○食品衛生法第55条第2項に基づく輸入者の営業の禁止及び停止処分について
(平成18年1月10日)
(食安発第0110004号)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)
標記について、今般、厚生労働大臣が行う輸入者の営業の禁停止処分の運用の詳細について、別添のとおり「食品衛生法第55条第2項に基づく輸入者の営業の禁止及び停止処分の取扱い指針(ガイドライン)」として整理したので、内容を御了知頂くとともに、管内市町村、関係団体、関係機関等への周知をお願いする。
なお、厚生労働大臣が輸入者の営業の禁停止処分を行った場合には、当該輸入者の主な所在地を所管する都道府県、保健所を設置する市及び特別区に対して当該措置の内容を通知するので、適宜対応方よろしくお願いする。
(別添)
食品衛生法第55条第2項に基づく輸入者の営業の禁止及び停止処分の取扱い指針(ガイドライン)
Ⅰ 概要
食品衛生法(以下「法」という。)第55条第2項において、厚生労働大臣は、営業者(食品、添加物、器具・容器包装、乳幼児用おもちゃ(以下「食品等」という。)を輸入することを営む人又は法人に限る。)が法の規定による禁止に違反した場合において、営業の全部若しくは一部を禁止し又は期間を定めて停止することができるとされており、本指針は、当該制度の運用の詳細を定めたものである。
Ⅱ 処分の対象者
食品等を輸入することを営む人又は法人(以下「輸入者」という。)。
Ⅲ 処分の対象となる行為
輸入者が法第6条、第9条第2項、第10条、第11条第2項若しくは第3項、第16条、第18条第2項、第26条第4項若しくは第50条第3項の規定に違反した場合又は第7条第1項から第3項まで、第8条第1項若しくは第17条第1項の規定による禁止に違反した場合。
Ⅳ 処分の発動、執行について
厚生労働省本省(以下「本省」という。)は、食品の安全性の確保の観点から、法違反を繰り返す輸入者又は法違反により健康被害を発生させた若しくは発生させるおそれを生じさせた食品等の輸入者などに対し、法違反の原因を改善させ、法違反の再発を防止させ、その他衛生上の必要な措置を講じさせることを目的として、法第55条第2項に基づく営業の禁止又は停止処分(以下「禁停止処分」という。)を行う。
1 処分の発動についての本省における検討
本省は、次に掲げる場合に、禁停止処分の発動の必要性について検討することとする。
(1) 特定の輸入者が輸入した食品等が原因と疑われる健康被害が発生した場合又は健康被害の発生するおそれのある食品等を輸入した場合。
(2) 特定の輸入者の法違反の原因が故意又は重大な過失により発生した場合。
(3) 特定の輸入者が輸入する食品等において、法違反が繰り返し発見※されている場合。
※ 繰り返し発見されている場合とは、特定の輸入者の輸入において、食品等を限定せずに概ね違反率が5%以上の場合とし、違反率の確認にあたっては、信頼限界95%で違反率5%未満であることを確認するためには少なくとも60件以上検査しなければならないことを考慮し、特定の輸入者の食品等の輸入時に、必要な検査が行われた直近60件の食品等輸入届出の検査結果を確認し、概ね違反率が5%以上であるかどうかを判断するものとする。
(4) 検疫所長から特定の輸入者に対する禁停止処分の検討要請がなされた場合。
(5) 営業の停止処分を受けた輸入者が、停止期間が満了した時点において、法違反の原因の改善、法違反の再発防止対策、その他衛生上の必要な措置を講じていないと認められる場合。
2 処分を発動するか否かの判断
上記1の検討開始要件に係る内容及び輸入者の衛生管理体制の聴取等の結果、衛生上の管理が不十分と認められ又は不十分とみなされた場合に、次に掲げる事項を勘案して、本省として最終的な発動の要否を判断する。
(1) 人の健康を損なうおそれの程度
(2) 違反率の状況
(3) 輸入者の衛生管理状況
(4) 今後の輸入の可能性
3 処分の執行について
本省は、2において、禁停止処分の発動を必要と判断した場合には、以下に基づき、輸入者に対し禁停止処分を執行するものとする。
(1) 営業を停止する場合
① 営業の停止処分は、「営業停止命令書」(様式第1号)により行うものとする。
② 停止期間については、3日以上、30日未満の範囲内の期間で、輸入者に法違反の原因の改善、法違反の再発防止対策、その他衛生上の必要な措置を執るための計画書を提出させ、当該措置を執りうると認められる期間を、個別の状況に応じて判断するものとする。
(2) 営業を禁止する場合
営業の禁止処分は、30日未満の範囲内の期間で、輸入者が法違反の原因の改善、法違反の再発防止対策、その他衛生上の必要な措置を執ることができないと考えられる場合、又は輸入者から当該措置を執るための計画書の提出がなく、当該措置を執るために必要な期間を予測することができない場合に、「営業禁止命令書」(様式第2号)により行うものとする。
(3) 禁停止処分を行う営業の範囲
① 営業の全部を禁停止処分とする場合
法違反の原因が故意又は重大な過失により発生し、衛生上の観点から必要があると認められる場合には、営業の全部について禁停止処分を執行する。
② 営業の一部を禁停止処分とする場合
原則として、当該輸入者の食品等の輸入及び輸入した食品等の販売について禁停止処分を執行するが、法違反の原因が特定の食品等に限定される場合は、この限りではない。
(4) 聴聞の実施
処分の執行に当たっては、行政手続法第13条第1項に基づき、事前に聴聞を行うこととする。聴聞の通知は、様式第3号により行う。
なお、食中毒の発生等により、公益上、緊急に禁停止処分を行う必要があり、聴聞の手続きを執ることができない場合は、これを省略できる(同条第2項)。
4 禁停止処分の解除について
本省は、禁停止処分の期間内において、各命令書に記載する解除の要件を充たすことが確認された場合には、「解除命令書」(様式第4号)により、当該処分の解除を行うものとする。
5 禁停止処分に対する法違反について
本省は、禁停止処分を受けている輸入者が、当該処分に違反して営業を行った場合は、法第71条に基づく措置を検討するものとする。
Ⅴ その他の措置
1 処分を受けている輸入者に対する検疫所の対応
検疫所長は、禁停止処分を受けている輸入者が、当該処分に係る食品等について、法第27条に基づく食品等輸入届出を行った場合は、当該輸入者に対し、食品等輸入届出済証の交付を停止する。
2 都道府県等への連絡
本省は、禁停止処分を行った場合には、当該輸入者の主な所在地を所管する都道府県、保健所を設置する市及び特別区(以下、「都道府県等」という。)に対して様式第5号にて通知する。
また、禁停止処分の解除を行った場合には、都道府県等に対して様式第6号にて通知する。
3 財務省関税局への連絡
本省は、禁停止処分を行った場合には、財務省関税局に対して様式第7号にて通知する。
また、禁停止処分の解除を行った場合には、財務省関税局に対して様式第8号にて通知する。
4 公表について
本省は、禁停止処分又は禁停止処分の解除を行った場合には、法第63条に基づく公表と併せ、当該措置を行った旨を公表する。
様式第1号
様式第2号
様式第3号
様式第4号
様式第5号
様式第6号
様式第7号
様式第8号