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○「機械の包括的な安全基準に関する指針」の改正について

(平成19年7月31日)

(基発第0731001号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

機械の包括的な安全基準に関する指針(以下「指針」という。)については、平成13年6月1日付け基発第501号「機械の包括的な安全基準に関する指針について」(以下「501号通達」という。)により公表し、その周知を図ってきたところであるが、先般、労働安全衛生法(以下「法」という。)が改正され、危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置の実施が努力義務化されたこと、また、機械類の安全性に関する国際規格等が制定されたこと等を踏まえ、機械の製造段階から使用段階にわたる一層の安全確保を図るため、同指針を別添のとおり改正したので、下記に留意の上、機械の設計、製造、改造等又は輸入(以下「製造等」という。)を行う者及び機械を労働者に使用させる事業者に対し、本指針の周知を図るとともに、必要な指導等を行うことにより、機械による労働災害の一層の防止に努められたい。

また、関係事業者団体に対しても別紙1及び別紙2により本指針の周知等を図るよう協力を要請したので了知されたい。

なお、501号通達は、本通達をもって廃止する。

1 指針の目的について

指針は、すべての機械に適用できる包括的な安全確保の方策に関する基準を示したものであり、機械の製造等を行う者及び機械を労働者に使用させる事業者の両者が、この指針に従って機械の安全化を図っていくことを目的としたものであること。

指針においては、安全な機械の製造等及び機械の安全な使用に当たって行うべき具体的な保護方策を示しているが、保護方策はこれに限定されるものではなく、機械の製造等を行う者及び機械を労働者に使用させる事業者は、個々の機械の危険性又は有害性等に応じて、有効と考えられる保護方策を行うことが必要であること。

2 指針に基づく機械の安全化の手順について

本指針に基づく機械の安全化の手順は、別図に示すとおりであること。

3 機械の製造等を行う者の実施事項について

(1) 機械の製造等を行う者が実施すべき保護方策について

ア 機械の安全化を図るためには、まず機械の製造等を行う者が、製造等を行う機械に係る危険性又は有害性等の調査を実施し、適切なリスクの低減が達成されているかどうかを検討し、その結果に基づいて保護方策を実施することが必要であること。

イ 保護方策の実施に当たっては、リスクの低減が確実に行われる保護方策を優先して実施することが重要であり、指針第2の6の(1)の優先順位に従い、機械を操作する労働者の知識、安全意識等に頼らない設備上の保護方策を優先して行うことにより、適切なリスクの低減を達成する必要があり、コストが上昇する又は操作性が低下する等の理由から安易に優先順位の低い保護方策に頼ることは適当ではないこと。

(2) 使用上の情報の提供について

ア 機械の安全確保の方策は、機械の製造等を行う者によって十分に行われることが原則であるが、機械の製造等を行う者による保護方策で除去又は低減できなかった残留リスクについては、使用上の情報に含めて提供すべきものとしていること。

イ 機械を労働者に使用させる事業者が法第28条の2に規定する危険性又は有害性等の調査等を適切に実施するためには、機械の製造等を行う者から当該機械の使用について必要な情報が提供されることが不可欠であることから、指針第2の6の(1)のウに従い、機械の製造等を行う者が、当該機械を譲渡又は貸与される者に対し、使用上の情報を適切な方法により提供することが重要であること。

4 機械を労働者に使用させる事業者の実施事項について

(1) 機械を労働者に使用させる事業者においては、当該機械の製造等を行う者から提供される使用上の情報を確認し、法第28条の2の規定による機械に係る危険性又は有害性等の調査を実施するとともに、調査の結果に基づく適切な保護方策を検討し実施することが必要であること。

(2) 保護方策の優先順位については、指針第3の8の(1)のとおりであり、コストが上昇する又は操作性が低下する等の理由から安易に優先順位の低い保護方策に頼ることは適当ではないこと。

(別図)

(別紙1)

○「機械の包括的な安全基準に関する指針」の改正について

(平成19年7月31日)

(基発第0731002号)

((別紙の機械を使用する関係団体の長)あて厚生労働省労働基準局長通知)

労働基準行政の推進につきましては、日頃より格別の御協力を賜り厚く御礼申し上げます。

さて、機械による労働災害は、休業4日以上の労働災害全体の約3割を占めており、死亡災害、身体に障害を残す災害等重篤な災害も少なくなく、依然として労働災害防止上の重要な課題となっております。

このような機械による労働災害を防止するため、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)において、危険性の高い機械を対象として、厚生労働大臣の定める規格を具備しなければならないこと、機械の使用に際して労働者の危険を防止するための必要な措置を講ずべきこと等を定めるとともに、事業場内において使用される機械は多岐にわたること等から、すべての機械に適用できる包括的な安全方策等に関する基準として、平成13年6月に「機械の包括的な安全基準に関する指針」を公表し、その普及を図ってきたところです。

その後、平成17年の労働安全衛生法等の一部改正により、危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)及びその結果に基づく措置の実施が事業者の努力義務として規定されたこと、また、機械類の安全性に関する国際規格が制定されたこと等を踏まえて、機械による労働災害をさらに減少させていくため、今般、別添のとおり本指針を改正しました。

つきましては、機械による労働災害の一層の防止を図るため、貴会におかれましても、傘下の関係事業者に対し、本指針の周知、普及について、特段の御配慮を賜りますようお願いいたします。

(※) 別添省略

(別紙の機械を使用する関係団体)

NO

団体等名称

1

全国商工会連合会

2

日本商工会議所

3

社団法人日本経済団体連合会

4

全国中小企業団体中央会

5

日本麻紡績協会

6

日本紡績協会

7

社団法人日本鉄鋼連盟

8

日本鋳鍛鋼会

9

日本フェロアロイ協会

10

社団法人日本造船協力事業者団体連合会

11

日本鉱業協会

12

社団法人日本金属プレス工業協会

13

社団法人全日本鍛造協会

14

日本製紙連合会

15

全国段ボール工業組合連合会

16

社団法人日本ガス協会

17

社団法人日本エルピーガス連合会

18

電気事業連合会

19

社団法人日本電気協会

20

社団法人全国火薬類保安協会

21

日本火薬工業会

22

日本ゴム工業会

23

石油連盟

24

石油化学工業協会

25

社団法人日本プラントメンテナンス協会

26

社団法人日本化学工業協会

27

日本化学繊維協会

28

化成品工業協会

29

日本肥料アンモニア協会

30

日本無機薬品協会

31

社団法人セメント協会

32

全国生コンクリート工業組合連合会

33

社団法人林業機械化協会

34

社団法人日本溶接協会

35

社団法人日本保安用品協会

36

社団法人日本塗装工業会

37

財団法人全国安全会議

38

社団法人日本砕石協会

39

社団法人日本建設業団体連合会

40

社団法人日本建設機械化協会

41

社団法人全国登録教習機関協会

42

社団法人日本ボイラ整備据付協会

43

社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会

44

社団法人日本作業環境測定協会

45

社団法人建設荷役車両安全技術協会

46

社団法人産業安全技術協会

47

社団法人ボイラ・クレーン安全協会

48

社団法人日本クレーン協会

49

社団法人日本ボイラ協会

50

鉱業労働災害防止協会

51

林業・木材製造業労働災害防止協会

52

港湾貨物運送事業労働災害防止協会

53

陸上貨物運送事業労働災害防止協会

54

建設業労働災害防止協会

55

中央労働災害防止協会

56

(社)水門鉄管協会

57

全国作業工具工業組合

58

ダイヤモンド工業協会

59

超硬工具協会

60

社団法人日本鋳造協会

61

日本機械鋸・刃物工業会

62

日本工具工業会

63

日本チエーン工業会

64

(社)日本時計協会

65

(社)日本ねじ工業協会

66

(社)日本歯車工業会

67

(社)日本ばね工業会

68

(社)日本バルブ工業会

69

社団法人日本ベアリング工業会

70

日本労働組合総連合会

(別紙2)

○「機械の包括的な安全基準に関する指針」の改正について

(平成19年7月31日)

(基発第0731003号)

((別紙の機械の製造を行う関係団体の長)あて厚生労働省労働基準局長通知)

労働基準行政の推進につきましては、日頃より格別の御協力を賜り厚く御礼申し上げます。

さて、機械による労働災害は、休業4日以上の労働災害全体の約3割を占めており、死亡災害、身体に障害を残す災害等重篤な災害も少なくなく、依然として労働災害防止上の重要な課題となっております。

このような機械による労働災害を防止するため、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)において、危険性の高い機械を対象として、厚生労働大臣の定める規格を具備しなければならないこと、機械の使用に際して労働者の危険を防止するための必要な措置を講ずべきこと等を定めるとともに、事業場内において使用される機械は多岐にわたること等から、すべての機械に適用できる包括的な安全方策等に関する基準として、平成13年6月に「機械の包括的な安全基準に関する指針」を公表し、その普及を図ってきたところです。

その後、平成17年の労働安全衛生法等の一部改正により、危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)及びその結果に基づく措置の実施が事業者の努力義務として規定されたこと、また、機械類の安全性に関する国際規格が制定されたこと等を踏まえて、機械による労働災害をさらに減少させていくため、今般、別添のとおり本指針を改正しました。

つきましては、製造段階における機械の安全化が図られることが、機械による労働災害防止上重要であることから、貴会におかれましては、傘下の関係事業場に対して本指針の周知、普及について、特段の御配慮を賜りますようお願いいたします。

(※) 別添省略

(別紙の機械の製造を行う関係団体)

NO

団体等名称

1

社団法人日本機械工業連合会

2

有限責任中間法人カメラ映像機器工業会

3

情報通信ネットワーク産業協会

4

(社)全国木工機械工業会

5

(社)電子情報技術産業協会

6

(社)日本印刷産業機械工業会

7

(社)日本エレベータ協会

8

(社)日本計量機器工業連合会

9

社団法人日本建設機械工業会

10

(社)日本航空宇宙工業会

11

(社)日本工作機械工業会

12

(社)日本工作機器工業会

13

社団法人日本産業機械工業会

14

(社)日本産業車両協会

15

日本試験機工業会

16

社団法人日本自動車工業会

17

(社)日本自動車部品工業会

18

(社)日本食品機械工業会

19

(社)日本精密測定機器工業会

20

(社)日本繊維機械協会

21

社団法人日本造船工業会

22

(社)日本鍛圧機械工業会

23

社団法人日本鉄道車輌工業会

24

(社)日本電気計測器工業会

25

社団法人日本電機工業会

26

(社)日本電気制御機器工業会

27

(社)日本農業機械工業会

28

(社)日本舶用工業会

29

(社)日本フルードパワー工業会

30

(社)日本分析機器工業会

31

(社)日本縫製機械工業会

32

(社)日本包装機械工業会

33

(社)日本防衛装備工業会

34

(社)日本陸用内燃機関協会

35

(社)日本冷凍空調工業会

36

社団法人日本ロボット工業会

37

(社)ビジネス機械・情報システム産業協会

38

社団法人日本中・小型造船工業会

(別添)

機械の包括的な安全基準に関する指針

第1 趣旨等

1 趣旨

機械による労働災害の一層の防止を図るには、機械を労働者に使用させる事業者において、その使用させる機械に関して、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第28条の2第1項の規定に基づく危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置が適切かつ有効に実施されるようにする必要がある。

また、法第3条第2項において、機械その他の設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者は、機械が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するよう努めなければならないとされているところであり、機械の設計・製造段階においても危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置(以下「調査等」という。)が実施されること並びに機械を使用する段階において調査等を適切に実施するため必要な情報が適切に提供されることが重要である。

このため、機械の設計・製造段階及び使用段階において、機械の安全化を図るため、すべての機械に適用できる包括的な安全確保の方策に関する基準として本指針を定め、機械の製造等を行う者が実施に努めるべき事項を第2に、機械を労働者に使用させる事業者において法第28条の2の調査等が適切かつ有効に実施されるよう、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(平成18年危険性又は有害性等の調査等に関する指針公示第1号。以下「調査等指針」という。)の1の「機械安全に関して厚生労働省労働基準局長の定める」詳細な指針を第3に示すものである。

2 適用

本指針は、機械による危険性又は有害性(機械の危険源をいい、以下単に「危険性又は有害性」という。)を対象とし、機械の設計、製造、改造等又は輸入(以下「製造等」という。)を行う者及び機械を労働者に使用させる事業者の実施事項を示す。

3 用語の定義

本指針において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 機械 連結された構成品又は部品の組合せで、そのうちの少なくとも一つは機械的な作動機構、制御部及び動力部を備えて動くものであって、特に材料の加工、処理、移動、梱包等の特定の用途に合うように統合されたものをいう。

(2) 保護方策 機械のリスク(危険性又は有害性によって生ずるおそれのある負傷又は疾病の重篤度及び発生する可能性の度合をいう。以下同じ。)の低減(危険性又は有害性の除去を含む。以下同じ。)のための措置をいう。これには、本質的安全設計方策、安全防護、付加保護方策、使用上の情報の提供及び作業の実施体制の整備、作業手順の整備、労働者に対する教育訓練の実施等及び保護具の使用を含む。

(3) 本質的安全設計方策 ガード又は保護装置(機械に取り付けることにより、単独で、又はガードと組み合わせて使用する光線式安全装置、両手操作制御装置等のリスクの低減のための装置をいう。)を使用しないで、機械の設計又は運転特性を変更することによる保護方策をいう。

(4) 安全防護 ガード又は保護装置の使用による保護方策をいう。

(5) 付加保護方策 労働災害に至る緊急事態からの回避等のために行う保護方策(本質的安全設計方策、安全防護及び使用上の情報以外のものに限る。)をいう。

(6) 使用上の情報 安全で、かつ正しい機械の使用を確実にするために、製造等を行う者が、標識、警告表示の貼付、信号装置又は警報装置の設置、取扱説明書等の交付等により提供する指示事項等の情報をいう。

(7) 残留リスク 保護方策を講じた後に残るリスクをいう。

(8) 機械の意図する使用 使用上の情報により示される、製造等を行う者が予定している機械の使用をいい、設定、教示、工程の切替え、運転、そうじ、保守点検等を含むものであること。

(9) 合理的に予見可能な誤使用 製造等を行う者が意図していない機械の使用であって、容易に予見できる人間の挙動から行われるものをいう。

第2 機械の製造等を行う者の実施事項

1 製造等を行う機械の調査等の実施

機械の製造等を行う者は、製造等を行う機械に係る危険性又は有害性等の調査(以下単に「調査」という。)及びその結果に基づく措置として、次に掲げる事項を実施するものとする。

(1) 機械の制限(使用上、空間上及び時間上の限度・範囲をいう。)に関する仕様の指定

(2) 機械に労働者が関わる作業等における危険性又は有害性の同定(機械による危険性又は有害性として例示されている事項の中から同じものを見い出して定めることをいう。)

(3) (2)により同定された危険性又は有害性ごとのリスクの見積り及び適切なリスクの低減が達成されているかどうかの検討

(4) 保護方策の検討及び実施によるリスクの低減

(1)から(4)までの実施に当たっては、同定されたすべての危険性又は有害性に対して、別図に示すように反復的に実施するものとする。

2 実施時期

機械の製造等を行う者は、次の時期に調査等を行うものとする。

ア 機械の設計、製造、改造等を行うとき

イ 機械を輸入し譲渡又は貸与を行うとき

ウ 製造等を行った機械による労働災害が発生したとき

エ 新たな安全衛生に係る知見の集積等があったとき

3 機械の制限に関する仕様の指定

機械の製造等を行う者は、次に掲げる機械の制限に関する仕様の指定を行うものとする。

ア 機械の意図する使用、合理的に予見可能な誤使用、労働者の経験、能力等の使用上の制限

イ 機械の動作、設置、保守点検等に必要とする範囲等の空間上の制限

ウ 機械、その構成品及び部品の寿命等の時間上の制限

4 危険性又は有害性の同定

機械の製造等を行う者は、次に掲げる機械に労働者が関わる作業等における危険性又は有害性を、別表第1に例示されている事項を参照する等して同定するものとする。

ア 機械の製造の作業(機械の輸入を行う場合を除く。)

イ 機械の意図する使用が行われる作業

ウ 運搬、設置、試運転等の機械の使用の開始に関する作業

エ 解体、廃棄等の機械の使用の停止に関する作業

オ 機械に故障、異常等が発生している状況における作業

カ 機械の合理的に予見可能な誤使用が行われる作業

キ 機械を使用する労働者以外の者(合理的に予見可能な者に限る。)が機械の危険性又は有害性に接近すること

5 リスクの見積り等

(1) 機械の製造等を行う者は、4で同定されたそれぞれの危険性又は有害性ごとに、発生するおそれのある負傷又は疾病の重篤度及びそれらの発生の可能性の度合いをそれぞれ考慮して、リスクを見積もり、適切なリスクの低減が達成されているかどうか検討するものとする。

(2) リスクの見積りに当たっては、それぞれの危険性又は有害性により最も発生するおそれのある負傷又は疾病の重篤度によってリスクを見積もるものとするが、発生の可能性が低くても予見される最も重篤な負傷又は疾病も配慮するよう留意すること。

6 保護方策の検討及び実施

(1) 機械の製造等を行う者は、3から5までの結果に基づき、法令に定められた事項がある場合はそれを必ず実施するとともに、適切なリスクの低減が達成されていないと判断した危険性又は有害性について、次に掲げる優先順位により、機械に係る保護方策を検討し実施するものとする。

ア 別表第2に定める方法その他適切な方法により本質的安全設計方策を行うこと。

イ 別表第3に定める方法その他適切な方法による安全防護及び別表第4に定める方法その他適切な方法による付加保護方策を行うこと。

ウ 別表第5に定める方法その他適切な方法により、機械を譲渡又は貸与される者に対し、使用上の情報を提供すること。

(2) (1)の検討に当たっては、本質的安全設計方策、安全防護又は付加保護方策を適切に適用すべきところを使用上の情報で代替してはならないものとする。

また、保護方策を行うときは、新たな危険性又は有害性の発生及びリスクの増加が生じないよう留意し、保護方策を行った結果これらが生じたときは、当該リスクの低減を行うものとする。

7 記録

機械の製造等を行う者は、実施した機械に係る調査等の結果について次の事項を記録し、保管するものとする。

仕様や構成品の変更等によって実際の機械の条件又は状況と記録の内容との間に相異が生じた場合は、速やかに記録を更新すること。

ア 同定した危険性又は有害性

イ 見積もったリスク

ウ 実施した保護方策及び残留リスク

第3 機械を労働者に使用させる事業者の実施事項

1 実施内容

機械を労働者に使用させる事業者は、調査等指針の3の実施内容により、機械に係る調査等を実施するものとする。

この場合において、調査等指針の3(1)は、「機械に労働者が関わる作業等における危険性又は有害性の同定」と読み替えて実施するものとする。

2 実施体制等

機械を労働者に使用させる事業者は、調査等指針の4の実施体制等により機械に係る調査等を実施するものとする。

この場合において、調査等指針の4(1)オは「生産・保全部門の技術者、機械の製造等を行う者等機械に係る専門的な知識を有する者を参画させること。」と読み替えて実施するものとする。

3 実施時期

機械を労働者に使用させる事業者は、調査等指針の5の実施時期の(1)のイからオまで及び(2)により機械に係る調査等を行うものとする。

4 対象の選定

機械を労働者に使用させる事業者は、調査等指針の6により機械に係る調査等の実施対象を選定するものとする。

5 情報の入手

機械を労働者に使用させる事業者は、機械に係る調査等の実施に当たり、調査等指針の7により情報を入手し、活用するものとする。

この場合において、調査等指針の7(1)イは「機械の製造等を行う者から提供される意図する使用、残留リスク等別表第5の1に掲げる使用上の情報」と読み替えて実施するものとする。

6 危険性又は有害性の同定

機械を労働者に使用させる事業者は、使用上の情報を確認し、次に掲げる機械に労働者が関わる作業等における危険性又は有害性を、別表第1に例示されている事項を参照する等して同定するものとする。

ア 機械の意図する使用が行われる作業

イ 運搬、設置、試運転等の機械の使用の開始に関する作業

ウ 解体、廃棄等の機械の使用の停止に関する作業

エ 機械に故障、異常等が発生している状況における作業

オ 機械の合理的に予見可能な誤使用が行われる作業

カ 機械を使用する労働者以外の者(合理的に予見可能な場合に限る。)が機械の危険性又は有害性に接近すること

7 リスクの見積り等

(1) 機械を労働者に使用させる事業者は、6で同定されたそれぞれの危険性又は有害性ごとに、調査等指針の9の(1)のアからウまでに掲げる方法等により、リスクを見積もり、適切なリスクの低減が達成されているかどうか及びリスクの低減の優先度を検討するものとする。

(2) 機械を労働者に使用させる事業者は、(1)のリスクの見積りに当たり、それぞれの危険性又は有害性により最も発生するおそれのある負傷又は疾病の重篤度によってリスクを見積もるものとするが、発生の可能性が低くても、予見される最も重篤な負傷又は疾病も配慮するよう留意するものとする。

8 保護方策の検討及び実施

(1) 機械を労働者に使用させる事業者は、使用上の情報及び7の結果に基づき、法令に定められた事項がある場合はそれを必ず実施するとともに、適切なリスクの低減が達成されていないと判断した危険性又は有害性について、次に掲げる優先順位により、機械に係る保護方策を検討し実施するものとする。

ア 別表第2に定める方法その他適切な方法による本質的安全設計方策のうち、機械への加工物の搬入・搬出又は加工の作業の自動化等可能なものを行うこと。

イ 別表第3に定める方法その他適切な方法による安全防護及び別表第4に定める方法その他適切な方法による付加保護方策を行うこと。

ウ ア及びイの保護方策を実施した後の残留リスクを労働者に伝えるための作業手順の整備、労働者教育の実施等を行うこと。

エ 必要な場合には個人用保護具を使用させること。

(2) (1)の検討に当たっては、調査等指針の10の(2)及び(3)に留意するものとする。

また、保護方策を行う際は、新たな危険性又は有害性の発生及びリスクの増加が生じないよう留意し、保護方策を行った結果これらが生じたときは、当該リスクの低減を行うものとする。

9 記録

機械を労働者に使用させる事業者は、機械に係る調査等の結果について、調査等指針の11の(2)から(4)まで並びに実施した保護方策及び残留リスクについて記録し、使用上の情報とともに保管するものとする。

10 注文時の配慮事項等

機械を労働者に使用させる事業者は、別表第2から別表第5までに掲げる事項に配慮した機械を採用するものとし、必要に応じ、注文時の条件にこれら事項を含めるものとする。

また、使用開始後に明らかになった当該機械の安全に関する知見等を製造等を行う者に伝達するものとする。

別表第1 機械の危険性又は有害性

1 機械的な危険性又は有害性

2 電気的な危険性又は有害性

3 熱的な危険性又は有害性

4 騒音による危険性又は有害性

5 振動による危険性又は有害性

6 放射による危険性又は有害性

7 材料及び物質による危険性又は有害性

8 機械の設計時における人間工学原則の無視による危険性又は有害性

9 滑り、つまずき及び墜落の危険性又は有害性

10 危険性又は有害性の組合せ

11 機械が使用される環境に関連する危険性又は有害性

別表第2 本質的安全設計方策

1 労働者が触れるおそれのある箇所に鋭利な端部、角、突起物等がないようにすること。

2 労働者の身体の一部がはさまれることを防止するため、機械の形状、寸法等及び機械の駆動力等を次に定めるところによるものとすること。

(1) はさまれるおそれのある部分については、身体の一部が進入できない程度に狭くするか、又ははさまれることがない程度に広くすること。

(2) はさまれたときに、身体に被害が生じない程度に駆動力を小さくすること。

(3) 激突されたときに、身体に被害が生じない程度に運動エネルギーを小さくすること。

3 機械の運動部分が動作する領域に進入せず又は危険性又は有害性に接近せずに、当該領域の外又は危険性又は有害性から離れた位置で作業が行えるようにすること。例えば、機械への加工物の搬入(供給)・搬出(取出し)又は加工等の作業を自動化又は機械化すること。

4 機械の損壊等を防止するため、機械の強度等については、次に定めるところによること。

(1) 適切な強度計算等により、機械各部に生じる応力を制限すること。

(2) 安全弁等の過負荷防止機構により、機械各部に生じる応力を制限すること。

(3) 機械に生じる腐食、経年劣化、摩耗等を考慮して材料を選択すること。

5 機械の転倒等を防止するため、機械自体の運動エネルギー、外部からの力等を考慮し安定性を確保すること。

6 感電を防止するため、機械の電気設備には、直接接触及び間接接触に対する感電保護手段を採用すること。

7 騒音、振動、過度の熱の発生がない方法又はこれらを発生源で低減する方法を採用すること。

8 電離放射線、レーザー光線等(以下「放射線等」という。)の放射出力を機械が機能を果たす最低レベルに制限すること。

9 火災又は爆発のおそれのある物質は使用せず又は少量の使用にとどめること。また、可燃性のガス、液体等による火災又は爆発のおそれのあるときは、機械の過熱を防止すること、爆発の可能性のある濃度となることを防止すること、防爆構造電気機械器具を使用すること等の措置を講じること。

10 有害性のない又は少ない物質を使用すること。

11 労働者の身体的負担の軽減、誤操作等の発生の抑止等を図るため、人間工学に基づく配慮を次に定めるところにより行うこと。

(1) 労働者の身体の大きさ等に応じて機械を調整できるようにし、作業姿勢及び作業動作を労働者に大きな負担のないものとすること。

(2) 機械の作動の周期及び作業の頻度については、労働者に大きな負担を与えないものとすること。

(3) 通常の作業環境の照度では十分でないときは、照明設備を設けることにより作業に必要な照度を確保すること。

12 制御システムの不適切な設計等による危害を防止するため、制御システムについては次に定めるところによるものとすること。

(1) 起動は、制御信号のエネルギーの低い状態から高い状態への移行によること。また、停止は、制御信号のエネルギーの高い状態から低い状態への移行によること。

(2) 内部動力源の起動又は外部動力源からの動力供給の開始によって運転を開始しないこと。

(3) 機械の動力源からの動力供給の中断又は保護装置の作動等によって停止したときは、当該機械は、運転可能な状態に復帰した後においても再起動の操作をしなければ運転を開始しないこと。

(4) プログラム可能な制御装置にあっては、故意又は過失によるプログラムの変更が容易にできないこと。

(5) 電磁ノイズ等の電磁妨害による機械の誤動作の防止及び他の機械の誤動作を引き起こすおそれのある不要な電磁エネルギーの放射の防止のための措置が講じられていること。

13 安全上重要な機構や制御システムの故障等による危害を防止するため、当該機構や制御システムの部品及び構成品には信頼性の高いものを使用するとともに、当該機構や制御システムの設計において、非対称故障モードの構成品の使用、構成品の冗長化、自動監視の使用等の方策を考慮すること。

14 誤操作による危害を防止するため、操作装置等については、次に定める措置を講じること。

(1) 操作部分等については、次に定めるものとすること。

ア 起動、停止、運転制御モードの選択等が容易にできること。

イ 明瞭に識別可能であり、誤認のおそれがある場合等必要に応じて適切な表示が付されていること。

ウ 操作の方向とそれによる機械の運動部分の動作の方向とが一致していること。

エ 操作の量及び操作の抵抗力が、操作により実行される動作の量に対応していること。

オ 危険性又は有害性となる機械の運動部分については、意図的な操作を行わない限り操作できないこと。

カ 操作部分を操作しているときのみ機械の運動部分が動作する機能を有する操作装置については、操作部分から手を放すこと等により操作をやめたときは、機械の運動部分が停止するとともに、当該操作部分が直ちに中立位置に戻ること。

キ キーボードで行う操作のように操作部分と動作との間に一対一の対応がない操作については、実行される動作がディスプレイ等に明確に表示され、必要に応じ、動作が実行される前に操作を解除できること。

ク 保護手袋又は保護靴等の個人用保護具の使用が必要な場合又はその使用が予見可能な場合には、その使用による操作上の制約が考慮されていること。

ケ 非常停止装置等の操作部分は、操作の際に予想される負荷に耐える強度を有すること。