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○塩酸メチルフェニデート製剤の使用にあたっての留意事項について
(平成19年10月26日)
(/薬食総発第1026001号/薬食審査発第1026002号/薬食安発第1026001号/薬食監麻発第1026003号/)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局総務課長、厚生労働省医薬食品局審査管理課長、厚生労働省医薬食品局安全対策課長、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知)
塩酸メチルフェニデート製剤(販売名:リタリン錠「チバ」及び1%同散「チバ」(以下、「リタリン」という。)、コンサータ錠18mg及び同錠27mg(以下、「コンサータ」という。))については、本日、リタリンの「うつ」に係る効能効果を削除する承認事項一部変更承認及びコンサータの新規承認をそれぞれ行ったところであるが、その使用にあたっては、特に下記の点について留意されるよう、貴管下の医療機関、薬局等に対して周知をお願いする。
なお、卸売一般販売業者等の販売業者に対しても適切に対応するよう指導されたい。
記
1.塩酸メチルフェニデート製剤の適正使用について
(1) リタリンの効能効果は、今回の承認事項一部変更承認によって、「ナルコレプシー」のみとなること。また、コンサータの効能効果は「注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」であること。
(2) リタリン及びコンサータについては、投薬する医師、医療機関、薬局を限定するとともに、薬局における調剤の際には、その確認の上で調剤がなされるよう、リタリンの承認事項一部変更承認及びコンサータの承認にあたり、薬事法(昭和35年法律第145号)第79条に基づく承認条件を付し、各製造販売業者に適正な流通管理の実施を義務付けたこと。
(参考:承認条件)
本剤の投与が、リタリンにあってはナルコレプシー(コンサータにあっては注意欠陥/多動性障害)の診断、治療に精通し、薬物依存を含む本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ行われるとともに、それら薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。
(3) リタリン及びコンサータの流通管理の基本は以下のとおりであること。
① 有識者(医師、薬剤師、法律の専門家等)からなる第三者委員会を設置。
② 医師・医療機関・薬局ごとに適正使用がなされるか否か同委員会で検討し、リスト化。
③ 販売は、リスト化された医師・医療機関・薬局に限定。
④ 薬局は調剤前に処方せん発行医師・医療機関がリストに掲上されているか確認。リストに無い場合は、調剤を拒否して、製造販売業者へ連絡。
なお、現在、各製造販売業者において具体的な方策が検討されており、まとまり次第、各製造販売業者から医療機関、薬局等に周知されるものであること。
また、各製造販売業者に対し、(ア)第三者委員会については、その独立性が確保されるよう必要な措置を講じること、(イ)流通管理全般について第三者委員会に報告し、その意見に基づき必要な措置を講じること、(ウ)薬剤の適正使用に係る医師等の研修にあたり、薬物依存に係る事項を充実させることを指示したこと。
(4) リタリンについては、上記の流通管理をできるだけ早く、遅くとも平成20年1月1日までに実施するとともに、それまでの間にあっては、異常な発注については納入を行わないなど、販売にあたり特段の注意を払うよう製造販売業者に指示したこと。また、コンサータについては、発売にあわせて、流通管理を実施するよう製造販売業者に指示したこと。
(5) 今回の承認事項一部変更承認に伴うリタリンの表示の訂正及び添付文書の改訂については、「再評価が終了した医療用医薬品の取扱いについて」(昭和62年7月11日付け薬発第592号厚生省薬務局長通知)及び「再評価が終了した医療用医薬品に関する監視指導上の措置について」(昭和62年7月11日付け薬監第54号厚生省薬務局監視指導課長通知)に準じ、本日から遅くとも1月以内に医療機関、薬局等に対する訂正文書の送付を完了するよう指示したこと。
2.医療機関における適正使用に関する周知事項について
(1) リタリン及びコンサータについては、上記1の流通管理が実施されること。
なお、上記1(3)②のリストへの掲載を希望する医師、医療機関については、各製造販売業者から後日配布される案内に基づき、第三者委員会における検討等に必要な手続をお願いしたいこと。
(2) リタリン又はコンサータの使用にあたっては、その効能効果、用法用量、添付文書の使用上の注意等を踏まえ、リタリンにあってはナルコレプシー、コンサータにあっては注意欠陥/多動性障害の適切な診断等を行った上で適正に処方等を行うこと。特に薬物依存の発現について十分なリスク管理を行うこと。
3.薬局における調剤に関する周知事項について
(1) リタリン及びコンサータについては、上記1の流通管理が実施されること。
なお、上記1(3)②のリストへの掲載を希望する薬局については、各製造販売業者から後日配布される案内に基づき、第三者委員会における検討等に必要な手続をお願いしたいこと。
(2) 上記1(3)②のリストに掲載された薬局において、リタリン又はコンサータに係る処方せんを受けとった薬剤師は、調剤前に、処方せんを交付した医師及び発行先の医療機関が1(3)②のリストに掲載されているかどうか確認し、リストに掲載されていなければ調剤することを拒むこと。
なお、リタリン又はコンサータを薬局間で譲渡・譲受しないようにすること。
(3) (2)に基づく確認をした上で調剤を拒むことについては、薬剤師法(昭和35年法律第146号)第21条(調剤の求めに応ずる義務)の「正当な理由」に当たるものと解されること。
なお、上記1(3)②のリストに掲載されていない薬局については、流通が制限されているため調剤できず、結果的に調剤を拒むこととなるが、これについても同様と解されること。
(4) 上記のほか、「塩酸メチルフェニデート(リタリン)その他向精神薬の適正使用、処方せんに係る疑義照会の徹底等について」(平成19年9月21日付け薬食発第0921003号厚生労働省医薬食品局長通知)の記2に基づく処方せん確認の徹底等についても留意すること。
4.その他
(1) 終末期がん患者等へのリタリンの投与について、関係学会等が薬事法に基づくいわゆる医師主導治験の実施を検討していること、医師主導治験が実施される場合、製造販売業者は通常製品と明確に区別できる形で製剤を供給する用意があることが明らかにされていること。