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注:魚介類については、各種類毎に50音順で記載

2 注意事項の検討に当たり、対象となる魚介類以外の食品からの水銀摂取量について検討しました。厚生労働省が実施している一日摂取量調査の平均値(平成7年~16年)によると、水銀の摂取量(総水銀換算)は8.42μg/ヒト/日であり、このうち魚介類から6.72μg/ヒト/日、その他の食品から1.70μg/ヒト/日となっています。これら魚介類を、妊婦が摂食の際に注意を必要とするものとそうでないものに分ける必要がありますが、これらの関係を考慮し3つの仮定を設定しました。

[仮定1]:検討対象以外の魚介類からの水銀摂取はなしと仮定

検討対象以外の魚介類からの水銀摂取はないと仮定する。この場合の検討対象魚介類以外の食品からの水銀摂取量は、1.70μg/ヒト/日=(平均水銀摂取量(8.42μg)-魚介類からの摂取量(6.72μg)と仮定する。

[仮定2]:検討対象以外の魚介類からの水銀摂取量を一日摂取量調査における魚介類からの水銀摂取量の半量と仮定

種々の魚介類を摂食することから、一日摂取量調査における魚介類からの水銀摂取量の半量を検討対象以外の魚介類からの摂取と仮定する。従って、その他の食品からの水銀の摂取量は、5.06μg/ヒト/日=1.70μg+6.72μg÷2と仮定する。

[仮定3]:検討対象以外の魚介類からの水銀摂取を一日摂取量調査における魚介類からの摂取量と仮定

検討対象以外の魚介類から、一日摂取量調査における魚介類からの摂取量の全量を摂取するものと仮定する。したがって、その他の食品からの水銀の摂取量は、8.42μg/ヒト/日と仮定する。

3 食品安全委員会の食品健康影響評価結果の耐容量(2.0μg/kg体重/週)と、国民栄養調査結果に基づく妊婦の体重(55.5kg)から妊婦の1週間当たりの耐容量を求め、2で求めた対象となる魚介類以外の食品からの水銀の摂取量を差し引いた範囲内で、1の魚介類を1週間当たりに摂食できる量を試算しました。

(魚介類)

魚介類

調査結果に基づく試算(総水銀)

調査結果に基づく試算(メチル水銀)

 

仮定1(g/週)

仮定2(g/週)

仮定3(g/週)

仮定1(g/週)

仮定2(g/週)

仮定3(g/週)

キダイ

301.2

229.7

158.2

301.2

229.7

158.2

キンメダイ

144.9

110.5

76.1

186.3

142.1

97.9

クロムツ

279.2

212.9

146.6

320.7

244.6

168.5

ユメカサゴ

240.0

183.0

126.1

308.7

235.5

162.2

エッチュウバイガイ

213.6

162.9

112.2

204.3

155.8

107.3

(カジキ)

魚介類

調査結果に基づく試算(総水銀)

調査結果に基づく試算(メチル水銀)

 

仮定1(g/週)

仮定2(g/週)

仮定3(g/週)

仮定1(g/週)

仮定2(g/週)

仮定3(g/週)

マカジキ

215.4

164.3

113.2

288.9

220.3

151.8

メカジキ

102.3

78.0

53.7

147.0

112.1

77.2

(クジラ)

魚介類

調査結果に基づく試算(総水銀)

調査結果に基づく試算(メチル水銀)

 

仮定1(g/週)

仮定2(g/週)

仮定3(g/週)

仮定1(g/週)

仮定2(g/週)

仮定3(g/週)

イシイル力

95.7

73.0

50.3

267.8

204.3

140.7

コビレゴンドウ

14.0

10.6

7.3

66.6

50.8

35.0

ツチクジラ

84.8

64.7

44.6

142.0

108.3

74.6

バンドウイル力

4.8

3.6

2.5

15.0

11.4

7.9

マッコウクジラ

47.2

36.0

24.8

141.6

108.0

74.4

(サメ)

魚介類

調査結果に基づく試算(総水銀)

調査結果に基づく試算(メチル水銀)

 

仮定1(g/週)

仮定2(g/週)

仮定3(g/週)

仮定1(g/週)

仮定2(g/週)

仮定3(g/週)

ヨシキリザメ

182.2

138.9

95.7

283.1

215.9

148.7

(マグロ)

魚介類

調査結果に基づく試算(総水銀)

調査結果に基づく試算(メチル水銀)

 

仮定1(g/週)

仮定2(g/週)

仮定3(g/週)

仮定1(g/週)

仮定2(g/週)

仮定3(g/週)

ミナミマグロ

199.0

151.8

104.5

256.7

195.6

134.9

クロマグロ

137.1

104.5

72.0

182.8

139.4

96.1

メバチ

135.2

103.1

71.0

180.5

137.7

94.8

(参考:その他のマグロ類)

魚介類

調査結果に基づく試算(総水銀)

調査結果に基づく試算(メチル水銀)

 

仮定1(g/週)

仮定2(g/週)

仮定3(g/週)

仮定1(g/週)

仮定2(g/週)

仮定3(g/週)

キハダ

553.6

422.2

290.8

559.9

427.0

294.1

クロマグロの幼魚(メジマグロ)

627.2

478.4

329.5

535.7

408.5

281.4

ビンナガ

418.1

318.9

219.7

604.3

460.9

317.4

ツナ缶詰

869.3

663.0

456.7

909.2

693.4

477.6

(参考:マグロの名称)

標準和名

キハダ

ビンナガ

ミナミマグロ

メバチ

クロマグロ

別名

キハダマグロ

ビンナガマグロ(またはビンチョウ)

インドマグロ

メバチマグロ(またはバチマグロ)

本マグロ

4 上記の摂取量の試算結果のうち、右欄のメチル水銀の仮定2を一つの目安とし、1回に摂食する量が一般に80g程度(切身一切れ、刺身一人前にほぼ相当)であることを踏まえ、試算結果に基づく試算の数値を超えることのないよう、妊婦の体重やその変動、魚介類ごとの水銀摂取量のばらつき等の不確実性に配慮して、1週間に3回程度食べた場合に耐容量を超えてしまう魚介類について、1週間当たりの魚介類ごとの摂食量の目安を注意事項として示しました。(問5参照)

問11 なぜ、今回マグロが注意事項にある魚介類に入ったのですか。

1 今回、マグロが対象となった理由としては、2つの要因があります。1つは、食品安全委員会の食品健康影響評価において、従来の耐容量3.4μg/kg体重/週が、2.0μg/kg体重/週に引き下げられたことです。

2 もう1つは、国民栄養調査の詳しい解析から、マグロを使った料理としては、寿司、鉄火丼等があり、一般の魚に比べ、一回に食べる量が平均値と比較してたくさん食べている人が多いことが明らかになったことや、マグロの刺身、寿司の1人前や鉄火丼の摂食量を見ると、60gから100g程度であることから、この2つを合わせ、今回注意事項の対象となったものです。

問12 マグロについては、どのような注意をしたらよいのですか。

1 妊婦の方々には、マグロのうち、クロマグロ、ミナミマグロ、メバチについて、注意事項に示された摂食量を超えないよう注意をしていただきたいと考えています。

2 マグロの中でも、キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶詰については、水銀含有量が低いことから、妊婦であっても通常の摂食で差し支えありませんので、バランス良く摂食してください。

3 なお、子供や妊婦以外の成人の方々は、いずれのマグロについても通常の摂食で差し支えありませんので、バランス良く摂食してください。

(参考)マグロの名称

標準和名

キハダ

ビンナガ

ミナミマグロ

メバチ

クロマグロ

別名

キハダマグロ

ビンナガマグロ(またはビンチョウ)

インドマグロ

メバチマグロ(またはバチマグロ)

本マグロ

問13 クジラは一般的に水銀濃度が高いのですか。

クジラの中でも一部のハクジラ類(イシイルカ、バンドウイルカ、ツチクジラ、コビレゴンドウ、マッコウクジラ)については、水銀濃度の高いものがあり、今回の注意事項の対象となっています。他方、ヒゲクジラ類(ミンククジラ等)の水銀濃度は高くありません。

問14 加工食品で妊婦が気をつけるものはありませんか。

加工食品は一般に、いろいろな食材から作られていますので、加工食品中の水銀濃度は、妊婦であっても特に注意するようなものではないと考えます。

【水銀の健康影響等】

問15 魚介類中になぜ水銀が含まれているのですか。

1 水銀は無機水銀とメチル水銀等の有機水銀の2つに大別されます。無機水銀は、体温計、血圧計等にも、以前は、用いられたもので天然に存在する成分です。無機水銀は、一般にヒトの消化管からは吸収されにくいとされています。他方、有機水銀には種々のものがありますが、川や海の無機水銀が環境中の微生物によりメチル水銀に変化したものは食物連鎖を通じて魚介類に取り込まれます。このため、食品を通じた水銀の影響が懸念されるのはメチル水銀です。

2 無機水銀は、地殻からのガス噴出によるものが環境中の主要な発生源ですが、その他の人工的な汚染源としては、化石燃料の燃焼、硫化鉱の精錬、セメント製造、ごみ焼却などがあると報告されています。

3 多くの人が食品等さまざまなものを通じて、メチル水銀を摂取していますが、魚介類からの摂取が最も多いと報告されています。

4 なお、体内に取り込まれた水銀は代謝、排泄されます。その体内に取り込まれた量が半分にまで減少する期間は約2ヶ月です。

問16 なぜ、一部の魚介類は水銀の含有量が高いのですか。

川や海の水銀は、環境中の微生物によりメチル水銀に変化し、食物連鎖を通じて魚介類に取り込まれます。このため、多くの魚介類にメチル水銀が含まれています。食物連鎖の上位にある、サメやカジキなどの大型魚や、一部のハクジラのほか、キンメダイのような深海魚等は、比較的多くのメチル水銀を含んでいます。

問17 現在議論されている水銀の健康影響とはどのようなものですか。

現在議論されているような低い水銀レベルで影響が懸念されるのは胎児であって、その影響は例えば音を聴いた場合の反応が1/1,000秒以下のレベルで遅れるようになるようなものです。なお、体内に取り込まれた水銀は代謝、排泄されます。その体内に取り込まれた量が半分にまで減少する期間は約2ヶ月です。

問18 現在の水銀の規制はどのようになっているのですか。

昭和48年に、魚介類の水銀の暫定的規制値を総水銀0.4ppm及びメチル水銀0.3ppmと設定しています。ただし、マグロ類、内水面水域の河川産の魚介類(湖沼産を除く)及び深海性魚介類を除きます。

問19 日本人の水銀摂取量はどの程度ですか。

毎年、厚生労働省では水銀の一日摂取量調査(マーケットバスケット方式)(語句説明参照)を実施しています。これは、平均的な食生活によって、国民がどのくらい水銀を摂取しているかを調査したもので、過去10年間の調査結果は以下のとおりです。この結果から、過去10年大きな変化はないものと考えられます。このうち、1995年(平成7年)~2004年(平成16年)の調査結果を見てみると、魚介類から79.8%(6.72μg/日)、それ以外の食品から20.2%(1.70μg/日)の水銀が摂取されています。

 

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

総水銀

9.1

9.8

9.8

6.7

9.7

6.8

7.0

8.8

8.1

8.5