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○「公共サービス改革基本方針」の改定(国民健康保険関係の窓口業務及び国民健康保険料等の徴収業務の民間委託に関する留意事項)について
(平成19年3月28日)
(/老介発第0328001号/保国発第0328002号/)
(都道府県民生主管部(局)介護保険主管課(部)長・国民健康保険主管課(部)長・行政改革主管部(局)行政改革主管課(部)長あて厚生労働省老健局介護保険課長・保険局国民健康保険課長通知)
競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(平成18年法律第51号。以下「公共サービス改革法」という。)に基づき、平成18年12月22日に「公共サービス改革基本方針」(平成18年9月5日閣議決定)の一部(別表)の改定が閣議決定された。
国民健康保険関係の窓口業務並びに国民健康保険料及び介護保険料(以下「国民健康保険料等」という。)の徴収業務については、市町村の事務であり、公共サービス改革法第五章第二節に規定される特定公共サービスには含まれないが、各市町村の判断に基づいて民間委託を行って差し支えない業務があるため、これを周知するために、今回の改定においては、公共サービス改革基本方針の別表に別添のとおり国民健康保険関係の窓口業務及び国民健康保険料等の徴収業務に関する措置について記載が追加されたところである。
ついては、公共サービス改革法の趣旨並びに国民健康保険関係の窓口業務及び国民健康保険料等の徴収業務の民間委託に関する留意事項については、下記のとおりであるので、各市町村保険者の事務執行にあたり、貴都道府県内市町村等関係方面への周知徹底に遺憾なきよう配慮されたい。
記
Ⅰ 公共サービス改革法の趣旨
公共サービス改革法の趣旨は、国の行政機関等又は地方公共団体が自ら実施する公共サービスに関し、民間事業者の創意と工夫が反映されることが期待される一体の業務を選定して官民競争入札又は民間競争入札に付することにより、公共サービスの質の維持向上及び経費の削減を図る改革を実施することである。
なお、公共サービス改革法に基づく官民競争入札又は民間競争入札の対象となる地方公共団体の業務は、公共サービス改革法第五章第二節に定められる特定公共サービスに限られるとともに、競争の導入による公共サービスの改革の実施は、地方公共団体の判断に基づくものとされている。
Ⅱ 国民健康保険関係の窓口業務の民間委託に関する留意事項
1 別表の趣旨
国民健康保険関係の窓口業務のうち、各種届出書・申請書の受付、申請者に対する制度に関する情報提供等及び証明書等の文書の引渡業務など、処分に当たらない事実上の行為については、国民健康保険法上民間委託が禁止されているものではなく、各市町村の判断により民間委託して差し支えないものである。
今般、公共サービス改革基本方針の別表に追加された別添記載の趣旨は、上述のように、国民健康保険法上、国民健康保険関係の窓口業務の民間委託は禁止されているものではなく、各市町村の判断に基づき民間委託することが可能であることについて、厚生労働省として各市町村に周知させることにより、公共サービス改革法の趣旨を踏まえた民間委託の実施について広く検討を求めることにある。
以上の点を踏まえ、各市町村は、公共サービスの受益者である住民の立場に立って、公共サービスの質の維持向上と経費の削減を図る観点から適切な場合には、上述したような国民健康保険関係の窓口業務について民間委託の必要性について検討することとされたい。また、契約にあたっては、3の各事項について留意するとともに、行政職員が委託先職員に対して指揮命令をする場合は契約形態にかかわらず労働者派遣となり、労働者派遣法の制約を受けることになることに留意されたい。なお、労働者派遣に該当するかについては、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)にて示されている。
2 具体例
各市町村の判断により、民間委託が可能である業務の例としては、以下のような業務が考えられるので、参考とされたい。
(1) 各種届出書・申請書の受付
・届出者・申請者が、法令上、届出・申請をすることができるかどうか確認を行うこと。
・届出書・申請書に記載された事項が、法令上、必要な要件を満たしているかどうかの確認を行うこと。この場合、内容が不十分なときは、適宜加筆、修正等を求めること。
・届出書・申請書に必要な添付書類が添付されているかどうかの確認を行うこと。この場合、添付書類が不足又は不適当な場合は、適宜追完、差替え等を求めること。
(2) 被保険者台帳等への記載に関する業務
・市町村職員による届出書・申請書に関する判断を受けて、内容を被保険者台帳等へ記載すること。(端末の入出力の操作を含む。)
(3) 被保険者証等の作成に関する業務
・市町村職員による被保険者証等の交付の決定を受けて、請求者に交付する被保険者証等を作成すること。(端末の入出力の操作を含む。)
(4) 被保険者証等の引渡し業務
・作成された被保険者証等を窓口において請求者に手交すること。また、被保険者証等を郵便等により送付する場合において、発送のための一連の業務を行うこと。
(5) その他、事実上の行為又は補助的業務
コルセット等治療用装具を購入した場合、はり、灸、マッサージを受けた場合又は海外でやむを得ず治療を受けた場合の療養費や、移送費の申請の受付については、申請書の他に領収書、医師の同意書や診断書、施術の内容が分かる文書等の様々な書類を添付することが必要となることから、民間委託にあたっては国民健康保険担当職員が申請手続に関する教示や申請書類の補正が速やかに行えるような体制を整備するなど、被保険者にとって煩雑な手続とならないよう配慮されたい。
なお、特に特定疾病療養受療証のように特に慎重な取扱いが必要な疾病に関する情報が記載されている申請書、証明書については、民間事業者が扱うことになじむかどうか、被保険者からの理解が得られるかどうかなどの点を慎重に検討するよう留意されたい。
3 留意事項
(1) 民間委託の範囲
証明書等の交付や療養費等の給付その他の市町村の処分については現行法の下では民間委託できない。
(2) 個人情報の保護
国民健康保険の被保険者に関する情報のうち、疾病等情報、保険料の納付情報、被保険者の住所、年齢、世帯の構成等の情報については、特に慎重に保護することを要する重要な個人情報であることから、国民健康保険関係の窓口業務について民間事業者の活用を検討する場合には、個人情報保護条例に、受託した民間事業者及びその従業員に対する規制を追加し、罰則の対象とするなどの必要な規定の整備を行うなど、個人情報の保護に遺漏を生じることがないよう、特段の配慮と慎重な取扱いが必要である。
また、証明書等の請求者の本人確認、情報の他用途利用の禁止、委託業務の再委託の禁止、業務内容に限定した端末へのアクセス制限等、委託業務の内容に応じた情報の取扱方法を定めた上で委託契約に盛り込み、民間事業者に遵守させることを徹底することなどにより、情報の厳正な取扱いが確保されるよう、十分に留意していただきたい。
Ⅲ 国民健康保険料等の徴収業務の民間委託に関する留意事項
1 別表の趣旨
国民健康保険及び介護保険の安定的な運営を行うためには、しっかりとした保険料の収納対策を行っていく必要がある。各市町村の職員自らがこれまで以上に徴収関係の職務に努力することに加え、徴収業務にノウハウを有する民間事業者を活用することを通じて、徴収能力の向上や徴収事務の効率化を図ることを検討する必要が高まっている。
市町村において実施する国民健康保険料等の徴収業務のうち、電話、文書、滞納者宅への訪問による自主的納付の勧奨については、民間委託が禁止されているものではなく、各市町村の判断に基づき民間委託が可能である。
今般、公共サービス改革基本方針の別表に追加された別添記載の趣旨は、国民健康保険法及び介護保険法上、国民健康保険料等の徴収業務の民間委託は禁止されているものではなく、各市町村の判断に基づき民間委託することが可能であることについて、厚生労働省として各市町村に周知させるとともに、民間委託にあたっての留意事項を明確にし、各市町村の判断に基づく民間委託が円滑かつ適切に実施できるようにすることにある。
以上の点を踏まえ、各市町村は、公共サービスの受益者である住民の立場に立って、公共サービスの質の維持向上と経費の削減を図る観点から適切な場合には、上述したような国民健康保険料等の徴収業務について民間委託の必要性について検討することとされたい。なお、契約にあたっては、3の各事項について留意するとともに、行政職員が委託先職員に対して指揮命令をする場合は契約形態にかかわらず労働者派遣となり、労働者派遣法の制約を受けることになることに留意されたい。なお、労働者派遣に該当するかについては、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)にて示されている。
2 具体例
各市町村の判断により、民間委託が可能である業務の例としては、以下のようなものが考えられるので、参考としていただきたい。
(1) 事実上の行為に当たる業務についての民間委託の例
・滞納者に対する電話や文書による自主的納付の呼びかけ業務(コールセンター業務を含む。)
・滞納者宅への訪問による自主的納付の勧奨業務(収納業務を含む。)
・コンビニエンスストアによる収納業務
・地域密着型の納付組織による収納業務(滞納者宅への訪問を含む。)
(2) 徴収職員が行うこととされている強制処分(公売・差押え・督促・立入調査など)に関連する補助的な業務についての民間委託の例
・インターネットオークションによる入札関係業務
・不動産公売情報の配布・広報宣伝業務
・公売対象となる美術品等の見積もり価額算出のための鑑定業務
・差押動産(自動車、美術品、ワイン等)の専門業者による移送・保管業務
・納入通知書・督促状等の印刷・作成・封入等の補助業務
3 留意事項
上述のように、国民健康保険料等の徴収業務を民間委託するにあたっては、以下の点に留意する必要がある。
(1) 民間委託の範囲について
国民健康保険料等の徴収に関する事務のうち、相手方の意に反して行う立ち入り調査や差押え・公売等の強制処分などについては、国民健康保険法等の規定により、徴収職員に実施主体が限定されていることから、そのような強制処分を包括的に民間委託することは現行法の下ではできないものである。ただし、この規定は、当該徴収職員が行うこととされている上記の行為に関連する補助的な業務を民間委託することまでを禁じているわけではないので、ご留意願いたい。
(2) 個人情報の保護
国民健康保険料等の納付者に関する情報は、特に慎重に保護することを要する重要な秘密情報であることから、国民健康保険料等の徴収に関する業務について民間事業者の活用を検討する場合には、個人情報保護条例に、受託した民間事業者及びその従業員に対する規制を追加し、罰則の対象とするなどの必要な規定の整備を行うなど、個人情報の保護に遺漏を生じることがないよう、特段の配慮と慎重な取扱いが必要である。また、情報の他用途利用の禁止、委託業務の再委託の禁止、業務内容に限定した端末へのアクセス制限等、委託業務の内容に応じた情報の取扱方法を定めた上で委託契約に盛り込み、民間事業者に遵守させることを徹底することなどにより、情報の厳正な取扱いが確保されるよう、十分に留意していただきたい。
[別添]
「公共サービス改革基本方針」(抄)
平成18年12月22日(閣議決定)
第3 法第7条第2項第3号から第8号までに掲げる事項
法第7条第2項第3号から第8号までに掲げる事項に関する措置については、別表に基づき、計画的かつ着実に実施する。
別表に盛り込まれた措置に関する進捗状況については、監理委員会が把握し、必要に応じ適切に関与するものとする。
別表
7.窓口関連業務
事項名 |
措置の内容等 |
担当府省 |
(3) 国民健康保険関係の窓口業務 |
○ 国民健康保険法(昭和33年法律第192号)関係の一定の各種届出・申請の受付業務及び各種文書の引渡業務について、各地方公共団体の判断に基づき民間事業者へ委託できることを明確にするために必要な措置を、監理委員会と密接に連携しつつ、平成18年度中に講じる。 |
厚生労働省 |
8.徴収関連業務
事項名 |
措置の内容等 |
担当府省 |
(2) 国民健康保険料等の徴収業務に関する措置 |
○ 地方公共団体において実施する国民健康保険料等の徴収業務のうち、電話、文書、滞納者宅への訪問による自主的納付の勧奨について、各地方公共団体の判断に基づく民間事業者への委託が円滑かつ適切に実施できるようにするため、平成18年度中に必要な措置を講じる。 |
厚生労働省 |