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○母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律等の施行について

(平成5年12月24日)

(児発第1034号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省児童家庭局長通知)

標記については、「母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律等の施行について(平成五年十二月二十四日厚生省発児第一六〇号、各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生事務次官通知)」が通知されたところであるが、母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律の施行に当たっては、同通知によるほか、次の事項に留意のうえ、遺憾のないよう取り扱われたい。

また、母子及び寡婦福祉法の改正に伴う政省令の整備と併せて、地方税法の一部改正に伴う寡婦福祉資金の貸付けに係る所得制限規定の整理及び規制緩和の観点からの居宅介護等事業に係る届出に関する規定の整理を行ったので、併せて通知する。

なお、この通知では、母子及び寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)を「法」と、母子及び寡婦福祉法施行令(昭和三十九年政令第二百二十四号)を「令」と、母子及び寡婦福祉法施行規則(昭和三十九年厚生省令第三十二号)を「規則」と、母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律(平成五年法律第四十八号)を「改正法」と略称する。

第一 福祉資金貸付金に関する事項

1 福祉資金特別会計の設置

(1) 現在、母子福祉資金貸付金に係る特別会計(以下「母子福祉資金特別会計」という。)と寡婦福祉資金貸付金に係る特別会計(以下「寡婦福祉資金特別会計」という。)を設置している都道府県(指定都市を含む。以下同じ。)にあっては、これらを廃止し、新たに法第十九条の五第一項の規定による母子福祉資金貸付金及び寡婦福祉資金貸付金(以下「福祉資金貸付金」と総称する。)に係る特別会計(以下「福祉資金特別会計」という。)を設置する必要があること。

また、今後、都道府県が新たに母子福祉資金又は寡婦福祉資金の貸付業務を開始する場合には、福祉資金特別会計を設置しなければならないこと。(法第十九条の五第一項)

(2) 母子福祉資金と寡婦福祉資金は、単一の特別会計で運営されることとなるが、両資金の貸付制度は独立しているものであり、それぞれの資金需要を的確に把握した上で、予算編成及び貸付けを行うこと。

(3) 福祉資金特別会計の歳入は、都道府県の一般会計からの繰入金、国からの借入金、福祉資金貸付金の償還金(元金のほか利子、違約金、納付金等を含む。)、福祉資金特別会計に繰り入れられている金額に伴う預金利子等であり、一方、歳出は、貸付金、貸付けに関する事務に要する費用、国への償還金及び一般会計への繰入金に限定されるものであること。(法第十九条の五第二項)

(4) 毎年度の福祉資金特別会計の決算上剰余金を生じたときは、これを当該年度の翌年度の福祉資金特別会計の歳入に繰り入れなければならないこと。(法第十九条の五第三項)

(5) 貸付けに関する事務に要する費用は、貸付金の利子、違約金、納付金及び納付金の延滞金のうち、当該会計年度において収納済となったものの三分の二に相当する額と事務費に充当するための一般会計からの繰入金の額との合計額を超えてはならないこと。(法第十九条の五第四項、令第三十一条及び第三十二条)

なお、事務費に充当した収納済の利子等については、職員等に要する費用(俸給、給料、諸手当)を除いた貸付けに関する事務に必要な旅費、庁費、会議費等に充てられることを予定しているものであること。また、貸付事務費の使途として、本貸付制度の周知とともに、償還事務の適正化についても留意すること。

2 国の貸付け

(1) 国は、法第十九条の六第一項の規定により、福祉資金特別会計に対し、都道府県が福祉資金貸付金の財源として福祉資金特別会計に繰り入れる金額の二倍に相当する金額を貸し付けるものであること。

(2) 都道府県が国の貸付けを受ける際の申請手続きについては、規則第十条の規定によること。

3 国からの借入金の償還

(1) 国からの借入金の償還については、これまで貸付事業を廃止した場合に限られていたが、今回の改正により、当該年度の前々年度(以下「基準年度」という。)以前三年度の各年度の福祉資金貸付金の貸付実績の平均額の二倍の金額を基準額とし、基準年度における福祉資金特別会計の決算上の剰余金の額がこれを超える場合についても、その超える額に、アのイに対する割合を乗じて得た額を償還しなければならないこととしたこと。(法第十九条の六第二項、令第三十三条第一項)

ア 基準年度までの国からの借入金の総額

イ 都道府県が基準年度までに福祉資金貸付金の財源として福祉資金特別会計に繰り入れた金額の総額と基準年度までの国からの借入金の総額との合計額

(2) (1)にかかわらず、次の場合における基準額については、それぞれ次に定める額とすること。(令第三十三条第一項ただし書)

ア 基準年度の前々年度以降の年度に母子福祉資金貸付金又は寡婦福祉資金貸付金の貸付業務を開始又は廃止した場合

基準年度の翌々年度の貸付金額の見込額、基準年度以前の年度の貸付実績等を勘案して厚生大臣が定める額

イ 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第二十条第一項の規定に基づき、激甚災害による被災者に対する貸付金の財源として、基準年度以前三年度の各年度において福祉資金特別会計に繰入れを行った場合

基準年度以前三年度における福祉資金貸付金の貸付額及び被災者に対する貸付金額、被災者に対する貸付金の財源として福祉資金特別会計に繰り入れた金額等を勘案して厚生大臣が定める額

(3) (1)の場合以外に、福祉資金貸付金の貸付業務に支障が生じない限りにおいて、国からの借入金の一部を任意に償還することができること。(法第十九条の六第四項)

(4) 都道府県は、貸付金の一部を償還した場合、過去に福祉資金特別会計に繰り入れた金額の一部を一般会計に繰り入れることができること。(法第十九条の六第五項)

この一般会計への繰入れは、国に償還した金額にアのイに対する割合を乗じて得た額を限度とするものであること。(令第三十四条第一項)

ア 都道府県が基準年度までに福祉資金貸付金の財源として福祉資金特別会計に繰り入れた金額の総額

イ 基準年度までの国からの借入金の総額

また、この一般会計への繰入れは、国に償還を行った年度内に行うこと。(令第三十四条第二項)

(5) (1)及び(4)中、「基準年度までの国からの借入金の総額」は、基準年度以前に国に償還した額を除いた額であり、「都道府県が基準年度までに福祉資金貸付金の財源として福祉資金特別会計に繰り入れた金額の総額」は、基準年度以前に都道府県が一般会計に繰り入れた額を除いた額であること。

(6) (1)及び(4)の国への償還の手続きについては、規則第十二条第一項の規定によること。

(7) 福祉資金貸付金の貸付業務を廃止した場合は、法第十九条の六第六項及び令第三十五条の規定により、国に償還しなければならないこと。

また、この償還の手続きは、規則第十二条第二項の規定によること。

なお、母子福祉資金貸付金、寡婦福祉資金貸付金のいずれか一方の貸付業務を引き続き行う場合は、これに該当しないこと。

4 経過措置

(1) 平成五年度の母子福祉資金特別会計の剰余金及び寡婦福祉資金特別会計の剰余金については、平成六年度の福祉資金特別会計の歳入に繰り入れること。(改正法附則第三条)

(2) 2(1)、(2)及び3(4)において、都道府県が平成五年度以前に母子福祉資金貸付金の財源として母子福祉資金特別会計に繰り入れた繰入金及び寡婦福祉資金貸付金の財源として寡婦福祉資金特別会計に繰り入れた繰入金は、福祉資金貸付金の財源として福祉資金特別会計に繰り入れた繰入金とみなすこと。(改正法附則第五条)

また、平成五年度以前の母子福祉資金特別会計及び寡婦福祉資金特別会計の国からの借入金は、福祉資金特別会計の国からの借入金とみなすこと。(改正法附則第六条)

(3) 平成六年度及び平成七年度においては、3(1)中「福祉資金特別会計の決算上の剰余金の額」とあるのは「母子福祉資金特別会計の決算上の剰余金の額と寡婦福祉資金特別会計の決算上の剰余金の額との合計額」とすること。(改正法附則第七条)

第二 母子家庭及び寡婦に対する専門的な助言、指導等を行う事業に関する事項

(1) 今回の法律改正により、母子家庭及び寡婦が社会的、経済的に自立するため必要となる金銭貸借等に関する問題や事業経営上の問題に対する相談、指導等、法律、財務等に関する専門的知識を要する問題について、母子家庭及び寡婦に対して助言、指導等を行う事業が、居宅介護等事業として位置付けられたこと。(法第十四条及び第十九条の三第一項)

なお、従来より実施されている昭和四十八年五月二十三日児発第四一六号本職通知「母子家庭及び寡婦自立促進対策事業について」に基づく特別相談事業は、本事業に該当すること。

(2) 本事業は、第二種社会福祉事業となり、次のような措置が受けられること。

ア 専ら本事業の用に供する不動産、施設等が地方税法上の非課税措置の対象となること。

イ 共同募金の配分が受けられること。

ウ 都道府県から事業を受託する母子福祉団体の社会福祉法人化が可能となること。

(3) 都道府県又は市町村が、母子家庭及び寡婦に対して、専門的知識をもって行う生活及び生業に関する助言及び指導その他これに附帯する便宜を供与する場合には、当該便宜の受け手の現に日常生活等に支障が生じている状況に応じて適切な便宜を供与し、又は当該便宜を供与することを委託して行うものであること。(令第二十三条の二及び第三十条)

(4) 各都道府県母子寡婦福祉連合会等平成六年一月一日において都道府県の委託を受けて本事業を実施している者は、同年三月三十一日までに規則第二条の三第一項及び第二条の八第一項に規定する事項について都道府県知事に届出を行う必要があるため、その旨母子寡婦福祉連合会等に周知方図られたいこと。(改正法附則第二条)

また、同年一月一日以降に新たに事業を実施しようとする者については、届出が必要となること。(法第十五条及び第十九条の三第二項)

なお、今回併せて居宅介護等事業について、規則緩和の観点から、平成六年四月一日より、事業開始の際の届出事項を簡素化するとともに、届出事項を変更する場合に、事前の届出を義務付けていたのを、事後の届出で足りることとしたこと。(規則第四条)

第三 その他

従来、令第二十六条第二項の規定により、扶養する子等のない寡婦が地方税法附則第三十三条の二第二項(みなし法人課税の規定の適用を受ける者の地方税法上の総所得金額の特例規定)の適用を受ける者である場合は、寡婦福祉資金の貸付けの所得制限の規定の適用に当たって、当該寡婦の総所得金額は、特例規定の適用を受けないものとして算定することとされていたが、地方税法の一部改正により、平成六年四月一日をもってこの特例規定が廃止されることに伴い、令第二十六条第二項中の該当部分を削除したこと。

なお、同年四月一日から同年五月三十一日までの間に、扶養する子等のない寡婦であって、平成四年の所得についてみなし法人課税の規定の適用を受けたものから、寡婦福祉資金の貸付けの申請があった場合、所得制限の規定の適用に当たっては、従来と同様の方法で総所得金額を算定すること。(母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成五年政令第三百七十八号)附則第二項)

第四 通知の削除

昭和三十九年八月五日児発第六八三号本職通知「母子福祉法の施行について」中「第二 資金の貸付け」の「7 特別会計」及び「8 国の貸付け」並びに昭和五十七年四月五日児発第二七九号本職通知「母子福祉法の一部を改正する法律等の施行について」中「第三 寡婦福祉資金特別会計の設置」並びに「第四 国の債権の管理」の1及び3の部分については、平成六年三月三十一日をもって削除すること。