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○広告可能な診療科名の改正について

(平成20年3月31日)

(医政発第0331042号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)

平成18年の良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(平成18年法律第84号。以下「医療法等改正」という。)においては、「患者等への医療に関する情報提供の推進」に関する取組として、適切な医療機関の選択と受診を支援する観点から、広告可能な事項について大幅な規制緩和が行われたところである。

今般、このような改正趣旨等を踏まえ、患者や地域住民自身が自分の病状等に合った適切な医療機関の選択を行うことを支援する観点から、広告可能な診療科名の見直しを行うこととし、「医療法施行令の一部を改正する政令」(平成20年政令第36号)及び「医療法施行規則の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第13号)」が平成20年2月27日に公布され、同年4月1日から施行されることとなったところである。

その改正概要等は下記のとおりである。これらについて御了知の上、管内市町村、関係団体等にその周知徹底を図っていただくとともに、その円滑な運用に万全の対応をしていただくようお願いしたい。

第1 改正の趣旨・概要等

1 医療機関が標榜する診療科名として広告可能な範囲

医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)第6条の6第1項の規定により、医業及び歯科医業については、医療法施行令(昭和23年政令第326号。以下「令」という。)において診療科名として具体的に規定したものに限り広告可能としていたが、平成18年の医療法等改正の趣旨にかんがみ、患者や住民自身が自分の病状等に合った適切な医療機関の選択を行うことを支援する観点から、広告可能な診療科名の改正を行ったところである。

具体的に診療科名については、従来、令に具体的名称を限定列挙して規定していたところであるが、この方式を改め、身体の部位や患者の疾患等、一定の性質を有する名称を診療科名とする柔軟な方式に改めたところである。

今回の改正により、

① 「内科」「外科」は、単独で診療科名として広告することが可能であるとともに、

② 従来、診療科名として認められなかった事項である

(a) 身体や臓器の名称

(b) 患者の年齢、性別等の特性

(c) 診療方法の名称

(d) 患者の症状、疾患の名称

についても、令第3条の2第1項ハに規定する事項に限り「内科」「外科」と組み合わせることによって、新しい診療科名として広告することが可能である。

③ その他、令第3条の2第2項ニ(1)に定める診療科名である「精神科」、「アレルギー科」、「リウマチ科」、「小児科」、「皮膚科」、「泌尿器科」、「産婦人科」(※)、「眼科」、「耳鼻いんこう科」、「リハビリテーション科」、「放射線科」(※)、「救急科」、「病理診断科」「臨床検査科」についても、単独の診療科名として広告することが可能である。

また、これらの診療科名と上記②の(a)から(d)までに掲げる事項と組み合わせることによって、新しい診療科名として広告することも可能である。

(※)

「産婦人科」については、「産科」又は「婦人科」と代替することが可能。

「放射線科」については、「放射線治療科」又は「放射線診断科」と代替することが可能。

以上のとおり、診療科名については、相当程度拡大することとしたところである。特に、上記②のように、組み合わせによって新しく広告することが可能となる診療科名については、患者や住民自身が自分の病状に合った適切な医療機関の選択を行うことを支援するという観点から、虚偽、誇大な表示が規制されるのみでなく、診療内容の性格に応じた最小限必要な事項の表示が義務づけられる。また、診療科名の表記に当たっては、診療内容について客観的評価が可能で分かりやすいものにする必要がある。

以上の点を踏まえ、広告するに当たって通常考えられる診療科名を別表において例示する。

また、組み合わせに当たり、②(a)から(d)までに掲げる事項のうち、異なる区分に属する事項であれば、複数の事項を組み合わせることが可能である。

一方、同じ区分に属する事項同士を複数繋げることについては、不適切な意味となるおそれがあることから、認められない。同じ区分に属する事項を複数組み合わせる場合については、同じ区分に属する事項を繋げることによって一つの名称にならないよう、例えば「老人・小児内科」というように、それぞれの事項を区切る等の工夫をして組み合わせる必要がある。

2 従来から広告可能とされてきた診療科名との関係

従来、広告可能と認められていた診療科名のうち以下に掲げる診療科名については、今回の改正により平成20年4月1日以降、診療科名として広告することは認められなくなる。

ただし、改正に係る経過措置として、同日前から広告していた診療科名については、看板の書き換え等、広告の変更を行わない限り、引き続き、広告することが認められる。

(◎ 平成20年4月1日以降、広告することが認められない診療科名

「神経科」、「呼吸器科」、「消化器科」、「胃腸科」、「循環器科」、「皮膚泌尿器科」、「性病科」、「こう門科」、「気管食道科」)

第2 診療科名の広告に関する留意事項

1 医療機関が広告する診療科名の数について

医療機関が広告することができる診療科名について、従来は、医療機関が提供する医療機能に関する情報を効果的に患者、住民等に提示し、患者、住民等による医療機関の選択が適切に行われるようにするという観点から、広告する診療科名の数は、勤務する医師の数にかかわらないとされていたところである。

今回の診療科名の改正においては、患者等による自分の病状等に合ったより適切な医療機関の選択を行うことを支援する観点から、医療機関においては、当該医療機関に勤務する医師又は歯科医師一人に対して主たる診療科名を原則2つ以内とし、診療科名の広告に当たっては、主たる診療科名を大きく表示するなど、他の診療科名と区別して表記することが望ましいものとする。

2 診療科名の組み合わせの表示形式について

医療機関が広告する診療科名の表示形式については、患者等に対し当該医療機関における医療機能が適切に情報提供されるよう、以下に掲げる表示形式を採るよう、配慮することが必要である。

① 「○○ △△科」と組み合わせて表示する場合

表示例:

「呼吸器内科」

「消化器外科」

② 「○○・△△科」と組み合わせて表示する場合

表示例:

「肝臓・消化器外科」

「糖尿病・代謝内科」

③ 「○○科(△△)」と組み合わせて表示する場合

表示例:「内科(循環器)」

3 広告することができない診療科名の表示について

法令上根拠のない名称や、今回の改正による組み合わせの診療科名のうち、診療内容が明瞭でないものや、医学的知見・社会通念に照らし、不適切な組み合わせである名称については、患者等に対して適切な受診機会を喪失させることに繋がるとともに、不適切な医療を提供するおそれがあることから、これらを診療科名とすることは認められず、医療機関が当該不適切な診療科名を広告することは、法に規定する罰則をもって禁止されているところである。

不適切な診療科名として、具体的には以下のとおりである。

(1) 不適切な組み合わせとして認められない診療科名については、医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号。以下「則」という。)に具体的に規定しているところ(則第1条の9の4参照)。

診療科名

不合理な組み合わせとなる事項

内科

整形又は形成

外科

心療

アレルギー科

アレルギー疾患

小児科

小児、老人、老年又は高齢者

皮膚科

呼吸器、消化器、循環器、気管食道、心臓血管、腎臓、脳神経、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓又は脳

泌尿器科

頭頸部、胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、心臓血管、脳神経、乳腺、頭部、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓又は脳

産婦人科

男性、小児又は児童

眼科

胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、肛門、心臓血管、腎臓、乳腺、内分泌、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓又は心臓

耳鼻いんこう科

胸部、腹部、消化器、循環器、肛門、心臓血管、腎臓、乳腺、内分泌、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓又は心臓

(2) その他、法令に根拠のない名称については、診療科名として広告することは認められない。具体的には、以下に例示する名称は診療科名として認められない。

(◎ 医科に関係する名称

「呼吸器科」、「循環器科」、「消化器科」、「女性科」、「老年科」、「化学療法科」、「疼痛緩和科」、「ペインクリニック科」、「糖尿病科」、「性感染症科」など

◎ 歯科に関係する名称

「インプラント科」、「審美歯科」など)

なお、これら法令に根拠のない名称と診療科名とを組み合わせた場合であっても、その広告は認められない。

(別表) 診療科名具体例

医科

歯科

内科

呼吸器内科

循環器内科

消化器内科

心臓内科

血液内科

気管食道内科

胃腸内科

腫瘍内科

糖尿病内科

代謝内科

内分泌内科

脂質代謝内科

腎臓内科

神経内科

心療内科

感染症内科

漢方内科

老年内科

女性内科

新生児内科

性感染症内科

内視鏡内科

人工透析内科

痔痛緩和内科

ペインクリニック内科

アレルギー疾患内科

内科(ペインクリニック)

内科(循環器)

内科(薬物療法)

内科(感染症)

内科(骨髄移植)

外科

呼吸器外科

心臓血管外科

心臓外科

消化器外科

乳腺外科

小児外科

気管食道外科

肛門外科

整形外科

脳神経外科

形成外科

美容外科

腫瘍外科

移植外科

頭頸部外科

胸部外科

腹部外科

肝臓外科

膵臓外科

胆のう外科

食道外科

胃外科

大腸外科

内視鏡外科

ペインクリニック外科

外科(内視鏡)

外科(がん)

精神科

アレルギー科

リウマチ科

小児科

皮膚科

泌尿器科

産婦人科

産科

婦人科

眼科

耳鼻いんこう科

リハビリテーション科

放射線科

放射線診断科

放射線治療科

病理診断科

臨床検査科

救急科

児童精神科

老年精神科

小児眼科

小児耳鼻いんこう科

小児皮膚科

気管食道・耳鼻いんこう科

腫瘍放射線科

男性泌尿器科

神経泌尿器科

小児泌尿器科

小児科(新生児)

泌尿器科(不妊治療)

泌尿器科(人工透析)

産婦人科(生殖医療)

美容皮膚科

など

歯科

小児歯科

矯正歯科

歯科口腔外科

※ 複数の事項を組み合わせた通常考えられる診療科名を以下に例示する。

【例:医科】

「血液・腫瘍内科」、「糖尿病・代謝内科」、「小児腫瘍外科」、「老年心療内科」、「老年・呼吸器内科」、「女性乳腺外科」、「移植・内視鏡外科」、「消化器・移植外科」、「ペインクリニック整形外科」、「脳・血管外科」、「頭頸部・耳鼻いんこう科」、「肝臓・胆のう・膵臓外科」、「大腸・肛門外科」、「消化器内科(内視鏡)」、「腎臓内科(人工透析)」、「腫瘍内科(疼痛緩和)」、「腎臓外科(臓器移植)」、「美容皮膚科(漢方)」など

【例:歯科】

「小児矯正歯科」など