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○食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について

(平成20年3月31日)

(食安発第0331007号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)

食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号。以下「規則」という。)及び食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「告示」という。)の一部がそれぞれ「食品衛生法施行規則の一部を改正する省令」(平成20年厚生労働省令第66号)及び「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件」(平成20年厚生労働省告示第153号)をもって改正されたので、下記の事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。

第1 改正の要旨

1 近年の多様化したおもちゃに対応できるよう、食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第62条第1項に規定する「乳幼児が接触することによりその健康を損なうおそれがあるものとして厚生労働大臣の指定するおもちゃ」(以下「指定おもちゃ」という。)として規則第78条に規定するおもちゃの範囲を拡大することとしたこと。

2 国際的に通用しているおもちゃの規格(ISO規格等)を取り入れ、おもちゃの衛生上の観点からの規格の国際整合性の確保を図ることとしたこと。

3 鉛等に係る規格を強化し、衛生上の観点から、より一層のおもちゃの安全性の確保を図ることとしたこと。

第2 改正の要点

1 規則に係る改正の要点は次のとおりである。

(1) 指定おもちゃの材質制限の撤廃

改正前の規則第78条第1号に掲げる「口に接触することをその本質とするおもちゃ(注1)」及び同条第4号に掲げるおもちゃについて設けられていた材質の制限を廃止したこと。

(注1) 「口に接触することをその本質とするおもちゃ」とは、口に入れる又は唇に触れることを意図して設計製造されたがん具をいい、おしゃぶり、歯がため、ふくれんぼ、シャボン玉の吹き出し具、口紅の形をしたおもちゃ、おもちゃの吹奏楽器類(ラッパ、笛、ハーモニカなど)が含まれる。

(2) 対象がん具の追加

改正後の規則(以下「新規則」という。)において、新たに、アクセサリーがん具(注2)、知育がん具(口に接触する可能性のあるものに限り、新規則第78条第2号に掲げるものを除く。)(注3)及び新規則第78条第2号に掲げるおもちゃと組み合わせて遊ぶおもちゃ(注4)を追加したこと。

(注2) 「アクセサリーがん具」とは、乳幼児がアクセサリーとして用いるがん具(具体的には、指輪、ネックレス、ブローチ、ペンダント等の装身具の形態をしたがん具)のことをいう。ただし、キーホルダー、携帯電話のストラップ等おもちゃとして遊ぶことを目的としないものは、これに含まれない。

(注3) 「知育がん具」とは、乳幼児の知的能力を中心とする心身の発育を促進することを目的とするがん具、又は、それに資すると考えられるがん具のことをいう。また、口に接触する可能性のあるものに限定した理由は、メリー等、乳幼児の手が届かない所に設置して、口に接触する可能性のないものを除外するためである。

(注4) 「新規則第78条第2号に掲げるおもちゃと組み合わせて遊ぶおもちゃ」とは、例えば、a)電車のおもちゃに付属するレール、駅舎、踏切、トンネルや樹木、b)人形と組み合わせて遊ぶ家、家具、食器、c)粘土の鋳型やへら等を指す。

(3) 乗物がん具の除外規定の廃止

ぜんまい式の乗物がん具及び電動式の乗物がん具を指定おもちゃの対象としたこと。

2 告示に係る改正の要点は次のとおりである。

(1) 原材料から最終製品の規格への変更

ア 「塗料」から「塗膜(注5)」へ

原材料としての「塗料」の規格から最終製品の一部としての「塗膜(注6)」の規格に変更し、最終製品で試験ができるようにしたこと。

(注5) 「塗料」は、がん具に塗布する前の液状のものを指すのに対し、「塗膜」は、がん具に塗装した塗料等に含まれていた溶媒が揮散して乾燥した固体状のものを指す。

(注6) 「塗膜」は、塗料及び類似のコーティング材料から成るものであって、かつ、がん具の基材の表面上に形成又は沈着される層状の材料の被膜で、鋭利な刃物で削り取ることができるものを指す。

イ 「材料」から「製造された部分」へ

原材料としての「ポリ塩化ビニルを主体とする材料」及び「ポリエチレンを主体とする材料」の規格を、最終製品のうちこれらの材料を用いて製造された部分の規格に変更し、最終製品で試験ができるようにしたこと。(注7)

(注7) 改正前の規格が、固形状、粒状、液状の原材料の規格であったのに対し、改正後は、最終製品のうちこれらの材料で製造された部分の規格としたこと。

(2) 鉛等に係る規格の強化

ア ISOを参考とした溶出規格への変更

塩化ビニル樹脂塗料の溶出規格については、従来、乳幼児ががん具を口に入れて唾液中に重金属等が溶出することを想定して作られていたが、これを、ISO8124―3を参考に、乳幼児が塗装部分をかじって塗膜の一部を飲み込むことを想定した溶出規格に変更したこと。

これに伴い、塩化ビニル樹脂塗料に係る溶出条件を40℃の水30分溶出から37℃の0.07mol/l塩酸2時間溶出に変更したこと。

また、従来、塩化ビニル樹脂塗料に係る鉛については重金属として試験を行い、ヒ素の試験とともに比色法を採用していたが、改正後のヒ素の試験法及び新設した鉛の試験法では原子吸光光度法、誘導結合プラズマ発光強度測定法を採用し、重金属試験は廃止したこと。

ポリ塩化ビニルを用いて塗装された塗膜については、蒸発残留物、過マンガン酸カリウム消費量の規格が適用されるものであること。

イ 対象となる塗膜の拡大

従来、塩化ビニル樹脂塗料のみに設定されていた規格を、これを含むすべての塗料及びコーティング材料から成る塗膜が対象となるように拡大したこと。

ウ 金属製アクセサリーがん具に係る鉛の規格の新設

新たに金属製アクセサリーがん具(乳幼児が飲み込むおそれのある大きさのものに限る。)に係る鉛の溶出規格を設定したこと。

ISO規格等に準じ、乳幼児が誤飲により飲み込むおそれのある大きさを判別するための容器を定め、この容器内に圧縮しない状態で置いたとき、容器内に収まる大きさとしたこと。

第3 適用期日(別添参照)

1 規則関係

規則第78条の改正については、平成20年5月1日から適用すること。ただし、平成20年9月30日までに製造され、又は輸入されるものについては、当該おもちゃに係る法第18条第2項の規定は、適用しない。

2 告示関係

告示の改正については、平成20年3月31日から適用すること。ただし、平成20年9月30日までに製造され、又は輸入されるものについては、なお従前の例によることができる。

第4 運用上の注意

1 指定おもちゃの範囲の拡大に伴い新たに指定おもちゃに含まれることとなったものを輸入する場合は、平成20年5月1日から輸入届出の対象となる点に留意されたいこと。

2 平成20年10月1日以降に、改正後の規格に適合しない指定おもちゃが発見された場合は、当該おもちゃの国内製造年月日又は輸入年月日を確認の上、対応すること。

3 指定おもちゃを製造、輸入又は販売若しくは営業上使用する事業者に対しては、指定おもちゃに関して消費者から寄せられた食品衛生上の危害(医師の診断を受けたものに限る。)に関する情報及び食品衛生法に違反する指定おもちゃに関する情報について、保健所等へ速やかに報告するよう指導されたいこと。

(別添)

 

平成20年3月31日から平成20年4月30日までに製造又は輸入されるもの

平成20年5月1日から平成20年9月30日までに製造又は輸入されるもの

平成20年10月1日以降に製造又は輸入されるもの

従来からの指定おもちゃであるもの

・改正前の規格基準に適合していれば良い。

・改正前の規格基準に適合していれば良い。

・改正後の規格基準に適合していなければならない。

 

・輸入品にあっては食品等輸入届出書の提出が必要。

・輸入品にあっては食品等輸入届出書の提出が必要。

・輸入品にあっては食品等輸入届出書の提出が必要。

 

・平成20年10月1日以降もそれ以前と同様に取り扱うことができる。

・平成20年10月1日以降もそれ以前と同様に取り扱うことができる。

 

改正により新たに指定おもちゃとなるもの

・指定おもちゃに該当しない。

・指定おもちゃに該当する。

・指定おもちゃに該当する。

・改正前及び改正後の規格基準への適合を求めない。

・改正前及び改正後の規格基準への適合を求めない。

・改正後の規格基準に適合しなければならない。

 

・輸入品であっても食品等輸入届出書の提出の必要なし。

・輸入品にあっては食品等輸入届出書の提出が必要だが試験検査成績書の添付を要しない。

・輸入品にあっては食品等輸入届出書及び試験検査成績書の提出が必要。

 

・平成20年10月1日以降もそれ以前と同様に取り扱うことができる。

・平成20年10月1日以降もそれ以前と同様に取り扱うことができる。