添付一覧
○母子及び寡婦福祉法等の一部を改正する法律等の施行について(施行通知)
(平成15年3月31日)
(雇児発第0331020号)
(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)
母子及び寡婦福祉法等の一部を改正する法律(平成14年法律第119号)が、平成14年11月29日に公布され、母子及び寡婦福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成15年政令第150号)が、平成15年3月31日に公布され、母子及び寡婦福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令の整備に関する省令(平成15年厚生労働省令第69号)が、同月31日に公布され、これらはいずれも同年4月1日から施行されるところであるが、改正の内容は下記のとおりであるので、御了知の上、所要の事務処理に遺憾なきを期されるとともに、管内市町村長に対する周知を図られたく通知する。
なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245号の4第1項の規定に基づく技術的な助言である。
記
第1 母子及び寡婦福祉法等の一部を改正する法律関係
1 改正の趣旨
近年における離婚の急増等母子家庭等をめぐる諸状況の変化にかんがみ、母子家庭等の自立を促進するため、総合的な母子家庭等対策を推進する一環として、子育て支援の充実、就業支援の強化、扶養義務の履行の確保、児童扶養手当制度の見直し等の措置を講ずることとし、そのため、母子及び寡婦福祉法、児童扶養手当法、児童福祉法及び社会福祉法について、所要の改正を行うものであること。
2 母子及び寡婦福祉法の一部改正
(1) 扶養義務の履行
母子家庭等の児童の親は、扶養義務の履行に努めるとともに、当該児童を監護しない親の扶養義務の履行の確保に努めるものとすること。また、国及び地方公共団体は、扶養義務の履行を確保するために広報その他適切な措置を講ずるように努めなければならないものとすること(第5条関係)。
(2) 母子自立支援員
母子相談員の名称を母子自立支援員に改め、委嘱主体を都道府県知事から、都道府県知事、市長及び福祉事務所を設置する町村長(以下「都道府県知事等」という。)にまで拡大するとともに、その業務に職業能力の向上及び求職活動に関する支援を追加すること(第8条関係)。
(3) 基本方針
厚生労働大臣は、母子家庭及び寡婦の生活の安定と向上のための措置に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとすること(第11条関係)。
(4) 母子家庭及び寡婦自立促進計画
都道府県等は、基本方針に即し、母子家庭及び寡婦自立促進計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、母子福祉団体その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、その内容を公表するものとすること(第12条関係)。
(5) 母子福祉資金の貸付け
① 都道府県知事による母子福祉資金の貸付けの対象として、配偶者のない女子が現に扶養している児童及び配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものの自立の促進を図るための事業として政令で定める事業を行う母子福祉団体を追加すること(第13条及び第14条関係)。
なお、配偶者のない女子が現に扶養している児童に対して貸し付けることができる母子福祉資金は、修学資金、修業資金、就職支度資金及び就学支度資金であること。
「配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものの自立の促進を図るための事業として政令で定める事業」については、第2の1(2)を参照のこと。
また、この改正は、寡婦福祉資金の貸付けについても同様であること(第32条第1項、第3項関係)。
② 母子福祉資金貸付金のうち政令で定めるものの貸付けを受けた者が、所得の状況その他政令で定める事由により当該貸付金を償還することができなくなったと認められるときは、条例で定めるところにより、当該貸付金の償還未済額の一部を免除できるものとすること(第15条関係)。
「母子福祉資金貸付金のうち政令で定めるもの」及び「所得の状況その他政令で定める事由」については、第2の1(3)及び(4)を参照のこと。
(6) 母子家庭等日常生活支援事業及び寡婦日常生活支援事業
① 「母子家庭居宅介護等事業」の名称を「母子家庭等日常生活支援事業」に改めるとともに、当該事業の対象者として配偶者と死別した男子で現に婚姻していないもの及びこれに準ずる者であって現に児童を扶養しているものを、当該事業の実施場所として厚生労働省令で定める場所をそれぞれ追加すること(第17条関係)。
② 「寡婦居宅介護等事業」の名称を「寡婦日常生活支援事業」に改めるとともに、当該事業の実施場所として厚生労働省令で定める場所を追加すること(第33条関係)。
③ 「母子家庭等日常生活支援事業」及び「寡婦日常生活支援事業」の実施場所として厚生労働省令で定める場所については、第3の1(1)を参照のこと。
(7) 保育所への入所に関する特別の配慮
市町村は、児童福祉法の規定により保育所に入所する児童を選考する場合には、母子家庭等の福祉が増進されるように特別の配慮をしなければならないものとすること(第28条関係)。
(8) 雇用の促進
① 国及び地方公共団体は、就職を希望する母子家庭の母及び児童の雇用の促進を図るため、事業主その他国民一般の理解を高めるとともに、公共的施設における雇入れの促進等必要な措置を講ずるように努めるものとすること(第29条第1項関係)。
② 公共職業安定所は、母子家庭の母の雇用の促進を図るため、求人に関する情報の収集及び提供、母子家庭の母を雇用する事業主に対する援助その他必要な措置を講ずるように努めるものとすること(第29条第2項関係)。
(9) 母子家庭就業支援事業及び寡婦就業支援事業
① 都道府県は、就職を希望する母子家庭の母及び児童の雇用の促進を図るため、母子福祉団体と緊密な連携を図りつつ、母子家庭就業支援事業を総合的かつ一体的に行うことができるものとすること(第30条関係)。
② 都道府県は、就職を希望する寡婦の雇用の促進を図るため、母子福祉団体と緊密な連携を図りつつ、寡婦就業支援事業を総合的かつ一体的に行うことができるものとすること(第35条関係)。
(10) 母子家庭自立支援給付金
都道府県等は、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものの雇用の安定及び就職の促進を図るため、政令で定めるところにより、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの又は事業主に対し、母子家庭自立支援給付金を支給することができるものとすること(第31条関係)。
母子家庭自立支援給付金の種類や支給要件については、第2の1(6)を、支給手続については、第3の1(2)から(4)をそれぞれ参照のこと。
(11) 費用
① 市町村は、自ら行う母子家庭等日常生活支援事業及び寡婦日常生活支援事業の実施並びに母子家庭自立支援給付金の支給に要する費用を支弁するものとすること(第42条関係)。
② 都道府県は、自ら行う母子家庭等日常生活支援事業、母子家庭等就業支援事業、寡婦日常生活支援事業及び寡婦就業支援事業の実施並びに母子家庭自立支援給付金の支給に要する費用を支弁するとともに、市町村が支弁する母子家庭等日常生活支援事業及び寡婦日常生活支援事業の実施に要する費用のうちその4分の1以内を補助することができるものとすること(第43条及び第44条関係)。
③ 国は、市町村又は都道府県が支弁する費用のうち、母子家庭等日常生活支援事業、母子家庭就業支援事業、寡婦日常生活支援事業及び寡婦就業支援事業の実施に要する費用についてはその2分の1以内を、母子家庭自立支援給付金の支給に要する費用についてはその4分の3以内を、それぞれ補助することができるものとすること(第45条関係)。
3 児童扶養手当法の一部改正
(1) 児童扶養手当の趣旨
児童扶養手当(以下「手当」という。)の趣旨として、手当の支給を受けた母は、自ら進んでその自立を図り、家庭の生活の安定と向上に努めなければならない旨を追加すること(第2条第2項関係)。
(2) 認定
受給資格及び手当の額についての認定の請求は、手当の支給要件に該当するに至った日から起算して5年を経過したときはすることができない旨の規定を削除すること(第6条第2項関係)。
(3) 支給の制限
① 母である受給資格者の監護する児童が父から当該児童の養育に必要な費用の支払を受けたときは、受給資格者が当該費用の支払を受けたものとみなして、受給資格者の所得の額を計算するものとすること(第9条第2項関係)。
② 母である受給資格者に対する手当は、受給資格者が認定の請求をした月(以下「支給開始月」という。)の初日から5年を経過したとき又は手当の支給要件に該当するに至った月の初日から7年を経過したとき(認定の請求をした日において3歳未満の児童を監護する受給資格者にあっては、当該児童が3歳に達した月の翌月の初日から5年を経過したとき)は、政令で定めるところにより、その一部を支給しないものとすること。ただし、当該支給しない額は、当該受給資格者に支払うべき手当の額の2分の1に相当する額を超えることができないものとすること(第13条の2第1項関係)。
なお、この減額の割合を定める政令は、この法律の施行後における子育て支援策、就労支援策、養育費の確保策及び経済的支援策の状況並びに離婚の状況等を勘案し、この規定が現実に適用される平成20年4月1日までに、十分な時間的余裕をもって定める予定であること。
③ ②の期間を経過した後において、当該受給資格者が身体上の障害がある場合等には、その該当している期間は、②の支給制限を適用しないものとすること(第13条の2第2項関係)。
④ 手当の全部又は一部を支給しないことができる事由として、母である受給資格者が、正当な理由がなくて、求職活動その他厚生労働省令で定める自立を図るための活動をしなかったとき等を追加すること(第13条関係)。
なお、この場合の「正当な理由」としては、子育て、親の介護、受給者本人又は監護する児童の疾病、障害などの事由により、これらの活動をしないことについてやむを得ない事由があることを意味すること。すなわち、「正当な理由がなくて、求職活動その他自立を図るための活動をしなかった」として、この規定により支給停止とすることができるのは、受給資格者本人の能力、環境等からみてこれらの活動をすることが十分可能であるにもかかわらず、あえてこれらの活動をしないという極めて例外的な場合に限定されるものであること。
「求職活動その他厚生労働省令で定める自立を図るための活動」については、第3の2を参照のこと。
また、この規定を適用するに当たっては、プライバシーに十分配慮すること。
(4) 相談及び情報提供等
都道府県知事等は、手当の認定の請求をした者又は受給資格者に対し、相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うものとすること(第28条の2関係)。
4 児童福祉法の一部改正
(1) 子育て短期支援事業の実施
子育て短期支援事業とは、保護者の疾病その他の理由により家庭において養育を受けることが一時的に困難となった児童について、児童養護施設その他の施設に入所させ、必要な保護を行う事業をいい、市町村は、厚生労働省令で定めるところにより、子育て短期支援事業を行うことができるものとすること(第6条の2第13項及び第34条の8関係)。
(2) 費用
市町村が支弁する子育て短期支援事業の実施に要する費用のうち、都道府県はその4分の1以内を、国はその2分の1以内を、それぞれ補助できるものとすること(第51条、第53条の2及び第55条の2関係)。
5 社会福祉法の一部改正
児童福祉法に規定する子育て短期支援事業を第二種社会福祉事業に追加するほか、2(6)の改正に伴う所要の規定の整備を行うこと(第2条第3項第2号及び第3号関係)。
6 施行期日等
(1) 施行期日
この法律は、平成15年4月1日から施行すること(附則第1条関係)。
(2) 経過措置
① 母子及び寡婦福祉法の一部改正に伴う経過措置(附則第2条関係)
ア この法律の施行の際現に委嘱されている母子相談員は、母子自立支援員として委嘱されたものとみなすこと。
イ この法律の施行の際現に母子家庭等日常生活支援事業又は寡婦日常生活支援事業を行っている者又は休止している者であって、母子家庭居宅介護等事業又は寡婦居宅介護等事業に係る届出を行っているものについては、改正後の母子及び寡婦福祉法の規定による届出を行ったものとみなすこと。
ウ この法律の施行前にされた母子家庭居宅介護等事業又は寡婦居宅介護等事業の制限又は停止の命令は、母子家庭等日常生活支援事業又は寡婦日常生活支援事業の制限又は停止を命ずる処分とみなすこと。
② 児童扶養手当法の一部改正に伴う経過措置
ア 第6条第2項削除に関する経過措置(附則第3条関係)
この法律の施行の際現にこの法律による改正前の児童扶養手当法(以下「旧法」という。)第6条第2項(5年間の請求期限の規定)に該当する者については、この規定はなお効力を有すること。
すなわち、この法律が施行される平成15年4月1日時点において、既に手当の支給要件に該当するに至った日から5年を経過している場合には、従前どおり、手当の請求をすることができないこと。
イ 第13条の2に関する経過措置(附則第4条関係)
(a) この法律の施行の際現に旧法により認定を受けている者又は旧法の規定により認定の請求をし施行日以後にこの法律による改正後の児童扶養手当法(以下「新法」という。)の規定による認定を受けた者について、新法第13条の2の規定を適用する場合には、「支給開始月の初日から起算して5年又は手当の支給要件に該当するに至った日の属する月の初日から起算して7年を経過したとき(認定の請求をした日において3歳未満の児童を監護する受給資格者にあっては、当該児童が3歳に達した月の翌月の初日から5年を経過したとき)」とあるのは、「平成15年4月1日から起算して5年を経過したとき(同日において3歳未満の児童を監護する受給資格者にあっては、当該児童が3歳に達した月の翌月の初日から5年を経過したとき)」とすること(第1項関係)。
(b) この法律の施行の際現に旧法の規定による支給要件に該当する者であってこの法律の施行日以後に新法の規定による認定の請求をしたものについて、新法第13条の2の規定を適用する場合には、「手当の支給要件に該当するに至った日の属する月の初日」とあるのは、「平成15年4月1日」とすること(第2項関係)。
(c) すなわち、この法律の施行日までに既に認定を受けている者や、施行日までに認定請求をし施行日以後に認定を受けた者、施行日までに支給要件に該当し施行日以後に認定請求をした者については、新法第13条の2における5年又は7年の起算点を、いずれも「平成15年4月1日」とするものであること。
(3) 検討
政府は、この法律の施行の状況を勘案し、母子家庭等の児童の福祉の増進を図る観点から、母子家庭等の児童の親の当該児童についての扶養義務の履行を確保するための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること(附則第6条関係)。
第2 母子及び寡婦福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令関係
1 母子及び寡婦福祉法施行令の一部改正
(1) 母子福祉資金貸付金等の充実(限度額の拡大等)
① 技能習得期間中の生活資金貸付けについて、技能習得資金との併せ貸しを要件としないこととすること(第3条第3項、第32条第3項)。
また、その貸付限度額を月10万3000円から月14万1000円に拡大すること(第7条第8号イ、第36条第8号イ)。
② 修学資金について、貸付限度額を拡大すること(第7条第3号ロ、第32条第3号ロ)。
ア 自宅から通学の場合 月額76,500円から79,500円に拡大
イ 自宅外から通学の場合 月額91,500円から94,500円に拡大
③ 医療介護資金について、貸付限度額を拡大(270,000円から310,000円に拡大)すること(第7条第7号イ、第32条第7号イ)。
④ 就学支度資金について、貸付限度額を拡大すること(第7条第11号、第32条第11号)。
ア 私立高校等に進学する場合 250,000円から300,000円に拡大
イ 私立大学等に進学する場合 390,000円から450,000円に拡大
(2) 母子福祉資金貸付金の貸付けの対象となる母子福祉団体が行う母子家庭又は寡婦の自立の促進を図るための事業として政令で定めるものとして、母子家庭又は寡婦を対象とする以下の事業を規定すること(第6条第2項)。
① 職業紹介事業
② 第1種社会福祉事業及び第2種社会福祉事業
③ 労働者派遣事業
④ その他厚生労働大臣が定める事業
この「厚生労働大臣が定める事業」としては、厚生労働省告示において、「信用保証業」及び「母子家庭の母又は寡婦の家庭生活又は職業生活に関する相談に応ずる事業(カウンセリング業)」を別途定めるものであること。
なお、この「厚生労働大臣が定める事業」や第6条第1項第8号の「その他厚生労働大臣が定める事業」については、今後、各方面からの意見を聴いて拡大していきたいと考えているので、積極的に提案されたいこと。
(3) 減免の対象となる母子福祉資金貸付金として、特例児童扶養資金を規定すること(第21条)。
(4) 都道府県が条例により特例児童扶養資金を減免できる事由として、死亡、精神又は身体に著しい障害を受けた場合を規定すること(第22条)。
なお、母子及び寡婦福祉法第15条に、この減免できる事由として「所得の状況」が規定されているが、この「所得の状況」とは、特例児童扶養資金の償還日において、当該配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものの所得が児童扶養手当の全額支給水準未満(母1人、子1人の場合:所得57万円未満)であること。
(5) 配偶者と死別した男子で現に婚姻をしていないものに準ずる者として、「離婚した男子であつて現に婚姻をしていないもの」等を規定すること(第25条)。
(6) 母子自立支援給付金として、常用雇用転換奨励給付金、自立支援教育訓練給付金及び高等職業訓練促進給付金の3種類を規定し、それぞれについて、支給要件等を定めること(第27条から第31条まで)。
① 常用雇用転換奨励給付金関係(第28条)
ア 常用雇用転換奨励給付金は、事業主が、以下の要件に該当する場合に支給するものであること(第1項)。
(a) 雇用対策法第2条に規定する職業紹介機関(公共職業安定所又は職業安定法の規定により許可を受け又は届出をした職業紹介事業者)の紹介を受けて、前年(1月から7月までに申請する場合には前々年。以下同じ。)の所得が児童扶養手当支給水準未満(母1人、子1人の場合、所得が230万円未満)である配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの(以下「対象女子」という。)との間で、期間の定めのある労働契約を締結したこと。
(b) 当該対象女子に対し、必要な職業訓練を行った上、(a)の期間の定めのある労働契約の期間の初日から起算して6か月を経過するまでに、当該対象女子との間で期間の定めのない労働契約を締結したこと。
(c) (b)の後、一般被保険者として厚生労働大臣に届け出て、引き続き6か月以上雇用したこと。
なお、一般被保険者としての雇用は、当初の期間の定めのある労働契約に基づいて行っていたものであっても、その後の期間の定めのない労働契約に基づいて新たに行うものであっても差し支えないこと。
イ 常用雇用転換奨励給付金の額は、対象女子1人当たり30万円であること(第3項)。
② 自立支援教育訓練給付金関係(第29条)
ア 自立支援教育訓練給付金は、次の要件のいずれにも該当する配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの(以下「受給資格者」という。)が、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として都道府県知事等(都道府県知事、市長(特別区の区長を含む。)及び福祉事務所を管理する町村長)が指定するものを受け、その教育訓練を修了した場合に支給するものであること(第1項)。
(a) 前年の所得が児童扶養手当支給水準未満(母1人、子1人の場合、所得が230万円未満)であること。
(b) 雇用保険法の規定による教育訓練給付金の支給を受けることができないこと。
イ 自立支援教育訓練給付金の額は、受給資格者が教育訓練の受講のために支払った費用(入学料及び授業料に限る。)の額の40パーセントに相当する額(その額が20万円を超えるときは、20万円)であること(第3項)。
ウ 自立支援教育訓練給付金は、イにより算定された額が8000円を超えないときは、支給しないこと(第4項)。
③ 高等職業訓練促進給付金関係(第30条)
ア 高等職業訓練促進給付金は、前年の所得が児童扶養手当支給水準未満(母1人、子1人の場合、所得が230万円未満)である配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの(以下「受給資格者」という。)が、就職を容易にするために必要な資格として都道府県知事等が定めるものを取得するため養成機関において2年以上修業する場合に支給するものであること(第1項)。
イ 高等職業訓練促進給付金の額は、月額10万3000円とすること(第2項)。
ウ 高等職業訓練促進給付金の支給期間は、受給資格者が養成機関において修業する期間の3分の1に相当する期間(その期間が12か月を超えるときは、12か月)を超えない期間とすること(第3項)。
④ ①から③までに定めるほか、母子家庭自立支援教育訓練給付金の支給の手続その他の必要な事項は、厚生労働省令で定めること(第4項)。
(7) 都道府県又は国が補助を行う場合の額について定めること(第45条)。
2 児童扶養手当法施行令の一部改正
(1) 受給資格者(母に限る。)が支払を受けたものとみなす費用の額を、当該受給資格者の監護する児童がその父から支払を受けた当該児童の養育に必要な費用の8割に相当する額とすること(第2条の4第3項)。
なお、施行日である平成15年4月1日において現に受給中である受給者については、平成15年度の現況届提出の際にこの規定に基づいた所得の計算を行えばよく、施行日の段階でこの規定に基づく所得の再計算をする必要はないこと。
(2) 所得による手当の支給制限を考慮する場合の所得の範囲から、「母子自立支援給付金」に係る所得を除くこと(第3条第1項、第4条第1項)。
3 児童福祉法施行令の一部改正
子育て短期支援事業について国及び都道府県が補助を行う場合の額について定めること(第18条の2第3号)。
4 その他
「地方自治法施行令」、「住宅金融公庫法施行令」、「地方公務員等共済組合法施行令」、「指定都市、中核市又は特例市の指定があつた場合における必要な事項を定める政令」、「北海道防寒住宅建設等促進法施行令」、「沖縄の復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令」、「児童扶養手当法施行令及び母子及び寡婦福祉法施行令の一部を改正する政令」の規定について、所要の整備を行うこと。
第3 母子及び寡婦福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令の整備に関する省令関係
1 母子及び寡婦福祉法施行規則の一部改正関係
(1) 母子家庭等(寡婦)日常生活支援事業の実施場所として、
① 家庭生活支援員の居宅
② 母子家庭の母等が職業訓練を受けている場所
③ そのほか、母子家庭等(寡婦)日常生活支援事業における便宜を適切に供与することができる場所
を規定すること(第1条の3、第6条の17)。
なお、「便宜を適切に供与することができる場所」としては、母子生活支援施設、児童館などが想定されること。
(2) 常用雇用転換奨励給付金の支給手続を次のとおり定めること(第6条の2から第6条の5まで)。
① 常用雇用転換奨励金の支給を受けようとする事業主(以下「受給希望事業主」という。)は、雇用対策法(昭和41年法律第132号)第2条に規定する職業紹介機関(公共職業安定所や許可を受け又は届出をして職業紹介事業を行っている者)の紹介を受けて期間の定めのある労働契約を締結した配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの(以下「対象女子」という。)の住所地を管轄する都道府県知事等に対し、当該期間の定めのある労働契約を締結した後速やかに、当該対象女子に対して行う職業訓練の内容及び方法を定めた計画(以下「職業訓練計画」という。)を提出しなければならないこと(第6条の2第1項)。
② この職業訓練計画の提出には、
ア 当該期間の定めのある労働契約に係る契約書の写し
イ 当該対象女子及びその扶養している児童の戸籍の謄本又は抄本及びこれらの者の属する世帯全員の住民票の写し
ウ 当該対象女子の児童扶養手当証書の写し(当該対象女子が児童扶養手当受給者である場合)又は当該対象女子の前年(1月から7月までの間に申請する場合にあつては、前々年とする。以下同じ。)の所得の額並びに児童扶養手当法第9条第1項又は第9条の2に規定する扶養親族等(以下「扶養親族等」という。)の有無及び数並びに所得税法(昭和40年法律第33号)に規定する老人控除対象配偶者、老人親族及び特定扶養親族の有無及び数についての市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の証明書を添付しなければならないこと(第6条の2第2項)。
エ その他都道府県知事等が必要と認める書類等
なお、都道府県知事等は、アからエまでの書類等により証明すべき事実を公簿等によって確認することができるときは、当該書類等を省略することができること(第6条の16)。
③ 受給希望事業主は、対象女子に対し、職業訓練を行うに当たっては、職業訓練計画に即して行わなければならないこと(第6条の3)。
④ 支給の申請は、当該対象女子との間で期間の定めのない労働契約の期間の初日から起算して6か月を経過した日(以下「常用雇用転換期間経過日」という。)以後に、当該対象女子の住所地を管轄する都道府県知事等にしなければならないこと(第6条の4第1項)。
⑤ 支給の申請には、
ア 職業訓練に関する当該事業主の報告書
イ 当該期間の定めのない労働契約に係る契約書の写し
ウ 当該対象女子の雇用保険被保険者証の写し
エ 当該対象女子及びその扶養している児童の戸籍の謄本又は抄本及びこれらの者の属する世帯全員の住民票の写し
オ 当該対象女子の児童扶養手当証書の写し又は当該対象女子の前年の所得の額並びに扶養親族等の有無及び数並びに所得税法に規定する老人控除対象配偶者、老人親族及び特定扶養親族の有無及び数についての市町村長の証明書
カ その他都道府県知事等が必要と認める書類等
を添付しなければならないこと(第6条の4第2項)。
なお、都道府県知事等は、アからカまでの書類等により証明すべき事実を公簿等によって確認することができるときは、当該書類等を省略することができること(第6条の16)。
⑥ 支給の申請は、常用雇用転換期間経過日の属する月の翌月の末日までにしなければならないこと。ただし、やむを得ない事由があるときは、この限りではないこと(第6条の4第3項)。
⑦ 都道府県知事等は、支給の申請があった場合には、当該受給希望事業主が支給要件に該当しているかどうかを調査して、速やかに、常用雇用転換奨励給付金を支給し、又はしないことの決定を行わなければならないこと(第6条の5第1項)。
また、都道府県知事等は、この決定を行つたときは、遅滞なく、その旨を当該受給希望事業主に通知しなければならないこと(第6条の5第2項)。
(3) 自立支援教育訓練給付金の手続を次のとおり定めること(第6条の6から第6条の9まで)。
① 自立支援教育訓練給付金の支給を受けようとする配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの(以下「受給希望者」という。)は、その住所地を管轄する都道府県知事等に、受けるべき教育訓練講座の指定の申請をしなければならないこと(第6条の6第1項)。
② 指定の申請には、
ア 当該受給希望者及びその扶養している児童の戸籍の謄本又は抄本及びこれらの者の属する世帯全員の住民票の写し
イ 当該受給希望者の児童扶養手当証書の写し(当該受給希望者が児童扶養手当受給者の場合)又は当該受給希望者の前年の所得の額並びに児童扶養手当法第9条第1項又は第9条の2に規定する扶養親族等の有無及び数並びに所得税法に規定する老人控除対象配偶者、老人親族及び特定扶養親族の有無及び数についての市町村長の証明書
を添付しなければならないこと(第6条の6第2項)。
なお、都道府県知事等は、ア及びイの書類等により証明すべき事実を公簿等によって確認することができるときは、当該書類等を省略することができること(第6条の16)。
③ 都道府県知事等は、指定の申請があった場合には、当該受給希望者が当該教育訓練講座を受けることがその雇用の安定及び就職の促進を図るために必要であるかどうかを調査して、速やかに、教育訓練講座の指定をしなければならないこと(第6条の7第1項)。
また、都道府県知事等は、教育訓練講座の指定をしたときは、遅滞なく、その旨を当該受給希望者に通知しなければならないこと(第6条の7第2項)。
④ 自立支援教育訓練給付金の支給の申請は、指定された教育訓練講座(以下「指定講座」という。)修了後に、住所地を管轄する都道府県知事等にしなければならないこと(第6条の8第1項)。
⑤ 支給の申請には、
ア 当該受給希望者及びその扶養している児童の戸籍の謄本又は抄本及びこれらの者の属する世帯全員の住民票の写し
イ 当該受給希望者の児童扶養手当証書の写し(当該受給希望者が児童扶養手当受給者の場合)又は当該受給希望者の前年の所得の額並びに児童扶養手当法第9条第1項又は第9条の2に規定する扶養親族等の有無及び数並びに所得税法に規定する老人控除対象配偶者、老人親族及び特定扶養親族の有無及び数についての市町村長の証明書
ウ 都道府県知事等の指定通知書
エ 当該指定講座の修了証明書の写し
オ 当該指定講座の入学料及び授業料の領収書の写し
を添付しなければならないこと(第6条の8第2項)。
なお、都道府県知事等は、アからオまでの書類等により証明すべき事実を公簿等によって確認することができるときは、当該書類等を省略することができること(第6条の16)。
⑥ 支給の申請は、当該指定講座を修了した日から起算して30日以内にしなければならないこと。ただし、やむを得ない事由があるときは、この限りではないこと(第6条の8第3項)。
⑦ 都道府県知事等は、支給の申請があった場合には、当該受給希望者が支給要件に該当しているかどうかを調査して、速やかに、自立支援教育訓練給付金の支給をし、又はしないことの決定を行わなければならないこと(第6条の9第1項)。
また、都道府県知事等は、この決定を行ったときは、遅滞なく、その旨を当該受給希望者に通知しなければならないこと(第6条の9第2項)。
(4) 高等職業訓練促進給付金の手続を次のとおり定めること(第6条の10から第6条の15)。
① 高等職業訓練促進給付金の支給の申請は、養成機関において修業する期間の3分の2に相当する期間を経過した日以後に、住所地を管轄する都道府県知事等にしなければならないこと(第6条の10第1項)。
② 支給の申請には、
ア 高等職業訓練促進給付金の支給を受けようとする配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの(以下「受給希望者」という。)及びその扶養している児童の戸籍の謄本又は抄本及びこれらの者の属する世帯全員の住民票の写し
イ 当該受給希望者の児童扶養手当証書の写し(当該受給希望者が児童扶養手当受給者の場合)又は当該受給希望者の前年の所得の額並びに児童扶養手当法第9条第1項又は第9条の2に規定する扶養親族等の有無及び数並びに所得税法に規定する老人控除対象配偶者、老人親族及び特定扶養親族の有無及び数についての市町村長の証明書
ウ 養成機関における在籍に関する証明書(以下「在籍証明書」という。)
エ 養成機関における修得単位証明書
を添付しなければならないこと(第6条の10第2項)。
なお、都道府県知事等は、アからエまでの書類等により証明すべき事実を公簿等によって確認することができるときは、当該書類等を省略することができること(第6条の16)。
③ 都道府県知事等は、支給の申請があった場合には、当該受給希望者が支給要件に該当しているかどうかを調査して、速やかに、高等職業訓練促進給付金の支給をし、又はしないことの決定を行わなければならないこと(第6条の11第1項)。
また、都道府県知事等は、この決定を行ったときは、遅滞なく、その旨を当該受給希望者に通知しなければならないこと(第6条の11第2項)。
④ 高等職業訓練促進給付金の支給は、受給希望者が支給の申請をした日の属する月の翌月から始め、支給すべき事由が消滅した日の属する月で終わること(第6条の12)。
⑤ 高等職業訓練促進給付金の支給を受けている配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの(以下「受給者」という。)は、支給要件に該当しなくなったときは、速やかに、都道府県知事等に届け出なければならないこと(第6条の13)。
⑥ 都道府県知事等は、受給者の養成機関における在籍状況又は出席状況を確認するために必要があると認めるときは、当該受給者に対し、在籍証明書の提出又は出席状況の報告を求めることができること(第6条の14第1項)。
また、都道府県知事等は、受給者の所得の状況を確認するため必要があると認めるときは、当該受給者に対し、児童扶養手当証書又は所得の額等についての市町村長の証明書の提出を求めることができること(第6条の14第2項)。
⑦ 都道府県知事等は、受給者が支給要件に該当しなくなったときは、支給決定を取り消さなければならないこと(第6条の15第1項)。
また、都道府県知事等は、この決定を行ったときは、遅滞なく、その旨を当該受給者に通知しなければならないこと(第6条の15第2項)。
2 児童扶養手当法施行規則の一部改正関係
児童扶養手当法第14条第5号(求職活動懈怠による支給停止)に規定する「求職活動その他厚生労働省令で定める自立を図るための活動」として、「職業訓練を受けていることその他職業能力の開発及び向上を図るための活動をしていること」を規定すること(第24条の3)。
なお、この規定を適用する場合の注意点については、第1の3(3)④を参照のこと。
3 児童福祉法施行規則の一部改正関係
(1) 子育て短期支援事業の種類として、
① 短期入所生活援助事業(ショートステイ)
② 夜間養護等事業(トワイライトステイ)
を定めること(第1条の5の2)。
(2) 短期入所生活援助事業とは、保護者が疾病、疲労、育児疲れ、看病疲れなどの身体上、精神上又は環境上の理由により家庭において児童を養育することが一時的に困難となった場合において、市町村長が適当と認めたときに、(4)に掲げる施設において必要な保護を行う事業をいうこと(第1条の5の3第1項)。
この保護の期間は、原則として7日以内であること。ただし、市町村長は、必要があると認めるときは、その期間を延長することができること(第1条の5の3第2項)。
(3) 夜間養護等事業とは、保護者が仕事その他の理由により平日の夜間又は休日に不在となり家庭において児童を養育することが困難となった場合や緊急の必要がある場合において、市町村長が適当と認めたときに、(4)に掲げる施設において必要な保護を行う事業をいうこと(第1条の5の4第1項)。
この保護の期間は、保護者が仕事その他の理由により不在となる期間又は緊急の必要がなくなるまでの間とすること。ただし、市町村長は、必要があると認めるときは、その期間を延長することができること(第1条の5の4第2項)。
(4) 子育て短期支援事業を実施する施設は、
① 乳児院
② 母子生活支援施設
③ 児童養護施設
④ その他保護を適切に行うことができる施設
であること(第1条の5の5)。
なお、「その他保護を適切に行うことができる施設」とは、保育所などが想定されること。
4 その他
「雇用対策法施行規則」、「雇用保険法施行規則」、「福祉の措置及び保育の実施等の解除に係る説明等に関する省令」について、所要の規定の整備を行うこと。