添付一覧
○難病特別対策推進事業について
(平成10年4月9日)
(健医発第635号)
(各都道府県知事、政令市長、特別区長あて厚生省保険医療局長通知)
別紙
難病特別対策推進事業実施要綱
第1 目的
難病特別対策推進事業は、難病患者(厚生労働科学研究難治性疾患克服研究事業の対象疾患をいう。以下同じ。)等に対し、総合的な相談・支援や地域における受入病院の確保を図るとともに、在宅療養上の適切な支援を行うことにより、安定した療養生活の確保と難病患者及びその家族(以下「患者等」という。)の生活の質(Quality of Life;QOL)の向上に資することを目的とする。
第2 難病相談・支援センター事業
1 概要
地域で生活する患者等の日常生活における相談・支援、地域交流活動の促進及び就労支援などを行う拠点施設として、難病相談・支援センターを設置し、患者等の療養上、日常生活上での悩みや不安等の解消を図るとともに、患者等のもつ様々なニーズに対応したきめ細やかな相談や支援を通じて、地域における患者等支援対策を一層推進するものとする。
2 実施主体
実施主体は、都道府県とする。
ただし、事業の運営の全部又は一部を適切な事業運営が確保できると認められる団体に委託することができるものとする。
3 実施方法
都道府県は、難病相談・支援センターを設置し、次の事業を行うものとする。
(1) 各種相談支援
電話、面談、日常生活用具の展示等により、療養、日常生活、各種公的手続き等に対する相談・支援及び生活情報(住居、就労、公共サービス等)の提供等を行うこと。
(2) 地域交流会等の(自主)活動に対する支援
レクリエーション、患者等の自主的な活動、地域住民や患者団体との交流等を図るための場の提供支援、医療関係者等を交えた意見交換会やセミナー等の活動支援を行うとともに、地域におけるボランティアの育成に努めること。
(3) 就労支援
難病患者の就労支援に資するため、公共職業安定所等関係機関と連携を図り、必要な相談・援助、情報提供等を行うこと。
(4) 講演・研修会の開催
医療従事者等を講師とした患者等に対する講演会の開催や、保健・医療・福祉サービスの実施機関等の職員に対する各種研修会を行うこと。
(5) その他
特定の疾患の関係者に留まらず、地域の実情に応じた創意工夫に基づく地域支援対策事業を行うこと。
4 職員の配置
(1) この事業を行うに当たり、あらかじめ管理責任者を定めておくとともに、患者等に対する必要な知識・経験等を有している難病相談・支援員を配置するものとする。
(2) 職員は、利用者のプライバシーの尊重に万全を期するものとし、正当な理由なくその業務を通じ知り得た個人の情報を漏らしてはならない。
5 利用者の負担
利用者は、飲食物費、光熱水料など個人にかかる費用を負担するものとする。
6 管理規程等の整備
管理責任者は、あらかじめ利用者の守るべき規則等を明示した管理規程を定めるものとし、利用者に周知徹底を図らなければならない。
7 構造及び設備
(1) この事業の実施に当たっては、バリアフリーに配慮した次に掲げる設備を備えていることを原則とする。
ア 相談室
イ 談話室
ウ 地域交流活動室兼講演・研修室
エ 便所、洗面所
オ 事務室
カ 消火設備、その他非常災害に備えるために必要な設備
キ その他、本事業に必要な設備
(2) 建物は、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号の2に規定する耐火建築物又は同条第9号の3に規定する準耐火建築物とする。
第2―2.難病患者就労支援モデル事業
1 概要
難病患者の中には、就労可能な状況にありながら、難病であるという理由で解雇され、あるいは就労の機会を失う者が少なくないことから、難病患者が就労できる環境を整備し、その円滑な就労活動を支援することにより、難病患者の自立促進を図るものとする。
2 実施主体
実施主体は、都道府県(厚生労働大臣が認めた場合に限る。)とする。
3 実施方法
(1) 難病患者就労支援協議会の設置
都道府県は、難病相談・支援センターに、医療機関、保健所、労働関係機関等の関係者による難病患者就労支援協議会を設置するものとする。
(2) 定義
① この事業において「就労支援員」とは難病患者の就労が円滑に行うことができるよう助言、指導等を行う者をいう
② この事業において「就労支援協力員」とは、難病患者を受け入れる事業者をいう
③ この事業において「モデル事業対象者」とは、本事業の対象となる者をいう
(3) 難病患者就労支援協議会の役割
難病患者就労支援協議会は、円滑な事業の推進に資するため、就労支援員を設置するとともに、次の業務を行うものとする。
ア 本事業の対象となる患者(モデル事業対象者)の選定をおこなうこと。
イ 受け入れ事業者(就労支援協力員)の選定を行うこと。
ウ 就労支援協力員からの報告に基づき難病患者の就労環境について検討を行うこと。
(4) 就労支援協力員は、モデル事業対象者の就労のための支援状況及び勤労状況等について、難病患者就労支援協議会へ報告を行うものとする。
(5) 都道府県は、(4)の報告に基づき、モデル事業対象者の勤労状況等について国へ報告を行うものとする。
第3 重症難病患者入院施設確保事業
1 概要
入院治療が必要となった重症難病患者(病状の悪化等の理由により、居宅での療養が極めて困難な状況となった難病患者をいう。以下、重症難病患者入院施設確保事業において同じ。)に対し、適時に適切な入院施設の確保等が行えるよう、地域の医療機関の連携による難病医療体制の整備を図るものとする。
2 実施主体
実施主体は、都道府県とする。
3 実施方法
都道府県は、市区町村等の関係団体の協力を得ながら、難病医療連絡協議会を設置するとともに、概ね二次医療圏ごとに1か所ずつの難病医療協力病院(以下「協力病院」という。)を整備し、そのうち原則として1か所を難病医療拠点病院(以下「拠点病院」という。)に指定し、重症難病患者のための入院施設の確保を行うものとする。
(1) 難病医療連絡協議会の設置
都道府県は、地域における重症難病患者の受入を円滑に行うための基本となる拠点病院及び協力病院の連携協力関係の構築を図るため、拠点病院、協力病院、保健所、関係市区町村等の関係者によって構成される難病医療連絡協議会を設置するものとする。ただし、既に地域において同様の組織がある場合には、これを活用して差し支えない。
(2) 難病医療連絡協議会の役割
難病医療連絡協議会は、円滑な事業の推進に資するため、保健師等の資格を有する難病医療専門員を原則として1名配置し、次の事業を行うものとする。
ア 難病医療の確保に関する関係機関との連絡調整を行うこと。
イ 患者等からの各種相談(診療、医療費、在宅ケア、心理ケア等)に応じるとともに、必要に応じて保健所への適切な紹介や支援要請を行うこと。
ウ 患者等からの要請に応じて拠点病院及び協力病院へ入院患者の紹介を行うなど、難病医療確保のための連絡調整を行うこと。
エ 拠点病院及び協力病院等の医療従事者向けに難病研修会を開催すること。
(3) 拠点病院の役割
拠点病院は、地域の実情に応じて難病医療連絡協議会の業務を都道府県から受託するほか、協力病院等と協力して地域における難病医療体制の拠点的機能を担う病院として、相談連絡窓口を設置(必要に応じて相談連絡員1名を配置)し、次の事業を行うものとする。
ア 難病医療連絡協議会が行う医療従事者向け難病研修会開催など難病医療確保のための各種事業への協力を行うこと。
イ 協力病院等からの要請に応じて、高度の医療を要する患者の受け入れ(入院を含む。以下同じ。)を行うこと。
ウ 協力病院等の地域の医療機関、難病患者を受け入れている福祉施設等からの要請に応じて、医学的な指導・助言を行うこと。
(4) 協力病院の役割
協力病院は、難病医療連絡協議会及び拠点病院等と協力し、次の事業を行うものとする。
ア 拠点病院等からの要請に応じて、患者の受け入れを行うこと。
イ 地域において難病患者を受け入れている福祉施設等からの要請に応じて、医学的な指導・助言を行うとともに、患者の受け入れを行うこと。
第4 難病患者地域支援対策推進事業
1 概要
患者等の療養上の不安解消を図るとともに、きめ細かな支援が必要な要支援難病患者(難病を主な要因とする身体の機能障害や長期安静の必要から日常生活に著しい支障がある在宅の難病患者で、保健、医療及び福祉の分野にわたる総合的なサービスの提供を要する患者をいう。以下、難病患者地域支援対策推進事業において同じ。)に対する適切な在宅療養支援が行えるよう、保健所を中心として、地域の医療機関、市町村福祉部局等の関係機関との連携の下に難病患者地域支援対策推進事業を行うものとする。
2 実施主体
実施主体は、都道府県、地域保健法第5条に基づいて保健所を設置している市及び特別区(以下「都道府県等」という。)とする。
3 実施方法
都道府県等は、地域の実情に応じて、患者等の身近な各種の施設や制度等の社会資源を有効に活用しながら、保健所を中心として次の事業を行うものとする。
(1) 在宅療養支援計画策定・評価事業
要支援難病患者に対し、個々の患者等の実態に応じて、きめ細かな支援を行うため、対象患者別の在宅療養支援計画を作成し、各種サービスの適切な提供に資するものとする。
また、当該支援計画については、適宜、評価を行い、その改善を図るものとする。
(2) 訪問相談事業
医療相談事業に参加できない要支援難病患者やその家族が抱える日常生活上及び療養上の悩みについて、患者等のプライバシーに配慮しつつ、個別の相談、指導、助言等を行うため、保健師や看護師等を訪問相談員として派遣するとともに、訪問相談員の確保と資質の向上を図るため、訪問看護師等の育成を行うものとする。
(3) 医療相談事業
難病患者等の療養上の不安の解消を図るため、難病に関する専門の医師、看護師、社会福祉士等による医療相談班を編成し、地域の状況を勘案のうえ、患者等の利用のし易さやプライバシーの保護に配慮した会場を設置し、相談事業を実施するものとする。
(4) 訪問指導(診療)事業
要支援難病患者やその家族に対して、在宅療養に必要な医学的指導等を行うため、専門の医師、対象患者の主治医、保健師、看護師、理学療法士等による訪問指導(診療)班を構成し、訪問指導(診療)事業を実施するものとする。
第5 神経難病患者在宅医療支援事業
1 概要
クロイツフェルト・ヤコブ病等神経難病の中には、現在、有効な治療法がなく、また診断に際しても症例が少ないため、当該神経難病患者を担当する一般診療医(以下「担当医」という。)が対応に苦慮することが非常に多いものがあることから、担当医が診療に際して、疑問を抱いた場合等に緊急に厚生労働省が指定する神経難病の専門医(以下「専門医」という。名簿は別途通知。)と連絡を取れる体制を整備するとともに、担当医の要請に応じて、都道府県、国立大学法人及び独立行政法人国立病院機構が専門医を中心とした在宅医療支援チーム(以下「支援チーム」という。)を派遣することができる体制を整備し、もって当該神経難病患者等の療養上の不安を解消し、安定した療養生活の確保を図るものとする。
2 実施主体
実施主体は、都道府県、国立大学法人及び独立行政法人国立病院機構(以下「都道府県等」という。)とする。
3 実施方法
(1) 連絡体制の整備
ア.都道府県は、専門医を中心とした支援チームを設置するとともに、その連絡体制を整備するものとする。
イ.都道府県は、担当医からの支援チームの派遣要請に基づき、専門医を中心とした支援チームの派遣に関する調整を行い、または、国立大学法人及び独立行政法人国立病院機構(以下「国立大学法人等」という。)に対し、支援チームの派遣に関する調整の依頼を行うものとする。
ウ.国立大学法人等は、イにより都道府県から依頼を受けた場合、都道府県が設置する支援チームを活用し、専門医を中心とした支援チームの派遣に関する調整を行うものとする。
(2) 支援チームの派遣
都道府県等は、支援チームの派遣に関する調整を行うとともに、支援チームを派遣するものとする。派遣された支援チームは、担当医の要請に応じ、確定診断の指導を行うほか、担当医や当該神経難病患者とその家族に対し、今後の在宅療養上の指導や助言、情報の提供等を行うものとする。
(3) 患者の確定診断
都道府県は、クロイツフェルト・ヤコブ病の疑いのある患者の主治医から確定診断を求める要請があった際においては、別に定めるブロック担当総括専門医と協議の上、適切な機関において剖検等の確定診断が行えるよう支援し、または、国立大学法人等に対し、剖検等の確定診断に係る支援の依頼を行うものとする。
(4) 支援チームから都道府県等への報告
ア.都道府県が支援チームを派遣した場合、支援チームは、派遣を終了した後、医療支援の結果や、必要に応じて市町村への支援協力の必要性の有無等を都道府県へ報告するものとする。
イ.国立大学法人等が支援チームを派遣した場合、支援チームは、派遣を終了した後、医療支援の結果を国立大学法人等へ報告するものとする。
ウ.国立大学法人等は、イにより支援チームから報告を受けた場合、その内容を都道府県へ報告するとともに、必要に応じて市町村への支援協力の必要性の有無等を都道府県へ報告するものとする。
(5) 支援チーム派遣終了後の支援
都道府県は(4)における報告に基づき、実施要綱第2の難病相談・支援センター事業、同第3の重症難病患者入院施設確保事業、同第4の難病患者地域支援対策推進事業を積極的に実施するとともに、支援チーム派遣終了後の患者の在宅療養支援に努めるものとする
第6 難病患者認定適正化事業
1 概要
特定疾患治療研究事業の対象患者(以下「対象患者」という。)の認定業務の効率化を図るとともに、難病患者動向等を全国規模で把握するため、特定疾患医療受給者証の交付申請時に添付する臨床調査個人票(以下「個人票」という。)の内容を、厚生労働行政総合情報システム(以下「WISH」という。)に導入されている特定疾患調査解析システム(以下「解析システム」という。)に入力することにより、厚生労働科学研究難治性疾患克服研究事業(特定疾患調査研究分野)を推進するとともに、個々の情報を都道府県ごとに一元管理することで、各々の難病患者の実態を明らかにし、それぞれの症状に合わせた難病対策の向上に資することを目的とする。
2 実施主体
実施主体は、都道府県とする。
3 実施方法
都道府県は、個人票の内容を解析システムを利用し、都道府県協議会(以下「協議会」という。)に諮るための基礎資料となる1次判定結果を作成するとともに、個人票を一元的に管理する。
(1) 特定疾患医療受給者証の交付申請時に添付された個人票の内容をWISHを介し解析システムに入力し、1次判定結果を作成する。
(2) 1次判定結果を基に協議会で適性に最終判定を行う。
(3) 協議会における最終判定結果は、各四半期末までに解析システムに入力するものとする。なお、対象患者の同意を得た個人票については、厚生労働科学研究事業難治性疾患克服研究事業(特定疾患調査研究分野)の推進のために活用する。
(4) 都道府県において、解析システムに入力した個々の情報等は、各都道府県毎に一括管理し、対象患者の症状に応じた難病対策の向上に役立てるものとする。
第7 難病患者等居宅生活支援事業
1 概要
平成7年12月18日に総理府障害者対策推進本部が策定した「障害者プラン」において、難病患者等に対するホームヘルプサービス等適切な介護サービスの提供の推進が位置づけられ、さらに、同年12月27日の公衆衛生審議会成人病難病対策部会難病対策専門委員会最終報告において、難病患者の「QOL(生活の質)の向上を目指した福祉施策の推進」が提言されたことを受け、難病患者等の居宅における療養生活を支援するため、難病患者等居宅生活支援事業を実施する。
2 基本的事項
難病患者等ホームヘルプサービス事業、難病患者等短期入所事業及び難病患者等日常生活用具給付事業(以下「難病患者等居宅生活支援事業」という。)の実施に当たっては、次の基本的事項に留意しつつ、その推進を図ること。
(1) 目的
難病患者等居宅生活支援事業は、地域における難病患者等の日常生活を支援することにより、難病患者等の自立と社会参加を促進する観点から実施するものであること。
(2) 広報等による周知徹底
市町村は、地域住民に対し、広報等により難病患者等居宅生活支援事業の趣旨、内容、利用手続き等について周知徹底を図り、その理解と協力を得るよう努めること。
(3) 対象者の把握
市町村は、福祉事務所、保健所、医療機関、訪問看護ステーション及び民生委員等の協力を得て、難病患者等居宅生活支援事業の対象となる難病患者等の把握に努めること。
(4) 適切かつ積極的な事業の実施
市町村は、難病患者等居宅生活支援事業の実施に当たっては、その対象となる難病患者等の状況、介護の状況等当該難病患者等の身体その他の状況及びその置かれている環境に応じて、当該難病患者等本人の意向を尊重しつつ、総合的な観点から(1)の目的を達成するために最も適切な事業及び便宜を選定(複数の事業を組み合わせる場合を含む)するとともに、事業の積極的かつ効率的な実施に努めること。
(5) 関連施策との有機的連携及び総合的な事業の実施
市町村は、難病患者等居宅生活支援事業の実施に当たっては、都道府県等が実施する難病患者地域支援対策推進事業等の難病患者等に対する諸事業その他関連施策との有機的連携の確保を図るとともに、総合的な事業の実施に努めること。
(6) 関係機関との連携及び協力
市町村は、難病患者等居宅生活支援事業の実施に当たっては、福祉事務所、保健所、医療機関、訪問看護ステーション及び民生委員等との連携及び協力の確保に努めること。
3 難病患者等ホームヘルプサービス事業
難病患者等ホームヘルプサービス事業の運営については、別添1「難病患者等ホームヘルプサービス事業運営要綱」によるものとする。
4 難病患者等短期入所事業
難病患者等短期入所事業の運営については、別添2「難病患者等短期入所事業運営要綱」によるものとする。
5 難病患者等日常生活用具給付事業
難病患者等日常生活用具給付事業の運営については、別添3「難病患者等日常生活用具給付事業運営要綱」によるものとする。
第8 難病患者等ホームヘルパー養成研修事業
1 概要
難病患者等の多様化するニーズに対応した適切なホームヘルプサービスの提供に必要な知識、技能を有するホームヘルパーの養成を図るため、難病患者等ホームヘルパー養成研修事業を実施する。
2 実施主体
実施主体は、都道府県又は指定都市とする。
ただし、事業の一部又は全部を適当と認められる講習機関等に委託することができるものとする。
3 対象者
① 「介護保険法施行規則」(平成11年厚生省令第36号)に定める介護職員基礎研修課程、1級課程、2級課程、3級課程のいずれかの研修の修了者又は履修中の者
② 「障害者(児)ホームヘルパー養成研修事業の実施について」(平成13年障発第263号社会・援護局長通知)に定める1級課程、2級課程、3級課程のいずれかの研修の修了者又は履修中の者
③ 介護福祉士
上記の①から③のいずれかに該当する者で、原則として難病患者等ホームヘルプサービス事業に従事することを希望する者、従事することが確定している者又は既に従事している者とする。
4 実施方法
(1) 本研修は、別添4のカリキュラムにより特別研修を行うものとする。ただし、地域性、受講者の希望等を考慮して、必要な科目を追加することは差し支えない。
(2) 各課程の受講対象者及び研修時間は次のとおりとする。
課程 |
受講対象者 |
時間 |
難病基礎課程Ⅱ |
介護職員基礎研修若しくは1級課程研修の修了者又は履修中の者及び介護福祉士 |
特別研修6 |
難病基礎課程Ⅰ |
2級課程研修の修了者又は履修中の者及び介護福祉士 |
特別研修4 |
難病入門課程 |
3級課程研修の修了者又は履修中の者及び介護福祉士 |
特別研修4 |
(3) 都道府県知事及び指定都市市長は、難病入門課程修了者が難病基礎課程Ⅰの研修を受講する場合、難病基礎課程Ⅰの研修科目及び研修時間のうち別添4に掲げる研修科目及び研修時間を減免することができるものとする。
(4) 修了証書の交付等
ア 都道府県知事及び指定都市市長は、研修修了者に対し、別に定める様式に準じ修了証書及び携帯用修了証明書を交付するものとする。
イ 都道府県知事及び指定都市市長は、研修修了者について、修了証書番号、修了年月日、氏名、生年月日、年齢等必要事項を記載した名簿を作成し、管理するとともに、作成後遅滞なく管下市町村長に送付するものとする。
(5) 研修会参加費用
研修会参加費用のうち、教材等に係る実費相当分については、参加者が負担するものとする。
(6) ホームヘルパー養成研修事業としての指定
ア 都道府県知事及び指定都市市長は、自ら行う研修事業の他に当該都道府県、指定都市の区域内において、社会福祉協議会、農業協同組合、福祉公社、学校法人、医療法人、老人クラブ等が行う類似の研修事業のうち、適正な審査の結果別途定める要件をみたすものを、本通知による特別研修事業として指定することができるものとする。
イ 指定された特別研修事業の実施者は、研修修了者に対し、別途定める様式に準じ修了証書及び携帯用修了証明書を交付するものとする。
ウ 都道府県知事及び指定都市市長は、研修修了者のうち、(4)のイに定める名簿への登載を希望する者については、(4)のイに準じ適性に取り扱うものとする。
(7) その他
ア 都道府県知事及び指定都市市長は、本事業の実施に当たって、福祉人材センター、福祉人材バンク等との十分な連携を図るものとし、又、介護実習・普及センターについても活用を図るものとする。
イ 都道府県知事及び指定都市市長は、現にホームヘルパーとして活動している者のうち、特別研修を受講していない者等が業務の内容に応じた資質の向上を図れるよう適切な配慮を行うものとする。
ウ 研修の実施に当たっては、テキストに加え、副読本の活用や視聴覚教材の活用等を図るものとする。
第9 事業実施上の留意事項
1 都道府県は、難病相談・支援センター事業を実施するに当たっては、地域の実情や患者等の意向等を踏まえ、関係機関と連携を図りつつ、患者等の利便性を十分配慮した事業の実施に努めること。
なお、難病相談・支援センターは、地域の実情に応じて、同一都道府県において複数箇所設置することができるものとする。
2 都道府県及び市町村は、重症難病患者入院施設確保事業、難病患者地域支援対策推進事業、神経難病患者在宅医療支援事業及び難病患者等居宅生活支援事業を実施するに当たっては、患者等の心理状態等に十分配慮し、患者等の意見を踏まえた事業の実施に努めること。
3 都道府県及び市町村は、難病特別対策推進事業を実施するに当たっては、次の事項に留意するものとすること。
(1) 関係行政機関、医師会等の関係団体、関係医療機関等と連携を図り、その協力を得て事業の円滑な実施に努めること。
(2) 事業の実施上知り得た事実、特に個人が特定される情報(個人情報)については、特に慎重に取り扱うとともに、その保護に十分配慮するよう、関係者に対して指導すること。
(3) 地域住民及び医療関係者に対し、広報誌等を通じて事業の周知を図るものとすること。
第10 成果の報告
都道府県等は、別に定めるところにより、厚生労働大臣に対し、各事業の実施成果を報告するものとする。
第11 国の補助
国は、都道府県等がこの実施要綱に基づいて実施する事業のために支出した経費については、厚生労働大臣が別に定める「保健事業費等国庫負担(補助)金交付要綱」に基づき、予算の範囲内で補助するものとする。
[別添1]
難病患者等ホームヘルプサービス事業運営要綱
1 目的
難病患者等が居宅において日常生活を営むことができるよう、難病患者等の家庭等に対して、ホームヘルパーを派遣して入浴等介護、家事等の日常生活を営むのに必要な便宜を供与し、もって難病患者等の福祉の増進を図ることを目的とする。
2 実施主体
実施主体は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)とし、その責任の下にサービスを提供するものとする。
難病患者等ホームヘルプサービス事業においては、市町村は、対象者、ホームヘルパーにより提供されるサービスの内容及び費用負担分の決定を除き当該事業の一部を適切な事業運営が確保できると認められる医療法人、市町村社会福祉協議会、社会福祉法人及び福祉公社等、昭和63年9月16日老福第27号、社更第187号老人保健福祉部長社会局長連名通知による「在宅介護サービスガイドライン」の内容を満たす民間業者等並びに別に定める要件に該当する介護福祉士(以下「委託事業者等」という。)に委託することができる。
3 事業対象者
難病患者等ホームヘルプサービス事業の対象者は、日常生活を営むのに支障があり、介護、家事等便宜を必要とする難病患者等であって、次の全ての要件をみたす者とする。
① 別に定める厚生労働科学研究難治性疾患克服研究事業の対象疾患患者及び関節リウマチ患者
② 在宅で療養が可能な程度に病状が安定していると医師によって判断される者
③ 介護保険法、老人福祉法等の施策の対象とはならない者
4 便宜の内容
難病患者等ホームヘルプサービス事業は、事業主体により対象者の家庭等に派遣されたホームヘルパーが、次に掲げる便宜のうち、必要と認められるものを供与することにより行うものとする。
(1) 入浴、排せつ、食事等の介護
ア 入浴の介護
イ 排せつの介護
ウ 食事の介護
エ 衣類着脱の介護
オ 身体の清拭、洗髪
カ 通院等の介護
(2) 調理、洗濯、掃除等の家事
ア 調理
イ 衣類の洗濯、補修
ウ 住居等の掃除、整理整頓
エ 生活必需品の買い物
オ 関係機関との連絡
(3) 生活等に関する相談、助言
生活、身上、介護に関する相談、助言
(4) 前各号に掲げる便宜に附帯する便宜
(1)から(3)に附帯するその他必要な介護、家事、相談、助言
5 対象者の決定等
(1) ホームヘルパーの派遣により便宜の供与を受けようとする場合は、別に定める「派遣申請書」及び「診断書」を市町村長に提出するものとする。この場合において、申請者は原則として当該難病患者等又はその者が属する世帯の生計中心者とする。
(2) 市町村長は、申請があった場合は、本要綱及び「診断書」を基にその必要性を検討し、できる限り速やかに便宜の供与の要否を決定するものとする。
(3) 市町村長は、当該難病患者等の身体その他の状況及びその置かれている環境等を十分に勘案して、事業対象者に対するホームヘルパー派遣回数、時間数(訪問から辞去までの実質サービス時間数とする。)及び供与される便宜の内容並びに費用負担区分を決定するものとする。
(4) 市町村長は、この事業の対象者について、定期的に便宜の供与の継続の要否等について見直しを行うこと。
6 費用負担の決定
(1) 派遣の申請者は、別表の基準により便宜の供与に要した費用を負担するものとする。
(2) 市町村長は、原則としてあらかじめ決定した時間数に基づき、利用者の費用負担額を月単位で決定するものとする。
7 ホームヘルパーの選考
ホームヘルパーは、次の要件を備えている者のうちから選考するものとする。
(1) 心身ともに健全であること。
(2) 難病患者等の福祉に理解と熱意を有すること。
(3) 難病患者等の介護、家事及び相談助言を適切に実施する能力を有すること。
8 ホームヘルパーの研修
(1) 採用時研修
ホームヘルパーの採用時に当たっては、採用時研修を実施するものとする。
(2) 定期研修
ホームヘルパーに対しては、年一回以上研修を行うものとする。
9 他事業との一体的効率的運営
市町村は、この事業と老人居宅介護等事業、身体障害者居宅介護等事業、児童居宅介護等事業、知的障害者居宅介護等事業、母子家庭等日常生活支援事業及び寡婦日常生活支援事業との一体的効率的運営を図るとともに、他の在宅福祉サービスとの十分な調整を行い、また他の難病患者等に関する諸事業等との連携を図り実施するものとする。
10 その他
(1) ホームヘルパーは、その勤務中常に身分を証明する証票を携行するものとする。
(2) ホームヘルパーは、その業務を行うに当たっては、難病患者等の人格を尊重してこれを行うとともに、当該難病患者等の身上及び家庭に関し知り得た秘密を守らなければならないこととする。
(3) ホームヘルパーは、対象世帯を訪問する都度、原則として本人等の確認を受けるものとする。
(4) 市町村は、この事業の実施について、地域住民に対して広報紙等を通じて周知を図るものとする。
(5) 市町村は、この事業を行うため、ケース記録、便宜供与決定調書、利用者負担金収納簿その他必要な帳簿を整備するものとする。
(6) 市町村は、業務の適正な実施を図るため、委託先が行う業務の内容を定期的に調査し、必要な措置を講じるものとする。
(7) 委託事業者等は、この事業に係る経理と他の事業に係る経理とを明確に区分するものとする。
[別表]
ホームヘルプサービス事業費負担基準
利用者世帯の階層区分 |
利用者負担額(1時間当たり) |
|
A |
生活保護法による被保護世帯(単給世帯を含む) |
円 0 |
B |
生計中心者が前年所得税額非課税世帯 |
0 |
C |
生計中心者の前年所得税課税年額が10,000円以下の世帯 |
250 |
D |
生計中心者の前年所得税課税年額が10,001円以上30,000円以下の世帯 |
400 |
E |
生計中心者の前年所得税課税年額が30,001円以上80,000円以下の世帯 |
650 |
F |
生計中心者の前年所得税課税年額が80,001円以上140,000円以下の世帯 |
850 |
G |
生計中心者の前年所得税課税年額が140,001円以上の世帯 |
950 |
[別添2]
難病患者等短期入所事業運営要綱
1 目的
難病患者等の介護を行う者の疾病その他の理由により、当該難病患者等が居宅において介護を受けることができず一時的な保護を必要とする場合に、当該難病患者等を一時的に施設に保護し、もってこれら居宅の難病患者等及びその家族の福祉の向上を図ることを目的とする。
2 実施主体
事業の実施主体は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)とし、その責任の下にサービスを提供するものとする。ただし、事業の一部を適切な事業運営が確保できると認められる施設に委託することができるものとする。
3 対象者
難病患者等短期入所事業の対象者は、日常生活を営むのに支障があり、介護、家事等便宜を必要とする難病患者等であって、次の全ての要件をみたす者とする。
① 別に定める厚生労働科学研究難治性疾患克服研究事業の対象疾患患者及び関節リウマチ患者
② 在宅で療養が可能な程度に病状が安定していると医師によって判断される者
③ 介護保険法、老人福祉法等の施策の対象とはならない者
4 実施施設等
(1) この事業の実施施設は、医療法(昭和23年7月30日法律第205号)第1条の2第2項で規定している医療提供施設で、難病患者等の身体その他の状況及びその置かれている環境に応じて適切に保護することができるものとしてあらかじめ市町村長が指定したものとする。
(2) この事業は、(1)に掲げる施設の空ベッド等を利用して実施する。
5 保護の要件
難病患者等の介護を行う者が、次に掲げる理由により、その居宅において難病患者等を介護できないため、4の(1)に掲げる施設に一時的に保護する必要があると市町村長が認めた場合とする。
(1) 社会的理由
疾病、出産、冠婚葬祭、事故、災害、失踪、出張、転勤、看護、学校等の公的行事への参加
(2) 私的理由
6 保護の期間
保護の期間は、原則7日以内とする。
7 対象者の決定等
(1) この事業により便宜の供与を受けようとする場合は、別に定める「申請書」及び「診断書」を市町村長に提出するものとする。この場合において、申請者は、原則として当該難病患者等又はその者が属する世帯の生計中心者とする。
(2) 市町村長は、申請があった場合は、本要綱及び「診断書」を基にその必要性を検討し、できる限り速やかに便宜の供与の要否を決定するものとする。
(3) ただし、緊急を要すると市町村長が認める場合にあっては、申請書の提出等は事後でも差し支えないものとする。この場合、手続きはできるだけ速やかに行うものとする。
8 費用負担
(1) 利用者は、保護に要する費用のうち飲食物相当額を負担するものとする。ただし、生活保護世帯に属する者が、5の(1)の理由により利用する場合は、これを減免することができるものとする。
(2) 利用料は、別に定める国庫補助基準単価を基準とし、適正な原価によるものとする。
9 その他
市町村は、他の在宅福祉サービスとの十分な調整を行い、また他の難病患者等に関する諸事業等との連携を図り実施するものとする。
[別添3]
難病患者等日常生活用具給付事業運営要綱
1 目的
難病患者等に対し、特殊寝台等の日常生活用具(以下「用具」という。)を給付することにより、日常生活の便宜を図り、その福祉の増進に資することを目的とする。
2 実施主体
事業の実施主体は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)とする。
3 用具の種目及び給付対象者
給付の対象となる用具は、別表1の「種目」欄に掲げる用具とし、その対象者は、同表の「対象者」欄に掲げる難病患者等で、次の全ての要件をみたす者のうち、市町村長が真に必要と認めた者とする。
① 別に定める厚生労働科学研究難治性疾患克服研究事業の対象疾患患者及び関節リウマチ患者
② 在宅で療養が可能な程度に病状が安定していると医師によって判断される者
③ 介護保険法、老人福祉法等の施策の対象とはならない者
4 用具の給付の実施
(1) 用具の給付は、原則として、難病患者等又はこの者の属する世帯の生計中心者からの申請に基づき実施するものとする。
(2) 市町村長は、用具の給付の申請があった場合は、本要綱及び「診断書」を基にその必要性を検討し、できる限り速やかに便宜の供与の要否を決定するものとする。
(3) 用具の給付を受けた者又はこの者の属する世帯の生計中心者は、別表2の基準により、必要な用具の購入に要する費用の一部又は全部を負担するものとする。なお、この場合、原則として負担する額は日常生活用具の引き渡しの日に直接業者に支払うものとする。
5 費用の請求
用具を納付した業者が事業の実施主体に請求できる額は、用具の給付に必要な用具の購入に要する費用から用具の給付を受けた者又はこの者の属する世帯の生計中心者が直接業者に支払った額を控除した額とする。
6 給付台帳の整備
事業の実施主体は、用具の給付の状況を明確にするための「日常生活用具給付台帳」を整備するものとする。
[別表1]
種目 |
対象者 |
性能 |
便器 |
常時介護を要する者 |
難病患者等が容易に使用し得るもの。(手すりをつけることができる。) |
特殊マット |
寝たきりの状態にある者 |
褥瘡の防止又は失禁等による汚染又は損耗を防止できる機能を有するもの。 |
特殊寝台 |
同上 |
腕、脚等の訓練のできる用具を付帯し、原則として使用者の頭部及び脚部の傾斜角度を個別に調整できる機能を有するもの。 |
特殊尿器 |
自力で排尿できない者 |
尿が自動的に吸引されるもので難病患者等又は介護者が容易に使用し得るもの。 |
体位変換器 |
寝たきりの状態にある者 |
介助者が難病患者等の体位を変換させるのに容易に使用し得るもの。 |
入浴補助用具 |
入浴に介助を要する者 |
入浴時の移動、座位の保持、浴槽への入水等を補助でき、難病患者等又は介助者が容易に使用し得るもの。 |
車いす |
下肢が不自由な者 |
難病患者等の身体機能を十分踏まえたものであって、必要な強度と安定性を有するもの。(歩行機能を電動車いすによらなければ代行できない者については、電動いすも含む。) |
歩行支援用具 |
同上 |
おおむね次のような機能を有する手すり、スロープ、歩行器等であって、難病患者等の身体機能の状態を十分踏まえ、必要な強度と安定性を有し、転倒予防、立ち上がり動作の補助、移乗動作の補助、段差解消等の用具となるもの。 |
電気式たん吸引器 |
呼吸器機能に障害のある者 |
難病患者等又は介護者が容易に使用し得るもの。 |
意思伝達装置 |
言語機能を喪失した者又は言語機能が著しく低下している筋萎縮性側索硬化症等の神経疾患患者であって、コミュニケーション手段として必要があると認められる者 |
まばたき、筋電センサー等の特殊な入力装置を備え、難病患者等が容易に使用し得るもの。 |
ネブライザー |
呼吸器機能に障害のある者 |
難病患者等又は介護者が容易に使用し得るもの。 |
移動用リフト |
下肢又は体幹機能に障害のある者 |
介護者が難病患者等を移動させるにあたって、容易に使用し得るもの。ただし、天井走行型その他住宅改修を伴うものを除く。 |
居宅生活動作補助用具 |
同上 |
難病患者等の移動を円滑にする用具で設置に小規模な住宅改修を伴うもの。 |
特殊便器 |
上肢機能に障害のある者 |
足踏ペダルにて温水温風を出し得るもの。ただし、取替えに当たり住宅改修を伴うものを除く。 |
訓練用ベッド |
下肢又は体幹機能に障害のある者 |
腕又は脚の訓練ができる器具を備えたもの。 |
自動消火器 |
火災発生の感知及び避難が著しく困難な難病患者等のみの世帯及びこれに準ずる世帯 |
室内温度の異常上昇又は炎の接触で自動的に消化液を噴射し、初期火災を消火し得るもの。 |
動脈血中酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター) |
人工呼吸器の装着が必要な者 |
呼吸状態を継続的にモニタリングすることが可能な機能を有し、難病患者等が容易に使用し得るもの。 |