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○保育所保育指針等の施行等について

(平成20年3月28日)

(雇児発第0328001号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

保育所における保育内容については、「保育所保育指針について」(平成11年10月29日児発第799号本職通知)の別添として定めた保育所保育指針(以下「旧保育所保育指針」という。)に基づき、その指導について従来から種々御配慮いただいているところである。

今般、「保育所保育指針」改定に関する検討会(平成18年12月に発足)の報告書(平成19年12月21日「保育所保育指針の改定について(報告書)」)を受け、新たに保育所保育指針(平成20年厚生労働省告示第141号)(以下「新保育所保育指針」という。)を本日、別添1のとおり公布し、平成21年4月1日より施行することとしたところである。

併せて、児童福祉施設最低基準の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第57号)を別添2のとおり公布し、新保育所保育指針と併せて平成21年4月1日より施行するとともに、児童福祉法施行規則等の一部を改正する省令附則ただし書に規定する別に定める日を定める件(平成20年厚生労働省告示第140号)(以下「施行日告示」という。)を別添3のとおり公布したところである。

また、保育の内容の質を高める観点から、「保育所における質の向上のためのアクションプログラム」を別添4のとおり策定し、平成20年度から逐次実施することとしている。

これらの主な内容及びその施行等に際し留意すべき事項は下記のとおりであるので、十分御了知の上、貴管内の関係者に対して遅滞なく周知し、その運用に遺漏のないよう御配慮願いたい。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言である。

第1 保育所保育指針関係

1 改定の趣旨について

旧保育所保育指針の施行から8年が経過し、この間、子どもたちが家庭内や地域において人と関わる経験が少なくなったり、生活リズムが乱れたりするなど、子どもの生活環境が変化してきている。また、保護者についても、子育てについて不安や悩みを抱える保護者が増加し、養育力の低下が指摘されるなど、子育ての環境が変化してきている。

このように、子どもの育ちをめぐる環境が大きく変化する中で、保育所に期待される役割が深化・拡大していることを踏まえ、子どもの保育や保護者への支援等を通じて適切にその役割や機能を発揮できるよう、保育の内容の質を高める観点から、旧保育所保育指針の内容の改善・充実を図ることとしたものであること。

2 告示化について

旧保育所保育指針は、厚生省児童家庭局長(当時)による通知として定めていたところ、各保育所の保育の内容の質を高める観点から、児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生省令第63号)第35条(児童福祉法施行規則等の一部を改正する省令(平成18年厚生労働省令第155号)による改正後のものをいう。)に基づき厚生労働大臣が定める告示とし、保育所における保育の内容及びこれに関連する運営に関する事項を定めた最低基準としての性格を明確化するものであること。

また、告示化により、すべての保育所が遵守すべき最低基準として位置付けられるが、保育の質を向上させるための各保育所の創意工夫や取組を促す観点から、内容の大綱化を図ったものであること。

なお、児童福祉法施行規則等の一部を改正する省令附則ただし書において、「児童福祉施設最低基準第35条の改正規定は別に定める日から施行する」とされていたところであるが、施行日告示により、平成21年4月1日より施行するものとされたこと。

3 保育所保育指針解説書について

内容の大綱化に伴い、新保育所保育指針の内容の解説や補足説明、保育を行う上での留意点、各保育所における取組の参考になる関連事項等を記載した「保育所保育指針解説書」を、厚生労働省において取りまとめたところである。

各地方公共団体においては、各保育所において、新保育所保育指針の参考資料として当該解説書が活用されるよう、積極的に周知に努めること。

なお、当該解説書は、保育所における保育の参考資料として取りまとめたものであり、法的拘束力を持つものではないことに留意すること。

4 関係通知の廃止及び一部改正について

(1) 新保育所保育指針の施行に伴い、「保育所保育指針について」は平成21年3月31日をもって廃止するものであること。

(2) 保育所運営費の経理等について(平成12年3月30日児発第299号本職通知)1の(2)の⑤中「保育所保育指針(平成11年10月29日児発第799号本職通知「保育所保育指針について」をいう。)」を「保育所保育指針(平成20年厚生労働省告示第141号)」に改めること。

(3) 認可外保育施設に対する指導監督の実施について(平成13年3月29日雇児発第177号本職通知)の別添「認可外保育施設指導監督基準」5の(1)のア中「保育所保育指針(平成11年10月29日児発第799号厚生省児童家庭局長通知の別添)」を「保育所保育指針(平成20年厚生労働省告示第141号)」に改めること。

(4) 認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書の交付について(平成17年1月21日雇児発第0121002号本職通知)の別表「評価基準」5の(1)中「保育所保育指針(平成11年10月29日児発第799号)」を「保育所保育指針(平成20年厚生労働省告示第141号)」に改めること。

第2 児童福祉施設最低基準の一部を改正する省令関係

今般の改正による改正前の児童福祉施設最低基準第35条においては、保育の内容として、健康状態の観察などの保育士等が行わなければならない事項や、自由遊び等の子どもの活動といった個別の事項を列記していたところである。

今般、保育所保育指針を同条に基づく告示とし、保育所における保育の内容及びこれに関連する運営に関する事項を定めた最低基準としての性格を明確化することに伴い、同条を改正し、保育の内容として、養護及び教育を一体的に行うという保育所における保育の特性を明記したこと。

第3 保育所における質の向上のためのアクションプログラム関係

1 経緯及び趣旨について

「保育所保育指針」改定に関する検討会において取りまとめられた「保育所保育指針の改定について(報告書)」において、保育の内容の質を高める観点から、新保育所保育指針を踏まえ、今後取り組んでいくことが必要な施策を一体的・計画的に推進するためのプログラムを策定することが提言されたところである。

また、「新待機児童ゼロ作戦」(本年2月27日厚生労働省取りまとめ)において、「国及び地方公共団体において、保育所における質の向上のためのアクションプログラムを策定し、質の向上のための保育所の取組を支援する」こととされたところである。

これらを踏まえ、国(厚生労働省)が取り組む施策及び地方公共団体(都道府県及び市町村)が取り組むことが望まれる施策に関する総合的な「保育所における質の向上のためのアクションプログラム」(以下「アクションプログラム」という。)を策定したものであること。

各地方公共団体においては、地域の保育所における保育の質の向上の一層の推進のために、アクションプログラムにおいて都道府県及び市町村が行うことが望ましいとされている事項について積極的に取り組むとともに、各地域の実情等を踏まえ、同様のアクションプログラム(以下「地方公共団体版アクションプログラム」という。)を策定することが望ましいこと。(地方公共団体版アクションプログラムについては、次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)第8条第1項に規定する市町村行動計画又は同法第9条第1項に規定する都道府県行動計画と一体的に策定することも可能であること。)

2 アクションプログラムの概要について

アクションプログラムは、主に以下の事項について定めるものであること。

(1) 保育実践の改善・向上

自己評価、保育実践に関する調査研究の推進、情報技術を活用した業務効率化など

(2) 子どもの健康及び安全の確保

保健・衛生面の対応の明確化、看護師等の専門的職員の確保の推進、嘱託医の役割の明確化、特別の支援を要する子どもの保育の充実など

(3) 保育士等の資質・専門性の向上

保育所内外の研修の充実、施設長の役割強化、保育士資格・養成の在り方の見直し

(4) 保育を支える基盤の強化

評価の充実、保育に関する研究成果等のデータベース化及び活用、専門的な人材や地域の多様な人材の活用、保育環境の改善・充実のための財源確保

3 アクションプログラムの実施期間について

アクションプログラムの実施期間は、平成20年度から平成24年度までの5年間とすること。

ただし、地方公共団体版アクションプログラムの実施期間については、地域の実情等に応じて各地方公共団体が独自に設定することが可能であること。

[別添4]

保育所における質の向上のためのアクションプログラム

平成20年3月28日

厚生労働省

1.趣旨

このたび、保育所保育指針が告示として公布され、保育の内容の質を高める観点から、保育所における取組の充実・強化がより一層求められている。このような背景を踏まえ、本年2月27日にとりまとめた「新待機児童ゼロ作戦」において、「国及び地方公共団体において、保育所における質の向上のためのアクションプログラムを策定し、質の向上のための保育所の取組を支援する」こととされたところである。

今般、国として、保育の質の向上に資する保育所における各種の取組を支援する観点から、国(厚生労働省)が取り組む施策及び地方公共団体(都道府県及び市町村)が取り組むことが望まれる施策に関する総合的なアクションプログラムを策定することとした。

各地方公共団体においては、本アクションプログラムを踏まえ、各地域の実情等を考慮した保育所における質の向上のためのアクションプログラムを策定することが望ましい。その際、次世代育成支援対策推進法に基づく都道府県行動計画及び市町村行動計画にもその内容を反映させるなど、次世代育成支援対策を進める上で、保育の質を向上させていく視点を重視することが期待される。

2.実施期間

本アクションプログラムの実施期間は、平成20年度から平成24年度までの5年間とする。なお、地方公共団体が定めるアクションプログラムの実施期間については、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画との関係等を踏まえ、独自に設定されたい。

3.具体的施策

(1) 保育実践の改善・向上

[【ねらい】 養護及び教育を一体的に行うという保育所における保育の特性を生かしつつ、常に保育の内容や方法を見直し、その改善・向上が図られるようにする。]

① 自己評価の推進

国は、保育現場における自己評価が円滑に実施され、養護と教育の充実が図られるとともに、当該自己評価を基盤とした客観的な第三者評価にも資するよう、保育士等及び保育所の自己評価に関するガイドラインを作成する。

② 保育実践の改善・向上に関する調査研究の推進

国は、事業者や民間団体等が行う保育実践上の課題に関する調査研究の支援に努めるとともに、当該研究成果の活用を図る。

都道府県及び市町村においても、事業者や民間団体等が行う保育実践上の課題に関する調査研究を支援するとともに、当該研究成果の活用を図ることが望ましい。

③ 情報技術の活用による業務の効率化

市町村は、情報技術の活用等を通じた保育所における業務の効率化のため、必要な措置を講じることが望ましい。

④ 地域の関係機関等との連携

市町村は、各地域の実情等に応じ、保育所が、地域子育て支援拠点、幼稚園、小学校、放課後児童クラブ、要保護児童対策地域協議会など地域の関係機関等と積極的な連携及び協力を図ることができるよう、必要な支援を行うことが望ましい。

(2) 子どもの健康及び安全の確保

[【ねらい】 保育所が、子どもが健康で安全に生活できる場となるようにする。]

① 保健・衛生面の対応の明確化

国は、保育所において感染症やその疑いが発生した場合の迅速な対応や、乳幼児の発達の特性に応じた健康診断の円滑な実施等の観点から、保育所における保健・衛生面の対応に関するガイドラインを作成する。

② 看護師等の専門的職員の確保の推進

国は、保育所における体調不良の子どもへの対応など健康面における対策の充実を図るため、看護師等の専門的職員の確保に努める。

③ 嘱託医の役割の明確化

国は、子どもの健康支援等に当たって嘱託医が十分にその役割を果たせるよう、嘱託医の業務を明確化する。

④ 特別の支援を要する子どもの保育の充実

都道府県及び市町村は、障害のある子どもをはじめ特別の支援を要する子どもの保育に関して、保育所と地域の関係機関等との連携が適切に図られるよう、必要な支援を行う。

⑤ 地域の関係機関等との連携

市町村は、保育所が、要保護児童対策地域協議会や母子保健連絡協議会など地域の関係機関等と積極的な連携及び協力を図ることができるよう、必要な支援を行うことが望ましい。

(3) 保育士等の資質・専門性の向上

[【ねらい】 保育士等の資質や保育の専門性を高め、保育所において質の高い人材を確保する。]

① 保育所内外の研修の充実

国は、保育所が、保育所内外の研修に積極的に取り組めるよう、保育所の職員に対する研修を体系化したガイドラインを作成する。

都道府県及び市町村は、上記ガイドラインを参考にし、保育所の職員に対する研修内容の充実を図るとともに、外部の専門家を恒常的に保育所が活用できる体制を整えるなど研修体制の充実を図ることが望ましい。

② 施設長の役割の強化

国は、保育所の役割や社会的責任を遂行する施設長の責務にかんがみ、施設長の資格要件の明確化について検討する。

③ 保育士の専門性を高めるための資格や養成の在り方の見直し

国は、保育士が保育現場で求められる多様な課題に対応できるようにするため、保育士の専門性を高めるための資格や養成の在り方の見直しについて検討する。

(4) 保育を支える基盤の強化

[【ねらい】 (1)から(3)に掲げる保育所の取組を支えるための保育環境の改善・充実が図られるよう、国及び地方公共団体による支援体制等を整備する。]

① 評価の充実

子どもの保育に加え、子どもの保護者に対する支援、地域における子育て支援、地域の家庭的保育への支援など幅広い機能を担う保育所の役割を踏まえ、国は、保育士等及び保育所の自己評価に関するガイドラインを作成するとともに、これを踏まえ、現行の第三者評価に関するガイドライン(「保育所版の『福祉サービス第三者評価基準ガイドラインにおける各評価項目の判断基準に関するガイドライン』及び『福祉サービス内容評価基準ガイドライン』等について」(平成17年5月26日厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長、社会・援護局福祉基盤課長連名通知))を改定する。〔一部再掲〕

② 保育に関する研究成果等のデータベース化及び活用

国は、保育実践の改善・向上等に関する各種研究成果、資料等をデータベース化し、保育士や研究者、行政関係者等が活用できる体制を整備する方策について検討する。

③ 専門的な人材や地域の多様な人材の活用

都道府県及び市町村は、保育所が、保育実践に関する専門的な人材や、地域において子育て支援に関わる多様な人材を活用して、地域の実情等に応じた様々な取組を行うことができるよう、人材の確保や必要な調整など体制を整備することが望ましい。

④ 保育環境の改善・充実のための財源の確保

国は、保育所における取組を支える保育環境を改善・充実するために必要な財源の確保に努める。

都道府県及び市町村においても、保育所における取組を支える保育環境を改善・充実するために必要な財源を確保することが望ましい。