添付一覧
○食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法の一部改正について
(平成19年8月9日)
(食安発第0809001号)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)
今般、農薬、飼料添加物及び動物用医薬品に関する試験法に係る知見の集積等を踏まえ、「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について」(平成17年1月24日付け食安発第0124001号当職通知。以下「試験法通知」という。)の別添の一部を下記のとおり改正することとしたので、関係者への周知方よろしくお願いする。
なお、改正後の試験法を実施するに際しては、試験法通知別添の第1章総則部分を参考とされたい。
記
1.目次を別添1のとおり改める。なお、改正部分を下線で示す。
2.第3章個別試験法の「アルジカルブ、エチオフェンカルブ、オキサミル、カルバリル、ピリミカーブ、フェノブカルブ及びベンダイオカルブ試験法」を別添2のとおり改める。なお、改正部分を下線で示す。
[別添1]
目次
第1章 総則
第2章 一斉試験法
・GC/MSによる農薬等の一斉試験法(農産物)
・LC/MSによる農薬等の一斉試験法Ⅰ(農産物)
・LC/MSによる農薬等の一斉試験法Ⅱ(農産物)
・GC/MSによる農薬等の一斉試験法(畜水産物)
・LC/MSによる農薬等の一斉試験法(畜水産物)
・HPLCによる動物用医薬品等の一斉試験法Ⅰ(畜水産物)
・HPLCによる動物用医薬品等の一斉試験法Ⅱ(畜水産物)
・HPLCによる動物用医薬品等の一斉試験法Ⅲ(畜水産物)
第3章 個別試験法
・ BHC、γ―BHC、DDT、アルドリン及びディルドリン、エタルフルラリン、エトリジアゾール、キントゼン、クロルデン、ジコホール、テクナゼン、テトラジホン、テフルトリン、トリフルラリン、ハルフェンプロックス、フェンプロパトリン、ヘキサクロロベンゼン、ヘプタクロル、ベンフルラリン並びにメトキシクロール試験法
・ 2,4―D、2,4―DB及びクロプロップ試験法
・ 2,2―DPA試験法
・ DCIP試験法
・ DBEDC試験法
・ EPN、アニロホス、イサゾホス、イプロベンホス、エチオン、エディフェンホス、エトプロホス、エトリムホス、カズサホス、キナルホス、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、クロルフェンビンホス、シアノホス、ジスルホトン、ジメチルビンホス、ジメトエート、スルプロホス、ダイアジノン、チオメトン、テトラクロルビンホス、テルブホス、トリアゾホス、トリブホス、トルクロホスメチル、パラチオン、パラチオンメチル、ピペロホス、ピラクロホス、ピラゾホス、ピリダフェンチオン、ピリミホスメチル、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンスルホチオン、フェンチオン、フェントエート、ブタミホス、プロチオホス、プロパホス、プロフェノホス、ブロモホス、ベンスリド、ホキシム、ホサロン、ホスチアゼート、ホスファミドン、ホスメット、ホレート、マラチオン、メカルバム、メタクリホス、メチダチオン及びメビンホス試験法
・ EPTC試験法
・ MCPA及びジカンバ試験法
・ Sec―ブチルアミン試験法
・ アクリナトリン、シハロトリン、シフルトリン、シペルメトリン、デルタメトリン及びトラロメトリン、ビフェントリン、ピレトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート並びにペルメトリン試験法
・ アシベンゾラルSメチル試験法
・ アジムスルフロン、ハロスルフロンメチル及びフラザスルフロン試験法
・ アシュラム試験法
・ アセキノシル試験法
・ アセタミプリド試験法
・ アセフェート、オメトエート及びメタミドホス試験法
・ アゾキシストロビン試験法
・ アニラジン試験法
・ アミトラズ試験法
・ アラクロール、イソプロカルブ、クレソキシムメチル、ジエトフェンカルブ、テニルクロール、テブフェンピラド、パクロブトラゾール、ビテルタノール、ピリプロキシフェン、ピリミノバックメチル、フェナリモル、ブタクロール、フルトラニル、プレチラクロール、メトラクロール、メフェナセット、メプロニル及びレナシル試験法
・ アラニカルブ試験法
・ アルジカルブ、アルジカルブスルホキシド、アルドキシカルブ、エチオフェンカルブ、オキサミル、カルバリル、ピリミカーブ、フェノブカルブ及びベンダイオカルブ試験法
・ アルベンダゾール、オキシベンダゾール、チアベンダゾール、フルベンダゾール及びメベンダゾール試験法
・ アンプロリウム及びデコキネート試験法
・ イオドスルフロンメチル、エタメツルフロンメチル、エトキシスルフロン、シノスルフロン、スルホスルフロン、トリアスルフロン、ニコスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、プリミスルフロンメチル、プロスルフロン及びリムスルフロン試験法
・ イソウロン、ジウロン、テブチウロン、トリフルムロン、フルオメツロン及びリニュロン試験法
・ イソフェンホス試験法
・ イソメタミジウム試験法
・ イナベンフィド試験法
・ イプロジオン試験法
・ イベルメクチン、エプリノメクチン及びモキシデクチン試験法
・ イマザモックスアンモニウム塩試験法
・ イマザリル試験法
・ イマゾスルフロン及びベンスルフロンメチル試験法
・ イミノクタジン試験法
・ イミベンコナゾール試験法
・ インダノファン試験法
・ ウニコナゾールP試験法
・ エスプロカルブ、クロルプロファム、チオベンカルブ、ピリブチカルブ及びペンディメタリン試験法
・ エチクロゼート試験法
・ エチプロール試験法
・ エテホン試験法
・ エトキサゾール試験法
・ エトキシキン試験法
・ エトフェンプロックス試験法
・ エトベンザニド試験法
・ エマメクチン安息香酸塩試験法
・ エンロフロキサシン、オキソリニック酸、オフロキサシン、オルビフロキサシン、サラフロキサシン、ジフロキサシン、ダノフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン及びフルメキン試験法
・ オキサジクロメホン及びフェノキサニル試験法
・ オキシテトラサイクリン試験法(農産物)
・ オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン及びテトラサイクリン試験法
・ オキスポコナゾールフマル酸塩試験法
・ オキソリニック酸試験法
・ オクスフェンダゾール、フェバンテル及びフェンベンダゾール試験法
・ オリサストロビン試験法
・ オルトフェニルフェノール及びジフェニル試験法
・ オルメトプリム,ジアベリジン、トリメトプリム及びピリメタミン試験法
・ カフェンストロール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、シメトリン、チフルザミド、テトラコナゾール、テブコナゾール、トリアジメノール、フルジオキソニル、プロピコナゾール、ヘキサコナゾール及びペンコナゾール試験法
・ カルタップ、ベンスルタップ及びチオシクラム試験法
・ カルプロパミド試験法
・ カルベンダジム、チオファネート、チオファネートメチル及びベノミル試験法
・ カルボスルファン、カルボフラン、フラチオカルブ及びベンフラカルブ試験法
・ カンタキサンチン試験法
・ キザロホップエチル試験法
・ キノメチオネート試験法
・ キャプタン、クロルベンジレート、クロロタロニル及びホルペット試験法
・ キンクロラック試験法
・ クミルロン試験法
・ クリスタルバイオレット及びメチレンブルー試験法
・ グリホサート試験法
・ グルホシネート試験法
・ クレトジム試験法
・ クロサンテル試験法
・ クロジナホッププロパルギル試験法
・ クロチアニジン試験法
・ クロピラリド試験法
・ クロフェンテジン試験法
・ クロリムロンエチル及びトリベヌロンメチル試験法
・ クロルスルフロン及びメトスルフロンメチル試験法
・ クロルフェナピル及びビフェノックス試験法
・ クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、テブフェノジド、テフルベンズロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン及びルフェヌロン試験法
・ クロルメコート試験法
・ ゲンタマイシン試験法
・ 酸化フェンブタスズ試験法
・ 酸化プロピレン試験法
・ シアゾファミド試験法
・ シアナジン試験法
・ ジアフェンチウロン試験法
・ シアン化水素試験法
・ ジクラズリル及びナイカルバジン試験法
・ シクロキシジム試験法
・ ジクロシメット試験法
・ シクロスルファムロン試験法
・ ジクロフルアニド及びトリルフルアニド試験法
・ ジクロベニル試験法
・ ジクロメジン試験法
・ ジクロルボス及びトリクロルホン試験法
・ ジクワット、パラコート及びメピコートクロリド試験法
・ ジチアノン試験法
・ ジチオピル及びチアゾピル試験法
・ ジノカップ試験法
・ ジノテフラン試験法
・ シハロホップブチル及びジメテナミド試験法
・ ジヒドロストレプトマイシン及びストレプトマイシン試験法(農産物)
・ ジヒドロストレプトマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシン及びネオマイシン試験法
・ ジフェンゾコート試験法
・ ジフルフェニカン試験法
・ シプロジニル試験法
・ ジメチピン試験法
・ ジメトモルフ試験法
・ シモキサニル試験法
・ 臭素試験法
・ シラフルオフェン試験法
・ シロマジン試験法(農産物)
・ シロマジン試験法(畜産物)
・ シンメチリン試験法
・ スピノサド試験法
・ スピラマイシン試験法
・ スルファキノキサリン、スルファジアジン、スルファジミジン、スルファジメトキシン、スルファメトキサゾール、スルファメトキシピリダジン、スルファメラジン、スルファモノメトキシン及びスルフイソゾール試験法
・ スルファジミジン試験法
・ セトキシジム試験法
・ セファゾリン、セファピリン、セファレキシン、セファロニウム、セフォペラゾン及びセフロキシム試験法
・ セフチオフル試験法
・ ゼラノール試験法
・ ダイムロン試験法
・ ダゾメット、メタム及びメチルイソチオシアネート試験法
・ ターバシル試験法
・ チアジニル試験法
・ チアベンダゾール及び5―プロピルスルホニル―1H―ベンズイミダゾール―2―アミン試験法
・ チオジカルブ及びメソミル試験法
・ チルミコシン試験法
・ ツラスロマイシン試験法
・ テクロフタラム試験法
・ デスメディファム試験法
・ テプラロキシジム試験法
・ テレフタル酸銅試験法
・ トリクラベンダゾール試験法
・ トリクラミド試験法
・ トリクロロ酢酸ナトリウム塩試験法
・ トリシクラゾール試験法
・ トリネキサパックエチル試験法
・ トリフルミゾール試験法
・ トリブロムサラン及びビチオノール試験法
・ トルフェンピラド試験法
・ 鉛試験法
・ ニコチン試験法
・ ニテンピラム試験法
・ ノバルロン試験法
・ バミドチオン試験法
・ バリダマイシン試験法
・ ビオレスメトリン試験法
・ ピクロラム試験法
・ ビスピリバックナトリウム塩試験法
・ ヒ素試験法
・ ビフェナゼート試験法
・ ヒメキサゾール試験法
・ ピメトロジン試験法
・ ピラクロストロビン試験法
・ ピラゾキシフェン試験法
・ ピラフルフェンエチル試験法
・ ピリダベン試験法
・ ピリダリル試験法
・ ピリチオバックナトリウム塩試験法
・ ピリデート試験法
・ ピリフェノックス試験法
・ ピリミジフェン試験法
・ ピリメタニル試験法
・ ピルリマイシン試験法
・ ファモキサドン試験法
・ フィプロニル試験法
・ フェノキサプロップエチル試験法
・ フェンアミドン試験法
・ フェントラザミド試験法
・ フェンピロキシメート試験法
・ フェンヘキサミド試験法
・ フェンチン試験法
・ ブチレート試験法
・ フラメトピル試験法
・ フルアジナム試験法
・ フルアジホップ試験法
・ フルオルイミド試験法
・ フルカルバゾンナトリウム塩試験法
・ フルシラゾール試験法
・ フルスルファミド試験法
・ フルベンジアミド試験法
・ フルベンダゾール試験法
・ フルミオキサジン試験法
・ プロクロラズ試験法
・ プロシミドン試験法
・ フロニカミド試験法
・ プロパモカルブ試験法
・ プロヒドロジャスモン試験法
・ プロヘキサジオンカルシウム塩試験法
・ ヘキシチアゾクス試験法
・ ペンシクロン試験法
・ ベンジルペニシリン試験法
・ ベンゾビシクロン試験法
・ ペンタゾン試験法
・ ベンチアバリカルブイソプロピル試験法
・ ペントキサゾン試験法
・ ベンフレセート試験法
・ ボスカリド試験法(農産物)
・ ボスカリド試験法(畜産物)
・ ホセチル試験法
・ マレイン酸ヒドラジド試験法
・ ミクロブタニル試験法
・ メタベンズチアズロン試験法
・ メタミトロン試験法
・ メチオカルブ試験法
・ メトコナゾール試験法
・ メトプレン試験法
・ メトリブジン試験法
・ メパニピリム試験法
・ モリネート試験法
・ ラクトパミン試験法
・ リン化水素試験法
・ レバミゾール試験法
(参考) 食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)に規定する試験法
・ 2,4,5―T試験法
・ アゾシクロチン及びシヘキサチン試験法
・ アミトロール試験法
・ アルドリン、エンドリン及びディルドリン試験法
・ カプタホール試験法
・ カルバドックス試験法
・ クマホス試験法
・ クレンブテロール試験法
・ クロラムフェニコール試験法
・ クロルプロマジン試験法
・ ジエチルスチルベストロール試験法
・ ジメトリダゾール、メトロニダゾール及びロニダゾール試験法
・ ダミノジッド試験法
・ デキサメタゾン試験法
・ トリアゾホス及びパラチオン試験法
・ α―トレンボロン及びβ―トレンボロン試験法
・ 二臭化エチレン試験法
・ ニトロフラゾン試験法
・ ニトロフラントイン、フラゾリドン及びフラルタドン試験法
・ プロファム試験法
・ マラカイトグリーン試験法
[別添2]
アルジカルブ、アルジカルブスルホキシド、アルドキシカルブ、エチオフェンカルブ、オキサミル、カルバリル、ピリミカーブ、フェノブカルブ及びベンダイオカルブ試験法
1.分析対象化合物
農薬等の成分である物質 |
分析対象化合物 |
アルジカルブ |
アルジカルブ |
アルジカルブスルホキシド |
アルジカルブスルホキシド |
アルドキシカルブ |
アルジカルブスルホン |
エチオフェンカルブ |
エチオフェンカルブ |
オキサミル |
オキサミル |
カルバリル |
カルバリル |
ピリミカーブ |
ピリミカーブ |
フェノブカルブ |
フェノブカルブ |
ベンダイオカルブ |
ベンダイオカルブ |
2.装置
ポストカラム反応蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC―FL(ポストカラム))液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
発蛍光液 o―フタルアルデヒド10mg及び2―メルカプトエタノール5μLに0.05mol/Lホウ酸ナトリウム溶液を加えて100mLとする。
リン酸緩衝液 水約800mLに水酸化ナトリウム1.75g及びリン酸一ナトリウム11.7gを加えて溶かした後、水を加え1,000mLとする。
4.標準品
アルジカルブ 本品はアルジカルブ99%以上を含む。
融点 本品の融点は98~100℃である。
アルジカルブスルホキシド 本品はアルジカルブスルホキシド96%以上を含む。
融点 本品の融点は100~104℃である。
アルジカルブスルホン 本品はアルジカルブスルホン98%以上を含む。
融点 本品の融点は132~142℃である。
エチオフェンカルブ 本品はエチオフェンカルブ99%以上を含む。
融点 本品の融点は33~34℃である。
オキサミル 本品はオキサミル99%以上を含む。
融点 本品の融点は100~102℃である。
カルバリル 本品はカルバリル99%以上を含む。
融点 本品の融点は138~140℃である。
ピリミカーブ 本品はピリミカーブ99%以上を含む。
融点 本品の融点は90~91℃である。
フェノブカルブ 本品はフェノブカルブ98%以上を含む。
融点 本品の融点は32℃である。
ベンダイオカルブ 本品はベンダイオカルブ99%以上を含む。
融点 本品の融点は129~130℃である。
5.試験溶液の調製
a 抽出法
① 穀類、豆類、果実、野菜、種実類、抹茶及びホップの場合
穀類、豆類及び種実類の場合は、試料20.0gを量り採り、水100mLを加え、2時間放置する。
果実及び野菜の場合は、試料20.0gに相当する量を量り採る。
抹茶及びホップの場合は、試料20.0gを量り採る。
これにアセトン200mLを加え、3分間細砕した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン100mLを加え、上記と同様に操作して、ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で約20mLに濃縮する。
これをあらかじめ5%塩化ナトリウム溶液200mL及びジクロロメタン(特級)100mLを入れた500mLの分液漏斗に移し、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、ジクロロメタン層を500mLの三角フラスコに移す。水層にジクロロメタン(特級)100mLを加え、上記と同様に操作して、ジクロロメタン層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いでジクロロメタン(特級)50mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を3回繰り返す。これらの洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で約1mLに濃縮し、更に室温で空気を通じて乾固する。
この残留物にn―ヘキサン25mL及びn―ヘキサン飽和アセトニトリル30mLを加えて溶かし、これを100mLの分液漏斗に移す。振とう機を用いて10分間激しく振り混ぜた後、静置し、アセトニトリル層を200mLの分液漏斗に移す。n―ヘキサン層にn―ヘキサン飽和アセトニトリル30mLを加え、上記と同様の操作を2回繰り返し、アセトニトリル層を上記の分液漏斗に合わせる。これにアセトニトリル飽和n―ヘキサン50mLを加え、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、アセトニトリル層をすり合わせ減圧濃縮器中に移し、40℃以下で約1mLに濃縮し、更に室温で空気を通じて乾固する。この残留物にメタノールを加えて溶かし、正確に2mLとする。
② 抹茶以外の茶の場合
試料9.00gを100℃の水540mLに浸し、室温で5分間放置した後、ろ過し、冷後ろ液360mLを500mLの三角フラスコに移す。これに飽和酢酸鉛溶液4mLを加え、10秒間振り混ぜた後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いて吸引ろ過し、ろ液を1,000mLの分液漏斗に移す。次いでアセトン50mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗い、洗液を上記の分液漏斗に合わせる。これにエーテル100mL及び塩化ナトリウム100gを加え、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、エーテル層を300mLの三角フラスコに移す。水層にエーテル100mLを加え、上記と同様に操作して、エーテル層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いでエーテル30mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を3回繰り返す。これらの洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で約1mLに濃縮し、更に室温で空気を通じて乾固する。この残留物にメタノールを加えて溶かし、正確に2mLとする。
b 精製法
a 抽出法で得られた溶液0.3mLを量り採り、これを希塩酸3mLに加え、緩やかに振り混ぜた後、孔径0.45μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、これを試験溶液とする。
6.操作法
a 定性試験
① アルジカルブ、アルジカルブスルホキシド、アルジカルブスルホン、エチオフェンカルブ、オキサミル、カルバリル、フェノブカルブ及びベンダイオカルブの試験法を行う場合
次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
カラム オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)、内径3.9mm、長さ150mm
カラム温度 40℃
検出器 励起波長339nm、蛍光波長445nm
移動相 A テトラヒドロフラン B 水 C メタノール アルジカルブが約12分で流出する流速に調整する。
濃度勾配 水及びメタノールの混液(22:3)を0.1分間送液した後、A:B(1:9)から(3:7)までの濃度勾配を19.9分間行う。次にテトラヒドロフラン及び水の混液(3:7)を10分間送液した後、水及びメタノールの混液(22:3)を10分間送液する。
加水分解反応槽 移動相に対し、0.05mol/L水酸化ナトリウム溶液を注入する。注入量を一定に保つ。
加水分解反応槽温度 80℃
蛍光反応槽 移動相に対し、発蛍光液を注入する。注入量を一定に保つ。
② ピリミカーブの試験を行う場合
次の操作条件で試験を行う。試験溶液は5.試験溶液の調製のa 抽出法で得られた溶液を用い、試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
カラム オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)、内径4.0~4.6mm、長さ250mm
検出器 励起波長312nm、蛍光波長382nm
移動相 水、メタノール及びリン酸緩衝液(1:7:2)混液を用いる。ピリミカーブが約5分で流出する流速に調整する。
b 定量試験
a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
c 確認試験
次の操作条件で液体クロマトグラフィー・質量分析を行う。試験溶液は5.試験溶液の調製のa 抽出法で得られた溶液を用い、試験結果は標準品と一致しなければならない。また、必要に応じ、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
操作条件
カラム オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径3~5μm)、内径2.0~4.6mm、長さ75~150mm
カラム温度 50℃
移動相 A水及びメタノール(9:1)混液、B水及びメタノール(1:9)混液
濃度勾配 A:B(9:1)を0.1分間送液した後、A:B(9:1)から(1:3)までの濃度勾配を24.9分間行う。次にA:B(1:3)から(0:1)までの濃度勾配を5分間おこなった後、A:B(9:1)を5分間送液する。
イオン化モード ESI(+)
主なイオン(m/z)
アルジカルブ 213、116
アルジカルブスルホキシド 207、132
アルジカルブスルホン 223
エチオフェンカルブ 226
オキサミル 237
カルバリル 202、145
ピリミカーブ 239
フェノブカルブ 208
ベンダイオカルブ 224
7.定量限界
アルジカルブ 0.005mg/kg
アルジカルブスルホキシド 0.005mg/kg
アルジカルブスルホン 0.005mg/kg
エチオフェンカルブ 0.005mg/kg
オキサミル 0.005mg/kg
カルバリル 0.01mg/kg
ピリミカーブ 0.005mg/kg
フェノブカルブ 0.01mg/kg
ベンダイオカルブ 0.005mg/kg
8.留意事項
1) ポストカラム蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフ装置の構成は下図の通りであること。
2) かんきつ類の果肉等酸性の強い検体を対象としてピリミカーブを同時に抽出するときは、炭酸水素ナトリウム約5gを加えることにより抽出率が向上できること。
3) アセトニトリル/ヘキサン分配は、油脂等をほとんど含まない試料では省略することができる。
4) メンブランフィルターは、種類によって測定対象物質が吸着されることがあるので、回収できることを確認して使用する。
5) 操作条件は、機種、カラムの種類等により異なる。アルジカルブスルホキシド及びアルジカルブスルホンは溶出が早いことから、オキサミルや他の成分と誤認しないよう留意する。
6) 6.操作法のa 定性試験の濃度勾配は、下図の曲線を参考にすること。
7) 6.操作法のc 確認試験におけるアルジカルブの主なイオンのうちm/z213は[M+Na]+である。
8) 妨害成分の多い試料では、グラファイトカーボンミニカラム(250mg)、エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)及びトリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)による精製を加えるとよい。
操作概要:グラファイトカーボンミニカラム(250mg)、エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)及びトリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)それぞれにアセトン30mL、n―ヘキサン20mLを注入し、流出液を捨て、上からグラファイトカーボンミニカラム(250mg)、エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)及びトリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)の順に連結する。試料抽出液の0.5mLを採り、窒素気流下でメタノールを除去し、アセトン及びn―ヘキサンの混液(1:4)0.5mLに溶解して、先の連結カラムに注入する。アセトン及びn―ヘキサンの混液(1:4)20mLを注入し、0.5mL/分の速さで流出させ、溶出液を採る。次いで、グラファイトカーボンミニカラム(250mg)及びエチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)をはずし、トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)にアセトン及びn―ヘキサンの混液(3:7)10mLを注入し、溶出液を合わせ、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をメタノール0.5mLに溶解する。
9) 測定機器及び食品の種類によっては、5.試験溶液の調製のa 抽出法で得られた溶液を、必要に応じて8)に示したミニカラム精製を行った後、LC/MSにより直接分析し、定量することも可能であるが、食品由来の成分の影響をうける場合があるので、予め適用可能であることを確認してから採用する必要がある。
9.参考文献
永山ら、食品衛生学雑誌、35、470(1994)
小林ら、食品衛生学雑誌、43、133(2002)
10.類型
C