添付一覧
i.穀類、豆類及び種実類の場合
試料10.0gを量り採り、水20mLを加え、2時間放置する。
これに1mol/L水酸化ナトリウム溶液20mLを加え、pH11以上であることを確認し、さらに、アセトン100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせ、35℃以下で約40mLに濃縮する。
これに10%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:4)混液100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液を合わせ、0.2mol/L酢酸溶液100mL及び50mLで2回振とう抽出する。この抽出液(a)を代謝物の抽出液とする。
一方、残った酢酸エチル及びn―ヘキサン混液の層を、10%塩化ナトリウム溶液20mLに1mol/L水酸化ナトリウム溶液1mLを加えた溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。
この残留物をn―ヘキサン30mLに溶解し、n―ヘキサン飽和アセトニトリル30mLずつで3回振とう抽出する。抽出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にアセトン及びn―ヘキサン(1:49)混液2mLを加えて溶かす。
ii.果実、野菜、ハーブ、茶及びホップの場合
果実、野菜及びハーブの場合は、検体約1kgを精密に量り、1mol/L水酸化ナトリウム溶液1,200mLを加え、細切均一化し、pH11以上であることを確認した後、検体20.0gに相当する量を量り採る。
茶及びホップの場合は、試料5.00gを量り採り、水20mLを加え、2時間放置する。
これに、1mol/L水酸化ナトリウム溶液20mLを加え、pH11以上であることを確認する。これにアセトン100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせ、35℃以下で約40mLに濃縮する。
これに10%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:4)混液100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液を合わせ、0.2mol/L酢酸溶液100mL及び50mLで2回振とう抽出する。この抽出液(a)を代謝物の抽出液とする。
一方、残った酢酸エチル及びn―ヘキサン混液の層を、10%塩化ナトリウム溶液20mLに1mol/L水酸化ナトリウム溶液1mLを加えた溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にアセトン及びn―ヘキサン(1:49)混液2mLを加えて溶かす。
(2) 精製
クロマトグラフ管(内径15mm)に、カラムクロマトグラフィー用合成ケイ酸マグネシウム5gをアセトン及びn―ヘキサン(1:49)混液に懸濁させて充てんし、無水硫酸ナトリウム約5gを積層する。このカラムに(1)で得られた溶液を注入した後、アセトン及びn―ヘキサン(1:49)混液40mLを注入する。溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトンに溶解し、正確に2mLとしたものをアミトラズの試験溶液とする。
2) 代謝物の試験溶液
1)で得られた代謝物を含む抽出液(a)に5mol/L水酸化ナトリウム溶液20mLを加え、酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:4)混液100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液を合わせ、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトンに溶解し、正確に1mLとしたものを代謝物の試験溶液とする。
5.検量線の作成
アミトラズ標準品0.05~1.0mg/L及び代謝物標準品0.1~2.0mg/Lを含むアセトン溶液を数点調製し、それぞれ2μLをGCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液2μLをGCに注入し、5の検量線でアミトラズ及び代謝物の含量を求め、次式により、代謝物を含むアミトラズの含量を求める。
アミトラズ(代謝物を含む)の含量=アミトラズの含量+代謝物の含量×1.81
7.確認試験
GC/MSにより確認する。
8.測定条件
1) GC
検出器:FTD又はNPD
カラム:50%フェニル―メチルシリコン 内径0.53mm、長さ30m、膜厚1.0μm
カラム温度:100℃(1分)―10℃/分―280℃(15分)
注入口温度:240℃
検出器温度:280℃
キャリヤーガス:ヘリウム
保持時間の目安:アミトラズ17分、代謝物8分
2) GC/MS
カラム:5%フェニル―メチルシリコン 内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm
カラム温度:100℃(1分)―10℃/分―280℃(15分)
注入口温度:240℃
キャリヤーガス:ヘリウム
イオン化モード(電圧):EI(70eV)
主なイオン(m/z):
アミトラズ 293、162、132、121
代謝物 162、132、106、120
注入量:1μL
9.定量限界
各化合物 0.01mg/kg(穀類、豆類及び種実類:0.02mg/kg、茶及びホップ:0.04mg/kg)
10.留意事項
1) 試験法の概要
アミトラズ及び代謝物を塩基性下で試料からアセトンで抽出し、酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:4)混液に転溶する。転溶した溶液から酢酸溶液で代謝物を抽出する。残った溶液を水酸化ナトリウム溶液で洗浄した後、果実、野菜、ハーブ、茶及びホップはそのまま、穀類、豆類及び種実類はアセトニトリル/ヘキサン分配で脱脂した後、合成ケイ酸マグネシウムカラムで精製してアミトラズの試験溶液とする。一方、代謝物を含む酢酸抽出液を塩基性にした後、酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:4)混液で抽出したものを代謝物の試験溶液とする。両試験溶液をGC―FTD又はGC―NPDで測定し、GC/MSで確認する方法である。
2) 注意点
(1) 代謝物の抽出率を向上させるために、試料に水酸化ナトリウム溶液を加え、pH11以上であることを確認する。pH11より低い場合は、水酸化ナトリウム溶液を追加する。
(2) 代謝物の分解を抑えるため、アセトン抽出液の濃縮は低温で短時間に終了させる。
(3) 抽出液から酢酸溶液で代謝物を抽出するときは、エマルジョンの生成を防ぐために、緩やかに短時間振とうする。
(4) 酢酸溶液で代謝物を抽出した後の酢酸エチル及びn―ヘキサン層は、アミトラズの分解を抑えるため、速やかに水酸化ナトリウムを含む塩化ナトリウム溶液で洗浄する。
11.参考文献
なし
12.類型
C
アミトロール試験法(農産物)
1.分析対象化合物
アミトロール
2.装置
蛍光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC―FL)
液体クロマトグラフ・質量分析計(LC―MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
酢酸緩衝液 0.05mol/L酢酸800mLに0.05mol/L酢酸ナトリウム溶液を加えて1,000mLとする。
弱酸性陽イオン交換樹脂 カラムクロマトグラフィー用に製造した弱酸性陽イオン交換樹脂を1mol/L塩酸を用いて洗い、次いで2.8%アンモニア水を用いて洗う。さらに1mol/L塩酸を用いて洗い、次いで水を用いて洗液が中性になるまで洗う。
リン酸緩衝液 0.05mol/Lリン酸一ナトリウム溶液に10%リン酸を加えてpH3.0に調整する。
アミトロール標準品 本品はアミトロール98%以上を含む。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
①穀類、豆類、種実類、果実、野菜、抹茶及びホップの場合
試料30.0gにエタノール80mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物に60vol%エタノール40mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせ、ろ液の容量を量る。この10mLを採り、過酸化水素水1mLを加える。これに還流冷却器を取り付けて75℃の水浴中で30分間加熱した後、放冷する。
②抹茶以外の茶の場合
試料10.0gを100℃の水600mLに浸し、室温で5分間放置した後、ろ過し、冷後ろ液12mLを採り、過酸化水素1mLを加える。これに還流冷却器を取り付けて75℃の水浴中で30分間加熱した後、放冷する。
2) 精製
①強酸性陽イオン交換樹脂カラムクロマトグラフィー
クロマトグラフ管(内径10mm)に強酸性陽イオン交換樹脂(粒径0.063~0.156mm)1mLを水に懸濁させて充てんし、カラムの上端に少量の水が残る程度まで水を流出させる。このカラムに水5mLを注入し、流出液は捨てる。次いで1)で得られた溶液を注入した後、水10mLを注入し、流出液は捨てる。次いで2.8%アンモニア水12mLを注入し、溶出液に1―プロパノール30mLを加え、45℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物に水5mLを加えて溶かす。
②弱酸性陽イオン交換樹脂カラムクロマトグラフィー
クロマトグラフ管(内径10mm)に、弱酸性陽イオン交換樹脂(粒径0.33~0.50mm)5mLを水に懸濁させて充てんし、カラムの上端に少量の水が残る程度まで水を流出させる。このカラムに水10mLを注入し、流出液は捨てる。次いで2)の①で得られた溶液を注入した後、水50mLを注入し、流出液は捨てる。次いで2.8%アンモニア水35mLを注入し、溶出液に1―プロパノール100mLを加え、45℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物を酢酸緩衝液に溶解し正確に2mLとする。
3) 蛍光化
2)の②で得られた溶液1mLに0.25w/v%フルオレスカミン・アセトン溶液100μLを加え、よく振り混ぜた後、1時間放置する。これに0.05mol/Lホウ酸ナトリウム溶液0.5mLを加えて混合し、これを試験溶液とする。
5.検量線の作成
アミトロール標準品の0.02~2mg/L溶液(酢酸緩衝液)を数点調製し、4.試験溶液の調製の3)蛍光化と同様に操作して得られたものについて、それぞれ10μLをHPLCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液10μLをHPLCに注入し、5の検量線でアミトロールの含量を求める。
7.確認試験
LC―MSにより確認する。
8.測定条件
(例)
HPLC
検出器:FL(励起波長380nm、蛍光波長484nm)
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル 内径4.6mm、長さ150mm、粒子径5μm
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル及びリン酸緩衝液(3:7)混液
保持時間の目安:15分
9.定量限界
0.025mg/kg(茶の場合は0.1mg/kg)
10.留意事項
1) 試験法の概要
アミトロールを試料からエタノール及び60vol%エタノールで抽出し、過酸化水素を加え、加熱還流後、強酸性陽イオン交換樹脂及び弱酸性陽イオン交換樹脂で精製する。次いでフルオレスカミンで蛍光誘導体化した後、HPLC―FLで定量し、LC―MSで確認する方法である。
2) 注意点
①強酸性陽イオン交換樹脂及び弱酸性陽イオン交換樹脂は、樹脂により溶出量が変化するので、標準品を用いて事前に溶出量を確認する。
②蛍光誘導体化の至適pHは4.1~4.4である。
③試験溶液中の蛍光誘導体は徐々に分解するため、速やかに測定する。
11.参考文献
なし
12.類型
A
アラクロール、イソプロカルブ、クレソキシムメチル、ジエトフェンカルブ、テニルクロール、テブフェンピラド、パクロブトラゾール、ビテルタノール、ピリプロキシフェン、ピリミノバックメチル、フェナリモル、ブタクロール、フルトラニル、プレチラクロール、メトラクロール、メフェナセット、メプロニル及びレナシル試験法(農産物)
1.分析対象化合物
農薬等の成分である物質 |
分析対象化合物 |
アラクロール |
アラクロール |
イソプロカルブ |
イソプロカルブ |
クレソキシムメチル |
クレソキシムメチル |
ジエトフェンカルブ |
ジエトフェンカルブ |
テニルクロール |
テニルクロール |
テブフェンピラド |
テブフェンピラド |
パクロブトラゾール |
パクロブトラゾール |
ビテルタノール |
ビテルタノール |
ピリプロキシフェン |
ピリプロキシフェン |
ピリミノバックメチル |
ピリミノバックメチル(E体)、ピリミノバックメチル(Z体) |
フェナリモル |
フェナリモル |
ブタクロール |
ブタクロール |
フルトラニル |
フルトラニル |
プレチラクロール |
プレチラクロール |
メトラクロール |
メトラクロール |
メフェナセット |
メフェナセット |
メプロニル |
メプロニル |
レナシル |
レナシル |
2.装置
アルカリ熱イオン化検出器又は高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ・質量分析計を用いる。
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
アラクロール 本品はアラクロール98%以上を含む。
融点 本品の融点は39~42℃である。
イソプロカルブ 本品はイソプロカルブ99%以上を含む。
融点 本品の融点は88~93℃である。
クレソキシムメチル 本品はクレソキシムメチルを99%以上含む。
融点 本品の融点は102℃である。
ジエトフェンカルブ 本品はジエトフェンカルブ98%以上を含む。
融点 本品の融点は146~147℃である。
テニルクロール 本品はテニルクロール99%以上を含む。
融点 本品の融点は75℃である。
テブフェンピラド 本品はテブフェンピラド98%以上を含む。
融点 本品の融点は61~62℃である。
パクロブトラゾール 本品はパクロブトラゾール97%以上を含む。
融点 本品の融点は165~166℃である。
ビテルタノール 本品はビテルタノール99%以上を含む。
融点 本品の融点は110~120℃である。
ピリプロキシフェン 本品はピリプロキシフェン99%以上を含む。
融点 本品の融点は45~47℃である。
ピリミノバックメチル(E体) 本品はピリミノバックメチル(E体)99%以上を含む。
融点 本品の融点は109~110℃である。
ピリミノバックメチル(Z体) 本品はピリミノバックメチル(Z体)99%以上を含む。
融点 本品の融点は71~72℃である。
フェナリモル 本品はフェナリモル99%以上を含む。
融点 本品の融点は117~119℃である。
ブタクロール 本品はブタクロールを98%以上を含む。
沸点 本品の沸点は156℃(減圧・0.0067kPa)である。
フルトラニル 本品はフルトラニル99%以上を含む。
融点 本品の融点は104~105℃である。
プレチラクロール 本品はプレチラクロール99%以上を含む。
メトラクロール 本品はメトラクロール97%以上を含む。
沸点 本品の沸点は100℃(減圧・0.00013kPa)である。
メフェナセット 本品はメフェナセット99%以上を含む。
融点 本品の融点は134~135℃である。
メプロニル 本品はメプロニル99%以上を含む。
融点 本品の融点は94℃である。
レナシル 本品はレナシル99%以上を含む。
融点 本品の融点は135℃である。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
(1) 穀類、豆類及び種実類の場合
検体を420μmの標準網ふるいを通るように粉砕した後、その10.0gを量り採り、水20mLを加え、2時間放置する。
これにアセトン100mLを加え、3分間細砕した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン50mLを加え、3分間細砕した後、上記と同様に操作して、ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で約30mLに濃縮する。
これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100mLを入れた300mLの分液漏斗に移す。酢酸エチル100mLを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い、洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、酢酸エチル層を300mLの三角フラスコに移す。水層に酢酸エチル50mLを加え、上記と同様に操作して、酢酸エチル層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで酢酸エチル20mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で酢酸エチルを除去する。
この残留物にn―ヘキサン30mLを加え、100mLの分液漏斗に移す。これにn―ヘキサン飽和アセトニトリル30mLを加え、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、アセトニトリル層をすり合わせ減圧濃縮器中に移す。n―ヘキサン層にn―ヘキサン飽和アセトニトリル30mLを加え、上記と同様の操作を2回繰り返し、アセトニトリル層をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下でアセトニトリルを除去する。この残留物にn―ヘキサン2mLを加えて溶かす。
(2) 果実、野菜、ハーブ、抹茶及びホップの場合
果実、野菜及びハーブの場合は、検体約1kgを精密に量り、必要に応じ適量の水を量って加え、細切均一化した後、検体20.0gに相当する量を量り採る。
抹茶の場合は、検体5.00gを量り採り、水20mLを加え、2時間放置する。
ホップの場合は、検体を粉砕した後、その5.00gを量り採り、水20mLを加え、2時間放置する。
これにアセトン100mLを加え、3分間細砕した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン50mLを加え、3分間細砕した後、上記と同様に操作して、ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で約30mLに濃縮する。
これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100mLを入れた300mLの分液漏斗に移す。酢酸エチル100mLを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い、洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、酢酸エチル層を300mLの三角フラスコに移す。水層に酢酸エチル50mLを加え、上記と同様に操作して、酢酸エチル層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで酢酸エチル20mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で酢酸エチルを除去する。この残留物にn―ヘキサン10mLを加え、40℃以下でn―ヘキサンを除去する。この残留物にn―ヘキサン2mLを加えて溶かす。
(3) 抹茶以外の茶の場合
a テブフェンピラドの試験を行う場合
検体9.00gを100℃の水540mLに浸し、室温で5分間放置した後、ろ過し、冷後ろ液360mLを500mLの三角フラスコに移す。これに飽和酢酸鉛溶液2mLを加え、室温で1時間静置した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いて吸引ろ過し、ろ液を1,000mLの分液漏斗に移す。次いで水50mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗い、洗液を上記の分液漏斗に合わせる。
これに塩化ナトリウム25g及び酢酸エチル100mLを加え、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、酢酸エチル層を300mLの三角フラスコに移す。水層に酢酸エチル100mLを加え、上記と同様に操作して、酢酸エチル層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで酢酸エチル20mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で酢酸エチルを除去する。この残留物にn―ヘキサン10mLを加え、40℃以下でn―ヘキサンを除去する。この残留物にn―ヘキサン2mLを加えて溶かす。
b クレソキシムメチル、ビテルタノール、ピリプロキシフェン及びフェナリモルの試験を行う場合
抹茶以外の茶を粉砕したものについて(2) 果実、野菜、ハーブ、抹茶及びホップの場合の抹茶に従って操作する。
2) 精製
内径15mm、長さ300mmのクロマトグラフ管に、カラムクロマトグラフィー用合成ケイ酸マグネシウム5gをn―ヘキサンに懸濁したもの、次いでその上に無水硫酸ナトリウム約5gを入れ、カラムの上端に少量のn―ヘキサンが残る程度までn―ヘキサンを流出させる。このカラムに1)抽出で得られた溶液を注入した後、エーテル及びn―ヘキサン(1:99)混液50mLを注入し、流出液は捨てる。次いでアセトン及びn―ヘキサン(3:7)混液50mLを注入し、溶出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40℃以下でアセトン、エーテル及びn―ヘキサンを除去する。この残留物にアセトンを加えて溶かし、正確に5mLとして、これを試験溶液とする。
5.操作法
1) 定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
カラム:内径0.25mm、長さ30mのケイ酸ガラス製の細管に、ガスクロマトグラフィー用5%フェニル―メチルシリコンを0.25μmの厚さでコーティングしたもの。
カラム温度:160℃で1分間保持し、その後毎分10℃で昇温し、190℃に到達後1分間保持する。次に毎分2℃で昇温し、210℃に到達後2分間保持する。さらに毎分5℃で昇温し、240℃に到達後、1分間保持し、その後毎分10℃で昇温し、260℃に到達後6分間保持する。
試験溶液注入口温度:210℃
検出器:210℃で操作する。
ガス流量:キャリヤーガスとしてヘリウムを用いる。空気及び水素の流量を至適条件に調整する。
2) 定量試験
1)定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
3) 確認試験
1)定性試験と同様の操作条件でガスクロマトグラフィー・質量分析を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。また、必要に応じ、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
6.定量限界
アラクロール 0.005mg/kg
イソプロカルブ 0.1mg/kg
クレソキシムメチル 0.01mg/kg
ジエトフェンカルブ 0.01mg/kg
テニルクロール 0.01mg/kg
テブフェンピラド 0.01mg/kg
パクロブトラゾール 0.005mg/kg
ビテルタノール 0.01mg/kg
ピリプロキシフェン 0.01mg/kg
ピリミノバックメチル 0.01mg/kg
フェナリモル 0.02mg/kg
ブタクロール 0.05mg/kg
フルトラニル 0.025mg/kg
プレチラクロール 0.01mg/kg
メトラクロール 0.005mg/kg
メフェナセット 0.01mg/kg
メプロニル 0.01mg/kg
レナシル 0.05mg/kg
7.留意事項
1) ピリミノバックメチルは、ピリミノバックメチル(E体)及びピリミノバックメチル(Z体)のそれぞれについて定量を行い、これらの和を分析値とする。
2) 定量限界は、果実、野菜及びハーブを試料とした場合の値を示したものであり、穀類、豆類及び種実類の場合は概ね2倍、茶及びホップの場合は概ね4倍の値となる。基準値が定量限界より低い試料の場合は、試験溶液を濃縮する、ガスクロマトグラフへの注入量を増やすなどによって対応する。
8.参考文献
なし
9.類型
A
アラニカルブ試験法(農産物)
1.分析対象化合物
アラニカルブ
2.装置
紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC―UV)
液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH8)
第1液:pH測定用リン酸一カリウム13.61gを水に溶かし、500mLとする。
第2液:水酸化ナトリウム4.0gに新たに煮沸して冷却した水を加えて溶かし、500mLとする。用時調製する。
第1液250mLに第2液231mLを混和し、水を加えて1,000mLとする。
アラニカルブ標準品 本品はアラニカルブ99%以上を含み、融点は47℃である。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
(1) 種実類の場合
試料10.0gを量り採り、0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH8)20mLを加え、2時間放置する。
これにアセトン100mLを加えてホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせ、40℃以下で約30mLに濃縮する。
これに10%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、酢酸エチル100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。
この残留物にn―ヘキサン30mLを加え、n―ヘキサン飽和アセトニトリル30mLずつで3回振とう抽出する。抽出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて正確に1mLとする。
(2) 果実、野菜、ハーブ及び抹茶の場合
果実の場合は、検体約1kgを精密に量り、0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH8)400mL及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液100mLを加えて、細切均一化する。検体20.0gに相当する量を量り採る。
野菜及びハーブの場合は、検体約1kgを精密に量り、0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH8)500mLを加えて、細切均一化する。検体20.0gに相当する量を量り採る。
抹茶の場合は、試料5.00gに0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH8)20mLを加え、2時間放置する。
これにアセトン100mLを加えてホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせ、40℃以下で約30mLに濃縮する。
これに10%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、酢酸エチル100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて正確に2mLとする。
(3) 抹茶以外の茶の場合
試料5.00gに100℃の水300mLを加え、室温で5分間放置した後、ろ過する。冷後、ろ液120mLを採り、塩化ナトリウム40gを加えて、酢酸エチル150mLずつで2回抽出する。抽出液を合わせ、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて正確に1mLとする。
2) 精製
エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)にアセトン及びn―ヘキサン(1:19)混液10mL及びn―ヘキサン10mLを順次注入し、各流出液は捨てる。次いで、このカラムに1)で得られた溶液0.5mLを注入し、流出液は捨てる。さらに、アセトン及びn―ヘキサン(1:49)混液20mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、アセトン及びn―ヘキサン(1:19)混液25mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。残留物をアセトニトリルに溶解して正確に0.5mLとしたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
アラニカルブ標準品の0.1~2mg/Lアセトニトリル溶液を数点調製する。それぞれ10μLをHPLCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液10μLをHPLCに注入し、5の検量線でアラニカルブの含量を求める。
7.確認試験
LC/MSにより確認する。
8.測定条件
HPLC
検出器:UV(波長230nm)
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)、内径4.6mm、長さ150mm
カラム温度:50℃
移動相:アセトニトリル及び水(1:1)混液
注入量:10μL
保持時間の目安:10分
LC/MS
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)、内径2.0~4.6mm、長さ150~250mm
カラム温度:40~50℃
移動相:アセトニトリル及び水(1:1)混液
イオン化モード:ESI(+)
主なイオン(m/z):400
注入量:5~10μL
保持時間の目安:11分
9.定量限界
0.01mg/kg(茶は0.1mg/kg)
10.留意事項
1) 試験法の概要
アラニカルブを試料からアセトンで抽出し、酢酸エチルに転溶する。果実、野菜、ハーブ及び抹茶はそのまま、種実類はアセトニトリル/ヘキサン分配で脱脂する。エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラムで精製した後、HPLC―UVで測定し、LC/MSで確認する方法である。
2) 注意点
(1) アラニカルブは、酸性及びアルカリ性で速やかにメソミル及びメチルチオアセトヒドロキシマートに変化する。酸性の強い試料では、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、抽出時の液性をpH8付近に保つ必要がある。
(2) エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラムによる精製でアラニカルブとともに溶出されたメソミルは、HPLCで分離できる。
11.参考文献
伊藤正子ら,食品衛生学雑誌,39,218―224(1998)
12.類型
C
アルジカルブ及びアルドキシカルブ、エチオフェンカルブ、オキサミル、カルバリル、ピリミカーブ、フェノブカルブ並びにベンダイオカルブ試験法(農産物)
1.分析対象化合物
農薬等の成分である物質 |
分析対象化合物 |
アルジカルブ及びアルドキシカルブ |
アルジカルブ、アルジカルブスルホキシド、アルジカルブスルホン |
エチオフェンカルブ |
エチオフェンカルブ |
オキサミル |
オキサミル |
カルバリル |
カルバリル |
ピリミカーブ |
ピリミカーブ |
フェノブカルブ |
フェノブカルブ |
ベンダイオカルブ |
ベンダイオカルブ |
2.装置
ポストカラム反応蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC―FL(ポストカラム))液体クロマトグラフ・質量分析計(LC―MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
発蛍光液o―フタルアルデヒド10mg及び2―メルカプトエタノール5μLに0.05mol/Lホウ酸ナトリウム溶液を加えて100mLとする。
リン酸緩衝液水約800mLに水酸化ナトリウム1.75g及びリン酸一ナトリウム11.7gを加えて溶かした後、水を加え1,000mLとする。
4.標準品
アルジカルブ 本品はアルジカルブ99%以上を含む。
融点 本品の融点は98~100℃である。
アルジカルブスルホキシド 本品はアルジカルブスルホキシド96%以上を含む。
融点 本品の融点は100~104℃である。
アルジカルブスルホン 本品はアルジカルブスルホン98%以上を含む。
融点 本品の融点は132~142℃である。
エチオフェンカルブ 本品はエチオフェンカルブ99%以上を含む。
融点 本品の融点は33~34℃である。
オキサミル 本品はオキサミル99%以上を含む。
融点 本品の融点は100~102℃である。
カルバリル 本品はカルバリル99%以上を含む。
融点 本品の融点は138~140℃である。
ピリミカーブ 本品はピリミカーブ99%以上を含む。
融点 本品の融点は90~91℃である。
フェノブカルブ 本品はフェノブカルブ98%以上を含む。
融点 本品の融点は32℃である。
ベンダイオカルブ 本品はベンダイオカルブ99%以上を含む。
融点 本品の融点は129~130℃である。
5.試験溶液の調製
a 抽出法
① 穀類、豆類、果実、野菜、種実類、抹茶及びホップの場合
穀類、豆類及び種実類の場合は、試料20.0gを量り採り、水100mLを加え、2時間放置する。
果実及び野菜の場合は、試料20.0gに相当する量を量り採る。
抹茶及びホップの場合は、試料20.0gを量り採る。
これにアセトン200mLを加え、3分間細砕した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン100mLを加え、上記と同様に操作して、ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で約20mLに濃縮する。
これをあらかじめ5%塩化ナトリウム溶液200mL及びジクロロメタン(特級)100mLを入れた500mLの分液漏斗に移し、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、ジクロロメタン層を500mLの三角フラスコに移す。水層にジクロロメタン(特級)100mLを加え、上記と同様に操作して、ジクロロメタン層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いでジクロロメタン(特級)50mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を3回繰り返す。これらの洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で約1mLに濃縮し、更に室温で空気を通じて乾固する。
この残留物にn―ヘキサン25mL及びn―ヘキサン飽和アセトニトリル30mLを加えて溶かし、これを100mLの分液漏斗に移す。振とう機を用いて10分間激しく振り混ぜた後、静置し、アセトニトリル層を200mLの分液漏斗に移す。n―ヘキサン層にn―ヘキサン飽和アセトニトリル30mLを加え、上記と同様の操作を2回繰り返し、アセトニトリル層を上記の分液漏斗に合わせる。これにアセトニトリル飽和n―ヘキサン50mLを加え、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、アセトニトリル層をすり合わせ減圧濃縮器中に移し、40℃以下で約1mLに濃縮し、更に室温で空気を通じて乾固する。この残留物にメタノールを加えて溶かし、正確に2mLとする。
② 抹茶以外の茶の場合
試料9.00gを100℃の水540mLに浸し、室温で5分間放置した後、ろ過し、冷後ろ液360mLを500mLの三角フラスコに移す。これに飽和酢酸鉛溶液4mLを加え、10秒間振り混ぜた後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いて吸引ろ過し、ろ液を1,000mLの分液漏斗に移す。次いでアセトン50mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗い、洗液を上記の分液漏斗に合わせる。これにエーテル100mL及び塩化ナトリウム100gを加え、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、エーテル層を300mLの三角フラスコに移す。水層にエーテル100mLを加え、上記と同様に操作して、エーテル層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いでエーテル30mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を3回繰り返す。これらの洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で約1mLに濃縮し、更に室温で空気を通じて乾固する。この残留物にメタノールを加えて溶かし、正確に2mLとする。
b 精製法
a 抽出法で得られた溶液0.3mLを量り採り、これを希塩酸3mLに加え、緩やかに振り混ぜた後、孔径0.45μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、これを試験溶液とする。
6.操作法
a 定性試験
① アルジカルブ、アルジカルブスルホキシド、アルジカルブスルホン、エチオフェンカルブ、オキサミル、カルバリル、フェノブカルブ及びベンダイオカルブの試験法を行う場合
次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
カラム オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)、内径3.9mm、長さ150mm
カラム温度 40℃
検出器 励起波長339nm、蛍光波長445nm
移動相 A テトラヒドロフラン B 水 C メタノール アルジカルブが約12分で流出する流速に調整する。
濃度勾配 水及びメタノールの混液(22:3)を0.1分間送液した後、A:B(1:9)から(3:7)までの濃度勾配を19.9分間行う。次にテトラヒドロフラン及び水の混液(3:7)を10分間送液した後、水及びメタノールの混液(22:3)を10分間送液する。
加水分解反応槽 移動相に対し、0.05mol/L水酸化ナトリウム溶液を注入する。注入量を一定に保つ。
加水分解反応槽温度 80℃
蛍光反応槽 移動相に対し、発蛍光液を注入する。注入量を一定に保つ。
② ピリミカーブの試験を行う場合
次の操作条件で試験を行う。試験溶液は5.試験溶液の調製のa 抽出法で得られた溶液を用い、試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
カラム オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)、内径4.0~4.6mm、長さ250mm
検出器 励起波長312nm、蛍光波長382nm
移動相 水、メタノール及びリン酸緩衝液(1:7:2)混液を用いる。ピリミカーブが約5分で流出する流速に調整する。
b 定量試験
a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
ただし、アルジカルブ及びアルドキシカルブにあっては、定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき、アルジカルブ、アルジカルブスルホキシド及びアルジカルブスルホンのそれぞれについてピーク高法又はピーク面積法により定量を行い、アルジカルブ、アルジカルブスルホキシド及びアルジカルブスルホンの含量を求め、次式により、アルジカルブスルホキシド及びアルジカルブスルホンを含むアルジカルブの含量を求める。
アルジカルブ(アルジカルブスルホキシド及びアルジカルブスルホンを含む。)の含量(ppm)=A+B×0.9224+C×0.8560
A:アルジカルブの含量(ppm)
B:アルジカルブスルホキシドの含量(ppm)
C:アルジカルブスルホンの含量(ppm)
c 確認試験
次の操作条件で液体クロマトグラフィー・質量分析を行う。試験溶液は5.試験溶液の調製のa 抽出法で得られた溶液を用い、試験結果は標準品と一致しなければならない。また、必要に応じ、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
操作条件
カラム オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径3~5μm)、内径2.0~4.6mm、長さ75~150mm
カラム温度 50℃
移動相 A 水及びメタノール(9:1)混液、B 水及びメタノール(1:9)混液
濃度勾配A:B(9:1)を0.1分間送液した後、A:B(9:1)から(1:3)までの濃度勾配を24.9分間行う。次にA:B(1:3)から(0:1)までの濃度勾配を5分間おこなった後、A:B(9:1)を5分間送液する。
イオン化モード ESI(+)
主なイオン(m/z)
アルジカルブ 213、116
アルジカルブスルホキシド 207、132
アルジカルブスルホン 223
エチオフェンカルブ 226
オキサミル 237
カルバリル 202、145
ピリミカーブ 239
フェノブカルブ 208
ベンダイオカルブ 224
7.定量限界
アルジカルブ 0.005mg/kg
アルジカルブスルホキシド 0.005mg/kg
アルジカルブスルホン 0.005mg/kg
エチオフェンカルブ 0.005mg/kg
オキサミル 0.005mg/kg
カルバリル 0.01mg/kg
ピリミカーブ 0.005mg/kg
フェノブカルブ 0.01mg/kg
ベンダイオカルブ 0.005mg/kg
8.留意事項
1) ポストカラム蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフ装置の構成は下図の通りであること。
2) かんきつ類の果肉等酸性の強い検体を対象としてピリミカーブを同時に抽出するときは、炭酸水素ナトリウム約5gを加えることにより抽出率が向上できること。
3) アセトニトリル/ヘキサン分配は、油脂等をほとんど含まない試料では省略することができる。
4) メンブランフィルターは、種類によって測定対象物質が吸着されることがあるので、回収できることを確認して使用する。
5) 操作条件は、機種、カラムの種類等により異なる。アルジカルブスルホキシド及びアルジカルブスルホンは溶出が早いことから、オキサミルや他の成分と誤認しないよう留意する。
6) 6.操作法のa 定性試験の濃度勾配は、下図の曲線を参考にすること。
7) 6.操作法のc 確認試験におけるアルジカルブの主なイオンのうちm/z213は[M+Na]+である。
8) 妨害成分の多い試料では、グラファイトカーボンミニカラム(250mg)、エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)及びトリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)による精製を加えるとよい。
操作概要:グラファイトカーボンミニカラム(250mg)、エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)及びトリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)それぞれにアセトン30mL、n―ヘキサン20mLを注入し、流出液を捨て、上からグラファイトカーボンミニカラム(250mg)、エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)及びトリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)の順に連結する。試料抽出液の0.5mLを採り、窒素気流下でメタノールを除去し、アセトン及びn―ヘキサンの混液(1:4)0.5mLに溶解して、先の連結カラムに注入する。アセトン及びn―ヘキサンの混液(1:4)20mLを注入し、0.5mL/分の速さで流出させ、溶出液を採る。次いで、グラファイトカーボンミニカラム(250mg)及びエチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)をはずし、トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)にアセトン及びn―ヘキサンの混液(3:7)10mLを注入し、溶出液を合わせ、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をメタノール0.5mLに溶解する。
9) 測定機器及び食品の種類によっては、5.試験溶液の調製のa 抽出法で得られた溶液を、必要に応じて8)に示したミニカラム精製を行った後、LC/MSにより直接分析し、定量することも可能であるが、食品由来の成分の影響をうける場合があるので、予め適用可能であることを確認してから採用する必要がある。
10) アルジカルブスルホンは、アルドキシカルブと同一の化合物である。
9.参考文献
永山ら、食品衛生学雑誌、35、470(1994)
小林ら、食品衛生学雑誌、43、133(2002)
10.類型
C
アルベンダゾール、オキシベンダゾール、チアベンダゾール、フルベンダゾール及びメベンダゾール試験法(畜水産物)
1.分析対象化合物