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○建築物における衛生的環境の維持管理について

(平成20年1月25日)

(健発第0125001号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生労働省健康局長通知)

建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令等において、建築物環境衛生管理基準が定められているところであるが、これまでの建築物の維持管理に関する知見の集積等を踏まえ、今般、別添のとおり「建築物環境衛生維持管理要領」を改定したので、御了知の上、建築物維持管理権原者等に対する指導の指針として活用されたい。これに伴い、「建築物の衛生的環境の維持管理について」(昭和58年3月18日環企第28号厚生省環境衛生局長通知)は廃止する。

おって、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的な助言に当たるものである。

今般の改定の概要は下記のとおりである。

1 空気環境の調整について

(1) 中央管理式以外の空気調和設備を含めた加湿装置の維持管理方法について、具体的に示したこと。

(2) 病原体によって居室の内部の空気が汚染されることを防止する観点から、加湿装置や冷却水等に対する具体的な措置を示したこと。

2 飲料水の管理について

給湯設備におけるレジオネラ属菌による汚染を防止するため、貯湯槽内の湯温等の具体的な措置を示したこと。

3 雑用水の管理について

誤飲・誤使用防止のための措置等、雑用水設備の維持管理方法を具体的に示したこと。

4 排水の管理について

排水の管理において、臭気の発生原因となる貯留水の腐敗等を防止するための措置等を具体的に示したこと。

5 清掃等について

建築物内部で発生する廃棄物の分別や衛生管理等についての措置を具体的に示したこと。

6 ねずみ等防除について

(1) ねずみ等の防除を行うに当たっては、総合的有害生物管理の考え方を取り入れた防除体系に基づき実施することとしたこと。

(2) 総合的有害生物管理の実施にあたっての留意点として、生息調査、目標設定、防除法、評価に関する具体的な措置を示したこと。

以上

別添

建築物環境衛生維持管理要領

第1 空気環境の調整

1 空気調和設備等の運転操作

空気調和設備等(空気調和設備又は機械換気設備をいう。)の運転操作については、気象条件、各居室の使用状況、過去における空気環境の測定結果等を勘案し、次の点に留意すること。

(1) 建築物環境衛生管理基準に規定する温度(17℃以上28℃以下)の範囲内で適切な温度を設定し、過冷房、過暖房が生じないよう十分配慮すること。

(2) 建築物環境衛生管理基準に規定する相対湿度(40%以上70%以下)の範囲内で適切な相対湿度を設定するとともに、冬期における低湿度が生じないよう加湿装置を適切に運転管理すること。

(3) 居室内における温度、相対湿度、気流の空間分布を建築物環境衛生管理基準の範囲に保つよう十分配慮すること。

(4) 居室内の空気が建築物環境衛生管理基準に規定する二酸化炭素の含有率(100万分の1000以下)に保たれるよう、換気に十分配慮すること。個別方式の空気調和設備にあっては、換気装置等(全熱交換機を含む。)の停止による外気量不足を生じないよう、利用者へ正しい使用方法を周知すること。

2 空気清浄装置の維持管理

(1) エアフィルターや静電式空気清浄装置(分煙用を含む。)等の空気清浄装置については、ろ材やフィルターチャンバ内部の汚染状況、イオン化部及び集じんユニット部の汚染状況、ろ材の変形、空気漏れ等について定期的に点検を行い、必要に応じ、整備、補修その他の措置を講じること。

(2) 空気清浄装置の維持管理を行っているにもかかわらず、居室における浮遊粉じんの量が令第2条に定める基準に適合しない場合には、ろ材又は集じん部の性能、必要な外気量、喫煙状況等について調査を行い、必要な措置を講じること。

3 加湿装置の維持管理

加湿装置の点検、清掃については、次の要領に従って、実施すること。

(1) スプレーノズルの閉そくの状況を点検し、必要に応じ、清掃、部品の取替えを行うこと。

(2) エリミネータにあっては、さびや損傷の有無を点検し、必要に応じ、洗浄、部品の取替えを行うこと。

(3) 噴霧状態を点検し、適正な水圧、蒸気圧を維持するようポンプ類を調節すること。

(4) 水系路又は蒸気路の蒸発残留物の堆積の状況を点検し、必要に応じ、清掃すること。

(5) 排水受け等については、必要に応じて清掃し、清潔に保つとともに、ドレン水の流出が妨げられないようにすること。

(6) 加湿水の補給水槽がある場合には、定期的に清掃すること。

(7) 気化式加湿器については、加湿材の汚れ及び加湿能力を点検し、必要に応じて洗浄又は交換を行うこと。

(8) 超音波式加湿器については、振動子を清掃し、貯留水を清潔に保つこと。

4 ダクトの維持管理

ダクトについては、定期的に吹出口、吸込口及びそれらの周辺を掃除するほか、次の要領に従って点検すること。

(1) 漏気の原因となるダクトのき裂、ボルトの緩み、パッキン、リベットの状態等を点検し、必要に応じ、部品の取替え、補修等を行うこと。

(2) ダンパーの作動状態を点検し、必要に応じ、整備、補修等を行うこと。

(3) 厨房ダクト・フード、グリス・フィルターは随時これらを点検し、油脂、汚れを十分に除去すること。

(4) ダクトの内部についても可能な限り清掃すること。

5 送風機等の維持管理

送風機、排風機、冷却塔、自動制御装置その他の維持管理を行うに当たっては、次の点に留意して行うこと。

(1) 送風量、排風量の確認は、風量測定口における測定等、当該送風機、排風機に応じた方法で行うこと。

(2) 全熱交換器については、定期的にフィルターやエレメントの汚れを点検し、必要に応じ、清掃、交換その他必要な措置を講じること。

(3) 冷却水には、必要に応じ、殺菌剤等を加えて微生物や藻類の繁殖を抑制すること。また、冷却塔と外気取り入れ口や窓等との位置関係を調べるなど、冷却水の飛散による細菌感染などの健康被害が生じることの無いよう留意すること。

(4) 自動制御装置については、経年変化に対する調整及び設定温(湿)度と室内の温(湿)度との差の点検も行うこと。また、適切な外気導入量を確保するため、定期に風量の点検を行うこと。なお、実測値との差が認められた場合には、センサー等の調整を実施すること。

6 その他

(1) 測定機器については、定期的に点検整備し、浮遊粉じん量の測定に使用される較正機器にあっては1年以内ごとに1回、施行規則第3条の2第1項の規定に基づく厚生労働大臣の登録を受けた者の較正を受けること。

(2) 施行規則第20条の帳簿書類には、空気環境の測定、設備の点検、整備を実施した年月日、場所、実施者名、測定結果(測定器に関する事項を含む。)作業内容等を記載すること。

第2 飲料水の管理

1 貯水槽(貯湯槽を含む)の清掃

(1) 貯水槽の清掃を行うに当たっては次の点に留意すること。

ア 高置水槽又は圧力水槽の清掃は原則として受水槽の清掃と同じ日に行うこと。

イ 作業者は常に健康状態に留意するとともに、おおむね6箇月ごとに、病原体がし尿に排せつされる感染症の罹患の有無(又は病原体の保有の有無)に関して、健康診断を受けること。また、健康状態の不良なものは作業に従事しないこと。

ウ 作業衣及び使用器具は、貯水槽の清掃専用のものとすること。また、作業に当たっては、作業衣及び使用器具の消毒を行い、作業が衛生的に行われるようにすること。

エ 貯水槽内の照明、換気等に注意して事故防止を図ること。

オ 壁面等に付着した物質の除去は、貯水槽の材質に応じ、適切な方法で行うこと。

カ 水張りを行う際、水道引込管内等の停滞水や管内のもらいさび等が貯水槽内に流入しないようにすること。

(2) 貯水槽内の消毒は原則として次の要領に従い行うこと。

ア 消毒薬は有効塩素50~100mg/Lの濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液またはこれと同等以上の消毒能力を有する塩素剤を用いること。

イ 消毒は、貯水槽内の天井の下面、壁面及び床面について、消毒薬を高圧洗浄機等を利用して噴霧により吹き付けるか、ブラシ等を利用して行うこと。

ウ 前記の方法により2回以上消毒を行い、消毒後は30分以上時間をおくこと。

エ 消毒作業が終了した後、洗浄し、洗浄水を排水した後、貯水槽内への水張りを行うこと。

(3) 貯水槽の水張り終了後、「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」(平成15年厚生労働省告示第119号)で示した基準に従い、給水栓及び貯水槽における水について、水質検査及び残留塩素の測定を行うこと。

2 給湯設備の維持管理

(1) 循環式の中央式給湯設備は、湯槽内の湯温が60度以上、末端の給湯栓でも55度以上となるように維持管理すること。

(2) 循環式の中央式給湯設備では、設備全体に湯水が均一に循環するように排水弁、循環ポンプや流量弁を適切に調整すること。

3 貯水槽等飲料水に関する設備の点検及び補修等

貯水槽の水漏れ、外壁の損傷、さび及び腐食の有無、マンホールの密閉状態、水抜管及びオーバーフロー管の排水口空間並びにオーバーフロー管及び通気管等に取り付けられた防虫網の点検は、定期的に、次の点に留意して行うこと。

(1) 貯水槽等飲料水に関する設備の損傷、き裂及び水漏れの有無の点検は、地震等水質に影響を与えるおそれのある事態が発生した場合にも速やかに行うこと。

(2) マンホールについては、防水パッキン及び施錠の状態等を点検し、必要に応じ、取替え等を行うこと。

(3) 水抜管及びオーバーフロー管の排水口空間が管径の2倍以上(ただし、最小は150mm)あることを確認すること。

(4) オーバーフロー管及び通気管等に取り付けられた防虫網については、詰まり及び損傷の有無を点検し、必要に応じ、掃除、補修等を行うこと。

4 飲料水系統配管の維持管理

(1) 飲料水系統配管の維持管理は、次の点に留意して行うこと。

ア 管の損傷、さび及び水漏れについては、目視のほか、残留塩素量及び給水量の推移等を参考として点検し、必要に応じ、管の補修等を行うこと。

イ 他系統配管との連結がないこと、衛生器具の吐水口空間が適正に保たれていること、吐水口空間がとれない場合には、バキュームブレーカが取り付けられており、適正に作動していること等を点検し、飲料水の汚染防止を図ること。

ウ 給水栓において残留塩素が検出されない場合若しくは残留塩素量の変動が著しい場合はクロスコネクション等の疑いがあるので、速やかに原因を解明し、適切な措置を講じること。また、その措置が講じられるまでの間毎日、残留塩素の測定を行うこと。なお、人の健康を害する恐れのある場合は、直ちに給水を停止すること。

(2) 管洗浄については、次の点に留意して行うこと。

ア 作業を行う前に赤水の状況、管の老朽度、建築物の用途等を考慮して作業計画をたてること。

イ 作業に当たっては、著しい騒音及び振動の発生により周囲の生活環境を損わないようにすること。

ウ 作業期間中に仮設配管による給水を行う場合は、飲料水の汚染が起こらぬように注意すること。

エ 管洗浄に用いた水、砂、薬品等については、2回以上通水洗浄を行い、完全に排除すること。

オ 管洗浄終了後、給水を開始しようとするときは、「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」(平成15年厚生労働省告示第119号)に従い、給水栓における水について、水質検査及び残留塩素の測定を行うこと。

5 防錆剤の使用上の留意点

(1) 防錆剤の使用は、赤水等の応急対策とし、平成15年4月15日付健衛発第0415001号厚生労働省健康局生活衛生課長通知で示した品質規格に適合するものを使用すること。給水栓における水に含まれる防錆剤の含有率(以下「防錆剤の濃度」という。)が基準に適合しているかどうか判断するため、定常時においては2月以内ごとに1回防錆剤の濃度を検査すること。また注入初期においては7日以内ごとに1回検査すること。その方法は、社団法人日本水道協会の「上水試験方法」又はこれと同程度以上の精度を有する方法によること。

(2) 防錆剤の注入装置は、濃度を安定して維持できる性能を有するもので、かつ、水質の汚染をきたさない材質のものを使用すること。また、運転状況及び性能を定期的に点検し、必要に応じ、整備、補修等を行うこと。

(3) 飲料水用の防錆剤の使用について十分な知識及び技能を有する防錆剤管理に係る責任者(以下「防錆剤管理責任者」という。)を選任すること。防錆剤管理責任者は、防錆剤の注入及び管理に関する一切の業務を行うものであること。

(4) 防錆剤の使用を開始した日から1月以内に、使用開始年月日、当該特定建築物の名称及び所在場所、使用する防錆剤の種類、防錆剤管理責任者の氏名及び住所を当該特定建築物の所在場所を管轄する保健所長を経由して都道府県知事又は政令市長に届け出ること。また、使用する防錆剤の種類又は防錆剤管理責任者に関する届出事項を変更したときは、その日から1月以内にその旨同様に届け出ること。

(5) 施行規則第20条の帳簿書類には、防錆剤の濃度の検査に関しては、採水の日時及び場所、検査日時、検査結果、検査の実施者及び方法等を、注入装置に関しては、点検、整備、補修等を実施した年月日、実施者名、作業内容等をそれぞれ記載すること。

6 その他

(1) 施行規則第4条第1項及び第2項に規定する飲料水の水質検査及び残留塩素の測定は、次の点に留意して行うこと。なお、中央式給湯設備による給湯水についても同様に水質検査等を行うこと。

ア 水質検査は、「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」(平成15年厚生労働省告示第261号)に定める方法又はこれと同等以上の精度を有する方法により行うこと。

イ 水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号)の表中第6の項、32の項、34の項、35の項及び40の項の上欄に掲げる事項については、水質検査の結果水質基準に適合していた場合には、その次の回の水質検査においては省略しても差し支えないこと。

ウ 水質基準に関する省令の表中10の項、21の項から31の項までの項の上欄に掲げる事項の検査については、6月1日から9月30日までの間の水温の高い期間に行うこと。

エ 残留塩素の測定はDPD法又はこれと同等以上の精度を有する方法により行うこと。

オ 水質検査及び残留塩素の測定は飲料水を供給する給水栓で採取した水について行うこと。

(2) 水量及び水圧は、衛生器具の機能が十分発揮できるように調節管理すること。

(3) 給水栓における水に含まれる残留塩素の含有率が所定の濃度に保持できない場合には、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素剤の点滴注入設備等を用いて消毒を行い、その適正な管理を図ること。

(4) 施行規則第20条の帳簿書類には次の事項を記載すること。

ア 飲料水の水質検査及び残留塩素の測定に関しては、採水の日時及び場所、検査(又は測定)の日時、検査(又は測定)結果、実施者名及び方法等

イ 貯水槽の清掃及び管洗浄に関しては、清掃等を実施した年月日、実施者名、作業内容、点検及び補修状況、使用消毒剤名等

第3 雑用水の管理

1 雑用水槽等雑用水に関する設備の維持管理

(1) 誤飲・誤使用防止のため、使用箇所にステッカーやラベルなどで雑用水であることを表示し、定期的に表示の確認を行うこと。

(2) 設備の変更・増設工事などが行われた場合は、雑用水に着色して通水試験を行い、飲料水の器具に着色水が出ないことを確認する方法等により、誤接合・誤配管がないことを確認すること。

(3) 用途に応じて定められた水質検査及び残留塩素の測定を行うこと。

(4) 雑用水槽の清掃は、次の点に留意すること。

ア 壁面等に付着した物質の除去は、雑用水槽の材質に応じ、適切な方法で行うこと。

イ 洗浄に用いた水は、槽内から完全に除去するとともに、水槽周辺の清掃を行うこと。

ウ 清掃終了後、末端給水栓で残留塩素の検査を行うこと。基準を満たしていない場合は、その原因を調査し、必要な措置を講ずること。

(5) 雑用水槽等雑用水に関する設備の点検を行うに当たっては次の点に留意して行うこと。

ア 水道水の補給は間接給水とし、十分な吐水口空間が確保されていることを確認すること。

イ 水抜管及びオーバーフロー管は、間接排水として、排水口空間の確保又は排水口への開放を確認すること。

ウ 水抜管及びオーバーフロー管並びにオーバーフロー管及び通気管等に取り付けられた防虫網については、定期的に損傷、さび、腐食、詰まり及び漏水の有無を点検し、機能が阻害されていないことを確認すること。

2 雑用水系統配管等の維持管理

管洗浄については、次の点に留意して行うこと。

(1) さび、スケールがある場合は、管内洗浄を行うこと。また、スライムがある場合は、雑用水の残留塩素濃度を高めて洗浄すること。

(2) 管洗浄後、給水を開始するときに、給水栓において所定の残留塩素が確保されていることを確認すること。

3 施行規則第4条の2第1項及び第2項に規定する雑用水の水質検査及び残留塩素の測定は、次の点に留意して行うこと。

(1) 残留塩素の測定はDPD法又はこれと同等以上の精度を有する方法により行うこと。

(2) 水質検査及び残留塩素の測定は雑用水を供給する給水栓で採取した水について行うこと。

4 帳簿書類の記載

施行規則第20条の帳簿書類には次の事項を記載すること。

(1) 雑用水の水質検査及び残留塩素の測定に関しては、採水の日時及び場所、検査(又は測定)の日時、検査(又は測定)結果、実施者名及び方法等

(2) 雑用水槽の清掃及び管洗浄に関しては、掃除等を実施した年月日、実施者名、作業内容、点検及び補修状況等

第4 排水の管理

1 排水に関する設備の清掃

排水に関する設備の清掃については、次の点に留意して行うこと。

(1) 排水の状況は建築物の用途等によって異なるので、排水の質と量及び排水槽の容量等に応じて清掃の頻度を増すこと。

(2) 除去物質の飛散防止、悪臭発散の防止、消毒等に配慮するとともに、作業中の事故防止に留意すること。

(3) 蚊、ハエ等の発生の防止に努め、排水に関する設備の清潔を保持すること。

(4) 排水槽の清掃を行うに当たっては、次の点に留意すること。

ア 清掃に用いる照明器具は防爆型で、作業に十分な照度が確保できるものであること。

イ 排水槽には、爆発性のあるメタンガスや有毒な硫化水素等が充満していることがあるので、火気に注意するとともに、換気を十分行い、安全を確認してから槽内に立ち入ること。また、換気は作業が完全に終了するまで継続して行うこと。

ウ 清掃終了後、水張りを行い、水位の低下の有無を調べ、漏水がないか確認すること。

(5) 阻集器にあっては、油脂分、汚泥等を除去するとともに、清掃後は内部の仕切板等を正しく装着し、機能の維持を図ること。

2 排水に関する設備の点検及び補修等

(1) 排水管及び通気管並びにこれらに取り付けられた防虫網については、定期的に損傷、さび、腐食、詰まり及び漏水の有無を点検し、機能が阻害されていないことを確認すること。寒冷地については、凍結又は積雪によるベントキャップの閉塞等に留意すること。

(2) トラップの維持管理については、封水深が適切に保たれていること及びトラップ内の沈殿物等による臭気の発生、スケールの有無等を点検し、機能が阻害されていないことを確認すること。

(3) 排水ポンプについては、臭気の発生原因となる貯留水の腐敗等を防止するため、適正に運転すること。

3 帳簿書類の記載

施行規則第20条の帳簿書類には、清掃、点検及び整備を実施した年月日、作業内容、実施者名等を記載すること。

第5 清掃等

1 清掃における留意点

(1) 建築物の清掃は当該建築物の用途、使用状況並びに劣化状況、建築資材等を考慮した年間作業計画及び作業手順書を作成し、その計画及び手順書に基づき実施すること。また、実施状況について定期に点検し、必要に応じ、適切な措置を講じること。

(2) 日常行う清掃については、当該建築物内の清潔の保持に努めるとともに、関係法令の規定に従い、清掃によって生じた廃棄物を適切に処理すること。

(3) 清掃に用いる洗剤、床維持剤の使用にあっては、利用者や清掃従事者等の健康及び環境に配慮したもの並びに床仕上材等の建築資材の特性に適合したものを用い、その使用及び管理を適切に行うこと。また、真空掃除機、床みがき機その他の清掃用機械及びほうき、モップその他の清掃用器具の使用に当たっては、清潔なものを用い、汚染度を考慮して区域毎に使い分ける等、その使用及び管理を適切に行うこと。

(4) 日常行う清掃のほか、6月以内ごとに1回、定期に行う清掃(大掃除)においては、天井等日常の清掃の及びにくい箇所及び照明器具、給排気口、ブラインド、カーテン等の汚れの状況を点検し、必要に応じ、除じん、洗浄を行うこと。

(5) 建築物内で発生する廃棄物の分別、収集、運搬及び貯留について、安全で衛生的かつ効率的な方法により、速やかに処理すること。所有者等は、分別ができるような環境を整備し、利用者へ分別を促すこと。また、収集・運搬用具は安全で衛生的に管理すること。

(6) 廃棄物は、ねずみ等の侵入を防止するため、密閉区画された保管場所に整理、整頓し、清潔に保管すること。また、厨芥類については密閉保管すること。

2 清掃用機械・器具及び保管庫の点検における留意点

清掃用機械及び清掃用器具並びに清掃用資材(洗剤、床維持剤等)の保管庫については、6月以内ごとに1回、定期に、次の点に留意して点検し、必要に応じ、整備、取替え等を行うこと。

(1) 機械器具の機能が著しく劣化していないこと。

(2) 洗剤タンク、汚水タンクの漏れがないこと。

(3) 保管庫内が整とんされ、清潔で、ねずみ、こん虫等が生息あるいは出入していないこと。

3 廃棄物処理設備の点検における留意点

収集・運搬設備、貯留設備その他の廃棄物処理設備については、6月以内ごとに1回、定期に、次の点に留意して点検し、必要に応じ、補修、消毒等の措置を講じること。

(1) 収集・運搬設備、貯留設備その他の廃棄物処理設備が清潔に保たれ、かつ、当該建築物において発生する廃棄物を適正に処理する能力を維持していること。

(2) 著しい臭気、ほこり及び排煙等の発生がないこと。

(3) ねずみ、こん虫等が生息あるいは出入していないこと。

4 帳簿書類の記載

施行規則第20条の帳簿書類には、清掃、点検及び整備を実施した年月日、作業内容、実施者名等を記載すること。

第6 ねずみ等の防除

1 総合的有害生物管理に基づく防除

ねずみ等の防除を行うに当たっては、建築物において考えられる有効・適切な技術を組み合わせて利用しながら、人の健康に対するリスクと環境への負荷を最小限にとどめるような方法で、有害生物を制御し、その水準を維持する有害生物の管理対策である総合的有害生物管理の考え方を取り入れた防除体系に基づき実施すること。

2 総合的有害生物管理の実施にあたっての留意点

(1) 生息調査について

的確に発生の実態を把握するため、適切な生息密度調査法に基づき生息実態調査を実施すること。

(2) 目標設定について

生息調査の結果に基づき、目標水準を設定し、対策の目標とすること。

(3) 防除法について

ア 人や環境に対する影響を可能な限り少なくするよう配慮すること。特に、薬剤を用いる場合にあっては、薬剤の種類、薬量、処理法、処理区域について十分な検討を行い、日時、作業方法等を建築物の利用者に周知徹底させること。

イ まずは、発生源対策、侵入防止対策等を行うこと。発生源対策のうち,環境整備等については,発生を防止する観点から、建築物維持管理権原者の責任のもとで日常的に実施すること。

ウ 有効かつ適切な防除法を組み合わせて実施すること。当該区域の状況に応じて薬剤やトラップの利用、侵入場所の閉鎖などの防虫・防鼠工事を組み合わせて実施すること。

エ 食毒剤(毒餌剤)の使用に当たっては、誤食防止を図るとともに、防除作業終了後、直ちに回収すること。

オ 薬剤散布後、一定時間入室を禁じて、換気を行う等利用者の安全を確保すること。

(4) 評価について

対策の評価を実施すること。評価は有害生物の密度と防除効果等の観点から実施すること。

3 帳簿書類の記載

施行規則第20条の帳簿書類には、防除作業を実施した日時、場所、実施者、調査の方法と結果、決定した基準、措置の手段、実施場所、使用薬剤、評価結果等を記載すること。