添付一覧
○コンタクトレンズ承認基準の制定について
(平成17年4月1日)
(薬食発第0401034号)
(各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知)
視力補正用コンタクトレンズに関しては、薬事法(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第42条第2項の規定に基づき、視力補正用コンタクトレンズ基準(平成13年厚生労働省告示第349号)が定められ、平成14年10月1日から適用されている(別添1)ところであるが、今般、この基準の他、法第14条第1項又は第19条の2第1項に基づく視力補正用コンタクトレンズの製造販売承認申請(法第14条第9項(第19条の2第5項において準用する場合を含む。)に基づく変更の場合を含む。)における承認審査については、下記のとおり取扱うこととしたので、ご了知の上、貴管下関係団体、関係業者等に対し周知をお願いしたい。
なお、本通知の写しを独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長、日本医療機器産業連合会会長、在日米国商工会議所医療機器・IVD小委員会委員長及び欧州ビジネス協会協議会医療機器委員会委員長あて送付することとしている。
記
1.制定の内容
(1) 臨床試験成績に関する資料の添付の有無について
別添2に示す「コンタクトレンズの製造販売承認申請に添付すべき臨床試験の試験成績に関する資料の添付が不要の範囲」に適合するものについては、臨床試験成績に関する資料の添付を不要とするものであること。
(2) 視力補正用コンタクトレンズの承認基準について
視力補正用コンタクトレンズに関する平成17年2月16日付け薬食発第0216002号「医療機器の製造販売承認申請について」における承認基準として、別添3に示す「コンタクトレンズ承認基準」を定めるものであること。
2.承認基準等の不適合品の取扱いについて
承認基準の「適用範囲」に該当するコンタクトレンズであって、当該承認基準に適合しないものについては、個別に品質、有効性及び安全性が十分なレベルにあることを示す資料が提出されれば、これに基づき審査を行うものであること。
3.既承認品の取扱いについて
承認基準の「適用範囲」に該当するコンタクトレンズのうち、薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(平成14年法律第96号)第2条による改正前の薬事法において承認されたものであって、法第14条第1項又は第19条の2第1項の規定に基づく承認を受けているものとみなされたもののうち当該承認基準に適合しないものについては、当該承認基準に適合するための承認事項一部変更承認申請(以下「基準適合化一変申請」という。)を別途行う必要はないものとする。
なお、基準適合化一変申請を行わない場合であって、今後、基準適合化一変申請以外の承認事項一部変更承認申請を行う際は、平成17年2月16日付け薬食発第0216002号「医療機器の製造販売承認申請について」における、承認基準なし(承認基準不適合)の取扱いとなることに留意すること。
4.視力補正用コンタクトレンズ基準等における用語の定義について
視力補正用コンタクトレンズ基準の「3 直径」「5 ベースカーブ」及び「6 頂点屈折力」の中の「イ 含水率が10%未満であるレンズ(ロに掲げるものを除く。)」とは、いわゆるハードコンタクトレンズをいい、「ロ 含水率が10%未満であり、かつ、柔軟性の高い材料で作られたレンズ」とは、いわゆる非含水性ソフトコンタクトレンズをいい、「ハ 含水率が10%以上であるレンズ」とは、いわゆるソフトコンタクトレンズをいうものであること。また、「5 ベースカーブ」の「イ 含水率が10%未満であるレンズ(ロに掲げるものを除く。)」の中の「ポリメチルメタクリレート製のレンズ以外のレンズ」とは酸素透過性ハードコンタクトレンズをいうものであること。
5.基本要件適合性チェックリストの取扱いについて
承認基準の別紙5に示す基本要件適合性チェックリストの取扱いについては、医薬品医療機器総合機構による承認審査においても、平成17年3月31日薬食機発0331012号「指定管理医療機器の適合性チェックリストについて」と同様の取扱いとすること。
6.通知の廃止等
平成9年3月31日薬機第58号「コンタクトレンズの製造又は輸入の承認申請に添付すべき臨床試験の試験成績に関する資料等の取扱いについて」の記第1の「臨床試験の試験成績に関する資料の添付の必要のない範囲について」は削除する。また、平成13年10月5日医薬発第1097号「視力補正用コンタクトレンズ基準の改正等について」は廃止する。
別添1
「視力補正用コンタクトレンズ基準」(平成13年10月5日厚生労働省告示第349号)
第1 定義
視力補正用コンタクトレンズ(以下「レンズ」という。)とは、これを眼球に直接接触し、視力を補正することができるものをいう。
第2 適用範囲
この基準は、角膜の表面に装着するプラスチック製のレンズについて適用する。
第3 品質
1 形状及び外観
イ 含水率(レンズ全体の重量に対する当該レンズに含有されている水の重量の割合をいう。以下同じ。)が10%未満であるレンズ
(1) 内部に気泡、不純物又は変色があってはならない。
(2) 対象を10倍率以上に拡大して観察する装置を用いて観察するとき、表面に角膜等に対して有害な傷又は凹凸があってはならない。
(3) 縁はなめらかな丸みを帯び、角膜等に障害を与えるおそれのある形状であってはならない。
ロ 含水率が10%以上であるレンズ
飽和状態となるまで膨潤させたものが、イ(1)から(3)までの基準を満たさなければならない。
2 ひずみ
レンズ(含水率が10%以上であるレンズ及び含水率が10%未満であり、かつ、柔軟性の高い材料で作られたレンズを除く。)をひずみ検査機(偏光板と鋭敏色板の間にレンズを置き、その後面(角膜に直接接触する面をいう。以下同じ。)を偏光板の下の光源部に向け、当該レンズのひずみを検査する装置をいう。)を用いて検査するとき、ひずみ又は干渉じまを認めない。
3 直径
イ 含水率が10%未満であるレンズ(ロに掲げるものを除く。)
直径を測定するとき、いずれの箇所においても、その許容差は、表示された直径の±0.10mm以内でなければならない。
ロ 含水率が10%未満であり、かつ、柔軟性の高い材料で作られたレンズ
直径を測定するとき、いずれの箇所においても、その許容差は、表示された直径の±0.20mm以内でなければならない。
ハ 含水率が10%以上であるレンズ
飽和状態となるまで膨潤させたものの直径を測定するとき、いずれの箇所においても、その許容差は、表示された直径の±0.20mm以内でなければならない。
4 厚さ
イ 含水率が10%未満であるレンズ
厚さをその中心で測定するとき、その許容差は、設定された厚さ(以下「設定値」という。)の±0.02mm以内でなければならない。
ロ 含水率が10%以上であるレンズ
飽和状態となるまで膨潤させたものの厚さをその中心で測定するとき、その許容差は、設定値が0.10mm以下のものにあっては設定値の±(0.010+(設定値×10%)mm以内でなければならず、設定値が0.10mmを超えるものにあっては設定値の±(0.015+(設定値×5%))mm以内でなければならない。
5 ベースカーブ
イ 含水率が10%未満であるレンズ(ロに掲げるものを除く。)
レンズの後面の光学部の中央の曲率半径(以下「ベースカーブ」という。)を測定するとき、その許容差は、ポリメチルメタクリレート製のレンズにあっては表示されたベースカーブの±0.025mm以内でなければならず、ポリメチルメタクリレート製のレンズ以外のレンズにあっては表示されたベースカーブの±0.05mm以内でなければならない。
ロ 含水率が10%未満であり、かつ、柔軟性の高い材料で作られたレンズベースカーブを測定するとき、その許容差は、表示されたベースカーブの±0.10mm以内でなければならない。
ハ 含水率が10%以上であるレンズ
飽和状態となるまで膨潤させたもののベースカーブを測定するとき、その許容差は、表示されたベースカーブの±0.20mm以内でなければならない。
6 頂点屈折力
イ 含水率が10%未満であるレンズ(ロに掲げるものを除く。)
レンズの後面をレンズメータ(工業標準化法(昭和24年法律第185号)に基づく日本工業規格(JIS B7183)に適合するレンズメータをいう。以下同じ。)の光源部に向けて頂点屈折力を測定するとき、その許容差は、次の表に掲げる表示された頂点屈折力の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値以内でなければならない。
表示された頂点屈折力(ディオプトリー) |
許容差(ディオプトリー) |
0以上±5.00以下のもの |
±0.12 |
±5.00を超え±10.00以下のもの |
±0.18 |
±10.00を超え±15.00以下のもの |
±0.25 |
±15.00を超え±20.00以下のもの |
±0.37 |
±20.00を超えるもの |
±0.50 |
ロ 含水率が10%未満であり、かつ、柔軟性の高い材料で作られたレンズ
レンズの後面をレンズメータの光源部に向けて頂点屈折力を測定するとき、その許容差は、次の表に掲げる表示された頂点屈折力の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値以内でなければならない。
表示された頂点屈折力(ディオプトリー) |
許容差(ディオプトリー) |
0以上±10.00以下のもの |
±0.25 |
±10.00を超えるのもの |
±0.50 |
ハ 含水率が10%以上であるレンズ
飽和状態となるまで膨潤させたものの水分を除去した後、その後面をレンズメータの光源部に向けて頂点屈折力を測定するとき、その許容差は、次の表に掲げる表示された頂点屈折力の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値以内でなければならない。
表示された頂点屈折力(ディオプトリー) |
許容差(ディオプトリー) |
0以上±10.00以下のもの |
±0.25 |
±10.00を超え±20.00以下のもの |
±0.50 |
±20.00を超えるもの |
±1.00 |
別添2
コンタクトレンズの製造販売承認申請に添付すべき臨床試験の試験成績に関する資料の添付が不要の範囲
コンタクトレンズの製造販売承認申請に添付すべき臨床試験の試験成績に関する資料の取扱いについては下記のとおりとする。
第1 臨床試験の試験成績に関する資料の添付の必要のない範囲について
次に該当する製造販売承認申請(承認事項一部変更承認申請を含む。)の場合には臨床試験の試験成績に関する資料の添付は必要ないこと。
(ア) ポリメチルメタクリレートのみからなる終日装用ハードコンタクトレンズの承認申請(無水晶体眼用及び+5.25D以上の遠視眼用を除く。)
(イ) 原材料又は成分及び分量が既に承認を受けているコンタクトレンズ(再審査期間が終了しているもの)と同一である終日装用コンタクトレンズ(無水晶体眼用及び+5.25D以上の遠視眼用を除く。)の承認申請(レンズのデザインは、球面、トーリック、レンチキュラー、非球面、バイフォーカル、多焦点、累進屈折力コンタクトレンズのいずれかであって、既承認のレンズデザインと基本構造が同等であること。)
(ウ) 原材料又は成分及び分量が既に承認を受けている連続装用コンタクトレンズ(再審査期間が終了しているもの)と同一である連続装用コンタクトレンズ(無水晶体眼用及び+5.25D以上の遠視眼用を除く。)の承認申請(レンズのデザインは、球面、トーリック、レンチキュラー、非球面、バイフォーカル、多焦点、累進屈折力コンタクトレンズのいずれかであって、既承認のレンズデザインと基本構造が同等であること。)
(エ) 既に承認を受けているコンタクトレンズについて、その度数範囲を近視及び遠視(+5.OODまで)の範囲内で変更する承認申請(無水晶体眼用を除く。)
(オ) 既に承認を受けている連続装用コンタクトレンズについて、終日装用の操作方法及び使用方法を追加する承認申請
(カ) 既に承認を受けているコンタクトレンズについて、物性(視感透過率を除く。)が変わらない範囲で、着色剤又はベンゾトリアゾール系若しくはベンゾフェノン系紫外線吸収剤(ただし、原材料の構成モノマーとなる共有結合性のものを除く。)を追加、変更する承認申請
別添3
コンタクトレンズ承認基準
薬事法第2条の第5項から第7項までの規定に基づき、厚生労働大臣が指定する高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器(平成16年厚生労働省告示第298号)別表第1第1056号に規定する再使用可能な視力補正用色付コンタクトレンズ、第1057号に規定する再使用可能な視力補正用コンタクトレンズ、第1058号に規定する単回使用視力補正用コンタクトレンズ及び第1059号に規定する単回使用視力補正用色付コンタクトレンズについて、次のように承認基準を定め、平成17年4月1日から適用する。
コンタクトレンズ承認基準
1.適用範囲
コンタクトレンズの製造販売承認申請に添付すべき臨床試験の試験成績に関する資料の添付が不要の範囲(別添2)に適合するコンタクトレンズ。
2.技術基準
ハードコンタクトレンズについては別紙1に、ソフトコンタクトレンズについては別紙2に適合すること。
3.使用目的、効能又は効果
使用目的、効能又は効果は、視力補正であること。
4.基本要件への適合性
別紙5に示す基本要件適合性チェックリストに基づき基本要件への適合性を説明するものであること。
5.その他
本基準に適合するものであっても、構造、使用方法、性能等が既存の医療機器と明らかに異なる場合については、本基準に適合しないものとする。
別紙1
ハードコンタクトレンズ承認基準における技術基準
1.適用範囲
この基準は、視力補正を目的として角膜表面に涙を介して直接装用するプラスチックレンズのうち、含水率が10%未満の硬いレンズに要求される事項を規定する。
2.引用規格
この基準は下記規格又は基準を引用する。
JIS B 7183:1995 レンズメータ
JIS K 7105:1981 プラスチックの光学的特性試験方法
JIS Z 8722:2000 色の測定方法―反射及び透過物体色
ISO 8599:1994 分光及び視感透過率の測定
ISO 9337―1:1999 後面頂点屈折力の測定―パート1:手動焦点合わせによるフォシメータを用いた方法
ISO 9338:1996 直径の測定
ISO 9339―1:1996 厚みの測定―パート1:ハードレンズ
ISO 9340:1996 ハードコンタクトレンズの歪みの測定
ISO 9394:1998 家兎眼を用いた接眼試験による生体適合性評価
ISO 9913―1:1996 パート1:FATT法による酸素透過性及び透過率の測定
IS0 9913―2:2000 パート2:クーロメトリー法による酸素透過性及び透過率の測定
ISO 9914:1995 コンタクトレンズ材料の屈折率の測定
ISO 10338:1996 曲率半径の測定
ISO 10340:1995 溶出性物質の測定法
ISO 11984:1999 ハードレンズの曲げ及び破損の測定
ISO 11987:1997 コンタクトレンズの安定性の測定
「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的安全性試験の基本的考え方について」(平成15年2月13日医薬審発第0213001号)
3.定義
3.1 バイフォーカルコンタクトレンズ(二重焦点コンタクトレンズ)
通常遠方視と近方視補正用の二つの光学部からなる多焦点コンタクトレンズ
3.2 多焦点コンタクトレンズ
異なる屈折力の、二つ以上の明らかに分割された領域を備えるように設計されたコンタクトレンズ
3.3 累進屈折力コンタクトレンズ
屈折力がレンズの一部又は全体にわたって独立的ではなく連続的に変化し、一つ以上の視距離範囲の補正を与えるように設計されたコンタクトレンズ
3.4 トーリックコンタクトレンズ
トロイダル形状の前面及び/又は後面光学部を持つコンタクトレンズ
3.5 一次包装
コンタクトレンズを直接に覆う容器又は包装で、さらにこれが二次包装される場合は、いわゆる「内袋」に該当する。
3.6 二次包装
一次包装を直接に覆う容器又は包装で、通常、複数の一次包装されたコンタクトレンズを入れるものをいう。
4.物理的要求事項
4.1 形状及び外観
(1) 内部に気泡、不純物又は変色があってはならない。
(2) 対象を10倍率以上に拡大して観察する装置を用いて観察するとき、表面に角膜等に対して有害な傷又は凹凸があってはならない。
(3) 縁はなめらかな丸みを帯び、角膜等に障害を与えるおそれのある形状であってはならない。
4.2 ひずみ
レンズをひずみ検査機(偏光板と鋭敏色板の間にレンズを置き、その後面(角膜に直接接触する面をいう。以下同じ。)を偏光板の下の光源部に向け、当該レンズのひずみを検査する装置をいう。)を用いて検査するとき、ひずみ又は干渉じまを認めない。
ISO 9340等の試験法を参考に実施する。
4.3 直径
直径を測定するとき、いずれの箇所においても、その許容差は、表示された直径の±0.10mm以内でなければならない。
また、前面及び後面中央光学部の直径を測定する時、いずれの箇所においてもその許容差は、設定された直径の±0.20mm以内でなければならず、後面周辺部の直径を測定する時、いずれの箇所においてもその許容差は、設定された直径の±0.20mm以内であること。
ただし、前面及び後面中央光学部の直径、後面周辺部の直径は測定可能な場合に対して適用される。
ISO 9338等の試験法を参考に実施する。
4.4 厚さ
厚さをその中心で測定するとき、その許容差は、設定された厚さ(以下「設定値」という。)の±0.02mm以内でなければならない。
ISO 9339―1等の試験法を参考に実施する。
4.5 ベースカーブ
レンズの後面の光学部の中央の曲率半径(以下「ベースカーブ」という。)を測定するとき、その許容差は、ポリメチルメタクリレート製のレンズにあっては表示されたベースカーブの±0.025mm以内でなければならず、ポリメチルメタクリレート製のレンズ以外のレンズにあっては表示されたベースカーブの±0.05mm以内でなければならない。
また、前面及び後面周辺部の曲率半径を測定する時、その許容差は、表示された曲率半径の±0.10mm以内であること。
ただし、前面及び後面周辺部の曲率半径は測定可能な場合に対して適用される。
ISO 10338等の試験法を参考に実施する。
4.6 頂点屈折力
レンズの後面をレンズメータ(工業標準化法(昭和24年法律第185号)に基づく日本工業規格(JIS B 7183)に適合するレンズメータをいう。以下同じ。)の光源部に向けて頂点屈折力を測定するとき、その許容差は、次の表に掲げる表示された頂点屈折力の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値以内でなければならない。
表示された頂点屈折力(ディオプトリー) |
許容差(ディオプトリー) |
0以上±5.00以下のもの |
±0.12 |
±5.00を超え±10.00以下のもの |
±0.18 |
±10.00を超え±15.00以下のもの |
±0.25 |
±15.00を超え±20.00以下のもの |
±0.37 |
±20.00を超えるもの |
±0.50 |
ISO 9337―1等の試験法を参考に実施する。
4.7 視感透過率
レンズ又はレンズと同一の原材料の平板に平行光線を垂直に当て、測定値から入射光量に対する透過光量の割合(%)を計算する時、その許容差は、設定された視感透過率の±5%(絶対値)以内であること。
JIS Z 8722、ISO 8599等の試験法を参考に実施する。
4.8 酸素透過係数
レンズ又はレンズと同一の原材料の平板を用いて電極法又はクーロメトリー法にて測定し、酸素透過係数を計算する時、その許容差は、設定された酸素透過係数の±20%以内であること。
ISO 9913―1、ISO 9913―2等の試験法を参考に実施する。
4.9 強度
レンズ又はレンズと同一の原材料の平板を用いて圧縮折り曲げ試験及び衝撃強度試験を行い、強度を評価すること。圧縮折り曲げ試験については、試験片に荷重を加え、試験片に加わる全荷重と変形量を測定することが可能な装置で測定する。衝撃強度試験については、試験片の上に鋼球を落下させ、試験片の50%が破壊する高さを測定することにより、50%破壊エネルギーを計算する。
ISO 11984等の試験法を参考に実施する。
4.10 屈折率
レンズ又はレンズと同一の原材料の平板を用い、その屈折率をアッベ屈折計を用いて測定する時、その許容差は、設定された屈折率の±0.002以内であること。
JIS K 7105、ISO 9914等の試験法を参考に実施する。
4.11 トーリックコンタクトレンズの曲率半径
レンズの二つの主経線のベースカーブを測定する時、表示されたベースカーブとの許容差は、共に、次の表の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値以内であること。
二つの主経線のベースカーブ間の差(mm) |
許容差(mm) |
|
|
PMMAの場合 |
RGPの場合 |
0を超え0.2以下のもの |
±0.025 |
±0.05 |
0.2を超え0.4以下のもの |
±0.035 |
±0.06 |
0.4を超え0.6以下のもの |
±0.055 |
±0.07 |
0.6を超えるもの |
±0.075 |
±0.09 |
4.12 円柱屈折力及び円柱軸(トーリックコンタクトレンズの場合)
レンズの円柱屈折力及び円柱軸をJIS B 7183に規定するレンズメータを用いて測定する時、その表示された円柱屈折力及び円柱軸との許容差は、次の表の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値以内であること。
円柱屈折力(ディオプトリー) |
許容差(ディオプトリー) |
0を超え2.00以下のもの |
±0.25 |
2.00を超え4.00以下のもの |
±0.37 |
4.00を超えるもの |
±0.50 |
円柱軸(゜) |
許容差(゜) |
|
±5 |
4.13 プリズム誤差
レンズのプリズムディオプトリーをJIS B 7183に規定するレンズメータを用いて測定する時、その許容差は次の表の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値以内であること。
頂点屈折力(ディオプトリー) |
許容差(ディオプトリー) |
0以上6.00以下のもの |
±0.25Δ |
6.00を超えるもの |
±0.50Δ |
5.化学的要求事項
残留モノマー、添加剤等の溶出量及び抽出可能物質全体の溶出量を評価すること。
目的の残留物について適切な抽出条件(溶媒、温度、時間等)で抽出し、試験を行うこと。抽出可能物質全体の溶出量については、IS0 10340等の試験法を参考に実施する。
6.生物学的要求事項
レンズの材料を特定し、その生物学的安全性について、「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的安全性試験の基本的考え方について」に基づいて評価すること。ただし、亜急性毒性試験に代わるものとして、家兎眼装用試験を行うこと。
家兎眼装用試験においてはISO 9394等の試験法を参考に実施する。
7.安定性に関する要求事項
レンズの材料に新規性のある場合は、製品安定性試験を実施し、評価すること。ただし、保存液に充填しない状態で出荷される製品は除く。
ISO 11987等の試験法を参考に実施する。
8.容器又は被包
コンタクトレンズ(保存液に充填しない状態で出荷される製品は除く。)の直接の容器又は被包について、一次包装としての使用前例がないもの等新規の材料を使用する場合には、細胞毒性試験等による生物学的安全性試験を行い、評価すること。
9.表示
9.1 一次包装
一次包装には、次の事項を表示すること。
(1) 販売名(二次包装を用いる場合は、輸入先国での販売名も可)
(2) レンズデータ
1) ハードコンタクトレンズ(2)及び3)に該当しないもの)
ア.ベースカーブ(mm)
イ.頂点屈折力(ディオプトリー)
ウ.直径(mm)
2) トーリックコンタクトレンズ
ア.ベースカーブ(mm)
イ.球面屈折力(ディオプトリー)
ウ.円柱屈折力(ディオプトリー)
エ.直径(mm)
オ.円柱軸(゜)
3) バイフォーカルコンタクトレンズ、多焦点コンタクトレンズ及び累進屈折力コンタクトレンズ
ア.ベースカーブ(mm)
イ.遠用頂点屈折力(ディオプトリー)
ウ.有効加入屈折力(ディオプトリー)
エ.直径(mm)
(3) 製造番号又は製造記号(ロット番号等)
(4) 使用期限(保存液に充填しない状態で出荷される製品は除く。)
9.2 二次包装
二次包装には、次の事項を表示すること。
二次包装を用いず、一次包装を最小販売単位の包装として用いる場合は、次の事項を一次包装に表示すること。
(1) 販売名
(2) レンズデータ(9.1項によること)
(3) 製造番号又は製造記号(ロット番号等)
(4) 使用期限(保存液に充填しない状態で出荷される製品は除く。)
9.3 一次包装、二次包装又は添付文書
一次包装、二次包装又は添付文書により、以下の事項を記載すること。
(1) 構成モノマー名
(2) 着色剤、紫外線吸収剤を使用した場合はその名称
(3) 特別な保存又は取扱い(例:凍らせないこと、改ざん防止シールが破れていた場合使用厳禁、表面処理など特殊加工を施している製品の洗浄方法)
(4) 警告及び注意事項
(5) 終日装用の製品の場合、終日装用のみの旨
上記(1)及び(2)の記載については、別紙3によること。
なお、保存液及び防腐剤(防腐剤がある場合)の主成分の名称を記載することが望ましいこと。
別紙2
ソフト(ハイドロゲル)コンタクトレンズ承認基準
1.適用範囲
この基準は、視力補正を目的として角膜表面に涙を介して直接装用するプラスチックレンズのうち、含水率が10%以上のものに要求される事項を規定する。
2.引用規格
この基準は下記規格又は基準を引用する。
JIS B 7183:1995 レンズメータ
JIS K 7105:1981 プラスチックの光学的特性試験方法
JIS K 7113:1995 プラスチックの引張試験方法
JIS K 7209:2000 プラスチック―吸水率の求め方
JIS Z 8722:2000 色の測定方法―反射及び透過物体色
ISO 8599:1994 分光及び視感透過率の測定
ISO 9337―1:1999 後面頂点屈折力の測定―パート1:手動焦点合わせによるフォシメータを用いた方法
ISO 9338:1996 直径の測定
ISO 9339―2:1998 厚みの測定―パート2:ハイドロゲルコンタクトレンズ
ISO 9394:1998 家兎眼を用いた接眼試験による生体適合性評価
ISO 9913―1:1996 パート1:FATT法による酸素透過性及び透過率の測定
ISO 9914:1995 コンタクトレンズ材料の屈折率の測定
ISO 10338:1996 曲率半径の測定
ISO 10339:1997 ハイドロゲルレンズの含水率の測定
ISO 10340:1995 溶出性物質の測定法
ISO 10344:1996 コンタクトレンズ試験用生理食塩水
ISO 11987:1997 コンタクトレンズの安定性の測定
「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的安全性試験の基本的考え方について」(平成15年2月13日医薬審発第0213001号)
「ソフトコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズ用消毒剤の製造(輸入)承認申請に際し添付すべき資料の取扱い等について」(平成11年3月31日医薬審第645号)「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律の施行に伴う医薬品、医療機器等の製造管理及び品質管理(GMP/QMS)に係る省令及び告示の制定及び改廃について」(平成17年3月30日薬食監麻発第0330001号)第4章第4滅菌バリデーション基準(以下「滅菌バリデーション基準」という。)
3.定義
3.1 バイフォーカルコンタクトレンズ(二重焦点コンタクトレンズ)
通常遠方視と近方視補正用の二つの光学部からなる多焦点コンタクトレンズ
3.2 多焦点コンタクトレンズ
異なる屈折力の、二つ以上の明らかに分割された領域を備えるように設計されたコンタクトレンズ
3.3 累進屈折力コンタクトレンズ
屈折力がレンズの一部又は全体にわたって独立的ではなく連続的に変化し、一つ以上の視距離範囲の補正を与えるように設計されたコンタクトレンズ
3.4 トーリックコンタクトレンズ
トロイダル形状の前面及び/又は後面光学部を持つコンタクトレンズ
3.5 一次包装
コンタクトレンズを直接に覆う容器又は包装で、さらにこれが二次包装される場合は、いわゆる「内袋」に該当する。
3.6 二次包装
一次包装を直接に覆う容器又は包装で、通常、複数の一次包装されたコンタクトレンズを入れるものをいう。
4.物理的要求事項
4.1 形状及び外観
飽和状態となるまで膨潤させたレンズが、次の(1)から(3)までの基準を満たさなければならない。
(1) 内部に気泡、不純物又は変色があってはならない。
(2) 対象を10倍率以上に拡大して観察する装置を用いて観察するとき、表面に角膜等に対して有害な傷又は凹凸があってはならない。
(3) 縁はなめらかな丸みを帯び、角膜等に障害を与えるおそれのある形状であってはならない。
4.2 直径
飽和状態となるまで膨潤させたレンズの直径を測定するとき、いずれの箇所においても、その許容差は、表示された直径の±0.20mm以内でなければならない。
また、中央光学部直径を測定する時、その許容差は、設定された直径の±0.20mm以内であること。
ただし、中央光学部直径は測定可能な場合に対して適用される。
ISO 9338等の試験法を参考に実施する。
4.3 厚さ
飽和状態となるまで膨潤させたレンズの厚さをその中心で測定するとき、その許容差は、設定値が0.10mm以下のものにあっては設定値の±(0.010+(設定値×10%))mm以内でなければならず、設定値が0.10mmを超えるものにあっては設定値の±(0.015+(設定値×5%))mm以内でなければならない。
IS0 9339―2等の試験法を参考に実施する。
4.4 ベースカーブ
飽和状態となるまで膨潤させたレンズの後面の光学部の中央の曲率半径(以下「ベースカーブ」という。)を測定するとき、その許容差は、表示されたベースカーブの±0.20mm以内でなければならない。
ISO 10338等の試験法を参考に実施する。
4.5 頂点屈折力
飽和状態となるまで膨潤させたレンズの水分を除去した後、その後面をレンズメータ(工業標準化法(昭和24年法律第185号)に基づく日本工業規格(JIS B 7183)に適合するレンズメータをいう。以下同じ。)の光源部に向けて頂点屈折力を測定するとき、その許容差は、次の表に掲げる表示された頂点屈折力の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値以内でなければならない。
表示された頂点屈折力(ディオプトリー) |
許容差(ディオプトリー) |
0以上±10.00以下のもの |
±0.25 |
±10.00を超え±20.00以下のもの |
±0.50 |
±20.00を超えるもの |
±1.00 |
ISO 9337-1等の試験法を参考に実施する。
4.6 視感透過率
飽和膨潤させたレンズ又はレンズと同一の原材料の平板に平行光線を垂直に当て、測定値から入射光量に対する透過光量の割合(%)を計算する時、その許容差は、設定された視感透過率の±5%(絶対値)以内であること。
JIS Z 8722、ISO 8599等の試験法を参考に実施する。
4.7 酸素透過係数
飽和膨潤させたレンズ又はレンズと同一の原材料の平板を用いて電極法にて測定し、酸素透過係数を計算する時、その許容差は、設定された酸素透過係数の±20%以内であること。
ISO 9913―1等の試験法を参考に実施する。
4.8 強度
飽和膨潤させたレンズ又はレンズと同一の原材料の平板に引張荷重をかけ、強度を測定し、評価すること。
JIS K 7113等の試験法を参考に実施する。
4.9 屈折率
飽和膨潤させたレンズ又はレンズと同一の原材料の平板を用い、その屈折率をアッベ屈折計を用いて測定する時、その許容差は、設定された屈折率の±0.005以内であること。
JIS K 7105、ISO 9914等の試験法を参考に実施する。
4.10 含水率
飽和膨潤させたレンズ又はレンズと同一の原材料の平板を用い、その水分量を測定し、重量(%)を計算する時、その許容差は、設定された含水率の±2%(絶対値)以内であること。
JIS K 7209、ISO 10339等の試験法を参考に実施する。
4.11 円柱屈折力及び円柱軸(トーリックコンタクトレンズの場合)
飽和膨潤させたレンズの表面の水分を軽く除き、JIS B 7183に規定するレンズメータを用いてその円柱屈折力及び円柱軸を測定する時、その表示された円柱屈折力及び円柱軸との許容差は、次の表の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値以内であること。