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○割りばしに係る監視指導について

(平成19年11月13日)

(/食安監発第1113001号/食安基発第1113001号/)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長・基準審査課長通知)

割りばしに残留する防かび剤等の監視指導については、平成15年1月21日付け食監発第0121001号・食基発第0121001号「割りばしに係る監視指導について」により、貴職において実施されているところですが、今般、厚生労働科学研究費補助金食品安全確保研究事業の研究成果を踏まえ、割りばしに係る防かび剤等の残留等に係る試験法を改めるとともに、これまでの溶出実態等を踏まえ、限度値の引き下げ等を行い、下記のとおりとすることとしたので、御了知の上、運用に遺憾のないよう御配慮願います。

なお、貴職において検査を実施した場合には、防かび剤等の検出の有無にかかわらず、検査結果を別添様式にて当職あて御連絡願います。

また、平成15年1月21日付け食監発第0121001号・食基発第0121001号については、本日をもって廃止します。

1 検査

(1) 検体採取

同一と考えられるロットを特定した上で、当該ロットを代表する検体を任意の3カ所から1膳ずつ採取する。

(2) 検査項目

① 防かび剤

ア オルトフェニルフェノール(OPP)

イ チアベンダゾール(TBZ)

ウ ジフェニル(DP)

エ イマザリル

② 二酸化硫黄又は亜硫酸塩類

(3) 検査の方法

別紙1、2に示す方法又はこれらと同等以上の性能を有すると認められる試験法とする。

2 措置

試験の結果、次の場合には、当該製品の販売者(輸入者を含む)に対して当該製品が流通することのないよう自主的な措置等を講ずるよう指導すること。また、その際には、速やかに厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課あて連絡すること。(下表参考)

(1) 防かび剤

3膳のいずれかの検体において、防かび剤が検出された場合。

(2) 二酸化硫黄又は亜硫酸塩類

3検体の溶出量の平均値が1膳当たり4mgを超えた場合。(この場合、3検体の溶出量の平均値は、小数点以下第一位を四捨五入する。)

表.防かび剤等の1膳当たりの限度値

検査対象物質

1膳当たりの限度値

オルトフェニルフェノール

チアベンダゾール

ジフェニル

イマザリル

不検出

二酸化硫黄又は亜硫酸塩類

4mg(二酸化硫黄として)

(注)FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)で評価された二酸化硫黄の許容一日摂取量(ADI)0.7mg/kg体重/日を、成人(体重50kg)当たりの許容摂取量に換算した値を基に、食品添加物として摂取する量や、割りばし中に残留する二酸化硫黄濃度の調査結果を考慮して設定した。

3 その他

関係事業者に対し、製造工程においてタルクを使用する場合には、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)に定められた食品添加物の規格基準に適合するものを使用するよう指導すること。

(別添様式)

(別紙1)

防かび剤(オルトフェニルフェノール、チアベンダゾール、ジフェニル及びイマザリル)

溶出試験

1 装置

蛍光検出器付き及びUV検出器付き液体クロマトグラフを用いる。確認はガスクロマトグラフィー・質量分析計を用いる。

2 試薬・試液

オルトフェニルフェノールC6H5C6H4OH 本品はo―フェニルフェノール99%以上を含む。

チアベンダゾールC10H7N3S 本品はチアベンダゾール98%以上を含む。

ジフェニルC6H5C6H5 本品はビフェニル99.5%以上を含む。

イマザリルC14H14Cl2N2O 本品はイマザリル98%以上を含む。

ドデシル硫酸ナトリウムCH3(CH2)11OSO3Na 本試験を行うとき、試験を妨害する物質を含まないことを確認する。

オルトフェニルフェノール、チアベンダゾール及びジフェニル混合標準溶液

オルトフェニルフェノール、チアベンダゾール及びジフェニル各10mgをそれぞれメタノールに溶かし100mlとする。これら各10mlを混合し、移動相を加えて100mlとする。本液1mlはオルトフェニルフェノール、チアベンダゾール及びジフェニル各10μgを含む。

イマザリル標準溶液 イマザリル10mgをメタノールに溶かし100mlとする。その10mlを採り、移動相を加えて100mlとする。本液1mlはイマザリル10μgを含む。

3 試験溶液の調製

25ml共栓付試験管に20%エタノール20mlを入れて60℃に加温する。試料の割りばし1本(1膳の半分)を2つに切断して浸漬し、60℃に保ちながら30分間放置したのち、試料を除いてろ過し試験溶液とする。

4 操作法

(1) 検量線の作成

オルトフェニルフェノール、チアベンダゾール及びジフェニル混合標準溶液、又はイマザリル標準溶液、並びにそれらを移動相で適宜希釈した溶液を、それぞれ20μlずつ用いて次の操作条件で液体クロマトグラフィーを行い、得られた液体クロマトグラムからオルトフェニルフェノール、チアベンダゾール、ジフェニル及びイマザリルのピーク高さまたはピーク面積を求め、それぞれの検量線を作成する。

操作条件(オルトフェニルフェノール、チアベンダゾール及びジフェニル)

カラム充てん剤 オクタデシルシリル化シリカゲル

カラム 内径4.6mm、長さ250mmのステンレス管

移動相 アセトニトリル:メタノール:水の混液(5:60:35)に、最終濃度が0.01mol/lとなるようにドデシル硫酸ナトリウムを添加し、リン酸でpHを2.7に調整する。オルトフェニルフェノールが約10分で流出する流速に調節する。

カラム温度 40℃

検出器 蛍光検出器を用い、励起波長285nm、蛍光波長325nmで操作する。

操作条件(イマザリル)

操作条件(オルトフェニルフェノール、チアベンダゾール及びジフェニル)を準用する。ただし、移動相及び検出器を以下の条件とする。

移動相 メタノール:水の混液(75:25)。イマザリルが約11分で流出する流速に調節する。

検出器 紫外部吸光検出器を用い、波長230nmで操作する。

(2) 試験

試験溶液20μlを用いて、「(1)検量線の作成」の場合と同様の操作条件により液体クロマトグラフィーを行い、得られた液体クロマトグラムから各ピーク高さ又はピーク面積を求める。それぞれの検量線を用いて、試験溶液中のオルトフェニルフェノール、チアベンダゾール、ジフェニル及びイマザリルの濃度を求める。

各化合物の割りばし1膳中の溶出量(mg)

=各化合物の試験溶液濃度(μg/ml)×試験溶液量(20ml)×2/1000

(3) 定量限界

本法の定量限界は、オルトフェニルフェノール0.05μg/ml(1膳当たり0.002mg)、チアベンダゾール0.05μg/ml(1膳当たり0.002mg)、ジフェニル0.5μg/ml(1膳当たり0.02mg)及びイマザリル0.2μg/ml(1膳当たり0.008mg)である。

5 確認試験

上記において試験溶液よりピークが検出された場合には、溶出試験で用いた割りばしの残る1本をメタノールに浸漬し、60℃に保ちながら30分間放置した後、そのろ液を以下の条件によりガスクロマトグラフィー・質量分析を行い、得られたピークが当該物質の標準溶液と同じ保持時間及びマススペクトルを持つこと確認する。

操作条件

カラム 内径0.25mm、長さ30mのケイ酸ガラス製の細管に、ガスクロマトグラフィー用14%シアノプロピルフェニルポリシロキサン含有ジメチルポリシロキサンを0.25μmの厚さでコーティングしたものを用いる。

カラム温度 40℃で1分間保持後、毎分20℃で昇温して200℃とし、さらに毎分10℃で昇温し、300℃に到達後1分間保持する。

注入口温度:220℃

キャリヤーガス:ヘリウムを用いる。オルトフェニルフェノールが約10分で流出する流速に調整する。

(参考)

・ 平成15年度厚生労働科学研究費補助金 食品安全確保研究事業「食品用器具・容器包装等の安全性確保に関する研究」主任研究者 河村葉子 国立医薬品食品衛生研究所

(別紙2)

二酸化硫黄又は亜硫酸塩類

溶出試験

1 装置

電気伝導度検出器付き又はUV検出器付きのイオンクロマトグラフ又は液体クロマトグラフを用いる。

2 試薬・試液

水 精製水若しくは蒸留水に窒素ガス若しくはヘリウムガスを通気して5分間以上脱気したもの、又は用時採取の超純水を用いる。

亜硫酸水素ナトリウム NaHSO3[K8059、特級]

二酸化硫黄標準原液 亜硫酸水素ナトリウム152mgを1%トリエタノールアミン溶液に溶かして100mlとする。本液1mlは二酸化硫黄1mgを含む。

二酸化硫黄標準溶液 二酸化硫黄標準原液10mlに水を加えて100mlとする。用時調製する。本液1mlは二酸化硫黄100μgを含む。

3 試験溶液の調製

25ml共栓付試験管に水20mlを入れて95℃に加温する。試料の割りばし1本を2つに切断して浸漬し、95℃で30分間溶出を行い試料を除く。冷後、その5mlを採り水を加えて25mlとしろ過したものを試験溶液とする。

4 操作法

(1) 検量線の作成

二酸化硫黄標準溶液及びそれらを適宜水で希釈した溶液をそれぞれ50μlずつ用いて次の操作条件でイオンクロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーを行い、得られたクロマトグラムから二酸化硫黄のピーク高さまたはピーク面積を求め、それぞれの検量線を作成する

操作条件

カラム 内径4mm、長さ200mm又は内径4.6mm、長さ150mmのメタルフリー管に陰イオン交換樹脂(第四級アンモニウム)を充てんしたものを用いる。

ガードカラム 内径4mm、長さ50mm又は内径4.6mm、長さ10mmのメタルフリー管に陰イオン交換樹脂(第四級アンモニウム)を充てんしたものを用いる。

カラム温度 35℃又は40℃

移動相 カラムの種類に応じ0.1mol/l炭酸ナトリウム水溶液21ml及び0.1mol/l炭酸水素ナトリウム水溶液8ml又は0.1mol/l炭酸ナトリウム水溶液32ml及び0.1mol/l炭酸水素ナトリウム水溶液19mlをとり、水を加えて1Lとしたもの。二酸化硫黄が約12分で流出する流速に調節する。

検出器 電気伝導度検出器または波長210nmのUV検出器を用いる。

(2) 試験

試験溶液50μlを用いて(1)検量線の作成の場合と同様の操作条件によりイオンクロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーを行い、得られたクロマトグラムからピーク高さ又はピーク面積を求める。検量線を用いて試験溶液中の二酸化硫黄の濃度を求める。

割りばし1膳中の二酸化硫黄溶出量(mg)

=二酸化硫黄の試験溶液濃度(μg/ml)×試験溶液量(20ml)×5×2/1000

(3) 定量限界

本法の定量限界は、試験溶液中の二酸化硫黄の濃度として、0.6μg/ml(1膳当たり0.12mg)である。

(参考)

・ 平成15年度厚生労働科学研究費補助金 食品安全確保研究事業「食品用器具・容器包装等の安全性確保に関する研究」主任研究者 河村葉子 国立医薬品食品衛生研究所