添付一覧
○食品による薬物中毒事案に関する関係閣僚による会合申合せについて
(平成20年2月25日)
(/健発第0225007号/食安発第0225001号/)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省健康局長・厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)
保健所における健康危機管理体制の確保及び食品安全行政の推進については、従来より種々、御理解と御協力をいただいているところです。
先般の冷凍食品による薬物中毒事案の発生を受け、食品による薬物中毒事案に関する関係閣僚会合が開催されているところですが、平成20年2月22日、同閣僚会合申合せとして、別添のとおり、「食品による薬物中毒事案の再発防止策について」が取りまとめられ、「保健所における24時間、365日の対応体制の確保等を図るよう都道府県等に要請するとともに、食品衛生法第58条に規定する食中毒に係る報告の遵守を徹底する。」とされました。
貴職におかれましては、同閣僚会合申合せについて十分留意の上、健康危機情報を迅速に把握できる体制の確保に遺漏なきを期されるよう、お願い申し上げます。
なお、本通知は地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4に基づく技術的助言であることを申し添えます。
食品による薬物中毒事案の再発防止策について
(原因究明を待たずとも実施すべき再発防止策)
平成20年2月22日
食品による薬物中毒事案に関する関係閣僚による会合申合せ
今次輸入食品に係る食中毒事件により、国民生活の根幹である食の安全・安心への国民の信頼は大きく損なわれた。このような事案を二度と起こさないように、万全の体制を作ることが極めて重要な課題となっている。再発防止策の検討に際しては、最終的には今次事案の原因の究明が必要であるが、それを待たずとも取り組むべき課題も多い。たとえば、危害情報を迅速に政府内部で集約し、一元化する体制の改善・整備である。こうした観点から、今次事案の原因の究明を待たずとも実施すべき再発防止策として、下記の政策を政府一体となって速やかに実施することを申し合わせる。
なお、この他、今回の事態を受けて、関係府省において食品安全に関する施策についての点検を行うとともに、事態の推移に応じ、新たな再発防止策の必要性についても更に検討する。
1.情報の集約・一元化体制の強化
[(1) 現場の窓口機関から本省等の報告ルールの見直し
― 現場からの情報を迅速かつ着実に本省に伝達するために以下の措置を実施]
① 食中毒事案に係る既存の情報伝達システムの徹底(厚労省)
・ 日本医師会長あてに、医師から保健所への食中毒事案の報告を徹底することについて通知を発出した。(平成20年1月31日)
・ 都道府県等に対し、輸入食品原因事案、疑い事例については、犯罪性の有無にかかわらず、速やかに厚生労働省に報告するよう通知した。(平成20年2月1日)
・ 全国食品衛生主管課長会議において、輸入食品原因事案、疑い事例の厚生労働省への速やかな報告について要請した。(平成20年2月14日)
・ 保健所における健康危機管理体制の整備の徹底について通知した。(平成20年2月15日)
<今後講ずるもの>
法令、ガイドライン等で定められている保健所における24時間、365日の対応体制の確保等を図るよう都道府県等に要請するとともに、食品衛生法第58条に規定する食中毒に係る報告の遵守を徹底する。(平成19年度中)
※食品衛生法第58条(抄)
① 医師による最寄りの保健所長への届出
② 保健所長による速やかな都道府県知事等への報告
③ 都道府県知事等による直ちの厚生労働大臣への報告 等
② 食品衛生法に基づく都道府県知事等から厚生労働大臣への届出・速報対象の拡大(厚労省)
<今後講ずるもの>
食品衛生法施行規則(第73条)を改正し、現行の速報対象である「輸入食品に起因する場合」等に加え、「重篤な有害事象が発生した場合」「化学物質に起因する場合」を追加する。(平成19年度中に改正案を作成し、意見公募手続を開始)
③ 食品に由来する危害に関する情報の収集及び発信(農水省)
輸入事業者等による回収等について地方農政事務所等を通じて周知するとともに、事業者団体に対して通知した。(平成20年1月30日)
<今後講ずるもの>
食品に由来する危害に関する情報は地方農政局等から直ちに保健所等に連絡するとともに農林水産本省に報告し、農林水産本省から厚生労働省等へ連絡することを更に徹底するため、食品危害に関する情報の取扱を定め、地方農政局等に通知する。(平成19年度中)
④ 食品に係る危害情報の登録(内閣府)
地方公共団体に食品に係る危害情報について消費生活センターから国民生活センターの全国消費生活情報ネットワーク・システム(パイオネット)へ即日登録することを要請した。(平成20年2月13日)
[(2) 情報共有システムの改善
― 政府全体での初動情報等の共有、現場レベルも含めた情報共有のための体制整備を実施]
① 新たな体制の構築(関係府省)
<今後講ずるもの>
情報の一元化・集約体制を推進するため、関係府省において責任者として「食品危害情報総括官(仮称)」を指名し、これら食品危害情報総括官(仮称)による連絡会議を定期的に開催し、平時でも情報の共有等を図る。(平成19年度中)
② 情報共有システムの改善(内閣府)
<今後講ずるもの>
パイオネットに登録された食品に係る危害情報は、端末の設置を通じて関係省で共有するとともに、国民生活センターは、食品危害情報総括官(仮称)による連絡会議においても情報提供を行う。(平成19年度中)
③ 情報共有システムの改善(厚労省)
<今後講ずるもの>
ネットワークを使用し、厚生労働省、関係自治体等をオンラインで結んでいる「食品保健総合情報処理システム」を活用し、食中毒情報等の共有及び情報交換の迅速化を図る。(システムの改善について、平成19年度中に対応)
④ 情報共有システムの集約(関係府省)
<今後講ずるもの>
各府省が有するネットワーク間の食品安全に関する情報の集約化を検討する。(平成20年前半)
[(3) 事業者が把握した情報の行政への報告ルールの確立
― 事業者による問題把握の強化]
苦情等の情報を行政への報告ルールの確立(厚労省)
<今後講ずるもの>
苦情等の情報の行政機関への報告についてのルールを作成する。
具体的には、「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関するガイドライン」において、消費者からの健康被害や食品衛生法に違反する食品等に関する食品危害情報について、食品等事業者が保健所等へ速やかに報告する旨を追記する。(平成19年度中に改正案を作成し、意見公募手続を開始)
2.緊急時の速報体制の強化
[― 関係府省における初動情報の集約と対外提供の体制の明確化]
① 新たな体制の構築(関係府省)
<今後講ずるもの>
食品による危害に関し、緊急の対応が必要と思われる事態が発生した際に、担当大臣(国民生活)の下に食品危害情報総括官(仮称)を招集し、情報の収集・分析を行うとともに、内閣官房長官及び食品安全担当大臣等と協議の上緊急の対応を講ずる。(平成19年度中)
② 緊急対応時の訓練の実施(関係府省)
<今後講ずるもの>
緊急時対応のマニュアル作成及びこれに基づく訓練の実施に向けた検討を進める。(平成19年度中)
3.輸入加工食品の安全確保策の強化
[― 国民の食の安全・安心を守るための輸入食品の検査体制の充実等を実施]
① 輸出国政府への対応(厚労省)
<今後講ずるもの>
輸出国政府・事業者に対し、輸入食品の安全性の管理の強化及び管理状況の確認要請をする。具体的には、二国間協議及び検証のための査察体制を強化する。(原因究明の結果を踏まえ、順次実施)
② 在中国日本大使館における食品安全担当官駐在(厚労省・外務省)
<今後講ずるもの>
速やかに食品安全担当官を在中国日本大使館に駐在させる。(平成20年3月より実施)
③ 輸入食品の監視体制等の強化(厚労省)
<今後講ずるもの>
・ 検疫所に配置されている食品衛生監視員を増員し、検査機器の整備等を通じ、輸入食品の監視体制を強化する。
・ 加工食品についての残留農薬検査の対象の拡大を、以下のとおり行う(技術的観点等から可能となったものを順次実施)。
→ 冷凍加工食品に関し、一定のレベルの検査技術が確立している残留農薬について、
イ 問題となった製造業者の冷凍加工食品については、輸入の都度、残留農薬の検査を求める
ロ その他の製造業者の冷凍加工食品について、検疫所においてモニタリング検査を実施する(平成20年2月22日より、問題となった有機リン系農薬のモニタリング検査を開始)
ハ 改めて全ての輸入者に原材料及び製造・加工工程の管理の確認を求める
④ 輸入業者自身による、輸出段階での管理強化(厚労省)
内閣府・厚生労働省・農林水産省の3府省により関係団体に有毒有害物質の混入防止対策の確認を要請した。(平成20年2月1日)
<今後講ずるもの>
厚生労働省がガイドラインを策定し、輸入業者への指導を行うとともに、その他事業者に対し自主管理の推進を要請する。(平成19年度中にガイドライン案を作成し、意見公募手続を開始)
⑤ 加工食品の残留農薬に係る試験法検討・開発(厚労省)
<今後講ずるもの>
ガイドラインに基づく輸入業者の自主管理及び検疫所における監視強化に資するよう国立医薬品食品衛生研究所において加工食品の残留農薬に係る試験法について検討・開発する。(平成20年2月中に試験法に係る検討会を設置し、検討を開始。平成19年度中に試験法開発に係る工程表を作成し、これに基づき、効率的に開発に取り組み、順次公表)
⑥ 福祉施設等における注意喚起等(厚労省)
・ 社会福祉施設等に対して、中国産冷凍ギョウザが原因と疑われる健康被害事例の発生に係る注意喚起をした。(平成20年2月1日)
・ 各都道府県医政主管課、日本医師会、関連病院団体等に対して、衛生管理の徹底等を要請した。(平成20年2月14日)
⑦ 学校給食用食品の安全性(文科省)
<今後講ずるもの>
学校給食用食品について、加工食品の衛生管理や関係機関との連絡体制等の充実について再点検を実施し、「学校給食衛生管理の基準」の改正について検討を行う。(平成19年度内に改善事項の絞り込みを行い、平成20年6月を目途に改正予定)