アクセシビリティ閲覧支援ツール

手順2) ラグ時間を補正した溶出曲線を得る

B―1と同様に,個々の製剤について,測定時間からラグ時間を引き,これを補正測定時間とした。表5に,製剤毎の溶出率と補正測定時間を示した。

手順3) ラグ時間を補正した個々の製剤の溶出データから平均溶出率を計算する

規定時間内に溶出率が85%に達しない場合には,標準製剤の最終測定時間の溶出率を基準にして,平均溶出率を比較する時点を決定する。ラグ時間が観測される場合には,個々の製剤の溶出試験時間はラグ時間に依存して異なることになる。最もラグ時間が長い製剤の試験時間が最も短いので,この最短の試験時間を,全製剤を通じて最終測定時間とする。

この例では,最短の試験時間は製剤①及び⑥の344分であったので,平均溶出率を計算するための最終時間tslastは344分となる。他の時間については,補正測定時間が7,12,17,・・・・,227である製剤が多かったので,ここでは計算の手間を省くため,これらを平均溶出率を計算するための時間tsiとした。式(2)を用いて,各tsiにおける個々の製剤の溶出率を計算し,結果を表6に示した。また,補正前後の平均溶出曲線を図4に示した。

表6 平均溶出率を計算するための時間tsiと溶出率

製剤

ts1

 

7

12

17

24

32

47

77

107

227

344

16.3

30.9

41.8

47.0

51.1

58.9

65.7

72.3

73.0

75.1

11.1

19.4

29.9

44.7

52.0

60.9

70.2

74.2

72.9

74.9

17.2

25.6

33.7

45.6

53.4

60.7

70.8

72.8

73.6

76.6

18.1

26.7

37.0

43.8

49.7

59.3

71.8

74.4

75.0

77.7

10.5

20.9

34.3

45.7

52.4

56.5

65.9

73.8

73.7

74.8

18.5

32.8

40.6

43.8

51.6

62.8

70.0

70.8

73.7

75.3

10.1

24.8

29.2

41.4

47.0

63.6

73.5

73.5

76.5

77.6

18.5

27.9

32.3

43.8

50.9

59.3

70.7

71.4

72.1

76.6

18.6

19.4

32.9

37.5

49.1

61.6

69.2

71.8

72.9

77.9

16.6

23.2

31.4

43.9

56.4

61.8

71.3

72.5

75.0

75.1

16.1

21.5

38.4

38.6

50.0

58.7

66.8

71.0

73.2

74.9

13.2

24.7

35.1

45.6

49.6

61.5

66.7

72.4

73.0

73.4

補正後の平均

15.4

24.8

34.7

43.5

51.1

60.5

69.4

72.6

73.7

75.8

手順4) 溶出挙動の比較時点と溶出率を求める

f2関数を用いずに平均溶出率で比較する場合の比較時点tciは,最終平均溶出率の2分の1を示す時間,及び,最終試験時間である。最終試験時間の平均溶出率は75.8%なので,その2分の1は,37.9%となる。平均溶出率が37.9%となる時間ts1を内挿法で求めると,19分と計算される。

f2関数を適用する場合には,標準製剤の最終平均溶出率の85%となる時点をTaとするとき,Ta/4,2Ta/4,3Ta/4,Taが比較時点である。Taにおける標準製剤の平均溶出率は64.4%(75.8×0.85)であり,内挿法によりTaは46分と計算される。Ta/4,2Ta/4,3Ta/4はそれぞれ12,23,35と計算される。12分のデータは表6に示されているので,残る23分及び35分の平均溶出率を内挿法により求めると,それぞれ,42.3%,52.7%と計算される。

手順5) 試験製剤の比較時点における溶出率を求める

ここではデータの例示を省略するが,手順1―3)に従って,試験製剤の平均溶出曲線を求める。これをもとに,f2関数を用いずに平均溶出率で比較する場合には,19分と344分の溶出率を求める。ただし,試験製剤の最終測定時間が344分より短いときには,tc1は19分とし,tc2は試験製剤の最終測定時間とする。すなわち,標準製剤については,内挿法によりtc2における平均溶出率を求める必要がある。f2関数を適用する場合には,12,23,35及び46分の溶出率を求める。

Appendix C 軟カプセル剤の処方変更製剤又は含量違い製剤

易溶性薬物を含有する軟カプセル剤で,標準製剤の溶出率が対応するすべての試験条件で15分以内に85%以上溶出する製剤は,本ガイドラインに従って生物学的同等性試験を行ってもよい。ただし,1回最大用量に相当する量の薬物が,250mLの溶出試験全条件の試験液に完全に溶解する薬物を易溶性薬物とする。また,内層の処方変更は,安定剤,防腐剤に限られ,剤被については,フィルムコーティング剤と同様な規準が適用される。

① 処方変更の水準

処方変更の水準は下表に示すBを超えない場合にはB水準,Bより大きくC以下の場合にはC水準,Cを超える場合はD水準とする

表 軟カプセル剤の処方変更水準

含有率の差または変更率(%)

部分

添加剤

B

C

 

内層

防腐剤、安定剤

1

3

 

外層

基剤(ゼラチンなど)

5

15

 

 

苛塑剤(ソルビトール、グリセリンなど)

2

6

 

 

 

防腐剤、安定剤、滑沢剤

1

3

 

 

 

外層の各添加剤の含有率の差の絶対値の和

5

15

 

 

 

単位表面席あたりの外層の質量の変化率*

10

30

 

 内層の表面積は形状に即して計算する。形状に即して計算できないときには,内層の形を球とみなし,また処方変更に伴って内層の比重は変化しないものとみなしてもよい。

② 要求される試験

B 水準

第4章に示す試験を行う。いずれの条件においても,試験製剤及び標準製剤の30分の平均溶出率がともに85%以上であり,且つ,第5章に示す判定基準で溶出挙動が同等と判定された場合には,両製剤を生物学的に同等とみなす。同等と判定されなかった場合には,後発医薬品の生物学的同等性ガイドラインに従って試験を行う。

C 水準

表3に示す薬物を含有する製剤は後発医薬品の生物学的同等性ガイドラインに従って試験を行う。

その他は第4章に示す試験を行う。いずれの条件においても,試験製剤及び標準製剤の30分の平均溶出率がともに85%以上であり,且つ,第5章に示す判定基準で溶出挙動が同等と判定された場合には,両製剤を生物学的に同等とみなす。同等と判定されなかった場合には,後発医薬品の生物学的同等性ガイドラインに従って試験を行う。

D 水準

後発医薬品の生物学的同等性ガイドラインに従って試験を行う。

別紙3

(別添)

局所皮膚適用製剤の後発医薬品のための生物学的同等性試験ガイドラインQ&A

一般的事項

Q1 本ガイドラインに示されている「バイオアベイラビリティ」の定義が,平成9年12月22日医薬審第487号通知の別添「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインについて」(以後,後発医薬品ガイドラインと略す)に示されている定義と異なる理由を説明してほしい。また,局所皮膚適用製剤については,何を指標として生物学的同等性を評価するのか。

A バイオアベイラビリティ試験の本来の目的は,作用部位に達する薬物の量及び速度を知ることにあるが,一般的に作用部位における薬物濃度を正確に知ることは困難である。血流を介して作用部位に到達する薬物では,血中濃度に達する薬物の量及び速度が作用部位に達する薬物の量及び速度と強い関係にあるために,通常,後発医薬品ガイドラインに示したバイオアベイラビリティの定義が用いられる。局所皮膚適用製剤では,適用部位が外皮で,且つ,作用部位が外皮表面,角層あるいは角層下部近傍であるために,薬物が吸収されてから血液を介して作用部位に到達する量は極めて少ない。それゆえ,本来の目的に添った定義を示した。

生物学的同等性試験は,同一薬物を同一量含有し,用法・用量が同一である製剤間の治療の同等性を,薬物動態パラメータを指標にして保証する試験である。作用部位が角層中又はそれより下部にある医薬品を含む局所皮膚適用製剤については,適用中の角層内の薬物濃度が同一であれば治療上の同等性は保証されると考えられることから,投与中において角層内で示される定常状態若しくはそれに近い状態における薬物濃度を指標として,治療の同等性を保証することが重要である。そのため,本ガイドラインにおいては,定常状態若しくはそれに近い状態における皮膚薬物動態学的試験を基本的な試験とし,薬理学的試験,残存量試験,薬物動態学的試験を代替試験として位置づけた。FDA諮問委員会に提出されたtretinoinの生物学的同等性に関する2つのデータ1)では,皮膚薬物動態学的試験の結論と臨床試験の結論は一致しており,皮膚薬物動態学的試験法の有用性が示されている。また,薬物の作用部位が皮膚表面に局限される場合には,皮膚表面上における薬理学的反応を評価する試験を基本的な試験とする。

1) Food and Drug Administration Advisory Committee for Pharmaceutical Science,November29,2001.Briefing Information Dermatopharmacokinetics.

Q2 健常皮膚と病態皮膚とではバリア機能が異なると考えられるが,健常皮膚による生物学的同等性試験によって,病態における生物学的同等性を保証することは可能か。また,製剤の物理化学的特性の違いはバイオアベイラビリティや治療効果に影響を及ぼすと考えられるが,局所皮膚適用製剤の後発医薬品の生物学的同等性の評価を物理化学的特性に応じて変える必要はないのか。

A 生物学的同等性試験の目的は,治療学的な同等性を保証することにある。局所皮膚適用製剤の治療学的同等性を保証するために考慮すべきことは,1) 薬物の皮層吸収における健常皮膚と病態皮膚との相違,2) 医薬品が全身循環血流に到達した場合の副作用,3) 治療効果に及ぼす基剤の直接的影響である。ここでは,生物学的同等性の評価に絞って,1)及び3)について述べることにする。

局所皮膚適用製剤では,製剤の投与部位そのものが病態であることが多く,バリア機能が健常人よりも高い状態から,皮膚の著しい損傷のためにバリア機能がほとんど失われた状態までと,変動幅が大きい。バリア機能が低い場合には,薬物の放出過程が吸収過程の律速段階となり製剤の放出機能の差の影響が最も大きくなり,一方,バリア機能が高い場合には皮膚透過過程が吸収過程の律速となるために,製剤の放出機能の差は見えにくくなる。そのために健常皮膚を対象とした生物学的同等性試験の結果は,バリア機能が健常皮膚とは異なる病態における生物学的同等性に外挿できるとは限らない。殊に,製剤間で物理化学的特性が異なる場合には,そのような恐れが大きい。

しかしながら,皮膚の疾患部位は患者間及び患者内で均質でなく,健常に近い部分から非健常の部分までが混在しており,また疾患の治癒あるいは悪化に伴い,皮膚の状態も変化するので,どの状態を目安にして病態皮膚の生物学的同等性を保証すべきであるかは一概には決められない。また,このように様々な状態の皮膚に対して同一の製剤が適用されていることを考慮すると,局所皮膚適用製剤の生物学的同等性は全身適用の医薬品ほど厳密に保証する必要はないと考えられる。一方,治療学的同等性を示すための臨床試験では,検出力は極めて低い。このようなことを考慮すると,局所皮膚適用製剤の生物学的同等性の評価については,製剤間の物理化学的特性の類似性如何に関わらず,健常皮膚による皮膚薬物動態学的手法又はその代替法に優る方法はないと考えられた。

物理化学的特性が類似していない製剤同士では,基剤の成分が著しく異なる。これによって特に懸念されるのが,3)の治療効果に及ぼす基剤の直接的影響の差である。臨床医からは「同じ医薬品を含む製剤でも,基剤が違うため治療効果に差がある」との指摘がなされており,その差は基剤による保護・保湿効果の差によるものと考えられている。例えば,ワセリンやマクロゴールは,塗布することで水分の喪失を防ぎ皮膚を保護するか,又は,角層に浸透して水分を保持する。したがって,このような成分の含有量の違いは,保護・保湿効果に影響を及ぼすことが考えられるが,仮に基剤による保護・保湿効果に差があったとしても,その差は角層内薬物濃度の差になって現れる可能性が高い。

これらを考慮するとき,先発医薬品と後発医薬品の間の製剤の物性の相違を特に問題視する必要はないと判断される。しかしながら,製剤の物性が異なれば異なるぼど,製剤中の薬物の拡散,皮膚への薬物の分配に差が生じやすく,生物学的同等性は成立しにくい筈であり,角層中薬物濃度を指標とした試験法で検出されやすくなる。そのため,現実に物性が大きく異なる後発医薬品は存在しえないと思われる。

ガイドラインの適用

Q3 口内炎治療薬,点鼻薬,痔疾治療薬,抗菌トローチ及び抗生物質注射剤のための内皮反応用注射などは,本ガイドラインの適用を受けるのか。

A 本ガイドラインは,皮膚に適用したときに,その部位で治療効果を発揮する製剤を対象としている。ゆえに,粘膜に適用する製剤,抗生物質注射剤のための内皮反応用注射及び皮膚に適用した後に体循環血流へ薬物が到達して治療効果を期待する製剤は対象としていない。

用語

Q4 後発医薬品は,「シート状のものは先発医薬品と面積と含量が同一で,液状又は半固形状のものは単位質量当たりの含量が先発医薬品と同一でなければならない」とあるが,面積,含量が異なっても,バイオアベイラビリティが同じであれば問題ないのではないか。

A バイオアベイラビリティが先発医薬品と同等であるということのみで,後発医薬品としては取り扱わない。本ガイドラインで規定している後発医薬品は,医療用医薬品の申請区分(8)で取り扱われるものを対象としており,あくまで先発医薬品と同一有効成分を同一含量含み,先発医薬品の同等品として適用できるものでなければならない。

Q5 スプレー剤の場合は,後発医薬品はどのように定義されるのか。

A 容器に含まれる薬物濃度が等しく,単位時間当たり又は一回の噴射薬物量が先発医薬品と同一であるスプレー剤を後発医薬品という。

Q6 作用の強い医薬品の定義の中に「それに準じる薬物」とあるが,どのような基準で薬物を判断するのか。

A バリア機能が低下した皮膚に医薬品を適用した場合,循環血流へ薬物が吸収されることによる副作用の発生が懸念されるが,その際の副作用が許容し得るものかどうかが判断基準となる。ガイドラインに示した免疫抑制剤,ステロイド剤等は,このような基準から選定した。

Q7 作用強度の強いステロイド剤とは,どこまでを指すのか。

A ステロイド外用薬は,薬効の程度によってstrongest,very strong,strong,medium,及びweakの5群に分類される。一般に,薬効の大きい外用剤ほど副腎皮質機能抑制効果も強く現れるといわれており,外用薬による副作用としては,骨量の減少,発育障害(小児),副腎皮質機能低下などが報告されている。ステロイドの経皮吸収率は正常な皮膚の場合,3~5%,ODT療法では約28%,さらに角層を剥離した皮膚では塗布後4~6時間に78~90%が吸収されるといわれている。2)また,皮膚のバリア機能に異常をきたしている皮膚病変部では,ステロイドの吸収率が著明に増大することが報告されている。ステロイド外用薬による全身性副作用は,主に視床下部,下垂体及び副腎皮質におけるその機能がどの程度抑制されるかによって評価されるが,strongに分類されるステロイド外用薬では,単純塗布で20g/日,ODT療法では10g/日によって副腎皮質機能抑制が生じ,Strongestに分類されるものでは,単純塗布で10g/日,ODT療法では5g/日によって副腎皮質機能抑制が生じることが報告されている。

以上のことから,作用の強力なステロイド外用薬を大量にしかも長期に使用する場合(例:広範囲な皮疹,アトピー性皮膚炎,乾癬などへの適応など)には全身作用が生じやすいと思われ,また,皮膚のバリア機能に応じて経皮吸収率が変化する薬剤であると考えられる。したがって,strongest,very strong及びstrongの3群のステロイド外用薬は,暴露量が問題となる薬物と考えられる。

ODT療法:Occlusive dressing therapy;軟膏を患部に単純塗布し,その部分をポリエチレン製,ポリ塩化ビニリデン製などの薄膜で覆って絆創膏で止めて密封する方法。ステロイド軟膏の経皮吸収が高まり,病変を短期間で治癒させることができる。市販のステロイドテープもODT療法そのものである。

2) 古江増隆,皮膚科診療プラクティス第6巻,宮地良樹編,文光堂,東京,1999,pp,118―124。

試験

標準製剤と試験製剤

Q8 ロット間の差を適切に検出できるin vitro放出試験で標準製剤を選択するとあるが,その目的は何か。

A 後発医薬品は,入手可能な先発医薬品の中で平均的な挙動を示す製剤と同等であるべきである。in vitro放出試験で標準製剤を選択する目的は,中間的な製剤学的特性を示す先発医薬品のロットを選択するためである。なお,放出試験は標準製剤の選択に用いるだけであって,標準製剤と試験製剤を放出試験で比較する必要はない。

Q9 in vitro放出試験の温度を32度とした理由は何か。

A 室温25℃において露出した背部及び腰部の皮膚の平均温度は33℃前後であり,範囲は31.5~35℃程度である。1)皮膚適用製剤のin vitro放出試験温度は,32℃又は37℃で行われることが多く,USP(The United States Pharmacopeia)では試験温度を32℃としている。皮膚の温度とUSPとの整合性を考慮し,32℃とした。

1) 久住武ら,日本温泉気候物理医学会雑誌,50(3),121(1987)。

Q10 どのような場合に,in vitro放出試験に膜を使用することができるか。また,膜透過が律速になっていないことをどう評価するか。

A 基剤が放出した薬物の測定に支障を来す場合には,膜を使用してもよい。膜透過が律速である場合には,全ての製剤からの透過はほぼ等しくなると考えられる。従って,もし製剤からの放出が溶液からの放出よりも遅ければ,膜透過は放出の律速ではないと判断できる。

Q11 in vitro放出試験が不適切な場合には,それに代わる製剤の特性に応じた適当な物理化学的試験を行い,標準製剤を選ぶとあるが,利用できる物理化学的試験にはどのような試験があるのか。

A 拡散セルに人工膜の代わりに動物皮膚を取り付けるin vitro透過試験などがある。

Q12 「実生産ロットと生物学的同等性試験に用いるロットの製法は同じで,両者の品質及びバイオアベイラビリティは共に同等であるものとする」と記載されているが,どのようにして示すのか。

A 実生産ロットの有効性,安全性を保証するためには,試験ロットと実生産ロットの品質及びバイオアベイラビリティが同等でなければならない。試験ロットと同等な実生産ロットを製造するためには,製剤の品質,バイオアベイラビリティに影響を及ぼす原薬,添加剤の重要な性質,製法上の重要要因を明らかにしておき,それらを適切に制御する必要がある。両者の品質及びバイオアベイラビリティは共に同等であることは,物理化学的特性が同じであること,及び,放出試験が可能なときには放出特性が同等であることを確認することにより示される。

許容域

Q13 作用の強い医薬品以外の医薬品には,後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに示されている許容域よりも広い許容域が適用されるのは何故か。

A 医薬品の使用目的,適用方法を考慮し,有効性,安全性の面から問題ないと判断されたために,広い許容域を適用することとした。作用の強い医薬品の許容域は,後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに示されている通りである。

試験

Q14 本ガイドラインでは,従来の試験法である動物を対象とした薬理学的試験法による生物学的同等性の評価方法が認められていないが,その理由はなにか。

A 後発医薬品ガイドラインにおいては,原則としてすべての医薬品でヒトを対象として生物学的同等性試験を実施することとされている。動物試験は,生物学的同等性の結果がヒトの結果と相関し,且つ製剤間のバイオアベイラビリティの差を識別しやすい場合に,ヒト試験の代替となり得る。しかし,動物とヒトの皮膚では,毛穴の数,皮膚の厚さ,皮下脂肪の厚さなどの解剖学的条件にかなり差があると言われている。3,4)また,生物学的同等性に関して,ヒト試験と動物試験の結果が比較されたことはなく,局所皮膚適用製剤の生物学的同等性の評価における動物試験の有用性は示されていない。5)以上の理由により,本ガイドラインでは,動物を対象とした薬理学的試験法による生物学的同等性の評価方法は例外を除いて認めないこととした。

3) Bronaugh,R.L.,R.F.Stewart,and E.R.Congdon,Methods for in vitro percutaneous absorption studies.Ⅱ.Animal models for human skin.Toxicol Appl Pharmacol,1982.62(3):481-8.

4) Shah,V.P.,et al.,Workshop report on in vivo percutaneous penetration/absorption.Washington D.C.,May 1-3,1989.Skin Pharmacol,1991.4(3):220-8.

5) Shah,V.P.,et al.,Bioequivalence of topical dermatological dosage forms―methods of evaluation of bioequivalence.Pharm Res,1998.15(2):167-71.

Q15 いくつかの生物学的同等性の測定法が記載されているが,どの方法が望ましいのか。

A まず製剤の適用目的(作用部位)から適切な方法を選択する。角層,又は角層より深部に作用部位がある場合は,皮膚薬物動態学的試験法を適用できる。検出力や簡便性を考慮して,皮膚薬物動態学的試験法と同程度の方法があれば,それを使用することができる。明瞭な蒼白化反応を生じる一部のステロイド剤は臨床効果と蒼白化との間に関連性があることが知られており,蒼白化反応を指標とした薬理試験を適用できる。手指洗浄等に用いる消毒薬や殺菌剤などはin vitro 効力試験が適用できる。作用部位が表面に表れている褥瘡等の治療薬には,動物試験が適用できる。

Q16 NSAIDsのような薬物では,作用部位へ到達する経路には,皮膚より直接到達する経路と全身循環血流を経る経路とがあると考えられるが,皮膚薬物動態学的試験及び残存量試験を用いる方法によって適切に生物学的同等性を確認できるのか。

A 皮膚薬物動態学的試験及び残存量試験では,作用部位に到達する途上の,すなわち角層に入る薬物を捉えバイオアベイラビリティを測定していることになる。指摘された経路が存在するならば,薬物は,角層透過後両経路に分かれることになるが,その配分率が製剤によらず一定であるなら,皮膚薬物動態学的試験及び残存量試験によっても生物学的同等性を評価できると考えられる。現在のところ,製剤によって配分率が一定であるかどうかについては明かではない。しかしながら,表皮内,真皮内の薬物拡散速度へ及ぼす基剤の影響は小さいと考えられるので,角層に入る薬物の速度の同等性を保証することにより,局所皮膚適用製剤の生物学的同等性を保証できると考えている。

Q17 本試験では,部位による偏りの影響を排除するために,比較を行う組み合わせ(例えば,標準製剤と試験製剤,被験者選択用適用部位(後述)など)ごとにランダムに適用部位を割り付ける,とあるがどのように割り付けるのか。

A 特定の処理が,多くの被験者で特定の同一部位に割り付けられることがないように,特に注意して無作為に割り付けるようにする。

Q18 吸収に影響を及ぼす適用部位の差が懸念され,むしろ,同一部位の時期間の差の変動の方が小さいと考えられるときには,2剤x2期クロスオーバー法を適用してもよいか。

A 2剤x2期クロスオーバー法を適用しても構わない。ただし,時期の影響や順序効果が表れやすい臨床試験,角層剥離による皮膚の損傷の影響が出やすい皮膚薬物動態学的試験では2剤x2期のクロスオーバー試験法を採用することは好ましくない。

Q19 In vivo 試験の予試験において,用量反応性(dose-response)の確認を行う必要はないのか。

A 実際に製剤が適用される状態は,必ずしも線形の用量反応性(dose-response)が成り立っているとは限らないので,生物学的同等性試験の予試験において用量反応性(dose-response)の確認を行う必要はない。なぜなら,薬物の基剤中での溶解状態が飽和に達しているときには,製剤中の単位重量あたりの含量を上げても,溶解状態にある薬物濃度は高くならず,皮膚への薬物の分配速度は製剤中の含量には比例しないからである。

Q20 配合剤の場合には,配合されている全ての有効成分について,評価を行わなければいけないのか。ステロイド剤に抗生物質が配合されている製剤では,薬理学的試験によるステロイド剤の評価と抗生物質を評価する試験の2つを実施するのか,あるいは,両者を同時に評価できる試験を選択して評価するのか。

A 配合剤の場合には,配合されている全ての有効成分について同等性の評価を行う。ステロイド剤に抗生物質が配合されている場合も例外ではなく,このとき,薬理学的試験と抗生物質を評価する試験の2つを実施しても,又は,両者を同時に評価できる試験を選択して評価してもどちらでもよい。

Q21 皮膚薬物動態学的試験においては,定常状態における角層内薬物濃度だけを評価している。FDAの「皮膚薬物動態学的試験に関するガイダンス案」6)では,吸収相,定常状態,製剤除去後の消失相のすべてについて,角層内薬物濃度を観察し,見かけの定常状態における濃度(Ccss)と角層内濃度一時間曲線下面積(AUC)で評価を行うこととされていた。定常状態における評価だけで,適切に生物学的同等性を評価できるのか。

A tssを定常状態に達する時間とし,Ccssに到達後に製剤を取り除くと,AUCはCcss・tssで表され,Ccss以上の情報を与えないと言える。また,局所皮膚適用製剤では,通常,定常状態に至るまでの過程が問題となるような使われ方はしないので,定常状態に至るまでを評価する必要性は低い。上記を考慮して,本ガイドラインでは,定常状態若しくはそれに近い状態での角層内薬物濃度の同等性を評価すれば十分と考えた。

6) FDA Guidance for Industry:Topical Dermatological Drug Product NDAs and ANDAs-In Vivo Bioavailability,Bioequivalence,In vitro Release,and Associated Studies,Draft Guidance,June 1998.(2003年5月現在,この案は取り下げられている。)

Q22 皮膚薬物動態学的試験においては,2つの方法が示されているが,それぞれの特性及び使い分けについて示してほしい。

A TEWLを測定しない場合は,同一回数(10~20回)の角層剥離を行うことにより,薬物を含有した角層の大部分が剥離されることを前提にして,同一回数の剥離によって角層中に存在する薬物量の比較(対照製剤/試験製剤)を行う。しかし,角層の厚さ,剥離操作による剥離のしやすさには被験者の個人差があり,更に剥離の技量等の個人差が加わるため,剥離の変動が大きくなりデータのバラツキにつながる恐れがある。このような場合,検出力をあげるためには,例数を多くする,あるいは,同一被験者,同一製剤の観察ポイント数を多くする必要がある。

TEWLを測定する場合には,付録1に示す式を利用することにより,全角層中における薬物濃度を推定できるので,角層の回収率の変動による影響が小さい。そのために,TEWLを測定する方法は試験操作が煩雑ではあるが,同じ観察ポイント数,被験者数ならば一般的には試験のばらつきは小さく検出力は高くなる。しかし,TEWLの測定には時間がかかるので,速やかに吸収される薬物では,測定中に角層内薬物濃度が変化するためにこの方法が適用できない場合,あるいは,薬物や製剤の特性によりこのモデルが適用できない場合もある。なお,ガイドラインの付録1に示したモデル式を用いて角層内薬物濃度を推定する方法については,以下の文献7,8)において詳細に述べられている。

7) Kalia,Y.N.,Alberti,I.,Naik,A.,Guy,R.H.,Assessment of topical bioavailability in vivo:the importance of stratum corneum thickness.Skin Pharmacol.Appl.Skin Physiol.,2001.14:82-86.

8) Albert,I.,Kalia,Y.N.,Naik,A.and Guy,R.H.,Assessment and Prediction of the Cutaneous Biovailability of Topical Terbinafine,In Vivo,in Man.Pharm.Res.,2001.18:1472-1475.

Q23 付録1に示したモデル式を用いて角層内薬物濃度を推定する方法は,皮膚の角層以下の部分がシンク条件を満たす場合にのみ適用できると理解しており,この式が適用できるケースはかなり限定されていると理解してよいか。

A 付録1に示したモデル式については,皮膚の角層以下の部分がシンク条件を満たす場合にのみ適用できる。9)しかし,実際には角層以下の皮内には薬物の濃度勾配が存在する場合があり,10)定常状態における角層の最下層部分の濃度が0にならないため,11)この式を当てはめることに無理のある薬物や製剤もあると考えられる。予試験でモデル式がフィットしない場合には,モデル式によらない方法を採用した方がよい。

9) 小林大介,森本雍憲,薬局,2002.53(11):2688―2698.

10) H.Schaefer and A.Zesch,Acta Derm,Venereol.(stockh),1975.74:50-55.

11) K.Tojo,K.H.Valia and Y.W.Chien,J.Chem.Eng.Japan,1985.18(2):174-178.

Q24 軟膏剤のように用法に1日数回塗布すると記載されている製剤と,貼付剤のように1日1回あるいは1日2回貼付すると貼付回数が記載されている製剤について,それぞれ,角層中薬物濃度の測定点をどのように設定すればよいか。

A 軟膏剤のように適用時間や適用回数に明確な規定が無く,適宜投与される医薬品においては,角層中薬物濃度が定常状態に到達する場合は定常状態の時点1点で,定常状態に到達せず薬物濃度が上昇を続ける場合には投与開始後約4時間の時点1点で,また,定常状態が一定時間持続せず角層中薬物濃度が最高値に達したのち低下する場合には最高値以降の適当な時点1点で,それぞれ標準製剤と試験製剤の比較を行う。

一方,貼付剤のように用法で1日の貼付回数が記載されている場合には,貼付している間(適用時間)での有効性の同等性が期待されている。そのため,投与後角層中薬物濃度が定常状態に到達する場合は定常状態の時点1点および製剤適用の最終時点1点で,また,定常状態に到達せず薬物濃度が上昇を続ける場合には,投与開始後約4時間の時点1点および製剤適用の最終時点1点で,定常状態が一定時間持続せず角層中薬物濃度が最高値に達したのち低下する場合には,最高値付近の適当な時点1点および製剤適用の最終時点1点のそれぞれで標準製剤と試験製剤の比較を行う。

Q25 抗ウイルス剤や抗真菌剤の作用部位が表面であるために皮膚薬物動態学的試験を適用することは不適当という考えがある。これについては,どのように考えたらよいか。

A 抗真菌剤の外用薬は角層の最下層まで到達する必要がある。その理由は,白癬菌は角層の中層から下層に増殖しているからである。抗ウイルス剤は表皮全層,できれば真皮まで薬剤が到達する必要がある。水痘や単純ヘルペスなどのヘルペスウイルスは,生きた表皮の細胞に感染し細胞に壊死を起こした結果,水疱になる。したがって,生きた細胞のいる角層より下の表皮及び真皮まで薬剤が浸透する必要がある。さらに,ウイルス真皮の血管内皮にも認められることがあり,血管炎を引き起こす。そのようなものに効果をあげるには,当然深くまで薬剤が到達する必要がある。抗真菌剤及び抗ウイルス剤を外皮に適用することによって臨床的効果が認められていることから,これらの生物学的同等性試験では,皮膚薬物動態学的試験を適用する対象製剤となり得る。

Q26 蒼白化反応強度から生物学的同等性を証明できるとした根拠を示して欲しい。また,AUECにより評価する理由,本試験の製剤適用時間をT50とする理由,ステロイド応答性被験者を選定することの必要性,及び,選択時の基準をAUEC2/AUEC1>1.25とした理由を示して欲しい。また,ステロイド応答性被験者を選定する際に,AUEC1=0となる被験者の場合には,どのように対処すればよいか。

A ステロイド剤による蒼白化の強度は原体の作用強度に相関し,これを利用してステロイド剤のランク分けを行ってきた経緯がある。一方,Stoughtonらは,0.050%betamethasone dipropionateを用いた研究で,蒼白化強度が適用量及び適用時間とよい相関性があることを示した。12)また,製剤適用時間をT50としたときの蒼白化反応が皮膚薬物動態学的試験による角層中薬物濃度ともよい相関性を示すことも報告されている。18)以上のことより,同一薬物を含む異なる銘柄間のバイオアベイラビリティを比較する生物学的同等性試験においても蒼白化反応を利用できると判断され,薬理学的試験の1つとしてガイドラインに採用された。なお,皮膚薬物動態学的試験などの他の試験法と同様に,定常状態における蒼白化強度を比較することにより,生物学的同等性を評価できる可能性があるが,現在のところその妥当性はまだ示されていないので,薬理学的試験の1つとして蒼白化反応を利用する場合には,製剤適用時間をT50とし,蒼白の経時変化を含めて同等でなければならない,即ちAUECが同等とみなされなければならないとした。

ステロイド非応答性の被験者は,薬物の吸収量に応じた反応を示さないので,バイオアベイラビリティの同等性を評価する試験の被験者としては不適切である。ステロイド応答性の被験者選択の目安としてAUEC2/AUEC1>1.25としたのは,製剤適用時間が4ないし9倍異なるとき,即ち適用量が4ないし9倍異なるときに,ばらつきなども考慮して,反応の比が最低1.25倍となるような被験者を選択した方がよいからである。なお,AUEC1=0となる被験者は,ステロイド非応答性の被験者である可能性が高く,また,ステロイド応答性の有無を判定できないので除外すべきである。

12) Pershing LK,Lambert L,Wright ED,Shah VP,Williams RL,Topica1 0.050% betamethasone dipropionate:pharmacokinetic and pharmacodynamic dose-response studies in humans,Arch Dermatol,130,740-747(1994).

13) Singh GJ,Adams WP,Lesko LJ,Shah VP,Molzon JA,Williams RL,Pershing LK,Development of in vivo bioequivalence methodology for dermatologic corticosteroids based on pharmacokinetic modeling,Clin.Pharmacol.Ther.,66,346-357(1999).

Q27 T50の算出方法を具体的に示して欲しい。また,T50から決める製剤適用時間は切りのよい時間でよいか。

A 具体的な数値を用いてT50の算出方法を示すことにする。予試験で,製剤適用時間を0.25~6時間と変える他はガイドラインに示した方法に準じて,蒼白化反応を色差計で測定し,ベースライン及び製剤非適用部位で補正した後AUECを計算したと仮定する。下記のデータは,各製剤適用時間におけるAUECの平均値であるとする。

製剤適用時間T(hr)

0.25

0.50

0.75

1.00

1.50

2.00

4.00

6.00

AUEC

-5.44

-11.76

-25.86

-15.87

-24.12

-28.58

-44.30

-28.76

上記のデータを,横軸に測定時間,縦軸にAUECにとりプロット(○)したのが下の図である。

このデータに,ガイドライン付録2に示した(8)式をあてはめ,非線形最小二乗法により,AUECmax,AUEC0及びT50の推定値を求めると,それぞれ,-40.45,8.93及び0.60となる(WinNonlin ver:4.1,Pharsight Corporation,Mountain View,Calif.)。パラメータの推定値を用いて計算したAUECの予測値を図中実線で示した。これより蒼白化反応を利用した薬理学的試験における製剤適用時間は0.6時間が適当と計算される。なお,上記データは架空のデータであり,ステロイド剤でT50が0.6時間程度になるということを意味するものでは全くない。

試験が実施しやすいように製剤適用時間は切りのよい時間としてよい。上記の例では製剤適用時間は40分とするのが適当であろう。

蒼白化反応は非常にばらつきが大きいので,ガイドラインの(8)式には複数の被験者による平均値をプロットするのでよく,個々の被験者でT50を求める必要はない。

非線形最小二乗法を適用して求めるパラメータの数は3個あるので,測定点数(図の○の数)は3よりも十分大きい必要がある。また,ばらつきが大きいので,非線形最小二乗法を収束させT50の推定値を得るためには,製剤適用時間を十分広い範囲に取り,AUECの変化率が大きい領域,即ち製剤適用時間が短い領域で多数の測定点を得るなどの工夫が必要である。

Q28 適用部位の数が,試験製剤及び標準製剤,ステロイド応答性被験者選択用適用部位(製剤適用時間(T1,T2に相当)それぞれについて,各1~数箇所とあるが,これらは揃える必要があるか。

A 標準製剤と試験製剤については,適用部位の数は同数とする。ステロイド応答性被験者選択用適用部位については,T1,T2に対応する部位の数は同数とするが,標準製剤及び試験製剤の適用部位数と揃える必要はない。

Q29 蒼白化反応を目視で判定する場合,パラメトリック,ノンパラメトリックな方法のいずれを用いて解析を行ってもよいとあるが,予め決めておく必要はないか。

A 解析プロトコールにあらかじめ統計解析の手順について記載しておく。例えば,パラメトリックな方法で解析するが,分布の正規性が疑われるときにはノンパラメトリックな方法で解析する,などと定めておく。

Q30 視覚的方法で蒼白化反応を評価するときには,ノンパラメトリック手法を用いて標準製剤の平均AUECと試験製剤の平均AUECの差の90%信頼区間を計算するとあるが,ノンパラメトリック手法を用いて信頼区間を計算する方法に関する参考文献を示してほしい。

A2剤x1期の試験の場合には,Wilcoxonの1標本検定(符号付き順位検定)などの手順に従って,平均の差の中心位置の信頼限界を計算する。Wilcoxonの1標本検定については,成書14)に詳細に述べられている。

2剤x2期の試験の場合には,Hauschkeらのアプローチ15)に従って計算できる。

14) 佐久間昭,薬効評価―計画と解析Ⅱ,pp12―23。東京大学出版,東京,1981

15) Hauschke,D.,Steinijans,V.W.,Diletti,E.,A distribution-free procedure for the statistical analysis of bioequivalence studies.Int,J.Clin.Pharmacol.Ther.Toxicol.,1990.28(2),72-8.

Q31 残存量試験では,製剤からの薬物の消失量を測定する部位とは別の部位に製剤を非常に短時間適用したときの回収薬物量から,製剤をt時間適用したときの回収薬物量を差し引くとあるが,これは何を意味するのか。

A 薬物が製剤から皮膚へ分配した量を正しく評価するための方法である。

適用前の製剤中の薬物量をDose,t時間後に製剤中に残存している薬物量をRt,t時間後に皮膚に分配した薬物量をAt,t時間後に皮膚の表面に残存し脱脂綿等に回収された薬物量をBtで表すとする。本試験では次式より皮膚に分配した薬物量Atを求める。

At=Dose-(Rt+Bt) (1)

もし,皮膚の表面に残存する薬物のふき取りが不適切に行われBtが真の値より低い場合,また,製剤からの薬物の抽出操作が十分でない場合のいずれにおいても皮膚へ分配した薬物量Atは多く見積もられてしまう。そこで,それぞれの操作によって回収されない薬物量をCとすると,皮膚へ分配した薬物量Atは次式で表される。

At=Dose-(Rt+Bt+C) (2)

T=0においても操作によって回収されない薬物量は変わらないとすると

AO=Dose-(RO+BO+C) (3)

と表されるが,AO=0とみなせるので,Cは次式で表される

C=Dose-(RO+BO) (4)

そこで,(4)式を(2)式に代入すると

At=(RO+BO)-(Rt+Bt)

となる。すなわち,「対照部位からの薬物回収量」から「tにおける薬物回収量」を差し引いた量を,薬物が製剤から皮膚へ分配した量として正しく評価できることになる。

Q32 薬物動態学的試験を適用する場合には,患者におけるPK/PD試験などで相関関係を具体的に提示する必要があるのか。

A その通りである。

暴露量試験

Q33 暴露量試験の目的と具体的な方法や判定法について説明してほしい。また,「角層を完全剥離したヒト又は動物の皮膚を対象として」とあるが,どのような場合にヒトではなく動物の皮層を対象としてよいのか。

A 作用の強い薬物では全身循環血流へ到達した薬物による副作用を無視することができない。特にアトピー性皮膚炎など角層のバリア機能が不十分な場合の副作用リスクを評価するため,角層が損傷を受けている病態皮膚での薬物の暴露量を評価する必要がある。具体的にはテープなどにより塗布部分の角層をほぼ完全に剥離したヒトまたは動物を対象として,薬物動態学的試験または残存量試験を行うことにより評価できる。なお,これらの試験では,一定の面積から全身循環血流中へ到達する薬物量の比較あるいは推定ができればよいので,試験に際しては,実際に医薬品が塗布される面積で実施する必要はなく,生物学的同等性試験と同程度の塗布面積で評価することでよい。例数は10例以上で行う。

塗布部分の角層を完全剥離したヒト試験において薬物動態学的手法を適用する場合には,吸収されて作用を発揮することを期待して投与される製剤における血中濃度,及び,後発医薬品が臨床的に使用される最大塗布面積を考慮して,薬物の特性に応じた暴露量の限度値を決定し,試験製剤の暴露量がそれ以下であることを示す。

角層剥離皮膚を用いた動物試験の結果からは,ヒトにおける安全性に外挿することができないので,標準製剤の暴露量と同等以下という基準を適用する。また,塗布部分の角層を完全剥離したヒト試験で残存量試験を適用する場合にも,ヒトにおける薬物動態を推定できないので,同等以下という基準を適用する。同等以下の基準を適用するときは,製剤間のパラメータの差の信頼区間上限が+25%,あるいは,点推定では+10%以下であることを確認する。

動物の皮膚を対象とするかヒトの皮膚を対象とするかは,申請者が選択してよいが,上述のように選択した試験法によって暴露量の許容域が異なる。

Q34 生物学的同等性を臨床試験で評価する場合にも,作用の強い医薬品については暴露量の確認が必要か。

A 臨床試験で同等性を評価する場合には副作用は評価しないので,また,臨床試験の対象皮膚がバリア機能が低いとは限らないので,別途に暴露量の評価は必要である。

Q35 生体試料の分析法バリデーションの実施に関する参考文献16,17)を示してほしい。

A 次の文献を参考にするとよい。

16) Shah,V.P.et al.,Analytical methods validation:Bioavailability,bioequivalence and pharmacokinetic studies.J.Pharm.Sci.,1992.81:309.

17) Shah,V.P.et al.,Bioanalytical method validation--a revisit with a decade of progress.Pharm Res.,2000.17:1551.

○「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正について

(平成18年11月24日)

(事務連絡)

(日本製薬団体連合会あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

標記について、別添写しのとおり各都道府県衛生主管部(局)あて連絡したので御了知の上、貴会会員への周知方よろしくお願いします。

○「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正について

(平成18年11月24日)

(事務連絡)

((社)日本薬業貿易協会あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

標記について、別添写しのとおり各都道府県衛生主管部(局)あて連絡したので御了知の上、貴会会員への周知方よろしくお願いします。

○「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正について

(平成18年11月24日)

(事務連絡)

(日本製薬工業協会あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

標記について、別添写しのとおり各都道府県衛生主管部(局)あて連絡したので御了知の上、貴会会員への周知方よろしくお願いします。

○「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正について

(平成18年11月24日)

(事務連絡)

(医薬工業協議会あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

標記について、別添写しのとおり各都道府県衛生主管部(局)あて連絡したので御了知の上、貴会会員への周知方よろしくお願いします。

○「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正について

(平成18年11月24日)

(事務連絡)

(日本医薬品原薬工業会あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

標記について、別添写しのとおり各都道府県衛生主管部(局)あて連絡したので御了知の上、貴会会員への周知方よろしくお願いします。

○「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正について

(平成18年11月24日)

(事務連絡)

(日本界面活性剤工業会あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

標記について、別添写しのとおり各都道府県衛生主管部(局)あて連絡したので御了知の上、貴会会員への周知方よろしくお願いします。

○「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正について

(平成18年11月24日)

(事務連絡)

(日本医薬品添加剤協会あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

標記について、別添写しのとおり各都道府県衛生主管部(局)あて連絡したので御了知の上、貴会会員への周知方よろしくお願いします。

○「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正について

(平成18年11月24日)

(事務連絡)

(米国研究製薬工業協会在日技術委員会あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

標記について、別添写しのとおり各都道府県衛生主管部(局)あて連絡したので御了知の上、貴会会員への周知方よろしくお願いします。

○「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正について

(平成18年11月24日)

(事務連絡)

(欧州製薬団体連合会在日執行委員会あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

標記について、別添写しのとおり各都道府県衛生主管部(局)あて連絡したので御了知の上、貴会会員への周知方よろしくお願いします。

○「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正について

(平成18年11月24日)

(事務連絡)

((社)東京医薬品工業協会あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

標記について、別添写しのとおり各都道府県衛生主管部(局)あて連絡したので御了知の上、貴会会員への周知方よろしくお願いします。

○「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正について

(平成18年11月24日)

(事務連絡)

(大阪医薬品協会あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

標記について、別添写しのとおり各都道府県衛生主管部(局)あて連絡したので御了知の上、貴会会員への周知方よろしくお願いします。

○「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正について

(平成18年11月24日)

(事務連絡)

(独立行政法人医薬品医療機器総合機構あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

標記について、別添写しのとおり各都道府県衛生主管部(局)あて連絡したので送付致します。

○「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正について

(平成18年11月24日)

(事務連絡)

(各地方厚生局あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

標記について、別添写しのとおり各都道府県衛生主管部(局)あて連絡したので送付致します。