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最も変更の程度の大きい水準は「賦形剤」,「内核で変更した成分の含有率の差の絶対値の和」及び「単位表面積あたりのフィルム層の質量の変更率」のC水準であり,この例における製剤の処方変更水準はCである。

(3) 糖衣錠

処方の変更

◎内核

 

 

標準製剤

試験製剤

有効成分

A

40mg(13.33%)*1)

80mg(17.02%)

崩壊剤

でんぷん

40mg(13.33%)

60mg(12.77%)

結合剤

ポリビニールピロリドンK30

20mg(6.667%)

30mg(6.383%)

滑沢剤

ステアリン酸Mg

4mg(1.333%)

6mg(1.277%)

賦形薬

乳糖

100mg(33.33%)

135mg(28.72%)

 

結晶セルロース

96mg(32.00%)

159mg(33.83%)

内核の総質量

 

300mg

470mg

1) 括弧内は内核の総質量に対する各成分の質量比。

◎フィルム層

 

標準製剤

試験製剤

A成分

7.5㎎(75.00%)*2)

8.5mg(73.91%)*2)

B成分

2.5mg(25.00%)*2)

3.0mg(26.09%)*2)

フィルム層の総質量

10.0mg

11.5mg

内核の表面積

2.12cm2

2.76cm2

内核の単位表面積あたりのフィルム層の質量

4.72mg/cm2

4.17mg/cm2(88.35%)*3)

2) 括弧内はフィルム層の総質量に対する各成分の質量比。

3) 括弧内は標準製剤に対する試験製剤の比。

◎糖衣層

 

標準製剤

試験製剤

C成分

11.5㎎(12.37%)*2)

13.0mg(11.71%)*2)

D成分

6.5mg(6.99%)*2)

8.0mg(7.21%)*2)

E成分

75.0mg(80.65%)*2)

90.0mg(81.08%)*2)

糖衣層の総質量

93.0mg

111.0mg

内核の表面積

2.12cm2

2.76cm2

内核の単位表面積あたりの糖衣層の質量

43.9mg/cm2

40.2mg/cm2(91.57%)*3)

2) 括弧内は糖衣層の総質量に対する各成分の質量比。

3) 括弧内は標準製剤に対する試験製剤の比。

含有率の差及び変更率の計算

◎内核

添加剤の使用目的と成分

含有率の差

水準

 

 

崩壊剤

でんぷん

-0.56%

(B)

 

 

結合剤

ポリビニールピロリドンK30

-0.284%

 

 

(B)

滑沢剤

ステアリン酸Mg

-0.056%

(B)

 

 

賦形剤

乳糖

-4.61%

 

 

 

 

結晶セルロース

1.83%

 

 

 

賦形剤で変更した成分の含有率の差の絶対値の和

6.44%

(C)

 

 

内核で変更した成分の含有率の差の絶対値の和(O.56+0.28+0.06+6.44)

7.34%

(C)

 

 

◎フィルム層

成分

含有率の差

 

水準

 

 

A成分

 

 

-1.09%

 

 

 

B成分

 

1.09%

 

 

 

 

 

フィルム層で変更した成分の含有率の差の絶対値の和

2.18%

 

 

(B)

 

 

変更率

 

水準

 

 

単位表面積あたりのフィルム層の質量の変更率

-11.65%

 

 

 

(C)

◎糖衣層

成分

含有率の差

 

水準

 

 

C成分

 

-0.66%

 

 

 

D成分

0.22%

 

 

 

 

E成分

0.43%

 

 

 

 

糖衣層で変更した成分の含有率の差の絶対値の和

1.31%

 

 

 

(B)

 

変更率

 

水準

 

 

単位表面積あたりの糖衣層の質量の変更率

-8.43%

 

(B)

 

 

最も変更の程度の大きい水準は「賦形剤」,「内核で変更した成分の含有率の差の絶対値の和」及び「単位表面積あたりのフィルム層の質量の変更率」のC水準であり,この例における製剤の処方変更水準はCである。

Appendix B 溶出曲線の補正

溶出曲線のラグ時間による補正は以下のようにして行う。溶出曲線を補正したり,内挿法により溶出率を計算したりする可能性がある場合には,内挿による誤差が大きくならないようにするため,約10%以内の間隔で溶出率が測定されるように,測定の頻度を配慮する必要がある。

1.標準製剤,試験製剤の個々の製剤について,ラグ時間を以下のようにして求める。

2.予備試験等により溶出率―時間曲線の全体像を把握し,ラグ時間tLがどの時間帯に出現するか予想して,その前後は細かに測定点を取った上,測定点を直線で結んだ溶出曲線を得る。溶出率5%となる時間tLを,グラフ上から読みとるか,又は,内挿法によって求める。

3.個々の製剤について測定時間をラグ時間で補正し補正測定時間を計算し,補正測定時間による溶出曲線と表を得る。

4.標準製剤,試験製剤の平均溶出曲線を次のようにして得る。

5.平均溶出曲線を求めるための時間tsiを決定する。点数は,補正前の溶出曲線ラグ時間以降の測定点数とほぼ同じになるようにする。標準製剤,試験製剤の個々の製剤について,内挿法又はグラフから読みとることによって,tsiにおける溶出率を求める。各tsiにおける平均溶出率を計算し,平均溶出曲線を得る。

6.試験製剤について,下記のB―1,B―2の手順1)―3)に従って,平均溶出曲線を求める。このとき,平均溶出率を計算するための時間tsiは,標準製剤と同じであることが望ましい。

7.ガイドラインに従って,標準製剤と試験製剤の溶出率の比較をする時点tciを決定する。内挿法又はグラフから読みとることによって,tciにおける標準製剤の平均溶出率を求める。

以下に,標準製剤の平均溶出率が規定時間内に85%に達する場合と達しない場合の溶出曲線の補正例を示す。

B―1 規定時間内に標準製剤の平均溶出率が85%に達する場合の例

標準製剤12個を用いて溶出試験を実施し表1に示す結果を得たと仮定する。

手順1) ラグ時間の計算

個々の溶出曲線に対し,溶出率がdA%に到達する時間tAは次式によって計算される。

tA=t1+(dA-d1)×(t2-t1)/(d2-d1) (1)

ここで,

t1:溶出率がdA%に到達する直前の測定時間

t2:溶出率がdA%を超えた直後の測定時間

d1:時間t1における溶出率

d2:時間t2における溶出率

表1 個々の標準製剤の溶出率(%)の実測値

製剤

測定時間(分)

 

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

52.5

60

67.5

75

90

0

1.3

8.1

17.8

29.3

41.6

51.6

60.1

68.3

75.2

81.8

84.1

91.2

97.2

100.0

0

0.8

8.9

20.9

31.8

42.2

52.0

59.1

66.3

72.9

81.3

88.9

93.7

96.7

98.5

0

1.8

11.3

23.7

35.0

45.8

55.7

62.2

70.3

77.3

82.8

88.1

91.0

94.1

97.2

0

1.6

7.4

16.1

26.4

36.5

44.9

55.5

65.5

75.1

82.9

86.7

92.3

96.5

98.9

0

1.1

7.1

15.6

25.5

35.0

44.3

52.6

61.3

69.3

78.4

86.7

94.2

97.5

99.1

0

0.5

6.6

16.0

26.0

36.8

44.7

54.1

61.4

70.4

77.5

88.0

90.5

97.8

100.0

0

1.4

9.5

22.7

35.1

43.3

55.8

63.8

75.0

79.3

83.3

85.3

90.2

95.8

97.7

0

0.5

8.1

18.6

31.0

42.0

53.7

62.1

67.1

72.9

78.4

81.2

85.0

86.5

91.7

0

0.3

6.6

13.8

21.5

30.4

42.3

50.8

65.4

73.0

80.1

84.9

89.4

93.6

95.2

0

0.0

5.3

10.5

17.5

30.2

35.6

43.6

52.0

59.6

67.8

80.9

88.2

94.6

98.1

0

0.8

6.3

18.2

27.3

42.5

50.5

58.4

70.3

76.4

84.1

89.9

93.3

94.9

96.5

0

1.8

13.6

27.5

42.1

57.8

65.3

70.0

72.4

76.5

80.4

82.6

87.1

87.3

97.2

補正前の平均溶出率

0

1.0

8.2

18.5

29.0

40.3

49.7

57.7

66.3

73.2

79.9

85.6

90.5

94.4

97.5