添付一覧
(μg(ヒト・日)、厚生労働科学研究報告書による)
問20 日本人が現在摂取している程度の水銀は健康に影響があるのですか。 |
答
摂取している水銀を全てメチル水銀と仮定した場合、平成7年~平成16年の1日摂取量調査における水銀の摂取量は食品安全委員会が設定した妊婦を対象としたメチル水銀の耐容量の59%となります。
この食品安全委員会によるメチル水銀の耐容量は、懸念される胎児に与える影響を十分保護できる量であることから、平均的な食生活をしている限り、健康への影響について懸念されるようなレベルではないものと考えています。
食品安全委員会の妊婦の耐容量 2.0μg/kg(体重)/週→100μg/(ヒト(体重50kg)・週)
1日当たりに換算すると 100μg÷7日=14.3μg/(ヒト・日)
平均的な1日水銀摂取量 8.4μg/(ヒト・日)÷14.3μg×100=59%
問21 妊娠に気づくのが遅れたのですがどうすればよいですか。また、妊婦は髪の水銀濃度を測定したほうが良いですか。 |
答
1 メチル水銀は胎盤を経由して胎児に取り込まれますが、胎盤の形成は一般的に妊娠4ヶ月であること、体内に取り込まれた水銀は代謝、排泄され、その体内に取り込まれた量が半分にまで減少する期間は約2ヶ月であることなどから、妊娠に気づいた段階から水銀の摂取量をコントロールすることで一定の効果が期待されると考えています。
2 一般に体内の水銀濃度は髪の毛で測定しますが、妊婦であっても髪の水銀濃度等を測定することは必要ないと考えています。諸外国においても、妊婦に対して髪の水銀濃度の測定を勧めている国はありません。
3 なお、食品安全委員会の評価結果では、15歳から49歳の女性の毛髪水銀濃度分布を見た場合、99.9%の人が10ppm以下であり、耐容量の算出の出発点となった11ppmを下回っていることが示されています。
【今後の予定など】
問22 今回、注意事項の発表に当たり、魚介類の摂食の減少や風評被害につながらないよう、どのような施策を講ずる予定ですか。 |
答
1 注意事項の検討に当たり、全ての資料を公開し、検討の過程も公開してきたところです。
2 また、審議会においては、リスクコミュニケーションの専門家、ジャーナリスト、産婦人科の医師など種々の分野の専門家に参画していただきました。
3 さらに、注意事項(案)をQ&Aとともに公表し、1ヶ月間の意見募集を行ってきました。
4 これらに加え、妊婦を対象としたパンフレットを作成することを予定しています。
5 厚生労働省としては、本注意事項が妊婦はもちろん、全ての方々に正確に理解されるよう今後とも必要な調査研究に努めてまいります。
【別添】
参考:水産物の栄養面での特徴(平成11年度漁業白書より抜粋)
水産物に含まれる成分と機能 エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA) 魚類、特にいわし、まぐろなど海産魚の脂質に多く含まれる脂肪酸の一種です。血栓を防ぐとともに血中のLDL(悪玉)コレステロール値を低下させ、脳梗塞、心筋梗塞などの血管障害を予防するほか、アレルギー反応を抑制する作用などがあります。さらに、DHAは、脳神経系に高濃度で分布し、情報の伝達をスムーズにするほか、脳の発育や視力の向上に関与しています。 タウリン たこ、いか、貝、えび、かに類などに多く含まれているアミノ酸の一種です。生活習慣病予防物質として注目されており、動物実験により高血圧の下降、血液中のコレステロールの低下など多くの生理作用が確認されています。 アスタキサンチン さけ、いくら、たい、えびなどの赤橙色の色素です。ビタミンEを上回る抗酸化作用を持つことが明らかにされており、活性酸素注の作用による諸疾患を抑制することなどが期待されています。 注:活性酸素:呼吸により体内に取り入れられた酸素がエネルギーを生み出す過程でつくられる他の分子と結合しやすい状態の酸素分子。殺菌、解毒等の作用を持つ一方、老化、発がん、腎障害、動脈硬化、白内障などの促進にかかわる。 |
(参考:水産物に含まれる成分と機能(平成14年度漁業白書より抜粋))
機能性成分 |
主な機能 |
多く含まれる主な魚介類 |
DHA(ドコサヘキサエン酸) |
脳の神経組織の発達や機能維持、抗アレルギー炎症等 |
マグ口、マダイ、ブリ、サバ、サケ、マイワシ |
EPA(エイコサペンタエン酸) |
血栓の予防・治療、血管収縮等の防止、血中脂質の低下作用等 |
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タウリン |
血圧の調整、コレステロールの排出、肝機能改善、視力の維持等 |
イカ、タコ、アワビ、ホタテガイ、クルマエビ、サケ |
アスタキサンチン |
活性酸素の作用による諸疾患の抑制 |
イクラ、タイ、エビ |
食物繊維:アルギン酸 |
コレステロール低下、血圧低下作用等 |
海藻類(コンブ、ワカメ、モズク、ヒジキ等) |
食物繊維:フコダイン |
ガン細胞の増殖を抑制する作用等 |
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カルシウム |
骨形成、血圧や神経系の調整機能等 |
小魚 |
鉄分 |
赤血球(ヘモグロビン)の主成分、全身組織の機能維持等 |
ノリ、ヒジキ、ハマグリ |
本注意事項については、いわゆる風評被害が生じることのないよう正確な御理解をよろしくお願いします。 |