙様式例1による特定疾患医療受給者証交付申請書(以下「交付申請書」という。)に別に定める臨床調査個人票(以下「個人票」という。)、住民票及び生計中心者並びにその者の所得に関する状況を確認することができる書類の写しを添えて、当該患者が居住する都道府県知事に申請するものとする。

ただし、(2)に基づく重症申請を併せて行う場合には、その一部を省略することができるものとする。

なお、ここでいう生計中心者とは、患者の生計を主として維持する者とする。

また、申請時には、必要に応じ、医師の意見書(別紙様式例2)の提出を認めるものとする。

(2) 重症患者の申請

① 実施要綱第5の2の(4)により、入院の一部負担及び外来等の一部負担を生じない重症患者(以下「重症患者」という。)の認定を受けようとする者は、別紙様式例3による重症患者認定申請書に医師の診断書(別紙様式例4)を添えて都道府県知事に申請するものとする。ただし、スモンについてはスモン恒久対策の観点から、プリオン病、難治性の肝炎のうち劇症肝炎及び重症急性膵炎についてはその病態に鑑み、対象患者から申請されなくとも重症患者として取扱いを行うこと。

② 都道府県知事は、重症患者認定申請者に対して、障害厚生年金等(厚生年金保険法に基づく、障害厚生年金、国民年金法に基づく障害基礎年金、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法及び農林漁業団体職員共済組合法に基づく障害共済年金をいう。以下同じ。)の証書の写し又は身体障害者手帳の写しなど、重症患者の認定審査に必要と思われる資料の提出を求めることができる。

③ 都道府県知事が行う重症患者認定の効力は、当該患者の医療受給者証の有効期間内に限るものとする。したがって、引き続いて重症患者の認定を受けようとする者は、医療受給者証の更新にあわせ重症患者認定を行わなければならない。

3 対象患者の認定について

実施要綱第6に定める対象患者の認定は、(1)又は(2)により行うものとする。

(1) 対象患者の認定

都道府県知事は、対象患者を認定する際には、都道府県特定疾患対策協議会(以下「協議会」という。)に意見を求め、別に定める対象疾患毎の認定基準(以下「認定基準」という。)により適正に認定するものとする。

(2) 重症患者の認定

都道府県知事は、重症患者の認定をする際には、別添1「重症患者認定基準表」における対象部位別の症状が審査時点において存在し、かつ、長期間(概ね6ヵ月以上)継続するものと認められるか否かを基準とするものとする。審査に際しては、申請時に提出された資料を基に、協議会に意見を求め、また、必要に応じ患者面接等を行い、患者の病状を総合的に勘案のうえ判定するものとする。

4 医療受給者証及び特定疾患登録者証の交付等について

(1) 医療受給者証

都道府県知事は、対象患者(軽快者を除く)を認定したときは、速やかに、当該患者に対し一部自己負担の有無に応じて別紙様式例5による特定疾患医療受給者証(以下「医療受給者証」という。)を交付するものとする。

(2) 重症患者及び低所得患者用の医療受給者証

都道府県知事は、重症患者に認定された対象患者及び実施要綱別表2中、階層区分A欄に区分される患者(以下、「低所得患者」という。)に対して交付する医療受給者証に、医療費の患者一部負担が生じない旨を記載するとともに、医療機関等において他の対象患者と容易に区別できるよう、用紙、文字に異なる色を用いる等の措置を講じるものとする(用紙に異なる色を用いる場合は、重症患者及び低所得患者用の用紙を桃色系にされたい。)

(3) 特定疾患登録者証

都道府県知事は、審査の結果、軽快者と認定したときは、速やかに当該患者に対して別紙様式例6による特定疾患登録者証(以下「登録者証」という。)を交付するものとする。

(4) 軽快者の病状が悪化した場合の取扱い

軽快者が、再び症状が悪化した場合には、医師が症状の悪化を確認した日から概ね1ヵ月以内に都道府県知事に対し医療給付の申請(重症患者の申請を含む。)を行うものとし、その手続きについては、2(1)又は2(2)を準用するものとする。

なお、当該申請については、特定疾患登録者証の提示により、提出書類の一部を省略することができるものとする。

(5) 交付申請書等の取扱い

都道府県知事は、交付申請書及び重症患者認定申請書を受理したときは受理した日から3ヵ月以内に当該申請に対し、その可否を決定し、否とした場合には具体的な理由を付してその結果を申請者に通知するものとする。

(6) 個人票

① 都道府県知事は、交付申請の際に添付される個人票を、研究班が当該治療研究のための基礎資料として利用することについて同意を得るため、都道府県が定める文書(別紙様式例1)により、対象患者に当事業の目的等を説明するものとする。

また、交付申請する際に臨床調査個人票の研究利用についての同意が必要であり、同意がない場合については、本事業の対象とならない旨の説明も行うものとする。

なお、スモンの取り扱いに当たっては、患者の療養状況等の把握に努めながら研究を推進しているところから、更新手続きにおける臨床調査個人票の提出は不要としているところであるので、遺漏なきようお取り計らい願いたい。

② 前①において同意を得られた個人票は、「難病患者認定適正化事業」(平成10年4月9日健医発第635号保健医療局長通知)により、研究班において別添2「特定疾患治療研究事業における臨床調査個人票の研究目的利用に関する要綱」を遵守して利用されるものとする。

(7) 医療受給者証及び特定疾患登録者証の有効期間

① 新規に医療受給者証を交付する際の有効期間は、交付申請書の受理日(以下「受理日」という。)から最初に到来する9月30日までとする。ただし、受理日が10月1日から見て比較的短期間(概ね3ヵ月以内)の場合には、その有効期間を受理日から2度目に到来する9月30日までとして差し支えない。

② 新規に交付申請書を受理した後、特別な事情により医療受給者証を交付するまでに相当の日時を要したときは、当該事情の継続した期間を遡って受理日とみなして差し支えない。

③ 更新の医療受給者証を交付する際の有効期間は、10月1日から翌年9月30日までとする。

④ 特定疾患登録者証を所持する患者が、4(4)により医療受給者証の交付を受けた場合の有効期間は、症状の悪化を医師が確認した日(以下「確認日」という。)から最初に到来する9月30日までとする。

ただし、確認日が10月1日から見て比較的短期間(概ね3ヵ月以内)の場合には、その有効期間を確認日から2度目に到来する9月30日までとして差し支えない。

⑤ 前③における医療受給者証の交付に際しては、期間満了前に医療受給者証の交付準備等を進めておくなどして、対象患者の医療受給者証の有効期間に空白が生じることがないよう留意すること。

⑥ 既に医療受給者証を所持している者が重症患者に認定された場合、当該認定の効力は、申請書の受理日の属する月の翌月の1日から発生するものとする。ただし、受理日の取扱いについては、申請書を受理した後、特別な事情により重症患者用の医療受給者証を交付するまでに相当の日時を要したときは、当該事情の継続した期間を遡って受理日とみなして差し支えない。

⑦ 難治性の肝炎のうちの劇症肝炎及び重症急性膵炎の医療受給者証の有効期間は、その病態に鑑み原則として6ヵ月とする。ただし、新規認定から6ヵ月後においても当該疾患が認定基準に照らして継続している状態にあると認められる者については、この限りではない。

⑧ 前⑦における6ヵ月の期間が医療受給者証の有効期間をまたがるときは、10月1日以降の残期間については、当初の申請をもって、改めて10月1日を始期とする医療受給者証を交付して差し支えない。

⑨ 特定疾患登録者証の有効期間は、特段設定しないものとする。

5 都道府県外へ転出した場合の取扱いについて

医療受給者証又は登録者証を所持する患者が、都道府県外へ転出し、転出先においても引き続き当該証の交付を受けようとする場合には、転出日の属する月の翌月末日までに転出前に交付されていた医療受給者証又は登録者証の写し等を添えて転出先の都道府県知事に届出るものとする。

なお、この場合における医療受給者証の有効期間は、転入日から転出前に交付されていた医療受給者証の有効期間の終期までとする。

6 特定疾患治療研究事業の対象疾患及び認定基準並びに対象医療の範囲の周知等について

都道府県知事は、本事業の適正な運用を確保するため、適正化事業を推進するとともに契約医療機関等に対して本事業の対象疾患及び認定基準並びに対象医療の範囲の周知に努めなければならない。

また、都道府県知事は、契約医療機関等に対して定期的な指導助言を行うよう努めるとともに、適正な治療研究が実施されていない契約医療機関等に対して、治療研究の実施を中止させるなど、本事業における適正化の推進に必要な措置を講じるものとする。

7 連名簿等を活用した事業評価への取組みについて

都道府県知事は、連名簿等を活用し、特定疾患治療研究事業の実施状況について、定期的に調査・分析を行い、別に定めるところにより厚生労働省に対してその統計資料等を提出するよう努めるものとする。

(様式略)