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○薬事法の一部を改正する法律について

(平成18年6月14日)

(薬食発第0614006号)

(各都道府県知事・各政令市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局長通知)

「薬事法の一部を改正する法律」については、平成18年3月7日第164回国会に提出され、去る6月8日可決成立し、本日、平成18年法律第69号として公布されたところである。

国民の健康意識の高まりや医薬分業の進展等の医薬品を取り巻く環境の変化、店舗における薬剤師等の不在など制度と実態の乖離、薬学教育6年制の導入に伴う薬剤師の役割の変化等を踏まえ、医薬品の販売制度を見直すことが求められている。また、違法ドラッグについては、乱用による健康被害が発生しており、かつ、その使用が麻薬、覚せい剤等の使用のきっかけとなる危険性があるにもかかわらず、人体摂取を目的としていないかのように偽装されて販売されているため、迅速、かつ、実効ある取締りを行うことが困難となっている。

このため、薬事法(昭和35年法律第145号)の一部を改正し、医薬品の適切な選択及び適正な使用に資するよう、医薬品をリスクの程度に応じて区分し、その区分ごとに、専門家が関与した販売方法を定める等、医薬品の販売制度全般の見直しを行うとともに、違法ドラッグの製造、輸入、販売等を禁止すること等により、保健衛生上の危害の発生の防止を図ることとした。

今回の改正は、一般用医薬品の販売等に関する安全性の確保及び違法ドラッグによる保健衛生上の危害の発生の防止を図る上で極めて重要な意義を有するものであるので、下記の改正要旨に十分留意の上、関係者に対する周知徹底等、その円滑な施行について特段の配慮をお願いすべく、通知する。

第一 医薬品の販売制度等の見直し

一 医薬品の販売制度等の見直し

1 薬局における医薬品の販売等に関する事項

(1) 薬局の開設に当たり、医薬品の調剤及び販売又は授与の業務を行う体制が厚生労働省令で定める基準に適合しないときはその許可を与えないことができることとしたこと。

(2) 薬局において調剤された薬剤を販売し、若しくは授与する場合又は調剤された薬剤を購入した者等から相談があった場合には、薬局開設者は、薬剤師をして、その適正な使用のために必要な情報を提供させなければならないこととしたこと。

(3) 薬局開設者は、当該薬局を利用するために必要な情報を薬局の見やすい場所に掲示しなければならないこととしたこと。

2 医薬品の販売業の許可の種類に関する事項

(1) 医薬品の販売業の許可の種類は、店舗販売業、配置販売業又は卸売販売業の許可とし、それぞれの販売業ごとに定める業務について許可を行うよう整理・再編することとしたこと。

(2) 一般用医薬品について、医薬品のうち、その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであって、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているものとして定義したこと。

3 店舗販売業に関する事項

(1) 店舗販売業の許可は、都道府県知事(その店舗が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)が与えることとし、①その店舗の構造設備が厚生労働省令で定める基準に適合しないとき、②薬剤師又は都道府県知事が行う試験に合格し、登録を受けた者(以下「登録販売者」という。)を置くことその他一般用医薬品の販売又は授与の体制が厚生労働省令で定める基準に適合しないとき等には、その許可を与えないことができることとしたこと。

(2) 店舗販売業の許可を受けた者(以下「店舗販売業者」という。)は、動物用医薬品を除き、一般用医薬品以外の医薬品を販売又は授与してはならないこととしたこと。

(3) 店舗販売業者は、その店舗を、自ら実地に管理し、又は指定する者に実地に管理させなければならず、その管理する者(以下「店舗管理者」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、薬剤師又は登録販売者でなければならないこととしたこと。

(4) 店舗管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その店舗の業務につき店舗販売業者に対し必要な意見を述べなければならず、店舗販売業者はその意見を尊重しなければならないこととしたこと。

(5) 店舗販売業者は、当該店舗を利用するために必要な情報を店舗の見やすい場所に掲示しなければならないこととしたこと。

4 配置販売業に関する事項

(1) 配置販売業の許可は、都道府県知事が与えることとし、薬剤師又は登録販売者が医薬品を配置することその他当該都道府県の区域において医薬品の配置販売を行う体制が厚生労働省令で定める基準に適合しないとき等には、その許可を与えないことができることとしたこと。

(2) 配置販売業の許可を受けた者(以下「配置販売業者」という。)は、一般用医薬品のうち経年変化が起こりにくいことその他の厚生労働大臣が定める基準に適合するもの以外の医薬品を販売等してはならないこととしたこと。

(3) 配置販売業者は、その配置する都道府県の区域を、自ら管理し、又は指定する者に管理させなければならず、その管理する者(以下「区域管理者」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、薬剤師又は登録販売者でなければならないこととしたこと。

(4) 区域管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その区域の業務につき配置販売業者に対し必要な意見を述べなければならず、配置販売業者はその意見を尊重しなければならないこととしたこと。

5 卸売販売業に関する事項

(1) 卸売販売業の許可は、都道府県知事が与えることとし、その営業所の構造設備が厚生労働省令で定める基準に適合しないとき等には、その許可を与えないことができることとしたこと。

(2) 卸売販売業の許可を受けた者(以下「卸売販売業者」という。)は、その営業所を管理するために、原則として薬剤師を置かなければならないこととしたこと。

(3) 営業所を管理する者(以下「営業所管理者」という。)は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その営業所の業務につき卸売販売業者に対し必要な意見を述べなければならず、卸売販売業者はその意見を尊重しなければならないこととしたこと。

6 一般用医薬品の区分に関する事項

厚生労働大臣は、一般用医薬品(動物用医薬品を除く。)を、その副作用等による健康被害が生ずるおそれの程度等に応じて、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定等することとし、第一類医薬品、第二類医薬品又は第三類医薬品に区分することとしたこと。

7 一般用医薬品の販売等に必要な資質を有することについて確認するための試験に関する事項

都道府県知事は、一般用医薬品の販売等に従事しようとする者がそれに必要な資質を有することを確認するために試験を行うこととしたこと。また、その試験に合格した者が医薬品の販売等に従事しようとするときは、都道府県知事の登録を受けなければならないこととしたこと。

8 一般用医薬品の販売等に従事する者に関する事項

薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者(以下「薬局開設者等」という。)は、第一類医薬品は薬剤師により、第二類医薬品及び第三類医薬品は薬剤師又は登録販売者により、それぞれ販売又は授与させなければならないこととしたこと。

9 一般用医薬品の販売等に関する情報提供等に関する事項

(1) 薬局開設者等は、第一類医薬品を販売等する場合には、薬剤師をして、厚生労働省令で定める事項を記載した書面を用いて、その適正な使用のために必要な情報を提供させなければならないこととしたこと。

(2) 薬局開設者等は、第二類医薬品を販売等する場合には、薬剤師又は登録販売者をして、その適正な使用のために必要な情報を提供させるよう努めなければならないこととしたこと。

(3) 薬局開設者等は、医薬品を購入した者等から相談があった場合には、薬剤師又は登録販売者をして、その適正な使用のために必要な情報を提供させなければならないこととしたこと。

10 医薬品の陳列等に関する事項

薬局開設者又は医薬品の販売業者は、医薬品を他の物と区別して貯蔵し、又は陳列しなければならず、一般用医薬品を陳列する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、第一類医薬品、第二類医薬品又は第三類医薬品の区分ごとに陳列しなければならないこととしたこと。

11 医薬品又は医薬部外品の容器等への記載に関する事項

(1) 一般用医薬品及び医薬部外品について、それぞれの区分に応じて厚生労働省令で定める文字等を記載させることとしたこと。

(2) 厚生労働大臣が指定する殺虫剤等の医薬品及び医薬部外品に関し人体に使用してはならない旨の注意事項を記載させることとしたこと。

12 医薬品等の適正な使用に関する普及啓発に関する事項

国、都道府県、保健所を設置する市及び特別区は、関係機関及び関係団体の協力の下に、医薬品及び医療機器の適正な使用に関する啓発及び知識の普及に努めることとしたこと。

13 医薬部外品の定義に関する見直し

医薬部外品の定義を見直すこととし、具体的には、人体に対する作用が緩和な物であることを前提に、使用目的等に応じて3つに分けて定義することとしたこと。なお、この定義の見直しは、現行の医薬部外品の範囲を変更するものではないこと。

14 その他

罰則その他所要の規定の整備を行うこととしたこと。

二 附則

1 施行期日

この法律は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内で政令で定める日から施行することとしたこと。ただし、次の事項については各々に定める日から施行することとしたこと。

(1) 第一の一の12(医薬品等の適正な使用に関する普及啓発関係)及びこの法律の施行に関し必要な経過措置に関する規定の一部については公布の日

(2) 第一の一の6(一般用医薬品の区分の指定関係)については平成19年4月1日

(3) 第一の一の7(登録販売者の試験関係)については公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日

2 主な経過措置

(1) この法律の施行の際に、この法律による改正前の薬事法(以下「旧法」という。)により一般販売業の許可を受けている者(下記(2)の者を除く。)は、施行日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、この法律による改正後の薬事法(以下「新法」という。)による店舗販売業の許可を受けないでも引き続き業務を行うことができることとしたこと。ただし、販売品目は一般用医薬品に限ること、医薬品のリスクの程度に応じた情報提供や相談対応を行うこと、第一類医薬品、第二類医薬品又は第三類医薬品の区分ごとに陳列すること等の新法の規定については、経過措置期間中でも適用することとしたこと。

(2) この法律の施行の際に、旧法により卸売一般販売業の許可を受けている者は、新法の卸売販売業の許可を受けた者とみなすこととしたこと。

(3) この法律の施行の際に、旧法により薬種商販売業の許可を受けている者(下記(5)の者を除く。以下「既存薬種商」という。)は、施行日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、新法による店舗販売業の許可を受けないでも引き続き業務を行うことができることとしたこと。ただし、販売品目は既存薬種商が販売等することができる医薬品のうち一般用医薬品に限ること、店舗の管理者を設置すること、医薬品のリスクの程度に応じた情報提供や相談対応を行うこと、第二類医薬品又は第三類医薬品の区分ごとに陳列すること等の新法の規定については、経過措置期間中でも適用することとしたこと。

(4) この法律の施行前に薬種商販売業の許可を受けた者は、新法における登録販売者に関する試験に合格した者とみなすこととしたこと。

(5) 薬事法制定時に附則第6条の規定により薬種商販売業の許可を受けた者とみなされ、施行日までの間継続して薬種商販売業を営んでいるもの(以下「旧薬種商」という。)は、従前の例により引き続き薬種商販売業を営むことができることとしたこと。ただし、販売品目は旧薬種商が販売等することができる医薬品のうち一般用医薬品に限ること、店舗の管理者を設置すること、薬剤師又は登録販売者により情報提供や相談対応を行うこと、第一類医薬品、第二類医薬品又は第三類医薬品の区分ごとに陳列すること等の新法の規定については、適用することとしたこと。

(6) この法律の施行の際に、配置販売業の許可を受けている者(以下「既存配置販売業者」という。)は、新法による配置販売業の許可を受けないでも、現行の配置販売品目を基本として引き続き業務を行うことができることとしたこと。ただし、区域の管理者を設置すること、医薬品のリスクの程度に応じた情報提供や相談対応を行うこと、第二類医薬品又は第三類医薬品の区分ごとに陳列すること等の新法の規定については、適用することとしたこと。

(7) 既存配置販売業者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、配置販売の業務に関し、その配置員の資質の向上に努めなければならないこととしたこと。

(8) この法律の施行の際に、特例販売業の許可を受けている者(下記(9)の者を除く。)は、当分の間、従前の例により引き続き業務を行うことができることとしたこと。

(9) この法律の施行の際に特例販売業の許可を受けている者であって、新法第35条第2項により厚生労働省令で定める医薬品を販売し、又は授与するものは、施行日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、従前の例により引き続き業務を行うことができることとしたこと。

(10) 施行日において現に存在する製品が旧法の表示に関する規定に適合しているときは、施行日から起算して2年間は、新法の規定に適合しているとみなすこととしたこと。

第二 違法ドラッグ対策

一 違法ドラッグ対策

1 薬事法の目的に指定薬物の規制に関する措置を講ずることを加えることとしたこと。

2 中枢神経系の興奮等の作用を有する蓋然性が高く保健衛生上の危害が発生するおそれがある薬物を、指定薬物として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定することとしたこと。

3 指定薬物について、医療等の用途以外の用途に供するための製造、輸入等を禁止することとしたこと。

4 指定薬物について、医療等の用途に使用する者を対象として行う場合のほか、その広告を禁止することとしたこと。

5 厚生労働大臣又は都道府県知事は、指定薬物である疑いがある物品を発見した場合において、当該物品を製造した者等に対し、当該物品が指定薬物であるかどうかの検査を受けるべきことを命ずることができること及び検査の結果の通知を受けるまでの間、当該物品の製造等の禁止を併せて命ずることができることとしたこと。

6 厚生労働大臣又は都道府県知事は、医療等の用途以外に供されるために製造等された指定薬物について、それらを取り扱う者に対し、廃棄、回収等を命ずることができること及びこれらの命令に従わない場合に、代わって廃棄、回収等の措置を採ることができることとしたこと。

7 厚生労働大臣又は都道府県知事は、検査の命令、廃棄、回収等の命令等に必要な限度において立入検査等を行うことができることとしたこと。

8 指定薬物を製造し、輸入し、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列した者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとしたこと。また、これらを業として行った者は、罰則を強化して、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとしたこと。

9 罰則その他所要の規定の整備を行うこととしたこと。

二 附則

1 施行期日

第二の一(違法ドラッグ関係)及び当該規定の施行に関し必要な経過措置に関する規定については公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日に施行することとしたこと。