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○「医療機関等における医療機器の立会いに関する基準」について(依頼)

(平成18年11月10日)

(医政経発第1110001号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医政局経済課長通知)

医療機器の流通の適正化につきましては、公正な取引等を確保する観点から当職において関係業界を指導してきたほか、医療機器業界における公正な競争秩序を確保するために「医療機器業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」(平成10年公正取引委員会告示第26号)が制定され、その適正な施行を図ってきたところであります。

近年、医療機器の高度化・高性能化・IT化等に伴い、当該医療機器の適正かつ安全な使用のために医療機器事業者が医療現場に立ち入って情報提供を行う、いわゆる「立会い」が行われております。当該立会いについては、これまで具体的な基準が存在せず、公正な取引の確保及び適正な医療の提供の観点から問題となる事例がみられたことから、今般、適切な医療機器情報の提供の在り方と不適切な取引の改善に関して「医療機関等における医療機器の立会いに関する基準(以下「基準」という。)」が別添のとおり制定され、平成20年4月1日より実施されることとなりました。

貴職におかれましては、医療機器の流通の適正化の一層の推進について御理解をいただき、基準の適切な実施のため、貴管下の医療機関等に対し基準の周知するとともに、必要に応じ、これらの医療機関に対し御指導いただきますようお願い致します。

(別添)

〔立会いに関する基準〕

Ⅲ―3 医療機関等における医療機器の立会いに関する基準

公正競争規約第4条第2号に規定する医療機関等に対して提供する便益労務のうち、医療機器の立会いについては、次の基準による。

(1) 立会いの定義

ここでいう「立会い」とは、医療機関等の管理下にある患者に対して、医師等の医療担当者が診断や治療を行うに当たり、事業者がその医療現場に立ち入り、医療機器に関する情報提供や便益労務の提供を行うことをいう。ただし、在宅医療については、事業者が医療担当者、在宅患者等に対して医療機器の使用・操作方法等の情報提供や便益労務の提供を行うことをいう。

(2) 立会いに当たっては、事業者は関連法規等に抵触する行為をしてはならない。

関連法規等に係る疑義については、各事業者の責任において厚生労働省又は都道府県の担当部署へ具体的な事例を添えて問い合わせを行い、関連法規等に抵触しないことを確認した上で、実施しなければならない。

(3) 当該立会い行為が、不当な取引誘引行為と認められ、原則として提供が制限されるものは次のとおりである。

1) 医療機器の販売を目的とした立会い

2) 医療機関等に対する費用の肩代わりになる立会い

(4) 当該立会い行為自体は不当な取引誘引行為と認められず、原則として制限されないが、立会いの回数や期間が、目的別に定めた次の基準を超えて無償で行われた場合は、不当な取引誘引行為として制限される。

1) 自社の取り扱う医療機器の適正使用の確保のため、医療現場で添付文書等の記載内容(使用・操作方法の説明等を含む。)を補足的に説明するために行う次の立会い

①新規に納入した医療機器の適正使用の確保のための立会い

②既納入品のバージョンアップ等の際の適正使用の確保のための立会い(添付文書等の改訂のいかんを問わない。)

③「医療機関等に対する医療機器の貸出しに関する基準」に定める医療機器の「試用のための貸出し」の際の適正使用の確保のための立会い

④医療担当者の交代があった際の適正使用の確保のための立会い

⑤緊急時又は災害時の対応における自社の取り扱う医療機器の適正使用の確保のための立会い

無償で行うことができる立会いの回数は、①から⑤のいずれの事項についても、一つの手技につき1診療科に対し、4回を限度とする。

その期間は、①、②及び④の事項については、各事由が生じた日から4か月以内とする。③の事項については、「医療機関等に対する医療機器の貸出しに関する基準」の「試用のための貸出し」で医療機関等と取り決めた期間とする。⑤の事項は、緊急事態解消又は災害期間が終了するまでとする。

ただし、無償で行うことができる立会いの回数や期間について、別途定める必要がある医療機器については、当該医療機器を取り扱う支部からの申請に基づき、公正取引協議会が定めるものとする。

2) 自社の取り扱う医療機器の安全使用のために行う立会い

①新規納入時における立会い終了後の保証期間内(最長12か月)での安全使用の確認のための立会い

②医療機器の故障修理後の動作確認等のための立会い

③医療機器の保守点検業務契約に基づく動作確認等のための立会い

無償で行うことができる立会いの回数及び期間は、①の事項については、新規納入時の立会い終了後、月1回を限度とし、新規納入時の立会い期間を含めた保証期間内であって、かつ、12か月以内とする。②及び③の事項については、故障修理終了後又は保守点検終了後1回とする。

3) 在宅医療における医療機器の適正使用の確保と安全使用のための立会い

①医師等の医療担当者が行う患者への医療機器の使用・操作方法の説明等を補足するための立会い。

立会いは医師等の医療担当者が当該患者に医療機器の使用・操作方法の説明を行う際に医師等の医療担当者から補足的な説明を求められた場合に限り行えるものとする。

無償で行うことができる立会いの回数は、一つの医療機器につき、1診療科に対し、4回を限度とする。ただし、無償で行うことのできる立会いの回数について、別途定める必要がある医療機器については、当該医療機器を取り扱う支部からの申請に基づき、公正取引協議会が定めるものとする。

②医療機器の賃貸借及び保守点検業務に関する契約事項の履行及び医療法施行規則に準じて行う立会い

4) (4)の1)、2)及び3)で定める立会いについて、事業者は、医療機関等と文書等で取決めを行うに当たり、本基準の回数、期間等を遵守しなければならない。

(5) 立会いを行う際には、医療機関等から「立会い実施確認書」を入手しなければならない。

1) 「立会い実施確認書」の様式は、公正取引協議会の定める様式(様式4)によるものとする。

2) 受領した「立会い実施確認書」の保存期間は5年間とし、事業者が管理を行う。

(6) その他の立会いに関する事項

1) 立会いに当たって、事業者は、医療機関等の院内規則等を遵守しなければならない。

2) 立会いに当たって、事業者は、医療機関等に対し、患者又は代理人へのインフォームドコンセントが行われていることを確認しなければならない。

3) この基準に定めなき事項が発生した場合は、その都度、公正取引協議会に相談を行うこと。

附則

この運用基準は、平成20年4月1日から実施する。