添付一覧
○平成18年度輸入食品監視指導計画の策定について
(平成18年3月24日)
(食安発第0324002号)
(各検疫所長あて医薬食品局食品安全部長通知)
(公印省略)
輸入食品等に対する輸入時の監視指導の実施に当たっては、平成17年度輸入食品監視指導計画に基づくモニタリング計画の達成等、その適切な実施に御尽力いただいているところである。
今般、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第23条第1項の規定により、食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針(平成15年厚生労働省告示第301号)に基づき、食品、添加物、器具及び容器包装の輸入について国が行う監視指導の実施に関する平成18年度の輸入食品監視指導計画(以下「平成18年度輸入食品監視指導計画」という。)を別添1のとおり定め、同条第3項の規定により官庁報告として公表した。
ついては、平成18年度輸入食品監視指導計画に基づき、適切な監視指導の実施方よろしくお願いする。
なお、都道府県等に対し、別添2のとおり通知していることを申し添える。
別添1
平成18年度輸入食品監視指導計画
我が国に輸入される食品、添加物、器具、容器包装及びおもちゃ(以下「食品等」という。)は、年間の輸入届出件数で約179万件、輸入重量で約3,400万トン(平成16年実績)であり、我が国の食料自給率は約4割(供給熱量総合食料自給率。農林水産省「平成16年度食料需給表」)となっている。
本計画は、このような現状を踏まえ、重点的、効率的かつ効果的な監視指導の実施を推進し、もって、我が国に輸入される食品等(以下「輸入食品等」という。)の一層の安全性確保を図ることを目的とする。
平成17年度において、厚生労働省本省(以下「本省」という。)及び検疫所は、食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第28条の規定に基づくモニタリング検査や法第26条の規定に基づく検査命令等の輸入時における監視指導を強化するとともに、輸出国における衛生対策の適正化を推進するため、残留農薬に係る法第11条違反等の事例が多い輸出国を中心に積極的に衛生対策を求めたほか、合成抗菌剤の残留や牛海綿状脳症(以下「BSE」という。)等に係る輸出国の衛生管理についても現地調査を行った。
平成17年11月7日に公表した平成17年度輸入食品監視指導計画監視結果(中間報告)では、平成17年4月から9月までの速報値として、輸入届出件数で約95万件、輸入重量で約1,300万トン、検査件数で輸入届出件数の10.2%に当たる約10万件であり、うち違反件数は432件であった。
平成18年度においては、これまでの施策を更に進めるとともに、BSEの問題に係る対日輸出牛肉の安全性確保については、輸出国政府が管理する対日輸出プログラムの遵守を確認するため、現地調査や特定危険部位の付着・混入の有無を確認するための輸入時検査を実施する。また、残留基準が設定されていない農薬、動物用医薬品又は飼料添加物(以下「農薬等」という。)が、人の健康を損なうおそれのない量として定められる量を超えて残留する食品の販売等が原則禁止されるいわゆるポジティブリスト制度の導入を踏まえ、当該制度を着実に施行するため輸入時の検査項目の拡充を図るとともに、農薬等の生産段階での残留防止対策の確認のため、必要に応じて輸出国における調査を行うこととする。さらに、平成17年度の法第28条の規定に基づくモニタリング検査結果等を勘案し、検査項目等の見直しを行うとともに、水産食品の成分規格違反による法第11条違反の事例が多く発生していることから、引き続き輸入時における水産食品の微生物汚染の監視体制の強化に努める。
1 本計画の適用期間
平成18年4月1日から平成19年3月31日までとする。
2 輸入食品等の監視指導の実施についての基本的考え方
食品安全基本法(平成15年法律第48号)第4条において、食品の安全性の確保は、国の内外における食品供給行程の各段階において適切な措置を講じることにより行われなければならないとされている。この観点から、輸入食品等の安全性確保については、輸出国における生産、製造、加工等(以下「生産等」という。)の段階から輸入後の国内流通までの各段階において、適切な措置が講じられることが必要である。
本省及び検疫所においては、食品等の輸入時において、税関等の関係機関とも連携し、次に掲げる措置等を講じ、輸入時における食品等の輸入を行う営業者(以下「輸入者」という。)への適切な監視指導を行う。
(1) 法第27条の規定に基づく輸入届出等により、法第11条第1項又は第18条第1項の規定に基づく食品等の規格又は基準(以下「規格基準」という。)をはじめとする法への適合についての基本的な情報を確認すること。
(2) 多種多様な輸入食品等の食品衛生上の状況について幅広く監視するため、法第28条の規定に基づくモニタリング検査を実施すること。
(3) 食品衛生上の危害の発生防止のため、法違反の蓋然性の高い輸入食品等について、法第26条の規定に基づく検査命令を発動すること。
(4) 特定の国若しくは地域又は特定の者により製造等がなされた輸入食品等について、食品衛生上の危害を防止するために特に必要があると認める場合には、法第8条又は第17条の規定に基づく包括的輸入禁止措置を講ずること。
(5) 法違反を繰り返すなどの輸入者に対し、法違反の原因を改善させること等を目的として、法第55条第2項の規定に基づく輸入に係る営業の禁止又は停止を命ずること。
そのほか、輸入者が食品等事業者の責務として、自主的に衛生管理を図るようその取組を推進する。
また、輸出国の生産等の段階における法違反の未然防止を図るため、本省では、厚生労働省のホームページ(以下「ホームページ」という。)による情報提供のほか、在京大使館及び輸入者への情報提供等を行う。これにより、輸出国政府、輸出国の生産者、製造者、加工者等(以下「生産者等」という。)に対する法に基づく規制、規格基準等の周知に努め、違反の未然防止を図る。同時に、輸出国政府に対しては、食品衛生上の問題発生時における二国間協議、専門家の派遣、輸出国政府職員の我が国への研修受入れ等の技術協力、輸出国公的検査機関における輸出前検査の推進等を通じ、輸出国における衛生対策を推進する。
輸入後の国内流通段階においては、都道府県、保健所を設置する市及び特別区(以下「都道府県等」という。)において監視指導を行うとともに、検疫所や都道府県等での違反発見時においては、本省、検疫所、関係都道府県等が連携を図り、輸入者による回収等が迅速に行われるよう適切な措置を講じる。
3 生産地の事情その他の事情からみて重点的に監視指導を実施すべき項目に関する事項
(1) 法第27条の規定に基づく輸入届出による確認
検疫所は、法第27条の規定に基づく輸入届出がされた食品等について、法第6条各号、第9条又は第16条に該当する食品等でないこと、法第8条第1項又は第17条第1項の規定に基づき輸入が禁止された食品等でないこと、法第10条の規定に基づき定められた添加物であること及び規格基準に適合していることについて、輸入者による輸入届出、輸出国政府の発行する証明書、輸入者からの報告徴収等により必要に応じて確認し、その遵守を徹底する。
(2) 法第28条の規定に基づくモニタリング検査
検疫所が実施するモニタリング検査は、多種多様な輸入食品等の食品衛生上の状況について幅広く監視し、違反が発見された場合には輸入時の検査を強化するなどの対策を講じることを目的とする。
① 本省は、統計学的に一定の信頼度で違反を検出することが可能な検査数を基本として、食品群ごとに、違反率並びに輸入件数及び輸入重量の多寡、違反内容の健康に及ぼす影響の程度等を勘案し、モニタリング検査の検査件数及び検査項目(以下「モニタリング計画」という。)を定める。平成18年度のモニタリング計画は、別表第1のとおりとする。
② 本省は、農薬等のポジティブリスト制度の導入に伴い、重点的、効率的かつ効果的なモニタリング検査を行うため、海外における規制状況等を勘案したモニタリング計画を実施する。
③ 検疫所は、モニタリング計画の検査件数を実施するために、本省により割り当てられた検査件数について年間計画を立て、計画的に検査を実施する。
④ 本省は、生産国やその他の国での食品等の回収や健康被害発生に関する情報を得た場合、モニタリング検査等により法違反が発見された場合等にあっては、必要に応じて各検疫所に対して当該輸入食品等に対する検査の強化を指示する。
(3) 法第28条の規定に基づくモニタリング検査以外の検査
検疫所は、輸入届出の内容を踏まえ、初回輸入時の検査、輸送途中で事故が発生した輸入食品等の検査等を実施する。
(4) 法第26条の規定に基づく検査命令
検査命令は、厚生労働大臣が食品衛生上の危害の発生防止を図るため必要があると認める場合に、輸入者に対し検査を受けるべきことを命じて行わせるものである。具体的には、輸出国や我が国において健康被害が発生している同一の製造者又は加工者から輸出される同一の輸入食品等又は健康被害の発生するおそれのある輸入食品等については直ちに検査命令の対象とするほか、残留農薬や残留動物用医薬品等について、同一の輸出国や同一の製造者又は加工者からの同一の輸入食品等についてモニタリング検査等の結果、2回以上法違反が発見された場合等、法違反の蓋然性が高いと見込まれる輸入食品等について、検査命令を発動する。
また、検査命令後、輸出国における原因究明及びそれに対応した輸出国での新たな規制、検査体制の強化等の再発防止対策が確立される等、法違反の食品等が我が国に輸出されるおそれのないことが確認された場合にあっては、検査命令を解除する。
(5) 法第8条又は第17条の規定に基づく包括的輸入禁止措置
特定の国若しくは地域又は特定の者により製造等がなされた輸入食品等について、当該輸入食品等の検査件数全体に対する法違反の件数の割合が概ね5%以上であること、生産地における食品衛生上の管理の状況等の事由からみて引き続き法に違反する食品等が輸入されるおそれがある場合において、人の健康を損なうおそれの程度等を勘案して、当該輸入食品等に起因する食品衛生上の危害の発生を防止するために特に必要があると認めるときは、厚生労働大臣は、薬事・食品衛生審議会の意見を聴き、輸入禁止措置を講じる。
(6) 海外からの問題発生情報等に基づく緊急対応
本省は、海外からの食品衛生上の問題の情報等を入手し、我が国への法違反の食品等の輸入の可能性がある場合にあっては、当該食品等の我が国への輸入状況を調査し、輸入実績がある場合には、関係する検疫所又は都道府県等にその流通・在庫状況の調査及び必要に応じ輸入者等に対する回収等を指示し、又は依頼するとともに、検疫所に検査の強化を指示する。
4 輸出国における衛生対策の推進
(1) 本省は、ホームページ上において、検査命令の対象食品等及びモニタリング検査が強化された食品等、法違反事例等に関する英語による情報の提供を行うとともに、我が国の食品衛生規制や規格基準に関する独立行政法人日本貿易振興機構の英語版情報とのリンク等により、英語版情報の充実を図る。
また、在京大使館や輸入者に対するこれらの情報の提供、独立行政法人国際協力機構が実施する食品衛生規制に関する研修会等を通じて、輸出国の政府担当者、生産者等に対し、これらの情報の周知を図る。
(2) 本省は、輸入時に検査命令が実施されている輸入食品等のほか、違反の蓋然性が高い輸入食品等については、輸出国政府等に対し、違反原因の究明及びその結果に基づく再発防止対策の確立を要請する。さらに、現地調査や二国間協議を通じて、輸出国の農場等における農薬、動物用医薬品又は飼料添加物の適切な使用管理の実施、監視体制の強化、輸出前検査の実施等、食品安全対策の推進を図る。また、監視体制の強化、残留農薬等の試験検査技術の向上に資するよう、必要に応じて専門家の派遣による技術協力等を行う。
(3) 本省は、輸入食品等の安全性確保のため、関係府省と連携しながら情報収集に努めるとともに、輸出国における生産段階での衛生対策の確認が必要な場合には、専門家を当該輸入食品等の輸出国に派遣し、当該輸出国における衛生対策の確認を行う。
(4) 本省は、カビ毒等の有毒な又は有害な物質の含有等による法第6条違反や、微生物汚染、農薬又は動物用医薬品の残留等に係る法第11条違反等の事例が平成17年度に輸入された食品において相次いでみられたことから、平成18年度においては、当該法違反の多い国を中心に積極的に衛生対策を求める。
5 輸入者への自主的な衛生管理の実施に係る指導に関する事項
輸入者を含む食品等事業者の責務として、法第3条第1項に、自らの責任において輸入食品等の安全性を確保するため、必要な知識及び技術の習得、原材料の安全性の確保、自主検査の実施等について努めなければならない旨規定されている。
検疫所は、輸入者に対し、以下の指導等を通じて、輸入者の自主的な衛生管理の推進を図る。
(1) 輸入者に対する基本的な指導事項
法に基づく輸入手続、検査制度、規格基準及び添付が義務付けられている衛生証明書等、食品衛生上の規制及び輸入者の責務等について周知を図る。また、輸入者の自主的な衛生管理を推進する観点から、輸入食品等の違反情報、輸出国の食品衛生に関する規制、生産者等からの情報等により、輸入者自ら輸入食品等の安全性確保に努めるよう、講習会、輸入届出時等において指導を行う。
輸入者に対する基本的な指導事項は、別表第2のとおりとし、輸入者が取り扱う具体的な輸入食品等の輸出国、品目に応じ、更に必要な事項について指導を行う。
さらに、規格基準の改正、検査強化、販売の禁止措置等がなされた場合にあっては、輸入者に対し情報提供する。
(2) 輸入前指導の実施
輸入者に対し、(1)の輸入者に対する基本的な指導事項を踏まえ、生産者等から必要な資料を入手するなどにより、事前に当該食品等の安全性や、薬事法(昭和35年法律第145号)により規制される医薬品成分の含有の有無等を確認するよう指導する。特に当該食品等を我が国に初めて輸入しようとする場合、同種の食品で違反事例のあるもの等については、事前に各検疫所に相談するよう、ホームページや講習会の実施を通じて周知する。
(3) 輸入前指導による法違反発見時の対応
輸入者による事前の安全性の確認の結果、輸入食品等が法に適合しないことが判明した場合には、輸入者に対し、法に適合するよう適切な対策を講じ、改善が図られるまで輸入を見合わせるよう指導する。
また、改善の結果、法に適合することが書類等で確認できたものについても、必要に応じて、サンプル品の輸入等により、当該食品等が規格基準等を満たしているか否かを検査等により確認するよう指導する。
(4) 自主検査の実施
初回輸入時においては、輸入食品等の成分規格や農薬、動物用医薬品、添加物等の使用状況に基づき、当該輸入食品等が法に適合していることの確認のために必要な検査項目について自主検査を行うよう指導する。継続的に輸入する場合にあっては、その輸入頻度等を踏まえ、(1)の輸入者に対する基本的な指導事項を踏まえ、当該輸入食品等の農薬、動物用医薬品、添加物等の使用状況を定期的に確認し、同種の食品の違反情報等も参考としながら、定期的に自主検査を行うよう指導する。
(5) 輸入食品等の記録の作成及び保存
輸入者に対し、輸入食品等の流通状況についての確認がいつでも行えるよう、当該食品等に関する輸入時の記録、販売時の記録等の適正な作成及び保存に努めるよう指導する。
(6) 適正表示
輸入者に対し、輸入食品等の表示内容が国内の関係法令の基準にそったものとなるよう、輸入者の所在地を管轄する都道府県等に事前に照会等するよう指導する。
(7) 輸入者、通関業者及び保税倉庫業者の食品衛生に関する知識の向上
輸入者、通関業者及び保税倉庫業者に対し、検疫所や関係団体等が開催する講習会に輸入食品を担当する者を積極的に参加させること等により、担当者の食品衛生に関する知識の習得に努めるよう指導する。
6 違反が判明した場合の対応
(1) 検疫所の検査又は輸入者の自主検査により違反が判明した場合については、以下の手続に従い、輸入届出のあった検疫所、本省又は関係都道府県等において連携を図り、輸入者が迅速な回収等を行うよう措置を講じるとともに、輸入時における検査の強化等の必要な措置を講ずる。
① 通関前の食品等については、検疫所が輸入者に対し、廃棄、積戻し等の指示を行う。
② 通関後の食品等については、輸入者の所在地を管轄する都道府県等が輸入者に対し、回収等の指示を行う。
このため、都道府県等による回収指示等が円滑に行われるよう、検疫所は、本省に法違反の輸入食品等に係る輸入時におけるロット構成、輸入者の名称、所在地その他の必要な情報(以下「法違反の輸入食品等に係る情報」という。)を速やかに報告するとともに、本省は、輸入者の所在地を管轄する都道府県等に対し、輸入者による回収等の措置が適切に講じられるよう通報する。
なお、通関後の食品等の全量が保税倉庫に保管されている場合には、これらの対応に加え、検疫所が輸入者に対し、法違反の輸入食品等の廃棄、積戻し等の措置を講ずるよう暫定的に指導するとともに、当該輸入者の所在地を管轄する都道府県等の指示に従うよう指導する。
(2) 都道府県等により違反輸入食品等が発見された場合については、当該都道府県等の連絡を受け、本省から検疫所に法違反の輸入食品等に係る情報の提供を行うとともに、当該情報に基づき輸入時における検査の強化等の必要な措置を講ずる。
(3) 検疫所は、違反のあった輸入者に対し、違反の再発を防止するため、以下について指導する。
① 当該食品等の違反原因の調査を行い、結果が判明次第、検疫所に報告すること。
② 同一製品を再度輸入する場合にあっては、①の原因の調査を行い、改善が図られたことを確認し、必要に応じ、輸入者自らによる現地での調査、違反となった項目の輸出国における検査、サンプル品の検査等により検証するとともに、改善結果について検疫所に報告すること。
(4) 本省は、食品の安全性の確保の観点から、法違反を繰り返す輸入者又は法違反により健康被害を発生させた若しくは発生させるおそれを生じさせた食品等の輸入者などに対し、法違反の原因を改善させ、法違反の再発を防止させ、その他衛生上の必要な措置を講じさせることを目的として、法第55条第2項に基づく営業の禁止又は停止を命ずる。
(5) 検疫所は、法違反の態様が悪質な事例等については、告発を行う。
(6) 食品衛生上の危害の状況を明らかにするため、法第63条の規定に基づき、法又は法に基づく処分に違反した輸入者(原則として、当該違反により書面による行政指導の対象となる輸入者を含むが、違反が軽微であって、かつ当該違反について直ちに改善が図られた輸入者は除く。)の名称・所在地、対象輸入食品等の違反情報について、ホームページに1~2週間ごとを目安に更新した情報を掲載し、公表する。なお、違反者の名称等の公表に併せ、改善措置の内容、違反原因等についても、判明次第公表する。
7 その他監視指導の実施のために必要な事項
(1) モニタリング計画等に関する情報の提供
検疫所は、モニタリング検査を円滑に実施できるよう、輸入者、通関業者及び保税倉庫業者に対し、モニタリング計画の周知を図る。
また、本省は、検査命令の発動、検査の強化等に関する情報について公表する。
(2) 本計画に基づく監視結果の公表
本省は、モニタリング検査、検査命令等の輸入食品等に係る検査の実施状況及びその結果の概要、輸入者に対する監視指導及びその結果の概要、輸出国における衛生対策の実施状況及びその結果の概要等の監視指導の平成18年度の実施状況について、翌年度の6月を目途に公表する。また、年度途中の状況についてもおおむね年度の半ばに公表する。
(3) 食品衛生に関する人材の養成、資質の向上
本省は、検疫所で監視指導や試験検査に従事する食品衛生監視員に対し、食品衛生に関する知識及び技術の習得等に係る研修を実施する。
(4) 検疫所が実施する食品等の試験検査等に係る点検
本省及び検疫所は、モニタリング検査等を適正に実施されるよう、試験検査等の業務管理に係る点検及び指導を計画的に実施する。
別表第1
食品群 |
検査項目※2,※3 |
項目別件数※1,※2 |
延検査件数※1 |
畜産食品 牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉、その他食鳥肉等 |
抗生物質等 |
2,850 |
5,200 |
残留農薬 |
1,700 |
||
成分規格等 |
650 |
||
畜産加工食品 ナチュラルチーズ、食肉製品、アイスクリーム、冷凍食品(肉類)等 |
抗生物質等 |
1,050 |
3,950 |
添加物 |
1,300 |
||
成分規格等 |
1,600 |
||
水産食品 二枚貝、魚類、甲殻類(エビ、カニ)等 |
抗生物質等 |
3,100 |
5,150 |
残留農薬 |
850 |
||
添加物 |
300 |
||
成分規格等 |
900 |
||
水産加工食品 魚類加工品(切り身、乾燥、すり身等)、冷凍食品(水産動物類、魚類)、魚介類卵加工品等 |
抗生物質等 |
4,150 |
12,700 |
残留農薬 |
250 |
||
添加物 |
2,250 |
||
成分規格等 |
6,050 |
||
農産食品 野菜、果実、麦類、とうもろこし、豆類、落花生、ナッツ類、種実類等 |
抗生物質等 |
650 |
24,250 |
残留農薬 |
18,000 |
||
添加物 |
600 |
||
成分規格等 |
750 |
||
カビ毒 |
2,700 |
||
遺伝子組換え食品 |
1,550 |
||
農産加工食品 冷凍食品(野菜加工品)、野菜加工品、果実加工品、香辛料、即席めん類等 |
残留農薬 |
4,800 |
13,500 |
添加物 |
4,300 |
||
成分規格等 |
1,950 |
||
カビ毒 |
2,300 |
||
遺伝子組換え食品 |
150 |
||
その他の食料品 健康食品、スープ類、調味料、菓子類、食用油脂、冷凍食品等 |
抗生物質等 |
150 |
4,900 |
残留農薬 |
250 |
||
添加物 |
2,950 |
||
成分規格等 |
1,250 |
||
カビ毒 |
300 |
||
飲料 ミネラルウォーター類、清涼飲料水、アルコール飲料等 |
残留農薬 |
300 |
2,550 |
添加物 |
1,200 |
||
成分規格等 |
900 |
||
カビ毒 |
150 |
||
添加物 器具及び容器包装 おもちゃ |
成分規格等 |
1,300 |
1,300 |
検査強化食品分 |
抗生物質等、残留農薬、添加物、成分規格等、カビ毒、遺伝子組換え食品 |
4,500 |
4,500 |
総計(延数)※1 |
|
|
78,000 |
※1:検査件数は、抗生物質、農薬等の検査項目別の延検査件数の概算を示したものである。
※2:ポジティブリスト制度の導入を踏まえ、平成17年度と比較し、水産食品、水産加工食品、その他の食料品及び飲料に残留農薬を追加したほか、農産食品及びその他の食料品に抗生物質等を追加した。
※3:検査項目の例
・抗生物質等:抗生物質、残留抗菌性物質等
・残留農薬:有機リン系、有機塩素系、カーバメイト系、ピレスロイド系等
・添加物:ソルビン酸、安息香酸、二酸化イオウ、着色料、ポリソルベート、サイクラミン酸、TBHQ、防ばい剤等
・成分規格等:成分規格で定められている項目(細菌数、大腸菌群、腸炎ビブリオ等)、病原微生物(腸管出血性大腸菌O157、リステリア菌等)、貝毒(下痢性貝毒、麻痺性貝毒)等
・カビ毒:アフラトキシン、デオキシニバレノール、パツリン等
・遺伝子組換え食品:安全性未審査遺伝子組換え食品等
別表第2
|
輸入時における危害要因等(代表的な事例) |
事前の確認事項 |
定期的確認事項(初回輸入時を含む) |
輸送及び保管時の確認事項 |
食品等一般(共通事項) |
・有害、有毒物質の含有 ・腐敗、変敗及び不潔・異物の混入 |
・有害、有毒物質等の混入防止対策 |
・定期的な試験検査による有害、有毒物質等の確認 |
・事故・不適切な温度管理等による腐敗、変敗がないこと ・塩蔵等の食品等を長期間屋外に保管することがないこと |
・病原微生物による汚染 |
・病原微生物による汚染防止対策 |
・定期的な試験検査による病原微生物の確認 |
・微生物の増殖による危害の発生を防止するための適切な温度管理 |
|
・指定外添加物の使用 ・添加物の対象外使用、過量使用等使用基準不適合 |
・原材料に使用されている添加物を含め、指定外添加物が使用されていないこと ・使用基準に適合しない添加物が使用されていないこと、また、使用量等が適量であること |
・定期的な試験検査による指定外添加物が含有していないこと、添加物の使用基準等の適合の確認 |
|
|
・規格基準不適合(清涼飲料水、食肉製品、冷凍食品等) |
・成分規格、製造・加工基準等の規格基準に適合していること ・放射線照射による殺菌等が行われていないこと(ばれいしょの芽止めを除く。) ・製造工程、製品に使用されている原材料及び添加物の正確な名称・割合等の生産・製造者への確認 ・必要に応じ、最終製品の試験検査による食品衛生法の適合の確認 |
・製造工程、原材料等に変更がないこと ・定期的な試験検査による成分規格等の適合の確認 ・最終製品の試験検査による食品衛生法の適合の確認 |
・保存基準の遵守 ・事故の有無 |
|
農産物及びその加工品 |
・アフラトキシン、パツリン等のカビ毒(穀類、豆類、香辛料、りんごジュース等) |
・収穫時及び輸送・保管時におけるカビの発生防止対策 |
・定期的な試験検査によるカビ毒の確認 |
・カビの発生を防止するための適切な温度、湿度等の管理 |
・シアン配糖体等の自然毒 |
・自然毒の有無の確認 ・製造・加工等により自然毒を除去できる対策を講じていること ・有害、有毒植物の混入防止対策 |
・定期的な試験検査による自然毒の確認 |
|
|
・放射能汚染(きのこ、ハーブ等) |
・採取地域が放射能汚染地域でないこと |
・定期的な試験検査による放射能濃度の確認 |
|
|
・腸管出血性大腸菌O157等の病原微生物(生食用野菜) |
・病原微生物による汚染防止対策 |
・定期的な試験検査による病原微生物の確認 |
・微生物の増殖による危害の発生を防止するための適切な温度管理 |
|
・残留農薬 |
・農薬の使用状況 ・加工品の原材料は、残留基準に適合していること |
・収穫前、収穫後における農薬の適正な用法、用量の遵守 ・定期的な試験検査による残留農薬の確認 |
・収穫後における農薬の使用の有無 |
|
・安全性未審査の遺伝子組換え食品(とうもろこし、パパイア等) |
・遺伝子組換え食品の承認の有無 ・安全性未審査の遺伝子組換え食品の混入防止対策 |
・定期的な試験検査による安全性未審査の遺伝子組換え食品が混入していないことの確認 |
・適正な管理 |
|
・品質、鮮度等を誤認させるおそれのある添加物の使用(生鮮野菜) |
・着色料、漂白剤等、品質、鮮度等を誤認させるおそれのある添加物が使用されていないこと |
・定期的な試験検査による添加物の確認 |
|
|
畜産物及びその加工品 |
・腸管出血性大腸菌O157、リステリア菌等の病原微生物(食肉、ナチュラルチーズ等) |
・病原微生物による汚染防止対策 |
・定期的な試験検査による病原微生物の確認 |
・微生物の増殖による危害の発生を防止するための適切な温度管理 |
・放射能汚染(トナカイ肉、ビーフエキス等) |
・生産地域が放射能汚染地域でないこと |
・定期的な試験検査による放射能濃度の確認 |
|
|
・衛生証明書の不備(食肉、食肉製品) |
・生産国及び輸出国政府機関が発行する衛生証明書の記載事項 |
|
・衛生証明書の確認 |
|
・牛海綿状脳症(牛肉及び牛由来製品) |
・生産地域が輸入禁止対象国・地域でないこと ・特定危険部位を含まないこと ・輸入禁止対象国・地域由来の牛肉等の混入・使用がないこと |
|
|
|
・牛海綿状脳症(めん羊肉、山羊肉等) |
・生産地域が牛海綿状脳症発生国でないこと ・特定危険部位をふくまないこと |
|
|
|
・残留農薬、残留動物用医薬品、残留飼料添加物 |
・農薬、動物用医薬品、飼料添加物の使用状況 ・加工品の原材料は、残留基準に適合していること |
・動物用医薬品、飼料添加物の適正な用法、用量、休薬期間等の遵守 ・定期的な試験検査による残留農薬、残留動物用医薬品、残留飼料添加物の確認 |
|
|
・品質、鮮度等を誤認させるおそれのある添加物の使用(食肉) |
・着色料等、品質、鮮度等を誤認させるおそれのある添加物が使用されていないこと |
・定期的な試験検査による添加物の確認 |
|
|
水産物及びその加工品 |
・腸炎ビブリオ等の病原微生物(切り身、むき身の生食用鮮魚介類等) |
・加工場で使用される洗浄水等の病原微生物による汚染防止対策 ・加工基準の遵守 |
・定期的な試験検査による病原微生物の確認 |
・保存基準の遵守 ・微生物の増殖による危害の発生を防止するための適切な温度管理 |
・生食用かきの成分規格、加工基準、保存基準不適合 |
・我が国と同等の加工基準であることが確認された国であること |
・定期的な試験検査による成分規格の適合の確認 |
・保存基準の遵守 |
|
・下痢性・麻痺性具毒(貝類) |
・貝毒の監視が適切に行われている海域から採取された貝類であること |
・定期的な試験検査による貝毒の確認 |
|
|
・有毒フグの混入 |
・輸入が認められている魚種であること ・魚種鑑別による異種フグの混入防止対策 |
|
・輸出国政府機関が発行する証明書の確認 ・魚種鑑別による異種フグの混入がないことの確認 |
|
・シガテラ毒魚等の有毒魚の混入(南方産ハタ、ブダイ、カマス等) |
・漁獲海域の確認 ・魚種鑑別による有毒魚の混入防止対策 |
|
・魚種鑑別による有毒魚の混入がないことの確認 |
|
・残留動物用医薬品、残留飼料添加物 |
・動物用医薬品の使用状況 ・加工品の原材料は、残留基準に適合していること |
・動物用医薬品、飼料添加物の適切な用法、用量、休薬期間等の遵守 ・定期的な試験検査による残留動物用医薬品、残留飼料添加物の確認 |
|
|
・品質、鮮度等を誤認させるおそれのある添加物の使用(鮮魚介類等) |
・着色料、一酸化炭素等、品質、鮮度等を誤認させるおそれのある添加物が使用されていないこと |
・定期的な試験検査による添加物の確認 |
・鮮紅色等の有無の確認 |
|
いわゆる健康食品 |
・医薬品成分の含有 |
・薬事法上の医薬品成分を含まないこと ・輸出国における食経験等 |
・試験検査による医薬品成分を含まないことの確認 |
|
添加物及びその製剤 |
・指定外添加物の使用 ・規格基準不適合 |
・添加物の正確な名称、基原物質、抽出溶媒の種類 ・添加物製剤の場合、それぞれの正確な名称と割合 ・指定外添加物が使用されていないこと ・成分規格、製造基準等の規格基準に適合していること |
・定期的な試験検査による成分規格の確認 |
・保存基準の遵守 |
器具及び容器包装、おもちゃ |
・規格基準不適合 |
・材質、形状、色柄、対象年齢、用途の確認 ・原材料の一般規格、材質別規格、用途別規格、製造基準等の規格基準に適合していること |
・定期的な試験検査による原材料一般の規格、材質別規格等の確認 |
|
別添2
○平成18年度輸入食品監視指導計画の策定等について
(平成18年3月24日)
(食安発第0324003号)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)
今般、食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第23条第1項の規定により、食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針(平成15年厚生労働省告示第301号)に基づき、食品、添加物、器具及び容器包装の輸入について国が行う監視指導の実施に関する平成18年度の計画(以下「平成18年度輸入食品監視指導計画」という。)を別添のとおり定め、同条第3項の規定により官庁報告として公表した。
ついては、各都道府県等においては、平成18年度輸入食品監視指導計画を国内に流通する輸入食品等に対する監視や輸入業者に対する指導の際の参考とするとともに、平成18年度輸入食品監視指導計画による監視指導の円滑な実施に御協力いただくようよろしくお願いする。