アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○植込み型心臓ペースメーカ等承認基準の制定について

(平成19年3月2日)

(薬食発第0302004号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知)

薬事法(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第14条第1項又は第19条の2第1項に基づく植込み型心臓ペースメーカ、心外膜植込み型ペースメーカリード、心内膜植込み型ペースメーカリード及び植込み型ペースメーカアダプタの製造販売承認申請(法第14条第9項(第19条の2第5項において準用する場合を含む。)に基づく承認事項の一部変更申請を含む。)についての承認審査については、下記のとおり取り扱うこととしたので、御了知の上、貴管下関係団体、関係業者等に対し周知をお願いしたい。

なお、本通知の写しを独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長、日本医療機器産業連合会会長、在日米国商工会議所医療機器・IVD小委員会委員長及び欧州ビジネス協会医療機器委員会委員長あて送付することとしている。

1.制定の内容

(1) 臨床試験成績に関する資料の添付の有無について

別添1のとおり「植込み型心臓ペースメーカ等の製造販売承認申請に添付すべき臨床試験の試験成績に関する資料の添付が不要の範囲」を定め、当該範囲に適合するものについては、臨床試験成績に関する資料の添付を不要とするものであること。

(2) 植込み型心臓ペースメーカ等の承認基準について

平成17年2月16日付け薬食発第0216002号「医療機器の製造販売承認申請について」における承認基準として、植込み型心臓ペースメーカ、心外膜植込み型ペースメーカリード、心内膜植込み型ペースメーカリード及び植込み型ペースメーカアダプタに関する基準を別添2のとおり定めるものであること。

2.承認基準の不適合品の取扱いについて

承認基準の「適用範囲」に該当する植込み型心臓ペースメーカ、心外膜植込み型ペースメーカリード、心内膜植込み型ペースメーカリード又は植込み型ペースメーカアダプタであって、当該承認基準に適合しないものについては、個別に品質、有効性及び安全性が十分なものであることを示す資料が提出されたときには、当該資料に基づき審査を行うものであること。

3.既承認品の取扱いについて

薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(平成14年法律第96号)第2条による改正前の薬事法に基づき承認された植込み型心臓ペースメーカ、心外膜植込み型ペースメーカリード、心内膜植込み型ペースメーカリード又は植込み型ペースメーカアダプタであって、法第14条第1項又は第19条の2第1項の規定に基づく承認を受けたものとみなされるもののうち、今般制定する承認基準に適合しないものについては、承認基準に適合させるための承認事項の一部変更申請を別途行う必要はないものとすること。

なお、この場合において、今後行われる承認事項の一部変更申請は、平成17年2月16日付け薬食発第0216002号「医療機器の製造販売承認申請について」における承認基準なし(承認基準不適合)の取扱いとなることに留意すること。

4.基本要件適合性チェックリストの取扱いについて

承認基準の別紙2に示す基本要件適合性チェックリストの取扱いについては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構による承認審査においても、平成17年3月31日付け薬食機発0331012号「指定管理医療機器の適合性チェックリストについて」と同様の取扱いとすること。

5.通知の廃止等

平成11年12月28日付け薬発第1439号厚生省医薬安全局長通知「植込み型心臓ペースメーカ承認基準」は、廃止する。

別添1

植込み型心臓ペースメーカ等の製造販売承認申請に添付すべき臨床試験の試験成績に関する資料の添付が不要の範囲

植込み型心臓ペースメーカ等の製造販売承認申請に添付すべき臨床試験の試験成績に関する資料の取扱いについては平成12年3月28日医薬審第528号厚生省医薬安全局審査管理課長通知「植込み型心臓ペースメーカ等の承認申請に係る取扱いについて」及び平成12年10月5日医療機器No.21厚生省医薬安全局審査管理課事務連絡「植込み型心臓ペースメーカ等の承認申請に係る取扱いに関するQ&Aについて」のとおりとする。

以下にその概要を示す。

第1 臨床試験の試験成績に関する資料の添付の必要のない範囲について

(1) 植込み型心臓ペースメーカの非臨床分野における基本的技術は確立されつつあるが、その技術は各社ごとに培ってきた蓄積があり、その蓄積及びこれまでに開発、供給してきた実績が相当程度ある場合には、ある一定の範囲内にある新規品目の開発にあたって臨床試験の実施を不要としても、その他のデータからその有効性、安全性、品質の確認は可能であると考えられる。そのため、以下のいずれかに該当する場合は、原則として臨床試験の試験成績に関する資料の提出を要しない。

臨床試験の実施を不要とすることができるのは、あくまで申請品目の原型となった臨床試験成績を保持し、十分評価できる体制があることを基礎としていることから、申請にあたっては、当該申請品目の臨床試験成績の代わりに申請品目の原型となった品目の既に実施された臨床試験の試験成績に関する資料を添付し、申請品目と既承認品目との相違を明らかにしておくこと。

ア.既承認の自社製品と基本的機能、治療的機能、診断用機能のいずれも変更がない場合

イ.既承認の自社製品の基本的機能の変更であり、変更後の基本的機能が他社を含めた既承認の植込み型心臓ペースメーカの範囲内で、治療的機能に影響を与えない場合。この場合、基本的機能の変更が治療的機能に影響を与えないことの説明を行うこと。

なお、基本的機能を新たに追加する場合は、その基本的機能の動作確認のために申請品目の臨床試験の試験成績に関する資料を添付すること。

ウ.治療的機能に影響を及ぼさない診断用機能の追加又は変更の場合

(2) 既承認の自社製品に発生頻度が極めて低い事象に対する治療的機能を追加した製品を申請する場合であって、非臨床試験及び文献から科学的にその追加した治療的機能の有効性、安全性、品質が十分評価できる場合には臨床試験の試験成績に関する資料の添付を要しない。

なお、その場合には、その判断した理由を簡潔にまとめ、根拠となる資料を添付すること。

(3) 植込み型心臓ペースメーカのリード及びアダプタについては、既に承認を受けた製品(自社、他社を問わない)との同等性を説明できる場合、原則として臨床試験の試験成績に関する資料の添付を要しない。

別添2

植込み型心臓ペースメーカ等承認基準

薬事法第2条第5項から第7項までの規定により厚生労働大臣が指定する高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器(平成16年厚生労働省告示第298号)別表第1第200号に規定する植込み型心臓ペースメーカ、第203号に規定する心外膜植込み型ペースメーカリード、第204号に規定する心内膜植込み型ペースメーカリード及び第206号に規定する植込み型ペースメーカアダプタについて、次のように承認基準を定め、平成19年3月2日から適用する。

植込み型心臓ペースメーカ等承認基準

1.適用範囲

植込み型心臓ペースメーカの製造販売承認申請に添付すべき臨床試験の試験成績に関する資料の添付が不要の範囲(別添1)に適合する植込み型心臓ペースメーカ、心内膜植込み型ペースメーカリード、心外膜植込み型ペースメーカリード及び植込み型ペースメーカアダプタ。

2.技術基準

別紙1に適合すること。

3.使用目的、効能又は効果

使用目的、効能又は効果は心筋に長時間連続して電気刺激を与え、心臓のリズムを補正するものであること。

4.基本要件への適合性

別紙2に示す基本要件チェックリストに基づき基本要件への適合性を説明するものであること。

5.その他

構造、使用目的、性能等が既存の医療機器と明らかに異なる場合については、本基準に適合しないものとすること。

安全対策上の対応が求められた安全性情報、自己点検通知については、リスク分析又はリスク低減措置の結果について説明すること。

別紙1

植込み型心臓ペースメーカ等承認基準

1.適用範囲

この基準は、心筋に長時間連続して電気刺激を与え、心臓のリズムを補正するために使用される植込み型心臓ペースメーカ及び心内膜植込み型ペースメーカリード、心外膜植込み型ペースメーカリード、植込み型ペースメーカアダプタに要求される事項を規定する。

自動植込み型除細動器、デュアルチャンバ自動植込み型除細動器、除細動機能付植込み型両心室ペーシングパルスジェネレータ及び除細動機能なし植込み型両心室ペーシングパルスジェネレータは除外する。

2.引用規格

この基準は下記の規格又は基準(以下「規格等」という。)を引用する。引用する規格等が下記の規格等と同等以上の場合には、本邦又は外国の規格等を使用することができる。

・ISO 14708―1:2000 Implants for surgery-Active implantable medical devices-Part1:General requirements for safety,marking and for information to be provided by the manufacturer

・ISO 14708―2:2005 Implants for surgery-Active implantable medical devices-Part2:Cardiac pacemakers

・EN 28601:1992 Data elements(ISO 8601)

・EN 45502―2―1:2003 Active implantable medical devices-Part2―1:Particular requirements for active implantable medical devices intended to treat bradyarrhythmia(Cardiac pacemakers)

・60068―2―27:1993 Basic environmental testing procedures-Part2 Tests-:Test Ea:Shock(IEC 60068―2―27)

・EN 60068―2―47:1999 Environmental testing-Part2―47:Test methods-Mounting of components,equipment and other articles for vibration,impact and similar dynamic tests(IEC 60068―2―47)

・EN 60068―2―64:1994 Environmental testing-Part2:Test methods-Test Fh:broad-band random(digital control)and guidance(IEC 60068―2―64)

・ISO 5841―3:1992 Low-profile connectors(IS―1)for implantable pacemakers

・ANSI/AAMI PC69-2000 Active implantable devices-Electromagnetic compatibility-EMC test protocols for implantable cardiac pacemaker and implantable cadioverter defibrillators

・ISO 10993―1:2003 Biological evaluation of medical devices--Part1:Evaluation and testing

・ISO 11134:1994 Sterilization of health care products--Requirements for validation and routine control--Industrial moist heat sterilization

・ISO 11135:1994 Medical Devices--Validation and routine control of ethylene oxide sterilisation for medical devices.

・ISO 14971:2000 Medical devices--Application of risk management to medical devices

・JIS T 14971:2003医療機器―リスクマネジメントの医療機器への適用

・平成17年3月30日薬食監麻第0330001号「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律の施行に伴う医薬品、医療機器等の製造管理及び品質管理(GMP/QMS)に係る省令及び告示の制定及び改廃について」の第4章第4滅菌バリデーション基準(以下「滅菌バリデーション基準」という。)

・平成15年2月13日医薬審発第0213001号「医療用具の製造(輸入)承認に必要な生物学的安全性試験の基本的考え方について(以下「生物学的安全性試験の基本的考え方」という)

3.定義

3.1 植込み型心臓ペースメーカ

皮下の外科的に作製したポケットに植込むパルスジェネレータと、心臓内又は心臓上に留置する電極と接続するペースメーカをいう。植込み型ペーシングシステムは、密封パルスジェネレータから構成される。パルスジェネレータは電池と電気パルス発生回路を内蔵しており、心臓活動を感知する追加の回路を備えたものもある。永久ペースメーカ、ペーサ、植込み型パルスジェネレータともいう。

3.2 センサ

レート変調又はその他の制御を目的として、信号を検出するよう設計されたペースメーカの特殊部分

3.3 端子

電気的に分離した導電性のデバイス接続部

3.4 アダプタ

植込み型ペースメーカリードのコネクタをペースメーカに接続するために用いる器具をいう(通常、リードが特定のペースメーカシステムとの接続用に設計されていない場合に用いる。)アダプタ(アクセサリを含む)はペースメーカシステムに沿って植込まれる。

3.5 パルス

心筋を刺激するための植込み型パルスジェネレータの電気出力

3.6 パルス振幅

電流又は電圧を時間積分したものを、適切な場合はパルス幅で割ったもの(6.1.1参照)

3.7 パルス幅

この基準で規定する2ヵ所の基準点間で測定したパルスの間隔(6.1.1参照)

3.8 パルスインターバル

2つの連続するパルスにおける対応するポイント間の間隔(6.1.1参照)

3.9 基本パルスインターバル

心臓又はその他の電気的影響がセンシングされない状態でのパルスインターバル

3.10 エスケープインターバル

自己収縮のセンシングと続いて起こる植込み型パルスジェネレータの非同期パルスとの間の経過時間(6.1.4参照)

3.11 ヒステレシス

エスケープインターバルと基本パルスインターバルとの差異により定義される植込み型パルスジェネレータの特性

備考 エスケープインターバルは通常基本パルスインターバルよりも長い―これはヒステレシス「陽性」である。

3.12 AVインターバル;房室インターバル

心房パルス又は心房脱分極のセンシングとそれに続く心室パルス又は心室脱分極のセンシングとの間の遅延時間(6.1.7参照)

3.13 試験パルスインターバル

試験デバイスによる影響を直接受けた時の植込み型パルスジェネレータのパルスインターバル

3.14 パルスレート

1分当たりのパルス数(6.1.1参照)

3.15 基本レート

心臓又は他の電気的影響のセンシングにより変更されていない、心房又は心室のいずれかの植込み型パルスジェネレータのパルスレート

3.16 干渉パルスレート

心筋からではない電気的活動をセンシングして干渉として認識した場合に植込み型パルスジェネレータが反応するパルスレート

3.17 最大トラッキングレート

植込み型パルスジェネレータが同期信号に対して1:1ベースで反応する最大パルスレート

3.18 レート変調

センシングされた収縮以外の制御パラメータ機能としてのパルスレートの変更

3.19 試験パルスレート

試験デバイスによる影響を直接受けた時の植込み型パルスジェネレータのパルスレート

3.20 入力インピーダンス;Zin(植込み型パルスジェネレータの)入力端子(6.1.3参照)に存在し、センシングされた収縮に対する電気負荷と等価とされる電気インピーダンス

3.21 感度;センシング閾値

植込み型パルスジェネレータの機能を一貫して制御するために必要となる最小信号(6.1.2参照)

3.22 不応期

植込み型パルスジェネレータが収縮に反応しない時間(6.1.5及び6.1.6参照)

3.23 電極

身体組織又は体液との境界面を形成するように設計された導電部品(通常はリードの末端)

3.24 単極リード

1つの電極を持つリード

3.25 双極リード

互いに電気的に分離した2つの電極を持つリード

3.26 心内膜リード

非導電材料で絶縁されたリード(先端の電極部分を除く)で静脈経由で心腔に留置するものをいう。心内膜壁に接触させて留置し、ペースメーカから心筋へのペーシングパルスを伝達する。さらに、心臓の電気的反応をペースメーカに伝える働きもある。

3.27 心外膜リード

非導電材料で絶縁されたリード(先端の電極部分を除く)で心外膜に留置するものをいう。

3.28 植込み型心臓ペースメーカリード

心内膜壁又は心外膜に接触させて留置し、ペースメーカから心筋へのペーシングパルスを伝達する。さらに、心臓の電気的反応をペースメーカに伝える働きもある。ペースメーカリード、リードともいう。

3.29 挿入径(リードの)

その中にリード(コネクタは含まない)を挿入する堅い円筒チューブの最小口径

3.30 リード導線抵抗、RC

電極と対応するリードコネクタ端子との間のオーム抵抗(6.2.1参照)

3.31 リードペーシングインピーダンス;ZP

電圧パルスと派生電流の比により構成されるインピーダンス(6.2.2参照)。インピーダンスは電極/組織界面及びリード導線抵抗から構成される。

3.32 リードセンシングインピーダンス;ZS

植込み型パルスジェネレータによりみられるリードの信号源インピーダンス(6.2.3参照)

3.33 モデル名称

あるデバイスを他のデバイスと機能や形式によって区別するために製造業者が用いる、名前及び/又は文字と数字の組み合わせ

3.34 製造番号

同じモデル名称のデバイスを他のデバイスと区別する目的で、製造業者により選択される固有の文字及び/又は数字の組み合わせ

3.35 使用開始(BOS)

個々の植込み型パルスジェネレータを、市場に出すのに適するとして製造業者が最初に発売した時点

3.36 使用終了(EOS)

延長使用時間が過ぎ、設計仕様に対する性能が保証できない時点

3.37 予想実用寿命

定義された使用条件下での植込み型パルスジェネレータの植込みから推奨交換時期までの期間

3.38 延長使用期間(PSP)

植込み型パルスジェネレータが、推奨交換時期を超えても、基本的なペーシングを持続するために、製造業者により定義された通りの機能を維持する期間

3.39 電源インジケータ

植込み型パルスジェネレータの実用寿命中に電源の電気的状態を表示する手段

3.40 推奨交換時期(RRT)

植込み型パルスジェネレータの製造業者により交換を推奨するために設定された値に電源インジケータが達した時点(これは延長使用期間に入ったことを示す)

3.41 化学量論的容量

電源内の電気化学的活性物質の量により定義されるエネルギー容量

3.42 使用期限

その後は植込み型パルスジェネレータを使用すべきでないと製造業者が推奨する日付

3.43 有効容量

使用終了に達するまでに植込み型パルスジェネレータが使用することのできる、電源の化学量論的容量の部分

3.44 収縮

心臓の規則的な自発活動

3.45 経静脈

静脈系を経由して心臓に達する方法

3.46 デュアルチャンバ

(形容詞)心房と心室の両方に関連する

3.47 付属書

添付文書又は取扱説明書

4.記号及び略語(オプション)

この基準で規定する要求事項はない。しかし、これは他の規格等で定義されている記号や付属書等で定義されている特殊記号の使用を妨げるものではない。

5.基準への適合

この基準で規定する試験への適合を示すために、原則として当該植込み型パルスジェネレータのサンプルで実施する必要があるが、例えば同等の設計がなされた既承認品により適合を示すことができる場合にあっては、これまでの試験結果等から適合を示すことができるものとする。

植込み型パルスジェネレータ、ペースメーカリード等の特性はこの基準で詳説する適当な方法若しくはその方法と同等又はそれ以上の精度を有することが実証されている他の方法のいずれかにより測定する。

6.植込み型パルスジェネレータ及びペースメーカリードの特性の測定

6.1 植込み型パルスジェネレータ特性の測定

この条項に記載する方法に従って測定された植込み型パルスジェネレータの電気的特性の値は、付属書等において製造業者が規定する値の範囲内であること(28.8参照)。

測定手順は、植込み型パルスジェネレータを、37℃±2℃の温度で500Ω±1%の負荷に接続し、特に指定のない限り製造業者が推奨する公称設定値(工場推奨設定値)に設定して実施する。

各試験に対する全般的な測定精度は、表101で示した限界内であること。

表101―全般的な測定精度限界

測定

正確度

パルス振幅(6.1.1)

±5%

パルス幅(6.1.1)

±5%

パルスインターバル/試験パルスインターバル(6.1.1)

±0.2%

パルスレート/試験パルスレート(6.1.1)

±0.5%

感度(6.1.2)

±10%

入力インピーダンス(6.1.3)<1MΩの場合

±10%

エスケープインターバル(6.1.4)

±10%

不応期(6.1.5、6.1.6及び6.1.8)

±10%

AVインターバル(6.1.7及び6.1.9)

±5%

備考 入力インピーダンスについての情報は常に要求される。しかし、約1MΩを超えると、リードにより示される信号源インピーダンスを入力インピーダンスが大幅に上回るため、10%の精度の許容差が緩められる。

植込み型パルスジェネレータがデュアルチャンバ機能を有している場合には、心房及び心室の特性を別々に測定する。簡略化のため、記載するすべての測定手法では、双極植込み型パルスジェネレータについて示す。単極植込み型パルスジェネレータについては、ケースを不関電極として適切に試験設定に組み込む。

6.1.1 パルス振幅、パルス幅、パルスレート及びパルスインターバルの測定

手順:インターバルカウンタ及びオシロスコープを使用する。

植込み型パルスジェネレータを500Ω±1%の負荷抵抗器(RL)及び試験装置に図101に示すように接続する。1つのパルスの全体が表示されるようにオシロスコープを調整する。

パルス幅(D)は、パルス振幅(Amax)ピークの3分の1に等しいポイントの間を測定する(図F.101参照)。

パルス振幅は(A)は、電流又は電圧を時間積分したものを、適切なパルス幅で割って計算する(図F.102参照)。

パルスレートは、20個以上のパルスの平均インターバルから計算する。

図101―パルス振幅、パルス幅、パルスインターバル及びパルスレートの測定

パルスインターバル(tp)は、各パルスの前縁にトリガを設定した時に、インターバルカウンタのディスプレイより記録する。

240Ω±1%及び1kΩ±1%の負荷抵抗器RLで手順を繰り返し、負荷抵抗の関数としての値の変化を測定する。

結果は次の単位で表す。

・パルス幅:ミリ秒(ms)

・パルス振幅:ボルト又はミリアンペア(V又はmA)

・パルスインターバル:ミリ秒(ms)

・パルスレート:毎分(min-1)

備考 結果を記録する場合は、必ず植込み型パルスジェネレータの動作設定値(例えばプログラムされたパルスレートなど)もメモする。

6.1.2 感度の測定(センシング閾値)(epos及びeneg)

手順:オシロスコープ(公称入力インピーダンス1MΩ)及び図F.103で定義する形状の信号を発生する試験信号発生器(出力インピーダンス1kΩ以下)を使用する。

植込み型パルスジェネレータは、図102に示すように、500Ω±1%の負荷抵抗器(RL)及び試験装置に接続する。試験信号発生器から、100kΩ±1%の給電抵抗器(RF)を通して陽極試験信号をA点に印加する。植込み型パルスジェネレータの基本パルスインターバルより50ms以上短くなるように、試験信号発生器のパルスインターバルを調整する。試験信号振幅は0に調整し、オシロスコープは数個のパルスを表示するように調整する。

試験信号振幅は、抑制モードの植込み型パルスジェネレータの場合はパルスが一貫して抑制されるまで、トリガ(同期)モードの植込み型パルスジェネレータの場合はパルスが常に試験信号に同期して生じるまで、徐々に増加する。

その後、試験信号振幅の測定を行う。陽極感度(epos)は、測定された試験信号電圧を201で除算して求める。

図102―感度測定

陰極試験信号をA点に印加して手順を繰り返し、陰極感度(eneg)を同様に計算する。

6.1.3 入力インピーダンスの測定(Zin)

手順:オシロスコープ(公称入力インピーダンス1MΩ)及び図F.103で定義する形状の信号を発生する試験信号発生器(出力インピーダンス1kΩ以下)を使用する。

図103―入力インピーダンス測定

植込み型パルスジェネレータは、図103に示すように、500Ω±1%の負荷抵抗器(RL)及び試験装置に接続する。試験信号発生器から、直列給電抵抗器R1及びRFを通していずれかの極性の試験信号をA点に印加する。R1には、予測される植込み型パルスジェネレータ入力インピーダンスと同程度の大きさの抵抗を選択し(例えば10kΩ、100kΩなど)、R1は±1%の範囲とする。RFは100kΩ±1%とする。植込み型パルスジェネレータの基本パルスインターバルより50ms以上短くなるように、試験信号発生器のパルスインターバルを調整する。試験信号振幅は0に調整し、オシロスコープは数個のパルスを表示するように調整する。

スイッチSを閉じ、R1をバイパスして、試験信号振幅を0から植込み型パルスジェネレータが抑制又はトリガのいずれか適切な方を一貫して行う値にまで増加する。

試験信号振幅を測定し、V1を指定する。

スイッチSを開き、植込み型パルスジェネレータが以前と同様に抑制又はトリガのいずれかを一貫して行うまで、試験信号振幅を再調整する。

試験信号振幅を測定し、V2を指定する。

植込み型パルスジェネレータの入力インピーダンスZinは、以下の式により計算する。

Z=[(R1*V1)/(V2-V1)]-0.5

Zin=(RS*Z)/(RS-Z)

ここで、RSとはオシロスコープチャネル2の入力インピーダンスである。

結果はキロオーム(kΩ)で表す。

6.1.4 エスケープインターバル(te)の測定

手順:オシロスコープ及びトリガ可能な試験パルス信号発生器を使用する。

植込み型パルスジェネレータは、図104に示すように、500Ω±1%の負荷抵抗器(RL)及び試験装置に接続する。直列給電抵抗器(RF)を通して試験信号をA点に印加する。RFは100kΩ±1%とする。

図104―エスケープインターバル測定

試験信号発生器は、試験信号の振幅が6.1.2で測定する陽極感度の約2倍になるように調整する。

試験信号発生器は、トリガ後に単一のパルスが発生するまでの遅延時間tが、植込み型パルスジェネレータの基本パルスインターバル(tp)より5%から10%大きい値となるように調整する。

オシロスコープは、図105に示したものと類似した表示が得られるように調整する(試験信号及びパルスの両方が線として現れる)。

図105―エスケープインターバル測定時のオシロスコープ初期表示

試験信号が植込み型パルスジェネレータの不応期に入らなくなるまで、遅延時間tを減少させる。抑制型の植込み型パルスジェネレータを試験している場合には、オシロスコープの表示は図106に示すようになる。トリガ型(同期)の植込み型パルスジェネレータを試験している場合には、オシロスコープの表示は図107に示すようになる。

図106―抑制モードでのエスケープインターバル(te)測定

図107―トリガ(同期)モードでのエスケープインターバル(te)測定

試験信号(又は試験信号によりトリガされた出力)と次の出力パルスとの間の時間を測定する。これがエスケープインターバル(te)である。

結果はミリ秒(ms)で表す。

6.1.5 センシング不応期(tsr)の測定

手順:オシロスコープ及びトリガ可能なダブルパルス試験信号発生器を使用する。

植込み型パルスジェネレータは、図108に示すように、500Ω±1%の負荷抵抗器(RL)及び試験装置に接続する。直列給電抵抗器(RF)を通して試験信号をA点に印加する。RFは100kΩ±1%とする。

図108―不応期測定

試験信号発生器は、試験信号の振幅が6.1.2で測定する陽極感度の約2倍になるように調整する。

試験信号発生器は、トリガから試験信号発生までの遅延時間t1が、植込み型パルスジェネレータの基本パルスインターバルより5%から10%大きい値となるように調整する。

試験信号2成分の前縁の間隔sが小さい、ダブルパルスの形になるように試験信号発生器を設定する。

図109―センシング及びペーシング不応期の測定時のオシロスコープ初期表示

試験信号1が植込み型パルスジェネレータにセンシングされるまで、遅延時間t1を減少する(sは一定値を保つ)。

その後、抑制型植込み型パルスジェネレータの場合には、試験信号1が、植込み型パルスジェネレータからのパルスを1つ抑制する(図110参照)。その後、t1を一定に保ちながら、図110の試験信号2が図111のように遅延するまでt2を増加する。図111の2番目のパルスは、試験信号2からエスケープインターバル(te)分だけ移動する。

図110―抑制モードにおけるセンシング不応期測定―A

図111―抑制モードにおけるセンシング不応期測定―B

トリガ(同期)型植込み型パルスジェネレータの場合には、センシング試験信号1が植込み型パルスジェネレータをトリガする(図112参照)。t1を一定に保ちながら、図113に示すように、図112の3番目のパルスが試験信号2と同時に発生するまでt2を増加する。

図112―トリガ(同期)モードにおけるセンシング不応期測定―A

図113―トリガ(同期)モードにおけるセンシング不応期測定―B

t2―t1の間隔を測定する。これがセンシング不応期(tsr)に対応する。

結果はミリ秒(ms)で表す。

6.1.6 ペーシング不応期(tpr)の測定(抑制型植込み型パルスジェネレータの場合にのみ適用)

手順:6.1.4及び図104で要求される装置及び接続を使用する。

試験信号発生器は、試験信号の振幅が6.1.2で測定する陽極感度の約2倍になるように調整する。

試験信号発生器は、トリガから試験パルス発生までの遅延時間tが、植込み型パルスジェネレータの基本パルスインターバル(tp)より5%から10%大きい値となるように調整する。

オシロスコープは、図105に示したものと類似した表示が得られるように調整する(試験信号及びパルスの両方が線として現れる)。

図107で描かれた3番目のパルスが右に移動するまで、遅延時間tをゆっくりと増加する(図114参照)。3番目のパルスは、試験信号からエスケープインターバル(te)分だけ移動する。

図114―抑制モードにおけるペーシング不応期測定

2番目のパルスと試験信号との間隔を測定する。これがペーシング不応期(tpr)に対応する。

結果はミリ秒(ms)で表す。

6.1.7 AVインターバルの測定(デュアルチャンバ植込み型パルスジェネレータにのみ適用)

手順:デュアルトレースオシロスコープを使用する。

デュアルチャンバ植込み型パルスジェネレータを、500Ω±1%の負荷抵抗器及びオシロスコープに接続する。植込み型パルスジェネレータをデュアルチャンバペーシングに設定する。

オシロスコープの表示が図115と類似した表示(パルスが線状)になるように、オシロスコープを調整する。

図115―AVインターバル測定時のオシロスコープ表示

心房パルスとそれに続く心室パルスの間隔を測定する。これがAVインターバル(tAV)である。

結果はミリ秒(ms)で表す。

6.1.8 心室イベント後心房不応期(PVARP)の測定(心房センシング及び心室ペーシングを有する植込み型パルスジェネレータにのみ適用)。

手順:オシロスコープ及びトリガ可能なダブルパルス試験信号発生器を使用する。

植込み型パルスジェネレータを、図116に示すように500Ω±1%の負荷抵抗器(RL)及び試験装置に接続する。

植込み型パルスジェネレータを心房トラッキングモードに設定する。直列給電抵抗器(RF)を通して、植込み型パルスジェネレータの心房端子に試験信号を印加する。RFは100kΩ±1%であること。試験信号発生器は、植込み型パルスジェネレータの心室出力に同期するように設定する。

試験信号発生器は、試験信号の振幅が6.1.2で測定する陽極感度の約2倍になるように調整する。

図116―心室イベント後心房不応期(PVARP)の測定

試験信号発生器は、トリガから試験信号発生までの遅延時間tが、予測される心室イベント後心房不応期よりわずかに短くなるように調整する。オシロスコープの表示が図117と類似した表示になるように、オシロスコープを調整する。

図117―PVARP測定時のオシロスコープ初期表示

図117で描かれた2番目のパルスが左に移動するまで、遅延時間tをゆっくりと増加する(図118参照)。

図118―PVARP測定時のオシロスコープ表示

備考

最大トラッキングレートインターバルがAVインターバル及びPVARPの合計よりも長い場合には、試験パルスと次の心室パルス(t’)との間隔はAVインターバルより長くてもよい。

その後、心室イベント後心房不応期(PVARP)に対応するt’を測定する。

結果はミリ秒(ms)で表す。

6.1.9 センシング後の房室(AV)インターバル測定(心房センシング及び心室ペーシングを有する植込み型パルスジェネレータにのみ適用)

手順:オシロスコープ及び図F.103で定義する形状の信号を発生する試験信号発生器を使用する。

植込み型パルスジェネレータを、図119に示すように500Ω±1%の負荷抵抗器(RL)及び試験装置に接続する。植込み型パルスジェネレータを心房トラッキングモードに設定する。試験信号発生器から得られた陽極試験信号を、100kΩ±1%の給電抵抗器(RF)を通してC点に印加する。

図119―センシング後のAVインターバル測定

植込み型パルスジェネレータの基本パルスインターバルより50ms以上短くなるように、試験信号発生器の反復間隔を調整する。オシロスコープの表示が図120と類似した表示(試験信号とパルスが線状)になるように、オシロスコープを調整する。

図120―センシング後のAVインターバル測定時のオシロスコープ表示

試験信号とそれに続く心室パルスの間隔を測定する。これが、センシング後のAVインターバル(tAV)に対応する。

結果はミリ秒(ms)で表す。

6.2 リードの電気的特性の測定

この条項で記載する方法に従って測定したリードの電気的特性は、付属書等において製造業者が規定する値の範囲内であること(28.8参照)。

患者の体の導電性により生じる効果をシミュレートするが、ここでは、37℃±2℃を維持し9g/l±10%食塩水を入れたビーカからなる試験ボディが必要となる。

試験に使用するオシロスコープの入力インピーダンスは、公称1MΩとする。

各試験に対する全般的な測定精度は、表102で示した限界内であること。

表102―全般的な測定精度限界

測定

精度

リード導線抵抗(6.2.1)

±5%

リードペーシングインピーダンス(6.2.2)

±15%

リードセンシングインピーダンス(6.2.3)

±15%

6.2.1 リード導線抵抗(Rc)の測定

手順:リード導線抵抗(Rc)は、リード導線端子と電極間に抵抗計を入れて測定する。

結果はオーム(Ω)で表す。

6.2.2 リードペーシングインピーダンス(Zp)の測定

手順:試験ボディ、オシロスコープ及び出力インピーダンス50Ωの試験信号発生器を使用する。

単極リードの場合:ペーシングシステムの不関電極は、試験ボディに浸漬した2個のチタン金属板によりシミュレートする。下方のプレートの直径(d)は50mm以上とする。上方のプレートの直径は0.8dとする。プレート間の距離は1.2dとする。上方のプレートの穴は、表面積を10%以上減少させないように開けること。

電極先端がビーカの中央付近にくるようにリードを試験ボディに挿入する。試験信号発生器を、33±5%μF直列フィルムコンデンサ(CF)を通してリードに接続する、金属板及びオシロスコープは図121に示す通りである。

図121―単極リードのリードペーシングインピーダンスの測定

被試験電極からの最小距離15mmを維持でき、プレート間の総横断導電面積を10%以上減少させないならば、非導電性スタンドオフ又はスペーサをビーカの周縁につけてもよい。必要であれば、リードへの電極の装着を調節するため、内部又は外部のいずれかに非導電性の補強材を使用してもよい。

双極リードの場合:電極がいずれの液面からも10mm以上離れた位置にあるようにリードを試験ボディに挿入する。試験信号発生器を、図122で示すように、33±5%μF直列フィルムコンデンサ(CF)を通してリード及びオシロスコープに接続する。

図122―双極リードのリードペーシングインピーダンスの測定

試験信号発生器を、陰極パルスが、65±5/分、振幅4V±0.1V及び幅0.5ms±0.05msになるように設定する。

リード電流は、10Ω±2%の抵抗器(R)の両端の電圧低下を測定することにより決定する。リードペーシングインピーダンス(Zp)は、電圧と電流の平均値を用いて次の式により計算する。

備考

V1及びV2の定義については図121及び図122を参照のこと。

結果はオーム(Ω)で表す。

6.2.3 リードセンシングインピーダンス(Zs)

手順:試験ボディ、オシロスコープ及び図F.103で定義する形状の信号を発生する試験信号発生器(出力インピーダンス1kΩ以下)を使用する。

試験信号は、試験ボディに浸漬した2個のチタン給電板により注入する。下方の給電板の直径(d)は、x+25mm以上とする。ここでxは、被試験センシング電極の遠位端の直線距離(リードに沿って測定)であり、dは50mm以下でなければならない。上方の給電板の直径は0.8dとする。給電板間の距離は1.2dとする。上方の給電板の穴は、表面積を10%以上減少させないように開けること。

被試験電極からの最小距離15mmを維持でき、プレート間の総横断導電面積を10%以上減少させないならば、非導電性スタンドオフ又はスペーサをビーカの周縁につけてもよい。必要であれば、リードへの電極の装着を調節するため、内部又は外部のいずれかに非導電性の補強材を使用してもよい。

単極リードの場合:電極先端がビーカの中央付近にくるようにリードを試験ボディに挿入する。試験信号発生器を、500Ω±1%抵抗器(RF)及び33±5%μF直列フィルムコンデンサ(CF)を通して給電板に接続し、リード及びオシロスコープは図123に示す通りである。オシロスコープの入力は、スイッチ及び可変抵抗器(R)と並列接続する。

図123―単極リードのリードセンシングインピーダンスの測定

双極リードの場合:電極が各給電板から等距離にあり、活性電極がいずれの給電板からも15mm以上離れた位置にあるようにリードを試験ボディに挿入する。試験信号発生器を、500Ω±1%の抵抗器(RF)及び33±5%μFの直列フィルムコンデンサ(CF)を通して給電板に接続し、リード及びオシロスコープは図124に示す通りである。オシロスコープの入力は、スイッチ及び可変抵抗器(R)と並列接続する。

スイッチを開け、試験信号発生器は、オシロスコープに記録されるピーク電圧が10mV±0.2mVであり、電極先端で陰極パルスがセンシングされるように調整する。その後、スイッチを閉じ、抵抗Rは、オシロスコープにより測定される信号の前縁部分の振幅が5mV±0.1mVに減少するまで調整する。

図124―双極リードのリードセンシングインピーダンスの測定

抵抗Rを測定する。これはリードセンシングインピーダンス(Zs)と等しい。

結果はオーム(Ω)で表す。

7.包装の一般的要求事項

7.1

植込み型パルスジェネレータの植込み型部品は再使用不可能な包装で供給すること(14.1を参照)

備考 再使用不可能な包装は、内容物が滅菌状態を保つように製造業者によって密封されるよう設計されている。

適合性は、検査によって確認する。

7.2

再使用不可能な包装は、販売包装に封入すること。

適合性は、検査によって確認する。

8.植込み型パルスジェネレータの一般的表示

備考 この基準で要求される表示は、図又は文字による表示の何れでも、関連した規格(例、ISO15223)に規定されている適切な記号を用いて表示してもよい(条項9、11及び13も参照)。

8.1

この基準により要求される警告の通知は目立つように表示すること。

適合性は、検査によって確認する。

8.2

植込まれたデバイスの部品及びこれらの部品の構成部品は、植込まれた部品に関連する可能性のある危険を発見後に必要な措置を講じることができるような方法で識別されること。

適合性は、植込み型パルスジェネレータの識別とその構成部品の識別との関係に関する製造業者の説明をレビュすることによって確認する。

9.販売包装上の表示

*を付した項については少なくとも邦文表示すること。

*9.1

販売包装には法的に要求された事項の他、滅菌年月又は使用期限を記載すること。

*9.2

販売包装には、製造販売業者の名称及び所在地を記載すること。

適合性は、検査によって確認する。

*9.3

販売包装には、デバイスの説明(例、心臓ペースメーカ)、デバイスのモデル名称、該当する場合はデバイスのロット番号又は製造番号を記載すること。

適合性は、検査によって確認する。

9.4

言語による説明の代わりに、附属書Dで定義するモードのコードを表示及び付属書等に使用して、植込み型パルスジェネレータのペーシングモードを指定してもよい。

9.4.1

植込み型パルスジェネレータを収容する販売包装には、次の情報を記載すること。

*a) 利用可能な最も包括的なペーシングモード及び出荷時のペーシングモード。

b) 植込み型パルスジェネレータがレート応答性であるという記述(レート適応デバイスである場合)、最も包括的なレート適応モード(上記のaで記載されていない場合)及び制御に使用するセンサの種類。

c) 出荷時のセンシング、ペーシングの構成(双極、単極、自動調整)。

d) 37℃±2℃及び500Ω±1%の負荷で、使用可能な各入出力端子について測定した、植込み型パルスジェネレータの非プログラマブル特性。

*1) 基本レート(分の逆数)

*2) パルス振幅(ボルト又はミリアンペア)

*3) パルス幅(ミリ秒)

*4) 感度(ミリボルト)

5) 不応期(ミリ秒)

6) AVインターバル(該当する場合)(ミリ秒)

e) 植込み型パルスジェネレータの被覆の有無についての記述。

f) コネクタ形状〔ボア深さ及び直径(mm)〕又は出版されているコネクタ規格で定義された記号や表示の参照。

g) 植込み型パルスジェネレータの識別に必要となるあらゆる追加情報及び関連する特性。

適合性は、検査によって確認する。

9.4.2

リードの販売包装には、次の情報を記載すること。

*a) 構成(単極リードなど)。

b) 以下を含む寸法。

*1) 長さ(cm)

*2) 経静脈リードの場合、挿入径(mm)又は適切なイントロデューサのサイズ(Fr)

*3) コネクタ形状〔長さ及び直径(mm)〕又は発行されているコネクタ規格で定義された記号や表示の参照

c) リードの識別に必要となるあらゆる追加情報及び関連する特性(固定機序など)。

適合性は、検査によって確認する。

*9.5 植込み型パルスジェネレータの植込み型部品の販売包装には、包装の内容物が滅菌されていることを明記すること。

適合性は、検査によって確認する。

9.6

植込み型パルスジェネレータの植込み型部品の販売包装には、ISO 8601:1988又は同等以上の規格・基準により規定されている数字で表示した製造年及び月を記載すること。

適合性は、検査によって確認する。

9.7

植込み型パルスジェネレータ、リード、アダプタ又は他の無菌部品を収容する販売包装には、使用期限を記載する。適合性は、検査によって確認する。

9.8

植込み型パルスジェネレータの植込み型部品の販売包装上の表示は、包装内の附属品を特定する、若しくは販売包装上に十分なスペースがない場合は、内容物を販売包装内部に特定すること。

適合性は、検査によって確認する。

9.9

販売包装内に収容されている植込み型パルスジェネレータの植込み型部品を意図した用途で使用するために、包装中に含まれていない他のデバイス又は附属品に接続する必要がある場合は、必要なコネクタの型式又は構成を販売包装に特定すること。

適合性は、検査によって確認する。

9.10

植込み型パルスジェネレータの植込み型部品の意図した用途が9.3及び9.4により要求されているデバイスの説明からは明瞭でない場合は、当該植込み型部品の販売包装にデバイスの意図した用途に関する明確な説明を記載すること。

適合性は、検査によって確認する。

9.11

販売包装には、デバイスの適切な取り扱い及び保管を可能にするために必要な特殊な環境又は取り扱い上の制約(例えば、衝撃、振動、温度、圧力又は湿度)に関する情報を記載すること(条項10を参照)。

適合性は、検査によって確認する。

9.12 植込み型パルスジェネレータに特別な目的が意図されている場合、販売包装にそれを明確な説明を記載すること(例えば、特注品、臨床試験用)。

10.販売包装の構成

10.1

製造業者により規定されているように、装置を保護し、保管及び取り扱い中に発生する落下(ショック)、積み重ね(圧縮)、振動及び温度の危険に耐えられるように構成すること。

適合性は、検査及び製造業者が提供する記録のレビュによって確認する。

10.2

植込み型パルスジェネレータの販売包装は、包装、表示、ラベル又は付属書の目視で確認できる劣化を防止するために、保管及び取り扱い中の湿度の影響に対して十分に保護すること。

試験:販売包装を2日間試験チャンバ内に置く。試験チャンバの温度は30℃±2℃に安定させる。試験チャンバ内の相対湿度は93%±3%であること。

適合性は、製造業者の記録を調査することによって確認する。

10.3 植込み型パルスジェネレータの販売包装上の表示は消えないものであること。

試験:試験下の表示が一番上にあり、水平面内にあるように包装を置く。10mLの水をその領域の中央に注ぐ。1分後に、湿った柔らかな布を用いて、表示表面の水をきれいにふき取る。

適合性は、上記手順を実施後にすべての表示が読み取れる状態で残っていることによって確認する。ラベル上に表示がある場合は、ラベルを固定する接着剤が剥がれたり、ラベルの端がめくれたりしないこと。

10.4

販売包装は、植込み型パルスジェネレータと付属書の情報(デバイスの目的及び機能並びに植込みのために適格であり規定される条件を明確に定めている)との関連を保証すること。

適合性は、検査によって確認する。

11.滅菌包装上の表示

滅菌包装上の表示は以下の内容を表示することが望ましい。

11.1

滅菌包装には、製造業者の名称及び商標並びに製造業者の所在地(市及び国)を記載すること。

適合性は、検査によって確認する。

11.2

滅菌包装には、包装及び内容物が滅菌されていることを明記し、使用した滅菌方法を示すこと(ISO15223又は同等以上の規格・基準を参照)。

適合性は、検査によって確認する。

11.3 記号

は滅菌包装上に目立つように表示すること(ISO15223又は同等の規格・基準を参照)。

適合性は、検査によって確認する。

11.4 滅菌包装には、9.6により要求されているように、包装されたデバイスが製造された年及び月を記載すること。

適合性は、検査によって確認する。

11.5

滅菌包装には、9.7により要求されているように、使用期限を記載すること。

適合性は、検査によって確認する。

11.6

滅菌包装には、9.3により要求されているように、デバイスの説明を記載すること。

適合性は、検査によって確認する。

11.7

滅菌包装上の表示には、滅菌包装が透明で内容物が見える場合を除き、内容物を特定すること。

適合性は、検査によって確認する。

11.8

滅菌包装に収容されるデバイスの意図した用途のために、滅菌包装中に含まれていない他のデバイス又は附属品に接続する必要がある場合は、9.9により要求されているように滅菌包装にコネクタの型式又は構成を特定すること。

適合性は、検査によって確認する。

11.9

滅菌包装には、包装を開封するための説明を記載すること。

適合性は、検査によって確認する。

11.10

植込み型パルスジェネレータを収容する滅菌包装には、次の情報を記載すること。

a) 利用可能な最も包括的なペーシングモード及び出荷時のペーシングモード(9.4の備考を参照)。

b) レート適応装置である場合には、レート変調が「ON」又は「OFF」という記述。

c) 出荷時のセンシング、ペーシングの構成(双極、単極、自動調整)。

d) 37℃±2℃及び500Ω±1%の負荷で、使用可能な各入出力端子について測定された、出荷時の植込み型パルスジェネレータ特性。

1) 基本レート(分の逆数)

2) 最大トラッキングレート(分の逆数)

3) パルス振幅(ボルト又はミリアンペア)

4) パルス幅(ミリ秒)

5) 感度(ミリボルト)

6) AVインターバル(該当する場合)(ミリ秒)

e) 植込み型パルスジェネレータの被覆の有無についての記述。

f) コネクタ形状又は発行されているコネクタ規格で定義された記号の参照。

g) 出荷時に有効な特殊機能についてのあらゆる追加情報。

適合性は、調査によって確認する。

11.11

リードを収容する滅菌包装には、次の情報を記載すること。

a) 構成(単極リードなど)。

b) 以下を含む寸法。

1) 長さ(cm)

2) 経静脈リードの場合、挿入径(mm)又は適切なイントロデューサのサイズ(Fr);

3) コネクタ形状〔長さ及び直径(mm)〕又は出版されているコネクタ規格で定義された記号や表示の参照。

適合性は、調査によって確認する。

11.12 植込み型パルスジェネレータに特別な目的が意図されている場合、滅菌包装にそれを明確な説明を記載すること(例えば、特注品、臨床試験用)。

12.再使用不可能な包装の構成

12.1

再使用不可能な包装は、ISO11607又は同等以上の規格・基準に適合すること。

適合性は、検査及び製造業者が提供する記録のレビュによって確認する。

12.2

再使用不可能な包装は、いったん開封したらそれが明瞭に判るように設計すること。再使用不可能な包装を開封し、再度封をした場合には、その後で包装が既に開封されたことが明瞭に判ること。

適合性は、検査によって確認する。