添付一覧
肝臓 0.01ppm
11.留意事項
1) 試験法の概要
ゼラノールを試料からアセトニトリル及びメタノールの混液で抽出し、ヘキサン分配後、ジクロロメタンに転溶する。陰イオン交換樹脂カラムクロマトグラフィー、デキストランカラムクロマトグラフィーで精製した後、HPLC―UVで測定する方法である。
2) 注意点
(1) カラムクロマトグラフィー用弱塩基性陰イオン交換樹脂は、ロットにより活性度が異なるので、事前に回収率のチェックを行うこと。
(2) 検体が肝臓の場合は、試験溶液をアセトニトリル及び水(1:1)混液で5倍に希釈した溶液で実施すること。
(3) 高速液体クロマトグラフィーにおいて、夾雑物のピークによりゼラノールの測定が困難な場合には,「〇ガスクロマトグラフ―質量分析計を用いるゼラノールの試験法」による試験を実施しても差し支えないこと。
12.参考文献
なし
13.類型
A
○ガスクロマトグラフ―質量分析計を用いるゼラノールの試験法
1.装置
ガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS)
2.試験溶液調製法
ゼラノール試験法にしたがって調製した試験溶液100μLを正確に量り採り、それぞれ内部標準物質としてジエチル―1,1,1’,1’―d4―スチルベストロール―3,3’,5,5’―d4(以下DES―d8という。)0.01μg/mLの酢酸エチル溶液100μLを加え、窒素ガス気流下、40℃で濃縮乾固する。この残留物に酢酸エチル25μLを加えて溶かし、これを試験溶液とする。
3.検量線の作成
0.1μg/mLのゼラノール標準品溶液20、50及び100μLを小試験管中に正確に量り採り、DES―d8 0.01μg/mLの酢酸エチル溶液100μLを加え、窒素ガス気流下、40℃で濃縮乾固する。この残留物に酢酸エチル25μLを加えて溶かし、これを標準品溶液とする。
シリル化剤(N,O―ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド及びN―トリメチルシリルアミド(98:2)混液)2μL、空気1μL及び標準品溶液2μLの順に同一のマイクロシリンジに採り、これをGC/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
4.定量
シリル化剤(N,O―ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド及びN―トリメチルシリルアミド(98:2)混液)2μL、空気1μL及び試験溶液2μLの順に同一のマイクロシリンジに採り、これをGC/MSに注入し、3の検量線でゼラノールの含量を求める。
5.測定条件
カラム:5%フェニルメチルシリコン 内径0.2mm、長さ25m、膜厚0.11μm
カラム温度:130℃(1分)―30℃/分―250℃(0分)―6℃/分―295℃(2.5分)
注入口温度:260℃
注入方式:スプリットレス
キャリヤーガス:ヘリウム
キャリヤーガス圧力:34kPa
イオン源温度:180℃
イオン化モード(電圧):EI(70eV)
主なイオン(m/z):433及び307(ゼラノール)、420(内部標準物質)
6.定量限界
筋肉 0.002ppm
肝臓 0.01ppm
ダイムロン試験法(農産物)
1.分析対象化合物
ダイムロン
2.装置
紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフを用いる。
3.試薬、試液
総則の3に示すものを用いる。
4.標準品
ダイムロン 本品はダイムロン96%以上を含む。
融点 本品の融点は203°である。
5.試験溶液の調製
a 抽出法
検体を420μmの標準網ふるいを通るように粉砕した後,その10.0gを量り採り,水20mlを加え,2時間放置する。
これにアセトン100mlを加え,3分間細砕した後,ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り,アセトン50mlを加え,3分間細砕した後,上記と同様に操作して,ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ,40°以下で約30mlに濃縮する。
これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100mlを入れた300mlの分液漏斗に移す。酢酸エチル100mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い,洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,酢酸エチル層を300mlの三角フラスコに移す。水層に酢酸エチル50mlを加え,上記と同様に操作して,酢酸エチル層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え,時々振り混ぜながら15分間放置した後,すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで酢酸エチル20mlを用いて三角フラスコを洗い,その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ,40°以下で酢酸エチルを除去する。
この残留物にn―ヘキサン30mlを加え,100mlの分液漏斗に移す。n―ヘキサン飽和アセトニトリル30mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い,洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,アセトニトリル層を200mlの分液漏斗に移す。n―ヘキサン層にn―ヘキサン飽和アセトニトリル30mlを加え,上記と同様の操作を繰り返し,アセトニトリル層を上記の分液漏斗に合わせる。これにアセトニトリル飽和n―ヘキサン50mlを加え,軽く振り混ぜた後,静置し,アセトニトリル層をすり合わせ減圧濃縮器中に移し,40°以下でアセトニトリルを除去する。この残留物にエーテル5mlを加えて溶かす。
b 精製法
エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)に,アセトニトリル30mlを注入し,流出液は捨てる。次いでエーテル30mlを注入し,流出液は捨てる。トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)に,アセトニトリル30mlを注入し,流出液は捨てる。次いでエーテル30mlを注入し,流出液は捨てる。両ミニカラムをエチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラム,トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムの順に連結し,a 抽出法で得られた溶液を注入する。アセトニトリル及びエーテルの混液(1:19)20mlを注入し,流出液は捨てる。エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラムをはずし,トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムにアセトニトリル及びエーテルの混液(1:3)30mlを注入し,流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り,40°以下でアセトニトリル及びエーテルを除去する。この残留物にアセトニトリルを加えて溶かし,正確に1mlとして,これを試験溶液とする。
6.操作法
a 定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
カラム充てん剤 オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)を用いる。
クロマトグラフ管 内径3.9~4.6mm,長さ250~300mmのステンレス管を用いる。
カラム温度 50°
検出器 波長243nmで操作する。
移動相 アセトニトリル及び水の混液(1:1)を用いる。ダイムロンが約8分で流出する流速に調整する。
b 定量試験
a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき,ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
7.定量限界
0.01mg/kg
8.留意事項
n―ヘキサン―アセトニトリル分配を行うとき,ダイムロンはn―ヘキサンに溶けにくいため,減圧濃縮器から分液漏斗への移し替えにはn―ヘキサン飽和アセトニトリルを用いる。また,アセトニトリル層のアセトニトリル飽和n―ヘキサンによる洗浄は,軽く振とうする程度で良い。
9.参考文献
なし
10.類型
A
ダゾメット、メタム及びメチルイソチオシアネート試験法(農産物)
1.分析対象化合物
ダゾメット
メタム
メタムアンモニウム塩
メタムカリウム塩
メタムナトリウム塩
メチルイソチオシアネート
2.装置
アルカリ熱イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(GC―FTD)又は高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ(GC―NPD)
ガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS)
ディーン・スターク蒸留装置
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
メチルイソチオシアネート標準品 本品はメチルイソチオシアネート99%以上を含み、融点は35~36℃である。
液相分離ろ紙 化学分析用ろ紙をシリコン処理したもの
4.試験溶液の調製
1) 抽出
(1) 穀類、種実類、果実、野菜、ハーブ及び抹茶の場合
試料50.0g(抹茶の場合は10.0g)をディーン・スターク蒸留装置の丸底フラスコに量り採り、水500mL、酢酸エチル20mL及び消泡剤1mLを加え、40分間加熱還流する。終了後、トラップ内の水層及び酢酸エチル層を分液ロートに採り、塩化ナトリウム15gを加えて振とうする。静置した後、酢酸エチル層を採り、液相分離ろ紙を用いてろ過する。ろ液に酢酸エチルを加えて正確に20mLとしたものを試験溶液とする。
(2) 抹茶以外の茶の場合
試料12.0gを100℃の水720mLに浸し、室温で5分間放置した後、ろ過する。冷後ろ液540mLをディーン・スターク蒸留装置の丸底フラスコに量り採り、酢酸エチル20mL及び消泡剤1mLを加え、40分間加熱還流する。終了後、トラップ内の水層及び酢酸エチル層を採り、塩化ナトリウム15gを加えて振とうする。静置した後、酢酸エチル層を採り、液相分離ろ紙を用いてろ過する。ろ液に酢酸エチルを加えて正確に20mLとしたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
メチルイソチオシアネート標準品を酢酸エチルに溶解して調製した標準原液を酢酸エチルで希釈し、0.01~0.5mg/Lの標準溶液を数点調製する。それぞれ5μLをGCに注入し、ピーク高法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液5μLをGCに注入し、5の検量線でメチルイソチオシアネートの含量を求める。
7.確認試験
GC/MSにより確認する。
8.測定条件
1) GC
検出器:FTD又はNPD
カラム:ポリエチレングリコール又はトリフルオロプロピルメチルシリコン 内径0.53mm、長さ30m、膜厚1.0μm
カラム温度:60℃
注入口温度:250℃
検出器温度:250℃
注入量:5μL
保持時間の目安:ポリエチレングリコールカラムの場合は4分、トリフルオロプロピルメチルシリコンカラムの場合は1.5分
2) GC/MS
カラム:ポリエチレングリコール 内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm
カラム温度:60℃(1分)―15℃/分―220℃(2分)
イオン化モード(電圧):EI(70eV)
主なイオン(m/z):73、72
注入量:2μL
保持時間の目安:5分
9.定量限界
0.01mg/kg(茶は0.05mg/kg)
10.留意事項
1) 試験法の概要
ダゾメット、メタム及びメチルイソチオシアネートを試料からディーン・スターク蒸留装置を用いて抽出し、GC―FTD又はGC―NPDで定量し、GC/MSで確認する方法である。加熱還流中にダゾメット及びメタムはメチルイソチオシアネートに変化する。
2) 注意点
(1) 試料に水を加えた状態でpHを調べ、酸性またはアルカリ性に偏っている場合は、あらかじめ中和してから、蒸留操作を行う。
(2) GC―FPD(S)では、メチルイソチオシアネートの検出感度が低いので、FTD又はNPDを用いる。
(3) オレンジの測定には、トリフルオロプロピルメチルシリコンカラムが適している。ポリエチレングリコールカラムでは、メチルイソチオシアネートの前に負のピークが出現し、定量に影響する。
11.参考文献
1) 環境省告示第35号「メチルイソチオシアネート試験法」(平成2年4月10日)
2) 環境省告示第93号「ダゾメット試験法」(平成2年11月7日)
3) 環境省告示第73号「カーバムナトリウム塩試験法」(平成7年11月28日)
12.類型
C
ターバシル試験法(農産物)
1.分析対象化合物
ターバシル
2.装置
アルカリ熱イオン化検出器又は高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ・質量分析計を用いる。
3.試薬、試液
総則の3に示すものを用いる。
4.標準品
ターバシル 本品はターバシル99%以上を含む。
融点 本品の融点は175~177°である。
5.試験溶液の調製
a 抽出法
(1) 果実及び野菜の場合
検体約1kgを精密に量り、必要に応じ適量の水を量つて加え、細切均一化した後、検体20.0gに相当する量を量り採る。
これにアセトン100mlを加え、3分間細砕した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン50mlを加え、3分間細砕した後、上記と同様に操作して、ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ、40°以下で約30mlに濃縮する。
これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100mlを入れた300mlの分液漏斗に移す。酢酸エチル100mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い、洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、酢酸エチル層を300mlの三角フラスコに移す。水層に酢酸エチル50mlを加え、上記と同様に操作して、酢酸エチル層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで、酢酸エチル20mlを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40°以下で酢酸エチルを除去する。この残留物にアセトン及びn―ヘキサンの混液(1:19)5mlを加えて溶かす。
(2) 種実類の場合
検体を420μmの標準網ふるいを通るように粉砕した後、その10.0gを量り採り、水20mlを加え、2時間放置する。
これにアセトン100mlを加え、3分間細砕した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン50mlを加え、3分間細砕した後、上記と同様に操作して、ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ、40°以下で約30mlに濃縮する。
これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100mlを入れた300mlの分液漏斗に移す。酢酸エチル100mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い、洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、酢酸エチル層を300mlの三角フラスコに移す。水層に酢酸エチル50mlを加え、上記と同様に操作して、酢酸エチル層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで、酢酸エチル20mlを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40°以下で酢酸エチルを除去する。
この残留物にn―ヘキサン30mlを加え、100mlの分液漏斗に移す。これにn―ヘキサン飽和アセトニトリル30mlを加え、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、アセトニトリル層をすり合わせ減圧濃縮器中に移す。n―ヘキサン層にn―ヘキサン飽和アセトニトリル30mlを加え、上記と同様の操作を2回繰り返し、アセトニトリル層をその減圧濃縮器中に合わせ、40°以下でアセトニトリルを除去する。この残留物にアセトン及びn―ヘキサンの混液(1:19)5mlを加えて溶かす。
b 精製法
(1) 合成ケイ酸マグネシウムカラムクロマトグラフィー
内径15mm、長さ300mmのクロマトグラフ管に、カラムクロマトグラフィー用合成ケイ酸マグネシウム10gをn―ヘキサンに懸濁したもの、次いでその上に無水硫酸ナトリウム約5gを入れ、カラムの上端に少量のn―ヘキサンが残る程度までn―ヘキサンを流出させる。このカラムにa 抽出法で得られた溶液を注入した後、アセトン及びn―ヘキサンの混液(1:19)80mlを注入し、流出液は捨てる。次いでアセトン及びn―ヘキサンの混液(3:7)80mlを注入し、流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40°以下でアセトン及びn―ヘキサンを除去する。この残留物にエーテル及びn―ヘキサンの混液(1:4)2mlを加えて溶かす。
(2) ベンゼンスルホニルプロピルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー
ベンゼンスルホニルプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)にエーテル10mlを注入し、流出液は捨てる。次いでエーテル及びn―ヘキサンの混液(1:4)10mlを注入し、流出液は捨てる。これに(1) 合成ケイ酸マグネシウムカラムクロマトグラフィーで得られた溶液を注入した後、エーテル及びn―ヘキサンの混液(1:4)10mlを注入し、流出液は捨てる。次いでエーテル及びn―ヘキサンの混液(1:1)10mlを注入し、流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40°以下でエーテル及びn―ヘキサンを除去する。この残留物にアセトンを加えて溶かし、正確に2mlとして、これを試験溶液とする。
6.操作法
a 定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
カラム 内径0.53mm、長さ30mのケイ酸ガラス製の細管に、ガスクロマトグラフィー用メチルシリコンを1.5μmの厚さでコーティングしたもの。
カラム温度 100°で1分間保持し、その後毎分30°で昇温する。230°に到達後、毎分10°で昇温し、300°に到達後1分間保持する。
試験溶液注入口温度 250°
注入方法 スプリットレス
検出器 280°で操作する。
ガス流量 キャリヤーガスとしてヘリウムを用いる。ターバシルが約7分で流出する流速に調整する。空気及び水素の流量を至適条件に調整する。
b 定量試験
a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
c 確認試験
a 定性試験と同様の操作条件でガスクロマトグラフィー・質量分析を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。また、必要に応じ、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
7.定量限界
0.01mg/kg
8.留意事項
なし
9.参考文献
なし
10.類型
A
チアジニル試験法(農産物)
1.分析対象化合物
チアジニル
4―メチル―1,2,3―チアジアゾール―5―カルボン酸(以下、「カルボン酸体」という。)
4―ヒドロキシメチル―1,2,3―チアジアゾール―5―カルボン酸(以下、「ヒドロキシメチルカルボン酸体」という。)
2.装置
液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計(LC―MS/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
チアジニル標準品 本品はチアジニル98%以上を含む。
カルボン酸体標準品 本品はカルボン酸体95%以上を含む。
ヒドロキシメチルカルボン酸体標準品 本品はヒドロキシメチルカルボン酸体95%以上を含む。
強塩基性陰イオン交換樹脂ミニカラム(500mg)内径12~13mmのポリエチレン製のカラム管に、強塩基性陰イオン交換樹脂500mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離特性を有するものを用いる。
0.05%アンモニア水 アンモニア水(28%)と水を1:559の比率で混合する。
アセトニトリル及び10mmol/L酢酸アンモニウム溶液(17:3)混液(pH5.0) 酢酸アンモニウム0.77gを量り採り、水約950mLに溶解し、5vol%酢酸を用いてpHを5.0に調整した後、水を加えて1Lとし、その150mLをアセトニトリル850mLと混合する。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
穀類の場合は試料10.0g、茶の場合は試料5.00gを量り採り、0.1mol/L塩酸20mLを加え、30分間放置する。果実及び野菜の場合は試料20.0gに0.1mol/L塩酸20mLを加える。これにアセトニトリル80mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物に、アセトニトリル及び水(4:1)混液50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。ろ液を合わせ、アセトニトリル及び水(4:1)混液を加えて正確に200mLとする。穀類の場合はその4mL、茶の場合は8mL、果実及び野菜の場合は2mLを採り、これにアセトニトリル及び0.05mol/L塩酸(4:1)混液を、穀類の場合は4mL、果実及び野菜の場合は6mL加え、40℃以下で約2mLに濃縮する。この濃縮液に0.05%アンモニア水4mLを加える。
2) 精製
オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(1,000mg)にメタノール及び水各5mLを順次注入し、各流出液は捨てる。このカラムに、1)で得られた溶液を注入し、さらに、水及びメタノール(4:1)混液5mLを注入し、全溶出液を採り、カルボン酸体及びヒドロキシメチルカルボン酸体画分(溶出液Ⅰ)とする。次いで、水及びメタノール(1:4)混液10mLを注入し、溶出液を採り、チアジニル画分(溶出液Ⅱ)とする。
① チアジニルの試験溶液
溶出液Ⅱを40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にメタノール1mLを加え溶解した後、酢酸エチル9mLを加えて混合する。
アルミナ(中性)ミニカラム(1,710mg)に酢酸エチル5mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに上記の溶液を注入し、さらに、酢酸エチル及びメタノール(9:1)混液10mLを注入し、全溶出液を採り、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物を水及びメタノール(3:7)混液に溶解し、正確に20mLとしたものを試験溶液とする。
② カルボン酸体及びヒドロキシメチルカルボン酸体の試験溶液
強塩基性陰イオン交換樹脂ミニカラム(500mg)にメタノール及び水各5mLを順次注入し、各流出液は捨てる。このカラムに溶出液Ⅰを注入し、さらに、メタノール5mLを注入し、各流出液は捨てる。次いで、0.01mol/L塩酸・メタノール溶液10mLを注入し、溶出液を採り、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリル及び10mmol/L酢酸アンモニウム溶液(17:3)混液(pH5.0)に溶解し、正確に20mLとしたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
チアジニル標準品をアセトニトリルに溶解して標準原液とする。標準原液を水及びメタノール(3:7)混液で希釈した溶液を数点調製し、それぞれLC―MS/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。なお、本法に従って試験溶液を調製した場合、試料中0.01mg/kgに相当する試験溶液中濃度は0.0001mg/Lである。
カルボン酸体標準品及びヒドロキシメチルカルボン酸体標準品をそれぞれアセトニトリルに溶解して標準原液とする。各標準原液を適宜混合してアセトニトリル及び10mmol/L酢酸アンモニウム溶液(17:3)混液(pH5.0)で希釈した溶液を数点調製し、それぞれLC―MS/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。なお、本法に従って試験溶液を調製した場合、試料中0.02mg/kgに相当する試験溶液中濃度は各化合物ともに0.0002mg/L(チアジニル換算)である。
6.定量
試験溶液をLC―MS/MSに注入し、5の検量線でチアジニル、カルボン酸体及びヒドロキシメチルカルボン酸体の各含量を求める。カルボン酸体及びヒドロキシメチルカルボン酸体を含むチアジニルの含量を求める場合には、次式により求める。
チアジニル(カルボン酸体及びヒドロキシメチルカルボン酸体を含む。)の含量(ppm)=A+B×1.857+C×1.672
A:チアジニルの含量(ppm)
B:カルボン酸体の含量(ppm)
C:ヒドロキシメチルカルボン酸体の含量(ppm)
7.確認試験
LC―MS/MSにより確認する。
8.測定条件
(例)
① チアジニル
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル、内径2.1mm、長さ150mm、粒径3μm
カラム温度:40℃
移動相:0.1vol%ギ酸及びメタノール(3:7)混液
イオン化モード:ESI(-)
主なイオン(m/z):プリカーサーイオン266、プロダクトイオン238、71
注入量:5μL
保持時間の目安:7分
② カルボン酸体及びヒドロキシメチルカルボン酸体
カラム:トリアゾール結合型シリカゲル、内径2.0mm、長さ150mm、粒径5μm
移動相:アセトニトリル及び10mmol/L酢酸アンモニウム溶液(17:3)混液(pH5.0)
カラム温度:40℃
イオン化モード:ESI(-)
主なイオン(m/z)
カルボン酸体:プリカーサーイオン143、プロダクトイオン71
ヒドロキシメチルカルボン酸体:プリカーサーイオン159、プロダクトイオン87
注入量:5μL
保持時間の目安:カルボン酸体13分、ヒドロキシメチルカルボン酸体11分
9.定量限界
チアジニル0.01mg/kg
カルボン酸体0.02mg/kg(チアジニル換算)
ヒドロキシメチルカルボン酸体0.02mg/kg(チアジニル換算)
10.留意事項
1) 試験法の概要
チアジニル、カルボン酸体及びヒドロキシメチルカルボン酸体を試料から塩酸酸性下アセトニトリルで抽出し、オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムでチアジニル画分並びにカルボン酸体及びヒドロキシメチルカルボン酸体画分に分画する。チアジニル画分はアルミナ(中性)ミニカラムで精製し、カルボン酸体及びヒドロキシメチルカルボン酸体画分は強塩基性陰イオン交換樹脂ミニカラムで精製し、LC―MS/MSで定量及び確認する方法である。なお、チアジニル、カルボン酸体及びヒドロキシメチルカルボン酸体のそれぞれについて定量を行い、カルボン酸体及びヒドロキシメチルカルボン酸体を含むチアジニルの含量を求める場合には、カルボン酸体及びヒドロキシメチルカルボン酸体の含量にそれぞれ換算係数を乗じてチアジニルの含量に換算し、これらの和を分析値とする。
2) 注意点
① チアジニルのLC―MS/MS測定で、試験法開発時に使用したイオンを以下に示す。
定量イオン(m/z):プリカーサーイオン266、プロダクトイオン71
定性イオン(m/z):プリカーサーイオン266、プロダクトイオン238
なお、カルボン酸体及びヒドロキシメチルカルボン酸体については、本法における測定条件下で適切な定性イオンを選択することは出来なかった。
② 一律基準値が適用される農産物を試験する際には、可能であればカルボン酸体及びヒドロキシメチルカルボン酸体を定量限界0.01mg/kg(チアジニル換算)で分析することが望ましい。
③ 試験溶液の調製における1)の操作では、濃縮液を中性から弱塩基性に調整するために0.05%アンモニア水4mLを加える。pH試験紙等を用いて試料におけるpHを確認し、必要に応じて添加量を調節する。
④ アルミナ(中性)ミニカラムで精製する際、残留物は酢酸エチル及びメタノール(9:1)混液に溶解し難いので、初めにメタノール1mLを加え溶解した後、酢酸エチル9mLを加えて混合する。また、試料によっては残留物がメタノールに溶解し難いことがあるので、そのような場合は超音波処理を行うとよい。
⑤ LC―MS/MS測定において、夾雑成分の多い農産物では、各分析対象化合物溶出後に移動相を十分に流し、カラム内に残存する夾雑物を溶出させた後に、次の測定を行うとよい。
11.参考文献
なし
12.類型
c
チアベンダゾール及び5―プロピルスルホニル―1H―ベンズイミダゾール―2―アミン試験法(畜水産物)
1.分析対象化合物
農薬等の成分である物質 |
分析対象化合物 |
チアベンダゾール |
チアベンダゾール,5―ヒドロキシチアベンダゾール |
5―プロピルスルホニル―1H―ベンズイミダゾール―2―アミン |
5―プロピルスルホニル―1H―ベンズイミダゾール―2―アミン |
2.装置
紫外分光光度型検出器及び蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフを用いる。
3.試薬・試液
次に示すもの以外は,総則の3に示すものを用いる。
アルミナ(中性)ミニカラム(1,850mg) 内径8~9mmのポリエチレン製のカラム管に,カラムクロマトグラフィー用に製造したアルミナ(中性)1,850mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離特性を有するものを用いる。
4.標準品
チアベンダゾール 本品はチアベンダゾール99%以上を含む。
融点 本品の融点は304~305°である。
5―ヒドロキシチアベンダゾール 本品は5―ヒドロキシチアベンダゾール99%以上を含む。
融点 本品の融点は283~286°である。
5―プロピルスルホニル―1H―ベンズイミダゾール―2―アミン 本品は5―プロピルスルホニル―1H―ベンズイミダゾール―2―アミン99%以上を含む。
融点 本品の融点は222~223.5°である。
5.試験溶液の調製
a 抽出法
(1) 筋肉,脂肪,肝臓及び腎臓の場合
検体を細切均一化した後,その5.00gを量り採り,酢酸エチル50ml及び4mol/l炭酸カリウム溶液1mlを加え,細砕した後,毎分2,600回転で5分間遠心分離を行い,上澄液を200mlの三角フラスコ中に移す。沈殿に酢酸エチル50mlを加え,細砕した後,上記と同様の条件で遠心分離を行い,上澄液をその三角フラスコ中に合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え,時々振り混ぜながら15分間放置した後,すり合わせ減圧濃縮器中にろ過し,40°以下で酢酸エチルを除去する。この残留物にアセトニトリル50mlを加えて溶かし,200mlの分液漏斗(Ⅰ)中に移す。これにアセトニトリル飽和n―ヘキサン50mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,アセトニトリル層を200mlの分液漏斗(Ⅱ)中に移す。これにアセトニトリル飽和n―ヘキサン50mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,アセトニトリル層をすり合わせ減圧濃縮器中に移し,n―ヘキサン層を分液漏斗(Ⅰ)中に合わせる。これにアセトニトリル10mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,アセトニトリル層をそのすり合わせ減圧濃縮器中に合わせ,40°以下でアセトニトリルを除去する。この残留物に酢酸エチル1mlを加えて溶かす。
(2) 乳の場合
試料5.00gを量り採り,酢酸エチル50ml及び4mol/l炭酸カリウム溶液1mlを加え,毎分2,600回転で5分間遠心分離を行い,上澄液を200mlの三角フラスコ中に移す。沈殿に酢酸エチル50mlを加え,細砕した後,前記と同様の条件で遠心分離を行い,上澄液をその三角フラスコ中に合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え,時々振り混ぜながら15分間放置した後,すり合わせ減圧濃縮器中にろ過し,40°以下で酢酸エチルを除去する。この残留物にアセトニトリル50mlを加えて溶かし,200mlの分液漏斗(Ⅰ)中に移す。これにアセトニトリル飽和n―ヘキサン50mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,アセトニトリル層を200mlの分液漏斗(Ⅱ)中に移す。これにアセトニトリル飽和n―ヘキサン50mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,アセトニトリル層をすり合わせ減圧濃縮器中に移し,n―ヘキサン層を分液漏斗(Ⅰ)中に合わせる。これにアセトニトリル10mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,アセトニトリル層をそのすり合わせ減圧濃縮器中に合わせ,40°以下でアセトニトリルを除去する。この残留物に酢酸エチル1mlを加えて溶かす。
b 精製法
アルミナ(中性)ミニカラム(1,850mg)に,酢酸エチル10mlを注入し,流出液は捨てる。このカラムにa 抽出法で得られた溶液を注入し,流出液は捨てる。このカラムに酢酸エチル及びメタノールの混液(3:7)15mlを注入し,流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り,40°以下で酢酸エチル及びメタノールを除去する。この残留物にアセトニトリル及び0.025mol/lリン酸1ナトリウム溶液の混液(1:4)1.0mlを加えて溶かし,これを試験溶液とする。
6.操作法
a 定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
カラム充てん剤 オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)を用いる。
カラム管 内径4.0~6.0mm,長さ150mmのステンレス管を用いる。
カラム温度 40°
検出器 チアベンダゾール及び5―プロピルスルホニル―1H―ベンズイミダゾール―2―アミンの試験を行う場合は,励起波長300nm,蛍光波長370nmで操作する。
5―ヒドロキシチアベンダゾールの試験を行う場合は,吸光波長298nmで操作する。
移動相 アセトニトリル及び0.025mol/lリン酸一ナトリウム溶液の混液(1:4)を用いる。チアベンダゾールが約10分で流出する流速に調整する。
b 定量試験
a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき,ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
7.定量限界
チアベンダゾール 0.002mg/kg
5―ヒドロキシチアベンダゾール 0.02mg/kg
5―プロピルスルホニル―1H―ベンズイミダゾール―2―アミン 0.01mg/kg
8.留意事項
(1) 試験溶液の調製
精製法において用いるアルミナ(中性)ミニカラムは,予め標準品を用いて,その保持,溶出性能及び精製効果を確認すると伴に,定量限界がチアベンダゾールについては0.002mg/kg以下、5―ヒドロキシチアベンダゾールについては0.02mg/kg以下、5―プロピルスルホニル―1H―ベンズイミダゾール―2―アミンについては0.01mg/kg以下であることを確認すること。
(2) その他
以下の試験法については本通知の試験法と同等以上の性能を有すると認められる試験法であるので留意されたい。
チアベンダゾール及び5―プロピルスルホニル―1H―ベンズイミダゾール―2―アミン試験法の5.試験溶液の調製のa 抽出法を次の方法によるもの
a 抽出法
検体を細切均一化した後,その5.00gを量り採り,飽和炭酸水素ナトリウム及び飽和炭酸ナトリウムの混液(1:9)1ml及び酢酸エチル50mlを加え,細砕した後,毎分2,600回転で5分間遠心分離を行い,上澄液を200mlの三角フラスコ中に移す.以下5.試験溶液の調製のa 抽出法と同様に操作する。
9.参考文献
なし
10.類型
A
チオジカルブ及びメソミル試験法(農産物)
1.分析対象化合物
チオジカルブ
メソミル
メチルチオアセトヒドロキサマート(メソミルオキシム)
2.装置
アルカリ熱イオン型検出器付きガスクロマトグラフ(GC―FTD)、高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ(GC―NPD)又は炎光光度型検出器付きガスクロマトグラフ(GC―FPD(S))及びガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いる。
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
メソミルオキシム標準品 本品は、メソミルオキシム98%以上を含み、融点は93.5℃である。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
(1) 穀類、豆類、種実類、果実、野菜及びハーブの場合
穀類、豆類及び種実類の場合は、試料20.0gに水40mLを加え、2時間放置する。
果実、野菜及びハーブの場合は、試料20.0gを量り採る。
これにアセトン100mLを加え、30分間振とうした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加え、上記と同様に振とう及びろ過を行う。得られたろ液を合わせ、40℃以下で40mLに濃縮する。
これに水50mL、0.5mol/L硫酸5mL、塩化ナトリウム20g及びn―ヘキサン50mLを加え、5分間振とうした後、水層を分取する。この水層にn―ヘキサン50mLを加え、上記と同様に振とう及び分取を行う。
分取した水層を酢酸エチル100mLずつで3回振とう抽出する。酢酸エチル層を合わせ、2%ジエチレングリコール・アセトン溶液0.1mLを加え、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。
(2) 茶の場合
試料5.00gに水20mLを加え、2時間放置する。これにアセトン100mLを加え、30分間振とうした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加え、上記と同様に振とう及びろ過を行う。得られたろ液を合わせ、40℃以下で30mLに濃縮する。
これに水50mL及び飽和酢酸鉛溶液2mLを加え、軽く振り混ぜた後、吸引ろ過する。水50mLでろ紙上の残留物を洗い、吸引ろ過する。得られたろ液を合わせ、0.5mol/L硫酸5mL、塩化ナトリウム30g及びn―ヘキサン50mLを加え、5分間振とうした後、水層を分取する。この水層にn―ヘキサン50mLを加え、上記と同様に振とう及び分取を行う。
分取した水層を酢酸エチル100mLずつで3回振とう抽出する。酢酸エチル層を合わせ、2%ジエチレングリコール・アセトン溶液0.1mLを加え、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。
2) 加水分解
1)で得られた残留物に4mol/L水酸化ナトリウム溶液20mLを加えて溶かし、空冷管を付して85℃で30分間加熱する。冷後、0.5mol/L硫酸100mLを加え、酢酸エチル100mLで1回、50mLずつで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液に2%ジエチレングリコール・アセトン溶液0.1mLを加え、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にアセトンを加えて溶かし、正確に2mLとしたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
メソミルオキシム標準品の0.05~1mg/Lアセトン溶液を数点調製する。それぞれ2μLをGCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液2μLをGCに注入し、5の検量線でメソミルオキシムの含量を求める。
メソミルオキシムの含量に1.54を掛けたものをチオジカルブ及びメソミルオキシムを含むメソミルの含量とする。
7.確認試験
GC/MSにより確認する。
8.操作条件
GC
検出器:FTD、NPD又はFPD(S)
カラム:ポリエチレングリコール、内径0.2~0.7mm、長さ10~30m、膜厚0.1~1.5μm
カラム温度:50℃(2分)―2~20℃/分―280℃
注入口温度:200~270℃
検出器温度:280~300℃
キャリヤーガス:窒素又はヘリウム、線速度20~40cm/秒
9.定量限界
0.01mg/kg(茶は0.04mg/kg)
10.留意事項
1) 試験法の概要
チオジカルブ、メソミル及びメソミルオキシムを試料からアセトンで抽出し、酸性下でn―ヘキサンで洗浄した後、酢酸エチルで抽出する。抽出物をアルカリで加水分解し、チオジカルブ及びメソミルをメソミルオキシムに変換した後、GC―FTD、GC―NPD又はGC―FPD(S)で定量し、GC/MSで確認する方法である。なお、メソミルオキシムの含量に係数を掛けてメソミルに換算した値を分析値とする。
2) 注意点
11.参考文献
1) 上路雅子ら、2002年度版「残留農薬分析法」487頁、ソフトサイエンス社
12.類型
A(環境省告示第27号「チオジカルブ試験法」平成7年4月26日)
チルミコシン試験法(畜水産物)
1.分析対象化合物
チルミコシン
2.装置
紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフを用いる。
3.試薬・試液
次に示すもの以外は,総則の3に示すものを用いる。
強酸性陽イオン交換体ミニカラム(500mg) 内径8~9mmのポリエチレン製のカラム管にプロピルベンゼンスルホン酸シリル化シリカゲル500mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離特性を有するものを用いる。
リン酸緩衝液(pH2.5) リン酸一ナトリウム7.80gを水に溶かして1,000mlとし,これにリン酸を加えてpH2.5に調整する。
リン酸緩衝液(pH3.0) リン酸一ナトリウム7.80gを水に溶かして1,000mlとし,これにリン酸を加えてpH3.0に調整する。
4.標準品
チルミコシン 本品はチルミコシン99%以上を含む。
5.試験溶液の調製
a 筋肉,肝臓及び腎臓の場合
(1) 抽出法
筋肉の場合は,可能な限り脂肪層を除き,細切均一化した後,その5.00gを量り採る。
肝臓及び腎臓の場合は,細切均一化した後,その5.00gを量り採る。
これにメタノール及び1.2%メタリン酸溶液の混液(1:1)35mlを加え,細砕した後,毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い,綿栓ろ過する。
(2) 精製法
強酸性陽イオン交換体ミニカラム(500mg)に,メタノール3ml及び水3mlを順次注入し,流出液は捨てる。このカラムに(1) 抽出法で得られた溶液を注入した後,メタノール及びリン酸緩衝液(pH3.0)の混液(9:1)3ml,水5ml及び0.1mol/lリン酸二カリウム溶液3mlを順次注入し,流出液は捨てる。このカラムにメタノール及び0.1mol/lリン酸二カリウム溶液の混液(9:1)10mlを注入し,流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り,40°以下でメタノール及び水を除去する。この残留物にアセトニトリル及び0.05mol/lリン酸二カリウム溶液の混液(3:7)1.0mlを加えて溶かし,これを試験溶液とする。
b 脂肪の場合
(1) 抽出法
可能な限り筋肉層を除き,細切均一化した後,その5.00gを量り採る。
これにメタノール及び0.4%メタリン酸溶液の混液(1:1)35mlを加え,細砕した後,毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い,綿栓ろ過する。
(2) 精製法
a 筋肉,肝臓及び腎臓の場合の(2) 精製法を準用する。
c 乳の場合
(1) 抽出法
試料10.0gを量り採り,メタノール及び1.2%メタリン酸溶液の混液(1:1)35mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い,綿栓ろ過する。
(2) 精製法
a 筋肉,肝臓及び腎臓の場合の(2) 精製法を準用する。
6.操作法
a 定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
カラム充てん剤 オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)を用いる。
カラム管 内径4.0~6.0mm,長さ150mmのステンレス管を用いる。
カラム温度 40°
検出器 吸光波長290nmで操作する。
移動相 アセトニトリル及びリン酸緩衝液(pH2.5)の混液(1:3)を用いる。チルミコシンが約10分で流出する流速に調整する。
b 定量試験
a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき,ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
7.定量限界
筋肉,脂肪,肝臓及び腎臓 0.05mg/kg
乳 0.01mg/kg
8.留意事項
(1) 試験溶液の調製
精製法において用いる強酸性陽イオン交換体ミニカラムは,予め標準品を用いて,その保持及び溶出性能を確認すること。
(2) 標準溶液の調製
(1) チルミコシン10.0mgに相当する標準品をメタノールに溶解してチルミコシン標準原液とすること(チルミコシン100mg/l)。本標準原液は,0~4°保存で3か月間安定であること。
(2) チルミコシン標準原液を0.05mol/lリン酸二カリウム溶液で逓減希釈し,検量線作成用標準溶液とすること。
(3) その他
本試験法によりチルミコシンが検出された場合には,紫外可視多波長検出器及び質量検出器付き高速液体クロマトグラフを用いて確認することが望ましいこと。
9.参考文献
なし
10.類型
A
ツラスロマイシン試験法(畜水産物)
1.分析対象化合物
ツラスロマイシン
2.装置
液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS又はLC/MS/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
水 液体クロマトグラフ用に製造したものを用いる。
メタノール 液体クロマトグラフ用に製造したものを用いる。
ジビニルベンゼン―N―ビニルピロリドン共重合体ミニカラム(60mg) 内径12~13mmのポリエチレン製のカラム管にジビニルベンゼン―N―ビニルピロリドン共重合体60mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離特性を有するものを用いる。
ツラスロマイシン標準品 本品はツラスロマイシン97%以上を含み、融点は190~192℃である。
4.試験溶液調製法
1) 抽出
(1) 筋肉、肝臓、腎臓及びその他の食用部分の場合
試料5.00gを量り採り、メタノール及び0.2%メタリン酸溶液(3:7)混液100mLを加えて細砕した後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にメタノール及び0.2%メタリン酸溶液(3:7)20mLを加えてかき混ぜた後、上記と同様に操作して、ろ液を合わせ、40℃以下で約30mLに濃縮する。
(2) 脂肪の場合
試料5.00gを量り採り、n―ヘキサン30mL及び0.2%メタリン酸溶液70mLを加えて細砕した後、毎分3,000回転で5分間遠心分離する。n―ヘキサン層を捨て、残りの層を吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にメタノール及び0.2%メタリン酸溶液(3:7)混液20mLを加えてかき混ぜた後、上記と同様に操作して、ろ液を合わせ、40℃以下で30mLに濃縮する。
2) 精製
ジビニルベンゼン―N―ビニルピロリドン共重合体ミニカラム(60mg)に、メタノール5mL及び水5mLを順次注入し、流出液は捨てる。このカラムに1)で得られた溶液を注入した後、水5mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムにメタノール5mLを注入し、溶出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40℃以下でメタノールを除去する。この残留物にアセトニトリル及び0.05%トリフルオロ酢酸溶液(1:3)混液1.0mLを加えて溶かし、これを試験溶液とする。
5.検量線の作成
ツラスロマイシン標準品の10mg/100mLメタノール溶液を調製し、アセトニトリル及び0.05%トリフルオロ酢酸溶液(1:3)混液で希釈して0.5~50mg/Lの標準溶液を数点調製する。それぞれLC/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液をLC/MSに注入し、5の検量線でツラスロマイシンの含量を求める。
7.確認試験
LC/MS又はLC/MS/MSにより確認する。
8.測定条件
LC/MS
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル 内径2.0~6.0mm、長さ100~250mm、粒子径2~5μm
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル及び0.05%トリフルオロ酢酸溶液(1:3)混液
イオン化モード:ESI(+)
主なイオン(m/z):577、807
保持時間の目安:4~6分
9.定量限界
0.01mg/kg
10.留意事項
1) 試験法の概要
ツラスロマイシンを試料からメタノール及び0.2%メタリン酸溶液の混液で抽出し、ジビニルベンゼン―N―ビニルピロリドン共重合体ミニカラムで精製した後、LC/MSで測定及び確認する方法である。
2) 注意点
(1) LC/MSにおける標準溶液及び試験溶液の標準的な注入量は、内径3.0mmのカラムにおいて10μLであるが、カラム及び装置により最適な注入量が異なる場合があるので、必要に応じて最適注入量を検討すること。
(2) LC/MSにおける測定条件は用いる装置により、最適なイオン化方法、生成するイオンが異なる場合があるので、装置ごとに最適条件を検討すること。主なモニターイオン577(m/z)は、ツラスロマイシンの代謝物からも生成する場合があるので、他のイオンでも確認すること。
11.参考文献
なし
12.類型
C
テクロフタラム試験法(農産物)
1.分析対象化合物
テクロフタラム、テクロフタラムイミド
2.装置
電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ・質量分析計を用いる。
3.試薬、試液
総則の3に示すものを用いる。
4.標準品
テクロフタラム 本品はテクロフタラム99%以上を含む。
融点 本品の融点は198~199°である。
5.試験溶液の調製
a 抽出法
検体を420μmの標準網ふるいを通るように粉砕した後,その10.0gを量り採り,水20mlを加え,2時間放置する。
これにアセトン100mlを加え,3分間細砕した後,ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り,アセトン50mlを加え,3分間細砕した後,上記と同様に操作して,ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ,40°以下で約30mlに濃縮する。
これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100mlを入れた300mlの分液漏斗に移す。酢酸エチル100mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い,洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,酢酸エチル層を300mlの三角フラスコに移す。水層に酢酸エチル50mlを加え,上記と同様に操作して,酢酸エチル層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え,時々振り混ぜながら15分間放置した後,すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで酢酸エチル20mlを用いて三角フラスコを洗い,その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ,40°以下で酢酸エチルを除去する。
この残留物にn―ヘキサン30mlを加え,100mlの分液漏斗に移す。n―ヘキサン飽和アセトニトリル30mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い,洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,アセトニトリル層を200mlの分液漏斗に移す。n―ヘキサン層にn―ヘキサン飽和アセトニトリル30mlを加え,上記と同様にアセトニトリル層を上記の分液漏斗に合わせる操作を2回繰り返す。これにアセトニトリル飽和n―ヘキサン30mlを加え,軽く振り混ぜた後,静置し,アセトニトリル層をすり合わせ減圧濃縮器中に移す。40°以下でアセトニトリルを除去する。この残留物に酢酸エチル1mlを加えて溶かす。
b イミド化
a 抽出法で得られた溶液に無水酢酸1mlを加え,密栓し,50°の水浴上で20分間加温する。これに10%塩化ナトリウム溶液50mlを加え,200mlの分液漏斗に移す。n―ヘキサン50mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い,洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,n―ヘキサン層を100mlの三角フラスコに移す。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え,時々振り混ぜながら15分間放置した後,すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いでn―ヘキサン20mlを用いて三角フラスコを洗い,その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ,40°以下でn―ヘキサンを除去する。この残留物にn―ヘキサン2mlを加えて溶かす。
c 精製法
内径15mm,長さ300mmのクロマトグラフ管に,カラムクロマトグラフィー用合成ケイ酸マグネシウム5gをn―ヘキサンに懸濁したもの,次いでその上に無水硫酸ナトリウム約5gを入れ,カラムの上端に少量のn―ヘキサンが残る程度までn―ヘキサンを流出させる。このカラムにb イミド化で得られた溶液を注入した後,n―ヘキサン50mlを注入し,流出液は捨てる。次いで酢酸エチル及びn―ヘキサンの混液(1:9)50mlを注入し,流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り,40°以下で酢酸エチル及びn―ヘキサンを除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて溶かし,正確に5mlとして,これを試験溶液とする。
6.操作法
a 定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果はテクロフタラム標準溶液について,5.試験溶液の調製のb イミド化と同様に操作して得られたものと一致しなければならない。
操作条件
カラム 内径0.25mm,長さ30mのケイ酸ガラス製の細管に,ガスクロマトグラフィー用メチルシリコンを0.25μmの厚さでコーティングしたもの。
カラム温度 60°で2分間保持し,その後毎分20°で昇温し,250°に到達後34分間保持する。
試験溶液注入口温度 250°
注入方式 スプリットレス
検出器 300°で操作する。
ガス流量 キャリヤーガスとしてヘリウムを用いる。テクロフタラムのイミド体が35~37分で流出する流速に調整する。メイクアップガスの窒素の流量を至適条件に調整する。
b 定量試験
a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき,ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
c 確認試験
a 定性試験と同様の操作条件でガスクロマトグラフィー・質量分析を行う。試験結果は標準品について,5.試験溶液のb イミド化と同様に操作して得られたものと一致しなければならない。また,必要に応じ,ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
7.定量限界
0.01mg/kg
8.留意事項
1) 分析値
テクロフタラムの分析値には、テクロフタラム及びテクロフタラムイミドが含まれる。
2) 電子捕獲型検出器付ガスクロマトグラフィーでテクロフタラムイミドを測定する場合,ガラスインサートへの吸着のため感度が変動しやすいので,試料液と標準液を交互に注入して再現性を確かめてから定量を行う必要があること。
9.参考文献
なし
10.類型
A
デスメディファム試験法(農産物)
1.分析対象化合物
デスメディファム
2.装置
紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ及び液体クロマトグラフ・質量分析計を用いる。
3.試薬、試液
総則の3に示すものを用いる。
4.標準品
デスメディファム 本品はデスメディファム99%以上を含む。
融点 本品の融点は118~119°である。
5.試験溶液の調製
a 抽出法
検体約1kgを精密に量り、3%リン酸溶液500mlを加え、細切均一化した後、検体20.0gに相当する量を量り採り、300mlのナス型フラスコに移す。これに、アセトン100mlを加え、還流冷却器を付け、ホットプレート上で1時間沸騰させる。放冷後、還流冷却器をアセトン10mlで洗い、洗液を上記のナス型フラスコに合わせる。これを、ろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。次いで、アセトン15mlを用いて上記のナス型フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40°以下で約40mlに濃縮する。
これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100mlを入れた300mlの分液漏斗に移す。n―ヘキサン50mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い、洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、n―ヘキサン層を300mlの三角フラスコに移す。水層にn―ヘキサン50mlを加え、上記と同様に操作して、n―ヘキサン層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いでn―ヘキサン20mlを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40°以下でn―ヘキサンを除去する。この残留物にエーテル及びn―ヘキサンの混液(1:4)10mlを加えて溶かす。
b 精製法
内径19mm、長さ300mmのクロマトグラフ管に、カラムクロマトグラフィー用シリカゲル(粒径63~200μm)5gをn―ヘキサンに懸濁したもの、次いでその上に無水硫酸ナトリウム約5gを入れ、カラムの上端に少量のn―ヘキサンが残る程度までn―ヘキサンを流出させる。このカラムにa 抽出法で得られた溶液を注入した後、エーテル及びn―ヘキサンの混液(1:4)50mlを注入し、流出液は捨てる。次いでエーテル及びn―ヘキサンの混液(1:1)200mlを注入し、流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40°以下でエーテル及びn―ヘキサンを除去する。この残留物にアセトニトリル及び0.01%リン酸溶液の混液(9:11)を加えて溶かし、正確に2mlとして、これを試験溶液とする。
6.操作法
a 定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
カラム充てん剤 オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)を用いる。
クロマトグラフ管 内径4.6mm、長さ150mmのステンレス管を用いる。
カラム温度 40°
検出器 波長250nmで操作する。
移動相 アセトニトリル及び水の混液(9:11)を用いる。デスメディファムが約14分で流出する流速に調整する。
b 定量試験
a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
c 確認試験
a 定性試験と同様の操作条件で液体クロマトグラフィー・質量分析を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。また、必要に応じ、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
7.定量限界
0.01mg/kg
8.留意事項
デスメディファムは含水アセトニトリル中では不安定であり,標準溶液はアセトニトリル―0.01%リン酸の混液(9:11)で調製すること。
9.参考文献
なし
10.類型
A