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手順4) 溶出挙動の比較時点と溶出率を求める

この例における標準製剤は,ラグ時間が観測され,溶出率はラグ時間以降30分では85%に達しないが,規定された時間までには85%に達する。したがって,ガイドラインの第3章A,Ⅴ.4.③,aに相当し,f2関数を用いずに平均溶出率で比較する場合の比較時点tciは,標準製剤の溶出率が40%及び85%に達する適当な時間と規定されている。ラグ時間を補正していない場合には,40%又は85%に最も近い実測点の平均溶出率を比較しても差し支えないが,ラグ時間を補正した場合には,標準製剤の平均溶出率が40%及び85%に達する時間を内挿法で求めた時間を比較時点とする。この例では,40.0%の溶出率となる標準製剤の時点tc1は,たまたま表3に17.0分と示されている。残る85%の溶出率となる標準製剤の時点tc2を式(1)に従って求める。表3より,dA=85.0%,d1=80.1%,d2=85.7%,t1=44.5分,t2=52.0分,であるので,

tA=44.5+(85.0-80.0)×(52.0-44.5)/(85.7-80.0)=51.1

より,85%溶出時点は51.1分と計算される。

f2関数を適用する場合には,標準製剤の平均溶出率が約85%となる時点をTaとするとき,Ta/4,2Ta/4,3Ta/4,Taが比較時点である。上記で求めたtc2がTaであるので,ここでは計算方法を略す。Ta/4,2Ta/4,3Ta/4はそれぞれ12.8,25.5,38.3と計算される。それぞれの時点における標準製剤の平均溶出率を式(2)を用いて求める。

=28.9+(40.0-28.9)×(12.8-12.0)/(17.0-12.0)=30.7%

=49.6+(57.9-49.6)×(25.5-22.0)/(27.0-22.0)=55.4%

=73.1+(80.0-73.1)×(38.3-37.0)/(44.5-37.0)=74.3%

が得られる。

手順5) 試験製剤の比較時点における溶出率を求める

ここではデータの例示を省略するが,手順1―3)に従って,試験製剤の平均溶出曲線を求める。これをもとに,f2関数を用いずに平均溶出率で比較する場合には,17.0分と51.1分の溶出率を求める。f2関数を適用する場合には,12.8,25.5,38.3及び51.1分の溶出率を求める。

B―2 規定時間内に標準製剤の平均溶出率が85%に達しない場合の例

標準製剤12個を用いて溶出試験を実施し表4に示す結果を得たと仮定する。

表4 個々の標準製剤の溶出率(%)の実測値

 

測定時間(分)

 

0

5

10

15

20

25

30

37.5

45

60

90

120

240

360

0.0

0.0

1.6

3.5

12.4

18.9

38.9

46.5

48.1

58.3

65.0

72.3

73.0

75.2

0.0

0.0

0.0

7.4

11.1

19.4

29.9

44.7

52.0

60.9

70.2

74.2

72.9

74.9

0.0

0.0

0.7

6.0

15.5

24.0

31.9

45.1

52.5

60.3

70.7

72.8

73.6

76.7

0.0

0.0

1.1

5.7

16.5

24.5

35.7

43.3

48.4

58.8

71.7

74.4

75.0

77.8

0.0

0.0

1.3

8.0

10.5

20.9

34.3

47.3

52.4

56.5

65.9

73.8

73.7

74.8

0.0

0.0

3.0

3.3

12.9

22.3

39.8

41.8

47.8

62.0

69.9

70.7

73.7

75.3

0.0

0.4

1.3

6.9

10.1

24.8

29.2

41.4

47.0

63.6

73.5

73.5

76.5

77.6

0.0

0.2

0.2

5.5

12.6

27.4

28.7

43.0

48.9

58.7

70.6

71.4

72.0

76.6

0.0

0.0

1.8

6.8

18.6

19.4

32.9

37.5

49.1

61.6

69.2

71.8

72.9

78.0

0.0

0.7

1.0

4.9

14.2

20.2

27.8

41.2

54.9

61.1

71.2

72.5

75.0

75.1

0.0

0.0

0.1

7.6

16.1

21.5

38.4

38.6

50.0

58.7

66.8

71.0

73.2

74.9

0.0

0.4

2.8

5.4

10.9

22.5

33.4

45.2

48.4

61.2

66.5

72.4

73.0

73.4

補正前平均

0.0

0.1

1.3

5.9

13.5

22.1

33.4

43.0

50.0

60.2

69.3

72.6

73.7

76.1

手順1) ラグ時間の計算

B―1の例と同様に,式(1)を用いて各製剤の溶出ラグ時間を算出した。結果を表5に示す。この例では,ラグ時間による補正はすべて分単位に丸めてある。

表5 補正測定時間と溶出率

製剤 tL(分)

実測測定時間

20

25

30

37.5

45

60

90

120

240

360

補正測定時間(分)

4

9

14

22

29

44

74

104

224

344

16

溶出率

12.4

18.9

38.9

46.5

48.1

58.3

65.0

72.3

73.0

75.2

補正測定時間(分)

7

12

17

24

32

47

77

107

227

347

13

溶出率

11.1

19.4

29.9

44.7

52.0

60.9

70.2

74.2

72.9

74.8

補正測定時間(分)

6

11

16

23

31

46

76

106

226

346

14

溶出率

15.5

24.0

31.9

45.1

52.5

60.3

70.7

72.8

73.6

76.7

補正測定時間(分)

6

11

16

23

31

46

76

106

226

346

14

溶出率

16.5

24.5

35.7

43.3

48.4

58.8

71.7

74.4

75.0

77.8

補正測定時間(分)

7

12

17

24

32

47

77

107

227

347

13

溶出率

10.5

20.9

34.3

47.3

52.4

56.5

65.9

73.8

73.7

74.8

補正測定時間(分)

4

9

14

22

29

44

74

104

224

344

16

溶出率

12.9

22.3

39.8

41.8

47.8

62.0

69.9

70.7

73.7

75.3

補正測定時間(分)

7

12

17

24

32

47

77

107

227

347

13

溶出率

10.1

24.8

29.2

41.4

47.0

63.6

73.5

73.5

76.5

77.6

補正測定時間(分)

5

10

15

23

30

45

75

105

225

345

15

溶出率

12.6

27.4

28.7

43.0

48.9

58.7

70.6

71.4

72.0

76.6

補正測定時間(分)

7

12

17

24

32

47

77

107

227

347

13

溶出率

18.6

19.4

32.9

37.5

49.1

61.6

69.2

71.8

72.9

78.0

補正測定時間(分)

5

10

15

23

30

45

75

105

225

345

15

溶出率

14.2

20.2

27.8

41.2

54.9

61.1

71.2

72.5

75.0

75.1

補正測定時間(分)

7

12

17

24

32

47

77

107

227

347

13

溶出率

16.1

21.5

38.4

38.6

50.0

58.7

66.8

71.0

73.2

74.9

補正測定時間(分)

6

11

16

23

31

46

76

106

226

346

14

溶出率

10.9

22.5

33.4

45.2

48.4

61.2

66.5

72.4

73.0

73.4