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○フラットデッキの使用に係る注意喚起等について

(平成17年8月8日)

(基安発第0808004号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部長通知)

(公印省略)

建設現場で幅広く用いられているフラットデッキ(鋼製デッキプレートの上面を平らに加工して、裏側にリブを付けた床型わく用の鋼製デッキプレート)に関しては、これまでに、施工作業中にフラットデッキが崩壊し、労働者が死傷する事故が発生しているところである。(別添1参照)

このため、独立行政法人産業安全研究所において、フラットデッキに係る災害事例を参考に、フラットデッキの強度試験を行った結果、材料の降伏点の強度を許容応力度とする短期許容応力度で設計した板厚が薄いフラットデッキを使用する場合にリスクが高くなること等の報告がなされたところである。(別添2参照)

ついては、同種災害の発生を防止するため、別添3及び別添4により、関係団体に対する要請を行ったところであるが、各局においても本要請を了知の上、あらゆる機会を捉え、管内における関係事業場等に対し必要な指導・要請を実施されたい。

別添1

フラットデッキの崩壊による労働災害事例

1 鉄筋仮置き時の崩壊

(1) 発生年月 平成13年10月

(2) 発生場所 神奈川県

(3) 発生状況

敷き詰めたフラットデッキの中央に鉄筋を設置した際に、その重みにより崩壊し、フラットデッキ上の作業員が墜落負傷し、階下の労働者が鉄筋などの落下物により死亡したもの。

RC造の施設の建設現場において、3階床面部分に取り付けられていたフラットデッキ床上に、クレーンを使用して約2.5トンの鉄筋を仮置きしたところ、床が2.3m×7.75mにわたり崩壊し、2階作業床上で支保工(パイプサポート)の建て込み作業を行っていた作業員が鉄筋の下敷きになった。また、崩壊したフラットデッキ床上で鉄筋の組み立て作業を行っていた作業員が軽傷を負った。

(4) 被災状況 死亡1名、負傷2名

2 コンクリート打設作業終了直後の崩壊

(1) 発生年月 平成14年11月

(2) 発生場所 東京都

(3) 発生状況

フラットデッキが生コンクリートの重量と労働者5名の荷重に耐えきれずに崩壊したもの。

SRC造のビル新築工事現場3階において、コンクリート打設のため、鉄骨に掛け渡して敷き詰めたフラットデッキ上に配筋してコンクリートを流し終わった。その直後に、当該フラットデッキ(3.4m×4.9m)が生コンクリートの重みで抜けて床鉄筋と共に垂れ下がった。そのため、当該フラットデッキ上で作業していた労働者5名が階下の2階フラットデッキ上に墜落し、その衝撃で更に2階フラットデッキが抜け落ちて、うち4名が約12m下の1階スラブ上に墜落した。

(4) 被災状況 負傷5名

別添2

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別添3

○フラットデッキの使用に係る注意喚起等について

(平成17年8月8日)

(基安発第0808002号)

(社団法人公共建築協会会長・フラットデッキ工業会会長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部長通知)

建設現場で幅広く用いられているフラットデッキ(鋼製デッキプレートの上面を平らに加工して、裏側にリブを付けた床型わく用の鋼製デッキプレート)に関しては、これまでに、施工作業中にフラットデッキが崩壊し、労働者が死傷する事故が発生しているところです。(別添1参照)

このため、独立行政法人産業安全研究所において、フラットデッキに係る災害事例を参考に、フラットデッキの強度試験を行った結果、材料の降伏点の強度を許容応力度とする短期許容応力度で設計した板厚が薄いフラットデッキを使用する場合にリスクが高くなること等の報告がなされたところです。(別添2参照)

つきましては、貴団体におかれましては、フラットデッキに係る労働災害防止の重要性、緊急性にかんがみ、関係者に対し早急にフラットデッキの使用時の安全率に係る注意喚起を実施していただくよう要請します。

また、安全率を高めて設計すること、現在の降伏点強度を許容引張応力度とする短期許容応力度で設計する設計法などについても再検討を行っていただくよう要請します。

さらに、今回の独立行政法人産業安全研究所における強度試験のために購入したフラットデッキの中に、表示肉厚と実際の肉厚が異なるものがあったことから、製品の品質管理を適正に行うよう関係者に周知していただくよう併せて要請します。

なお、関係事業者団体に対しても、別添3のとおり要請しておりますことを申し添えます。

別添4

○フラットデッキの使用に係る注意喚起について

(平成17年8月8日)

(基安発第0808003号)

(社団法人全国建設業協会会長・社団法人日本建設業団体連合会会長・建設業労働災害防止協会会長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部長通知)

建設現場で幅広く用いられているフラットデッキ(鋼製デッキプレートの上面を平らに加工して、裏側にリブを付けた床型わく用の鋼製デッキプレート)に関しては、これまでに、施工作業中にフラットデッキが崩壊し、労働者が死傷する事故が発生しているところです。(別添1参照)

このため、独立行政法人産業安全研究所において、フラットデッキに係る災害事例を参考に、フラットデッキの強度試験を行った結果、材料の降伏点の強度を許容応力度とする短期許容応力度で設計した板厚が薄いフラットデッキを使用する場合にリスクが高くなること等の報告がなされたところです。(別添2参照)

つきましては、フラットデッキの崩壊等による災害の発生を防止するため、フラットデッキの設計・施工に際して、下記のことに留意されるよう会員事業場に対し周知徹底していただきたく要請いたします。

なお、社団法人公共建築協会等に対しては、別添3のとおり要請しておりますことを申し添えます。

1 材料の降伏点の強度を許容応力度とする短期許容応力度で設計した板厚が薄いフラットデッキを使用する場合にリスクが高くなること。

2 社団法人公共建築協会が編集し、フラットデッキ工業会が発行した「床型枠用鋼製デッキプレート(フラットデッキ)の設計施工指針・同解説(平成16年版)」から、安全率を計算して求めると1.3となること。(参考資料参照)

3 上記の設計施工指針・同解説では、フラットデッキにかかる荷重は等分布荷重としているが、フラットデッキの中央部に荷重が集中する場合(中央部に資材を仮置きする、作業員が中央部に集まる等)には、等分布荷重に比べ曲げモーメントが2倍となること。

4 かかり代が十分に取られない場合は、フラットデッキが破壊し、崩落するリスクが高くなること。

(参考)

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