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○救急救命士の気管内チューブによる気道確保の実施に向けた「救急救命処置の範囲等について」の一部改正について

(平成16年3月23日)

(医政指発第0323027号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医政局指導課長通知)

「救急救命士法施行規則第21条第3号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する器具(平成16年3月23日厚生労働省告示第121号)」の改正等については、平成16年3月23日医政発第0323001号をもって通知したところであるが、今般、平成16年7月1日(以下「実施期日」という。)からの救急救命士の気管内チューブによる気道確保の実施に向け、「救急救命処置の範囲等について(平成4年3月13日指発第17号厚生省健康政策局指導課長通知)」の一部を下記のとおり改正し、実施期日以降これによるものとしたので、関係方面への周知徹底及び指導方よろしくお願いしたい。

なお、実施期日以降、救急救命処置の範囲に追加される気管内チューブによる気道確保については、その対象は心臓機能停止及び呼吸機能停止の状態の患者であることについて、特に留意されたい。

1 「救急救命処置の範囲等について(平成4年3月13日指発第17号厚生省健康政策局指導課長通知)」別紙1(2)中「乳酸加リンゲル液」を「乳酸リンゲル液」に改める。

2 同通知別紙1(3)を次のように改める。

食道閉鎖式エアウェイ、ラリンゲアルマスク又は気管内チューブによる気道確保(別紙2参照)

・気管内チューブによる気道確保については、その処置の対象となる患者が心臓機能停止状態及び呼吸機能停止状態であること。

3 同通知別紙1中に、次のように加える。

(20) 気管内チューブを通じた気管吸引

4 同通知別紙2(1)の欄中「乳酸加リンゲル液」を「乳酸リンゲル液」に改め、(2)の欄中「又はラリンゲアルマスク」を「、ラリンゲアルマスク又は気管内チューブ」に改め、〔共通事項〕②を以下の様に改める。

② 上記(1)及び(2)の処置は心肺機能停止状態の患者に対してのみ行うことが認められるものであるが、心肺機能停止状態の判定は、原則として、医師が心臓機能停止又は呼吸機能停止の状態を踏まえて行わなければならない。

但し、気管内チューブによる気道確保については、心臓機能停止状態及び呼吸機能停止状態である患者に対してのみ行うことが認められる。

・心臓機能停止の状態とは、心電図において、心室細動、心静止、電導収縮解離、無脈性心室頻拍の場合又は臨床上、意識がなく、頸動脈、大腿動脈(乳児の場合は上腕動脈)の拍動が触れない場合である。

・呼吸機能停止の状態とは、観察、聴診器等により、自発呼吸をしていないことが確認された場合である。

(別紙1)

救急救命処置の範囲

(1) 自動体外式除細動器による除細動

心臓機能停止の状態(別紙2〔共通事項〕②参照)の患者に対してのみ行うことが認められる。

(2) 乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液(別紙2参照)

(3) 食道閉鎖式エアウェイ、ラリンゲアルマスク又は気管内チューブによる気道確保(別紙2参照)

・ 気管内チューブによる気道確保については、その処置の対象となる患者が心臓機能停止状態及び呼吸機能停止状態であること。

(4) 精神科領域の処置

・精神障害者で身体的疾患を伴う者及び身体的疾患に伴い精神的不穏状態に陥っている者に対しては、必要な救急救命処置を実施するとともに、適切な対応をする必要がある。

(5) 小児科領域の処置

・基本的には成人に準ずる。

・新生児については、専門医の同乗を原則とする。

(6) 産婦人科領域の処置

・墜落産時の処置……

臍帯処置(臍帯結紮・切断)

胎盤処理

新生児の蘇生(口腔内吸引、酸素投与、保温)

・子宮復古不全(弛緩出血時)……子宮輪状マッサージ

(7) 聴診器の使用による心音・呼吸音の聴取

(8) 血圧計の使用による血圧の測定

(9) 心電計の使用による心拍動の観察及び心電図伝送

(10) 鉗子・吸引器による咽頭・声門上部の異物の除去

(11) 経鼻エアウェイによる気道確保

(12) パルスオキシメーターによる血中酸素飽和度の測定

(13) ショックパンツの使用による血圧の保持及び下肢の固定

(14) 自動式心マッサージ器の使用による体外式胸骨圧迫心マッサージ

(15) 特定在宅療法継続中の傷病者の処置の維持

(16) 口腔内の吸引

(17) 経口エアウェイによる気道確保

(18) バッグマスクによる人工呼吸

(19) 酸素吸入器による酸素投与

(20) 気管内チューブを通じた気管吸引

(別紙2)

医師の具体的指示を必要とする救急救命処置

項目

処置の具体的内容

医師の具体的指示の例

(1) 乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液

・留置針を利用して、上肢においては①手背静脈、②橈側皮静脈、③尺側皮静脈、④肘正中皮静脈、下肢においては、①大伏在静脈、②足背静脈を穿刺し、乳酸リンゲル液を用い、静脈路を確保するために輸液を行う。

・静脈路確保の適否、静脈路確保の方法、輸液速度等

(2) 食道閉鎖式エアウェイ、ラリンゲアルマスク又は気管内チューブによる気道確保

・食道閉鎖式エアウェイ、ラリンゲアルマスク又は気管内チューブを用い、気道確保を行う。

・気道確保の方法の選定、(酸素投与を含む)呼吸管理の方法等

〔共通事項〕

① 医師が具体的指示を救急救命士に与えるためには、指示を与えるために必要な医療情報が医師に伝わっていること及び医師と救急救命士が常に連携を保っていることが必要である。

なお、医師が必要とする医療情報としては、全身状態(血圧、体温を含む。)、心電図、聴診器による呼吸の状況などが考えられる。

② 上記(1)及び(2)の処置は心肺機能停止状態の患者に対してのみ行うことが認められるものであるが、心肺機能停止状態の判定は、原則として、医師が心臓機能停止又は呼吸機能停止の状態を踏まえて行わなければならない。

但し、気管内チューブによる気道確保については、心臓機能停止状態及び呼吸機能停止状態である患者に対してのみ行うことが認められる。

・心臓機能停止の状態とは、心電図において、心室細動、心静止、電導収縮解離、無脈性心室頻拍の場合又は臨床上、意識がなく、頸動脈、大腿動脈(乳児の場合は上腕動脈)の拍動が触れない場合である。

・呼吸機能停止の状態とは、観察、聴診器等により、自発呼吸をしていないことが確認された場合である。