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○生理用タンポン自主基準について

(平成19年3月30日)

(薬食機発第0330010号)

(各都道府県知事衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知)

薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(平成14年法律第96号。以下「改正法」という。)による改正前の薬事法(昭和35年法律第145号。以下「旧法」という。)において、生理用タンポンは「月経処理用タンポン」として承認が必要な医療機器として取り扱われていたところであるが、改正法による改正後の薬事法(以下「新法」という。)に基づく医療機器規制の抜本的な見直し及び国際リスク分類の導入に伴い、名称を「生理用タンポン」と改めるとともに、クラスⅠとして取り扱われることとなった。

今般、(社)日本衛生材料工業連合会(以下「日衛連」という。)から、クラスⅠ「生理用タンポン」の自主基準(別紙)を定めた旨の報告を受けたところ、内容が適当と認められるのでお知らせします。

また、「月経処理用タンポン基準の取扱いについて」平成12年2月21日医薬審第323号厚生省医薬安全局審査管理課長通知については、廃止し、今後の生理用タンポンの取扱いは、本通知によるものとする。

なお、本通知の写しを独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長、日本医療機器産業連合会会長、在日米国商工会議所医療機器・IVD小委員会委員長及び欧州ビジネス協会医療機器委員会委員長あて送付することとしている。

別紙

生理用タンポン自主基準

1.適用範囲

この基準は、月経又は他の膣分泌物を吸収するために膣内に挿入するセルロース又は合成素材でできた詰め物(以下「タンポン」という。)に要求される事項を対象とする。

2.引用規格

この基準は下記規格又は基準を引用する。

・日本薬局方(平成18年3月31日厚生省告示第285号第十五改正)

・「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的安全性試験の基本的考え方について―別添:医療機器の生物学的安全性評価の基本的考え方」(平成15年2月13日医薬審発第0213001号)

3.定義

3.1 吸収体

脱脂綿等の繊維を円柱形状等に圧縮成型したもので、膣内の経血及び膣分泌物を吸収する機能を有するものをいう。

3.2 取り出し用コード

経血を吸収した吸収体を膣内から取り出す時に要する紐(コード)をいう。

3.3 潤滑剤

タンポンを膣内に挿入しやすくするために吸収体に塗布するポリエチレングリコール、シリコーン油等をいう。

3.4 挿入補助具

タンポンを膣内に挿入しやすく、衛生的に取り扱うために用いるアプリケーター、スティック、フィンガーベール(指サック)をいう。

3.5 被膜

吸収体を被う水溶性フイルムをいう。

3.6 一次包装

タンポン及び挿入補助具を直接に覆う包装で、さらにこれが二次包装される場合には、いわゆる「内袋」に該当する。

3.7 二次包装

一次包装を直接に覆う包装で、通常、複数の一次包装されたタンポンを入れるものをいう。

3.8 製品タイプ

タンポンをその吸収量によりライト、レギュラー、スーパー、スーパープラスに分類したものをいう。

4.構成

タンポンは、吸収体とそれに連結する取り出し用コードからなる。また、これらに、挿入補助具であるアプリケーター、スティック、フィンガーベール(指サック)を付属するものもある。(ただし、本基準では、「タンポン」とは本体を指し、挿入補助具等を含まないこととする。)タンポン、挿入補助具等の形態の例を、附属書1「生理用タンポン及び挿入補助具等例示図」に示した。

なお、吸収体の原料として古綿、古紙、その他の古材を用いてはならない。

5.物理的要求事項

本品は、次に掲げる事項に適合しなければならない。

5.1 外観

目視で検査するとき、鋭利な角や突起物等がなく、異物の付着及び汚染がないこと。

5.2 取り出し用コード

5.2.1 取り出し用コードの長さは80mm以上であること。

5.2.2 取り出し用コードの結合強度は次に掲げる試験(第1法又は第2法)に適合すること。

第1法:附属書2「取り出し用コードの結合強度試験」に記述の第1法に従って試験するとき、取り出し用コードは1分以内に切断・分離しない。

第2法:附属書2「取り出し用コードの結合強度試験」に記述の第2法に従って試験するとき、取り出し用コードを切断・分離するのに要した張力の平均値は28N以上、個々の検体の値は22.4N以上である。

5.3 吸収量

吸収量測定法

附属書3「シンジャイナ法による吸収量の測定」に従ってその吸収量を測定するとき、下記に示す製品タイプに該当する吸収量範囲であること。なお、同一生産ロットから規定数量の検体を採り、その90%以上が規定の吸収量の範囲であること。

製品タイプ別吸収量範囲

製品タイプとその吸収量範囲は以下のとおりである。

製品タイプと吸収量範囲

製品タイプ

ライト

レギュラー

スーパー

スーパープラス

吸収量範囲

6g以下

5~9g

8~12g

11~15g

6.化学的要求事項

本品は、次に掲げる事項に適合しなければならない。

6.1 色素(有色原材料又は着色料を含有した原材料を使用したときに限る)

タンポンを10倍量(質量)の新たに煮沸し冷却した精製水に浸し、5分間かき混ぜた後、ろ過し、ろ液10mLを内径15mmの試験管に入れ、上方より観察するとき、ほとんど呈色しない。

6.2 酸及びアルカリ

6.1の方法により採取したろ液は次に掲げる試験(第1法又は第2法)に適合すること。

第1法:ろ液10mLをとり、フェノールフタレイン試液2滴を加えるとき、紅色を呈しない。また、別に同液10mLをとり、これにメチルオレンジ試液1滴を加えるとき、赤色を呈しない。

第2法:ろ液10mLをとり、pHメーターを用いて計測するとき、そのpHの値は3.1より大きく、9.8より小さい。

7.生物学的要求事項

粘膜に接触する材料を特定し、その生物学的安全性について「医療機器の生物学的安全性評価の基本的考え方」に基づいて、評価すること。

8.微生物学的要求事項

滅菌済みを標榜するものにあっては、エチレンオキサイド等適切な滅菌法を用いて無菌性保証レベル(SAL)10―3以下を担保すること。

9.包装

9.1 一次包装

一次包装は、使用前に容易に破れるおそれがなく、通常の取扱い、輸送、保管中に内容製品を適切に保護できるものであること。

9.2 二次包装

二次包装は、取扱い、輸送、貯蔵中に内容製品を保護するために十分強いものであること。

10.表示

10.1 二次包装には、次の情報を表示すること。

(1) 製造販売業者の氏名又は名称及び住所

(2) 販売名

(3) 数量(入り数)

(4) 製造番号又は製造記号

(5) 一般医療機器の旨

(6) 単回使用の旨

(7) TSSに関する注意表示

「安全にお使いいただくために、ご使用前に添付文書を必ずお読みください。トキシックショック症候群(TSS)に関する重要なことが書かれてあります。TSSはごくまれですが、タンポン使用時にかかる重篤な疾病です。添付文書は大切に保管してください。」と記載すること。

(8) 吸収量表示と製品の選び方

下記の文章と表を記載すること。

「TSSのリスクを減らすために、経血量にあわせた製品を使用することをお勧めします。長時間のご使用・連続使用は控えて下さい。」

(社)日本衛生材料工業連合会基準に基づく表示

製品タイプ

ライト

レギュラー

スーパー

スーパープラス

経血量の目安

量が少なめ

普通

多め

かなり多め

(9) 香料入りのものにあっては「香料入り」の旨

11.添付文書

医療機器の添付文書の記載要領については、平成17年3月10日薬食発第031003号通知及び平成17年3月10日薬食安発第0310001号通知を参照し添付文書を作成すること。添付文書には上記記載要領に示された内容に下記の内容を追加して記載する。

● TSSの定義と病因。

● TSSが死に至る可能性のある重篤な疾病であること。

● TSSの症状。

● TSSの可能性があるような症状があったときは、すぐに、タンポンを取り除き、医師の診療を受けるように促すこと。その際、添付文書を携帯すること及び月経中であることを医師に告げることを促すこと。

● 過去にTSSを発症したことがある場合は、タンポンの使用の再開の前に医師に相談するように促すこと。

● TSSと吸収量の関係及び製品を選ぶときのアドバイス。製品を選ぶときのアドバイスについては、以下の例示案を参考に記載すること。

例示案①

例示案②

【吸収量表示と製品の選び方】※4~8時間以内にタンポンを交換して下さい。

● 使用したタンポンがモレを起こしている場合→製品タイプを1つUP

● 使用したタンポンに白い部分があり取り出しにくい場合→製品タイプを1つDown

附属書1

附属書2

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附属書3

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