添付一覧
○児童虐待への対応における警察との連携について
(平成18年9月26日)
(雇児総発第0926001号)
(各都道府県・各指定都市・各児童相談所設置市児童福祉主管部(局)長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長通知)
児童虐待防止対策については、従来より関係機関での連携した取組をお願いしてきたところですが、依然として虐待により児童が死亡する等の不幸な事件が発生しており、また、多くの機関が関係していたのにもかかわらず、それらの連携が不十分なこと等により未然に防止できなかった事件等が起きているところです。
こうした中、今般、別添のとおり、警察庁より「児童の安全の確認及び安全の確保を最優先とした児童虐待への対応について」(平成18年9月26日警察庁生活安全局長・刑事局長通達)が発出されました。
各都道府県、指定都市、児童相談所設置市におかれましては、児童虐待の防止、特に児童虐待死をなくすために、引き続き関係機関と連携を図って対策を講じてください。特に警察との連携は重要であるため、日頃から情報の共有や意見交換の機会をもつとともに、下記の点に留意して連携を図るよう努めてください。
なお、本通知は警察庁と協議済みであることを申し添えるとともに、本通知及び別添通達を児童相談所等関係機関にも周知して頂くようお願いします。
記
1 警察に対する援助要請について
児童虐待防止に当たっては警察との連携が重要であること。特に、立入調査、一時保護に際しては、児童の安全の確認及び確保に万全を期する観点から必要があると認めるときは、警察に同行等の援助要請を行い、相互連携による対応を行うこと。
2 警察との情報交換等について
要保護児童対策地域協議会等の構成員として、積極的に警察の参加を求めるとともに、現に取り扱っている個別事例に関し、警察との情報交換や意見交換を積極的に行い、適時適切な対応を行うこと。
また、一時保護や施設入所措置後の児童や保護者の状況についても警察との綿密な情報交換がなされるよう連携を強化すること。
3 警察の事情聴取における児童相談所の対応について
児童相談所が一時保護等を行っている児童に対し、警察が事情聴取を求めてきた場合には適切に協力を行うこと。
その際、当該事情聴取が児童に与える影響に鑑み、児童の成長・発達状況や心身の負担に留意し、事情聴取の時期・方法等について警察と十分相談すること。
<別添>
[原議保存期間10年(平成28年12月31日まで)]
○児童の安全の確認及び安全の確保を最優先とした児童虐待への対応について
(平成18年9月26日)
(/警察庁丙少発第38号/警察庁丙生企発第83号/警察庁丙捜一発第29号/)
(各都道府県警察の長・各方面本部長・(参考配布先)庁内各局部課長・各附属機関の長あて警察庁生活安全局長・警察庁刑事局長通知)
児童虐待への対応については、「児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律の施行について」(平成16年9月21日付け警察庁丙少発第34号等)等に基づき、その取組みを強化してきたところであるが、本年上半期の児童虐待の検挙件数、検挙人員及び被害児童数が、上半期の記録を取り始めた平成12年以降最高となったほか、福島県における保護責任者遺棄致死事件をはじめ痛ましい児童虐待事件が引き続き発生するなど、児童虐待問題は極めて深刻な状況にある。
児童虐待の早期発見と被害児童の早期保護は、児童の生命、身体の保護という警察本来の責務であり、警察としても児童相談所、医療機関等の関係機関との緊密な連携を保ちながら、児童の生命・身体の保護のための措置を一層積極的に講じていく必要がある。
そのため、各都道府県警察にあっては、児童の安全の確認及び安全の確保を最優先とした対応について、下記事項の取組みの強化を図られたい。
なお、本通達については厚生労働省と協議済みであり、厚生労働省からも別添の通知が発出されたので申し添える。
記
1 児童の安全の確認及び安全の確保を最優先とした対応の徹底
児童虐待の抑止は、児童の生命、身体の保護という警察本来の責務であることを認識し、児童の安全の確認及び安全の確保を最優先とした対応の徹底を図ること。
特に、児童の安全が疑われる事案については、児童の安全を警察職員が直接確認することが重要である。
このため、警察として、犯罪の捜査及び警察官職務執行法の権限行使等によりできる限りの措置を講じるとともに、児童相談所に対しても、立入調査や一時保護など、児童の安全確認及び安全確保を最優先とした対応をとるよう働きかけること。
2 児童の保護に向けた関係機関との連携の強化
児童の保護に向けて、警察署と児童相談所、都道府県警察本部と都道府県の児童福祉担当部局等、警察署と都道府県警察本部のそれぞれにおいて関係機関との連携体制を早急に点検・整備し、個別事案についての情報を入手した早期の段階において、児童相談所や児童福祉担当部局等の関係機関との間で相互に情報を交換し、衆知を集めた対応の検討が行えるようにすること。
また、関係機関と連携して、過去に発生した個別の事案の検証を行うとともに、要保護児童対策地域協議会の場を活用するなど、現に取扱中の事案についての危険度や緊急度の判断に加わり、児童に対する具体的な支援の内容について積極的な意見を述べるなど、被害抑止に向け積極的な対応を行うこと。
さらに、児童の措置後の状況についても児童相談所等との綿密な情報交換がなされるよう連携を強化すること。
3 厳正な捜査と被害児童の支援
(1) 取り扱うべき事案の厳正な捜査
児童虐待の端緒を得た場合、少年警察部門及び刑事警察部門が連携を図り、事件化の可否及び要否、事案の緊急性・重大性を検討した上で、取り扱うべき事案については、関係機関の告発等を待つことなく、可能な限り速やかに、暴行、傷害、保護責任者遺棄、殺人未遂等あらゆる罪名を適用し、関係者の事情聴取、取調べ、対象家屋等の捜索、被疑者の逮捕等の必要な捜査を積極的に行い、捜査を契機として、児童の死亡等事態が深刻化する前に児童を救出保護すること。
(2) 被害児童に対するカウンセリング等支援の実施
被害児童の事情聴取に当たっては、少年の心理、特性に関する専門的知識・技能を有する少年補導職員等を立ち会わせるなど、被害児童の心情に十分配慮するとともに、関係機関との緊密な連携の下、当該児童に対するカウンセリングを実施するなど被害児童の立直りに向けたきめ細かな支援を実施すること。
4 情報の集約と組織としての的確な対応
(1) 少年警察部門への情報の集約と分析
少年警察部門のみならず、各部門における各種警察活動に際し、児童虐待についての情報把握に努めるとともに、少年警察部門への情報集約を行うこと。この場合、少年警察部門は、過去に発生した児童虐待事案を確認し、入手した情報が再被害に当たるものでないかという観点を含め分析し、事案の危険度や緊急度の判断を適切に行うこと。
また、児童虐待として取り扱った対象者が転居したことを知った場合は、転居先の都道府県警察に対し、取扱い事案に関する必要な情報を提供すること。
(2) 迅速かつ確実な報告と組織としての的確な対応
警察署において児童虐待の認知につながり得る情報を得た場合、警察署長や都道府県警察本部主管課への迅速かつ確実な報告が行われるよう、指導の徹底を図ること。
また、警察署における事実関係の確認、関係機関との情報共有その他児童の安全の確保に必要な措置が組織としての判断に基づき的確になされるよう、指導の徹底を図ること。特に、未就学児童のいる家庭における配偶者からの暴力事案について相談を受理した場合等は、児童虐待の伏在を念頭において対応を行うこと。
(別添略)