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○社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について

(平成16年3月12日)

(/雇児発第0312001号/社援発第0312001号/老発第0312001号/)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、厚生労働省社会・援護局長、厚生労働省老健局長通知)

社会福祉施設における運営費(措置費)(以下「運営費」という。)の取扱いについては、「社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について」厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知(平成16年3月12日雇児発第0312001号、社援発第0312001号、老発第0312001号)により行われてきたところであるが、今般、社会福祉事業の主たる担い手である社会福祉法人(以下「法人」という。)の自主的・自律的な経営を推進する観点から、次のとおり、運営費の一層の弾力運用を図ることとし、今年度(平成16年度分)運営費から適用することとしたので、管内関係機関及び各法人に対し、周知徹底を図るようお願いする。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項の規定に基づく都道府県並びに指定都市及び中核市が法定受託事務を処理するに当たり、よるべき基準として発出するものであり、本通知の施行に伴い、平成5年3月19日社援施第39号本職通知「社会福祉施設における運営費の運用及び指導について」は廃止する。

1 運営費の弾力運用が認められる要件について

本通知に定める運営費の弾力運用は、次の要件をすべて満たす場合に認められるものであること。

ただし、(4)についてのみ要件を満たさない法人については、課長通知に定めるところによるものとする。

(1) 「社会福祉法人指導監査要綱の制定について」(平成13年7月23日雇児発第487号・社援発第1274号・老発第273号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、厚生労働省社会・援護局長、厚生労働省老健局長連名通知)及び関係法令等に基づく指導において、適正な法人運営が確保されていると認められること。

(2) 「生活保護法による保護施設に対する指導監査について」(平成12年10月25日社援第2395号厚生省社会・援護局長通知)など、別表1に掲げる関係通知に基づく当該施設の監査において、適正な施設運営が確保されていると認められること。

特に、適切な入所者処遇及び適正な職員処遇が実施されていること。

(3) 「社会福祉法人会計基準」(平成28年厚生労働省令第79号)に基づく財産目録、貸借対照表及び収支計算書が公開されていること。

(4) 利用者本位のサービスの提供のため、毎年度、次の①又は②が実施されていること。

① 「社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの指針について」(平成12年6月7日障第452号・社援第1352号・老発第514号・児発第575号)により、入所者等に対して苦情解決の仕組みが周知されており、第三者委員を設置して適切な対応を行っているとともに、入所者等からのサービスに係る苦情内容及び解決結果の定期的な公表を行うなど、利用者の保護に努めていること。

② 「「福祉サービス第三者評価事業に関する指針について」の全部改正について」(平成26年4月1日雇児発0401第12号、社援発0401第33号、老発0401第11号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知)に基づき、第三者評価を受審し、その結果についても公表を行い、サービスの質の向上に努めていること。

2 対象施設について(別表2)

本通知の対象となる施設は、別表2の福祉関係各法に定める措置費支弁対象施設とするが、生活保護法による授産施設については、直接授産事業活動にかかる経費(授産事業活動に要する設備の償却を含む。)を除いた部分について本通知を適用するものとする。

3 運営費等の使途範囲について

(1) 人件費については、給与、賃金等施設運営における職員の処遇に必要な一切の経費に支出されるもの、管理費については、物件費・旅費等施設の運営に必要な経費に支出されるもの、事業費については、入所者の処遇に必要な一切の経費に支出されるものであるが、各区分に関わらず、当該施設における人件費、管理費又は事業費に充てることができるものであること。

(2) 運営費については、長期的に安定した経営を確保するため将来発生が見込まれる経費として、使用計画を作成の上、以下の積立金に積立て、次年度以降の当該施設の経費に充てることができるものである。

なお、各積立金についてそれぞれの目的以外に使用する場合は、理事会においてその使用目的、取崩す金額、時期等を十分審査の上、法人の経営上止むを得ないものとして承認された場合については使用して差し支えない。

① 人件費積立金

人件費の類に属する経費に係る積立金

② 施設整備等積立金

建物、設備及び機械器具等備品の整備・修繕、環境の改善等に要する費用、業務省力化機器をはじめ施設運営・経営上効果のある物品の購入に要する費用、及び増改築に伴う土地取得に要する費用に係る積立金

(3) 運営費については、民間施設給与等改善費として加算された額に相当する額を限度として、同一法人が運営する社会福祉施設等(別表3)の整備等に係る経費として借入れた独立行政法人福祉医療機構等からの借入金の償還金及びその利息に充当することができる。

(4) サービス区分(サービス区分を設けない場合は「拠点区分」)において発生した預貯金の利息等の収入(以下「運用収入」という。)については、独立行政法人福祉医療機構等に対する借入金の償還金及びその利息、法人本部の運営に要する経費、同一法人が行う社会福祉法(昭和26年法律第45号)(以下、「社会福祉法」という。)第2条に定める第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業の運営に要する経費、及び同一法人が運営する公益事業の運営に要する経費に充当することができる。

4 前期末支払資金残高の取扱いについて

前期末支払資金残高については、あらかじめ理事会の承認を得た上で、当該施設の人件費、光熱水料等通常経費の不足分を補填できるほか、当該施設の運営に支障が生じない範囲において以下の経費に充当することができる。

なお、翌年度に前期末支払資金残高として取り扱うことができる当期末支払資金残高は、措置費の適正な執行により適正な施設運営が確保された上で、長期的に安定した経営を確保するために将来発生が見込まれる経費を計画的に積立てた結果において保有するものであり、過大な保有を防止する観点から、当該年度の運営費(措置費)収入の30%以下の保有とすること。

(1) 法人本部の運営に要する経費

(2) 同一法人が運営する社会福祉法第2条に定める第1種社会福祉事業及び第2種社会福祉事業の運営に要する経費

(3) 同一法人が運営する公益事業の運営に要する経費

5 運営費の管理・運用について

(1) 運営費の管理・運用については、銀行、郵便局等への預貯金等安全確実でかつ換金性の高い方法により行うこと。

(2) 運営費の同一法人内における各サービス区分、各拠点区分及び各事業区分への資金の貸借については、当該法人の経営上止むを得ない場合に、当該年度内に限って認められるものであること。

また、同一法人内における各サービス区分、各拠点区分及び各事業区分以外への貸付けは一切認められないこと。

6 法人の事業経営に係る指導監督について

法人に対する指導監督に当たっては、関係法令及び通知に基づき指導を行うこと。

また、法人運営と施設運営は相互に密接な関係を有するものであることから、施設等の指導を担当する部局と十分連携し、指導監督を行うこと。

(1) 法令等の規定に基づき、法人から提出された報告書等については、厳正に審査を行われたいこと。

特に、「現況報告書」に添付される財産目録、貸借対照表及び収支計算書については、各会計年度ごとの審査はもちろんのこと、経年の整合性についても審査を徹底されたいこと。

(2) 経理の審査は各サービス区分(サービス区分を設けない場合は「拠点区分」)にとどまることなく、運営費を繰入れたサービス区分、拠点区分及び事業区分についても審査を行われたいこと。

また、審査に当たっては法令等に定める事項の遵守状況の確認、経理の審査にとどまることなく、入所者の処遇の実態についても十分留意し、不適当と認められる点については、その改善について指導されたいこと。

(3) 監査等に係る指摘事項について、改善措置が講じられない場合は、個々の事例に応じ、次に掲げる制裁措置のうち効果的かつ実施可能な方法により措置されたいこと。

① 入所者の処遇等に影響を及ぼすような悪質なケース及び放漫な経営態度が見られる場合には、新規入所措置の停止又は当該施設の入所者の他の施設への措置替えを行うこと。

② 運営費の不当支出、職員の未充足等の事態に対しては、改善措置が講じられるまでの間で貴職が必要と認める期間、民間施設給与等改善費の管理費加算分若しくは人件費加算分又はその両者を減ずること。

ただし、遡及適用は行わないこと。

③ 本通知による運営費の弾力運用については、これを一切認めないこと。

(4) 社会的に許容されない不祥事が発生した場合は、前記(3)による制裁措置のほか、当該不祥事の関係者はもちろんのこと、法人の責任者、施設管理者等の責任を明確にし、場合によっては法人組織の再検討を行うとともに、関係者の社会的責任を明確にするため、氏名の公表等も検討されたいこと。

(別表1)

1 生活保護法による保護施設に対する指導監査について

(平成12年10月25日社援第2395号)

2 障害者支援施設等に係る指導監査について

(平成19年4月26日障発第0426003号)

3 老人福祉施設に係る指導監査について

(平成12年5月12日老発第481号)

4 児童福祉行政指導監査の実施について

(平成12年4月25日児発第471号)

(別表2)

1 生活保護法(昭和25年5月4日法律第144号)による保護施設

2 身体障害者福祉法(昭和24年12月26日法律第283号)による身体障害者社会参加支援施設(視聴覚障害者情報提供施設に限る。)

3 老人福祉法(昭和38年7月11日法律第133号)による老人福祉施設(養護老人ホームに限る。)

4 売春防止法(昭和31年5月24日法律第118号)による婦人保護施設

5 児童福祉法(昭和22年12月12日法律第164号)による児童福祉施設(保育所を除く。)、児童自立生活援助事業(「児童自立生活援助事業の実施について」(平成10年4月22日雇児発第344号)に基づく事業)を行うための施設(以下「自立援助ホーム」という。)及び小規模住居型児童養育事業(「小規模住居型児童養育事業の運営について」(平成21年3月31日雇児発第0331011号)に基づく事業)を行うための施設(以下「ファミリーホーム」という。)

(別表3)

1 生活保護関係施設

救護施設

更生施設

授産施設

宿所提供施設

2 老人福祉関係施設

老人福祉法第5条の3に規定する老人福祉施設

老人福祉法第5条の2に規定する老人居宅生活支援事業を行うための施設

次の事業を行うための施設

・「高齢者生活福祉センター運営事業の実施について」(平成12年9月27日老発第655号)

3 介護保険関係施設

介護保険法(平成9年12月17日法律第123号)第115条の38に規定する地域支援事業を行うための施設

4 障害者関係施設

障害者支援施設

身体障害者社会参加支援施設

次の事業を行うための施設

・障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年11月7日法律第123号)第5条第1項に規定する障害福祉サービス及び同条第16項に規定する一般相談支援事業並びに特定相談支援事業

・「地域生活支援事業の実施について」(平成18年8月1日障発第0801002号)

5 婦人保護施設

6 児童福祉関係施設

助産施設

乳児院

母子生活支援施設

保育所

児童館

児童養護施設

障害児入所施設

児童心理治療施設

児童自立支援施設

児童家庭支援センター

自立援助ホーム

ファミリーホーム

次の事業を行うための施設

・児童福祉法第6条の2第1項に規定する障害児通所支援事業及び同条第6項に規定する障害児相談支援事業

・児童福祉法第6条の3第3項に規定する子育て短期支援事業、同条第6項に規定する地域子育て支援拠点事業及び同条第7項に規定する一時預かり事業

7 社会福祉関係施設

授産施設