添付一覧
○難病特別対策推進事業の実務上の取扱いについて
(平成10年4月9日)
(健医疾発第28号)
(各都道府県、政令市、特別区衛生主管部(局)長あて厚生省保健医療局エイズ疾病対策課長通知)
1 難病相談・支援センター事業
(1) 職員の配置
実施要綱第2の4(1)の難病相談・支援員の配置に当たっては、次の者を充てること。
厚生労働省が(財)難病医学研究財団に委託して実施する特定疾患医療従事者研修を修了した保健師等又はこれに相当すると実施主体の長が認める者
(2) 管理規程等の整備
実施要綱第2の6の管理規程等を整備する際には、必ず以下に掲げる事項に関する規定を含むものとすること。
ア 管理責任者は、設備・会計に関する帳簿及び利用者に関する記録を整備しておかなければならないこと。
イ 管理責任者は、この事業に係る経理とその他の経理を明確に区分しておかなければならないこと。
ウ 管理責任者は、その他この事業を実施する上で必要な規程等を定めるものとすること。
(3) 事業実施にあたっての留意事項
ア 実施主体は、本事業の目的を達成するため、適切な事業の実施若しくは委託を行うとともに、利用者の利便性の向上を図るため、必要に応じ、送迎車両を確保するなど、その体制整備に努めるものとすること。
イ 実施主体は、患者・家族等の意向を踏まえた年間及び月間の事業計画を定め、実施要綱に定めた事業を計画的に実施するものとすること。
ウ 実施主体は、コンピュータ、電話、ファックス、会議、面談、情報閲覧(日常生活用具等の展示を含む)等の手段を用いて、患者・家族等が保健・医療・福祉に関する各種情報の交換を円滑に行うことができるよう、支援体制を整備するものとすること。
エ 実施主体は、支援等を行った患者・家族等に対する基礎的事項、支援・サービス計画の内容、実施状況及びその留意事項等を記録しておくこと。
オ 実施主体は、前記の記録を有効に活用しつつ、保健所、医療機関及び公共職業安定所等各種関係機関と連携を図ることにより、患者・家族等が継続的な支援を受けられるよう努めるものとする。
カ 本事業の趣旨を踏まえ、毎日(平日)実施することを原則とするとともに、職員の勤務時間を調整すること等により、必要に応じて夜間・休日の利用度が高いと考えられる時間帯にも対応できる運営体制を執るものとすること。
キ 実施主体は、患者・家族等が当該事業に基づく支援等を公平に受けることができるよう留意し、事業の実施状況に注意を払うものとすること。
ク 自主的活動へのサポート
仲間づくり等の観点から、自主的な活動についても支援・援助するものとすること。
ケ ボランティアの育成
本事業を一層推進するため、地域におけるボランティアの育成に努めるものとすること。
コ 本センター内に、実施要綱第2の3(1)の難病医療連絡協議会(重症難病患者入院施設確保事業)を設置するなど、他の事業との一体的実施・有機的連携を妨げるものではないこと。
1―2 難病患者就労支援モデル事業
(1) 難病患者就労支援協議会について
実施要綱第2―2(1)の難病患者就労支援協議会は、モデル事業対象者だけでなく、既に就労している難病患者からも情報収集を行うなど、難病患者の勤労状況等について幅広く調査・分析を行い、難病患者の就労環境の構築に努めるものとすること。
(2) 就労支援員について
実施要綱第2―2(2)の就労支援員は、難病患者からの就労に関する相談に対応するほか、求人情報などの情報収集や労働関係部局との連携を図るなどにより、難病患者の就労支援に努めるものとすること。
(3) モデル事業対象者について
実施要綱第2―2の3(2)アのモデル事業対象者については、難病患者の病状、就労能力等を勘案し、選定を行うものとすること。
(4) 報告書の様式について
実施要綱第2―2の3(3)の報告については、別紙1に基づき、それぞれ実施主体において創意工夫を加えて作成すること。
実施要綱第2―2の3(4)の報告については、別紙2の項目について、それぞれ実施主体において創意工夫を加えて作成すること。
(5) 報告書の提出について
(4)に基づき作成した報告書については、実施要綱第2―2の3(3)の報告及び実施要綱第2―2の3(4)の報告のいずれも国へ提出すること。
2 難病医療連絡協議会の運営
(1) 難病医療連絡協議会は、都道府県ごとに設置するものとし、都道府県が自ら又は拠点病院等に委託して運営するものであること。
(2) 難病医療連絡協議会に配置する難病医療専門員は、保健師、看護師、社会福祉士、介護福祉士等の資格を有するものの中から、地域の実情を勘案して適切と思われる有資格者を、選任するものとすること。
3 拠点病院の選定及び運営
(1) 実施要綱第3の3(3)の拠点病院については、医療法第31条に規定する公的医療機関であると民間医療機関であるとを問わず、難病医療において果たし得る役割に着目して選定されるべきものであること。
(2) 拠点病院は、原則として都道府県ごとに1か所を整備することとする。ただし、所管区域や対象難病患者数から見て複数の拠点病院を置くことが必要と認められる場合、若しくは複数の病院が拠点病院としての機能を分担することが適切と認められる場合はこの限りでないこと。
(3) 拠点病院は、難病医療連絡協議会や協力病院等との連絡や、難病患者を受け入れている福祉施設等からの相談に当たるための窓口を設置するものとすること。
(4) 関係機関との連絡等に従事する相談連絡員の選任については、拠点病院の常勤職員の兼務又は非常勤職員の採用等、当該病院の実情に応じて対処して差し支えないこと。
4 協力病院の選定及び運営
(1) 実施要綱第3の3(4)の協力病院は、概ね二次医療圏ごとに難病に係る幅広い診療機能を網羅した医療供給体制の確保が図られるよう整備されることが望ましいこと。ただし、単独の二次医療圏ではその整備が困難である場合、若しくは地域医療の現状から複数の二次医療圏を単位とすることがより効率的である場合は、病院間の連携強化に十分留意のうえ地域の実情に応じて取り扱って差し支えないこと。
(2) 協力病院は、必ずしも難病患者用の空床を確保しておく必要はないが、拠点病院や患者等からの入院受け入れ要請等に対処するため、連絡窓口を定めておくものとすること。
5 在宅療養支援計画策定・評価事業
(1) 実施要綱第4の3(1)の在宅療養支援計画策定・評価事業の内容は、次のとおりであること。
ア 要支援難病患者を対象に、訪問相談、訪問看護、訪問介護員(ホームヘルパー)の派遣等の各種サービスを患者実態に合わせて効率的に供給するための在宅療養支援計画(以下「支援計画」という。)を策定すること。
イ 医療機関や市町村等の関係機関の協力の下に支援計画の円滑な実施を推進すること。
ウ 支援計画の実施後に、訪問相談等を通じて患者等の要望を把握し、当該支援計画の点検評価を行い、その改善を行うこと。
(2) 保健所は、前(1)の事業を行うため、必要に応じて関係機関の担当者等による「在宅療養支援計画策定・評価委員会」を設置するものとする。
(3) 保健所は、在宅療養支援計画策定・評価委員会に対し、医療相談事業、訪問相談事業、訪問指導(診療)事業等の保健所が行う難病対策事業について、その実施方策等を協議できるものであること。
6 訪問相談事業
(1) 実施要綱第4の3(2)の訪問相談事業における訪問相談員の派遣は、要支援難病患者やその家族を対象に、都道府県等が自ら又は適当な団体に委託して行うものであること。
(2) 都道府県等が自ら行う場合は、保健所は保健師を派遣するほか、看護師、社会福祉士、介護福祉士等の資格を有する者又は難病に関する相談の経験を有する者を訪問相談員に選任して派遣することができるものであること。
(3) 実施要綱第4の3(2)の訪問相談事業における訪問看護師等の育成は、訪問相談員になろうとする者又は現に訪問相談業務に従事している者の資質の向上を図るため、都道府県等が自ら又は適当な団体に委託して行うものであること。
7 医療相談事業
(1) 実施要綱第4の3(3)の医療相談事業は、保健所が自ら又は適当な団体に委託して行うものであること。
(2) 医療相談の実施に当たっては、多様な事例に的確な対応ができるよう患者の病状や質問事項等について事前に詳細を提出してもらうこと等により、その内容を把握しておくことが効果的であること。
(3) 医療相談の対応に当たっては、既に難病患者が受診している医療機関と患者等との間に、あつれきが生じないよう十分配慮する必要があること。
(4) 難病の中でも特に患者数が少ない疾患についても、患者等の質問等に応じられるよう医師ほかの医療技術者の選定や事前の広報に十分配慮し、計画的な実施に努めることが重要であること。
(5) 医療相談における患者等への情報提供に当たっては、(財)難病医学研究財団が開設している「難病情報センター」等における医療機関情報及び医学情報等を十分に活用されたいこと。
8 訪問指導(診療)事業
(1) 実施要綱第4の3(4)の訪問指導(診療)事業は、保健所が自ら又は適当な団体に委託して行うものであること。
(2) 訪問指導(診療)班は、難病患者宅を訪問して次の指導等を行うものであること。
ア 難病患者の病状に応じた診療、看護及び療養上の指導
イ 患者等に対するリハビリテーション及び介護方法の指導
ウ 患者等から医療相談への対応等の必要な援助
(3) 訪問指導(診療)班の派遣の決定に当たっては、訪問相談事業及び医療相談事業等の情報を基に、在宅療養支援計画への位置づけを行い、計画的に実施することが望ましいこと。
(別紙1)
(別紙2)
難病患者就労支援モデル事業報告書記載項目について(都道府県作成用)
1.難病患者就労支援協議会について
(1) 協議会の構成(構成員氏名、所属等)
(2) 協議会開催回数(例:月1~2回開催。1回2時間程度等)
(3) 協議会における検討事項
2.モデル事業対象者について
(1) 募集方法(広報、周知の方法、関係者への働きかけの方法等)
(2) 選定方法(選定の手続き、視点等)
(3) モデル事業対象者数
(4) (3)のうちその後の就労に至った者の数
(5) (3)のうちその後の就労に至った事例の特徴、主な要因等
(対象者の病状、能力、性格、就労までの経緯、関係者の関与、就労先の環境等を分析し主要と思われる点を記載)
(6) (3)のうちその後の就労に至らなかった事例の特徴、主な要因等
3.就労支援協力員について
(1) 募集方法(広報・周知の方法、関係者への働きかけの方法等)
(2) 就労支援協力員数
4.モデル事業対象者に対する就労の支援内容
(対象者への指導・助言の内容、就職先への斡旋の頻度・方法及びその効果等)
5.モデル事業対象者の就労中、就労後の支援内容
(モデル事業対象者、就労支援協力員への助言内容、発生した問題とその解決方法等)
6.雇用関係機関(ハローワーク、事業者団体等)との連携内容について
(関係機関への働きかけの内容・方法、関係機関から受けた支援・助言の内容等)
7.事業に対する評価
(1) モデル事業対象者の本事業に対する評価(モデル事業対象者からの意見、評価の聴取方法及び内容)
(2) 自治体の本事業に対する評価(本事業の効果、問題点、提言など)