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○生活保護業務における個人情報の保護等について

(平成17年3月31日)

(事務連絡)

(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)生活保護担当課生活保護担当係長あて厚生労働省社会・援護局保護課企画法令係長通知)

個人情報の保護に関する法律(平成15年5月30日法律第57号)及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年5月30日法律第58号)が平成17年4月1日から施行されます。各地方公共団体の個人情報の保護について、総務省から「地方公共団体における個人情報保護対策について」(平成15年6月16日総行情第91号)等により既に通知がなされているところでありますが、実施機関における生活保護業務の個人情報の保護につきましては、各地方公共団体の個人情報保護条例に基づき実施していただきますようよろしくお願いします。その際、参考となる点について下記のとおり取りまとめましたのでお知らせいたします。

なお、都道府県におかれては管内の実施機関にお知らせいただきますよう、よろしくお願いします。

1 保護台帳等の開示について

(1) 保護台帳等の開示については、これまで「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日社保第34号)第7問3において「要保護者といえども閲覧請求の権利をもつものではない」としてきたところですが、個人情報の保護に関する法律及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の施行並びに各地方公共団体における個人情報保護条例の整備により、個人情報の開示の手続等が制度化されることを踏まえ、以下のとおり改正することとしましたのでお知らせします。

(参考)

改正前

改正後

問(第7の3)保護台帳、収支認定表等について、一般住民より閲覧の申出があったが、これを認めて差し支えないか。

問(第7の3)保護台帳、収支認定表等について、一般住民より閲覧の申出があったが、これを認めて差し支えないか。

答 認めるべきでない。

答 認めるべきでない。

保護の決定実施に際しては、その事務の性質上要保護者にとっては隠したい個人的な秘密にわたる事項まで調査することがあるが、これらの事項につきその秘密を厳守することは、国民の福祉事務所に対する信頼を確保する上から欠くことができないのみならず、法律上の義務でもある(地方公務員法第34条参照。なお、国家公務員法第100条、民生委員法第15条及び刑事訴訟法第144条に同趣旨の規定がある。)。したがって、これらの事項を記録した保護台帳等の閲覧は許されない。

なお、戸籍簿等の場合と異なり、法律上保護台帳の閲覧請求を認めた規定はないから,要保護者といえども閲覧請求の権利をもつものではない。

保護について不服があれば不服申立てによるべきであり、また一般住民が保護の実施機関の法律執行につき疑義をもつときは、監査請求(地方自治法第75条)によるべきである。

保護の決定実施に際しては、その事務の性質上要保護者にとっては隠したい個人的な秘密にわたる事項まで調査することがあるが、これらの事項につきその秘密を厳守することは、国民の福祉事務所に対する信頼を確保する上から欠くことができないのみならず、法律上の義務でもある(地方公務員法第34条参照。なお、国家公務員法第100条、民生委員法第15条及び刑事訴訟法第144条に同趣旨の規定がある。)。したがって、これらの事項を記録した保護台帳等の閲覧は許されない。

ただし、保護の実施機関が、当該地方公共団体の個人情報保護条例に基づき、自己を本人とする保護台帳、収支認定表等の個人情報の開示を請求された場合は、同条例の定めるところにより適切に対応されたい。

なお、保護について不服があれば不服申立てによるべきであり、また一般住民が保護の実施機関の法律執行につき疑義をもつときは、監査請求(地方自治法第75条)によるべきである。

(2) 保護台帳等の開示は、各地方公共団体の個人情報保護条例に基づき実施されるものですが、国の行政機関に適用される行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第14条各号においては、次のとおり「不開示情報」が定められておりますので、御参考までお示しします。

一 開示請求者(第十二条第二項の規定により未成年者又は成年被後見人の法定代理人が本人に代わって開示請求をする場合にあっては、当該本人をいう。次号及び第三号、次条第二項並びに第二十三条第一項において同じ。)の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報

二 開示請求者以外の個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。

イ 法令の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報

ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報

ハ 当該個人が公務員等(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第二項に規定する特定独立行政法人及び日本郵政公社の役員及び職員を除く。)、独立行政法人等の役員及び職員、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二条に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分

三 法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下この号において「法人等」という。)に関する情報又は開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるものただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報を除く。

イ 開示することにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの

ロ 行政機関の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として開示しないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの

四 開示することにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報

五 開示することにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報

六 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、開示することにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの

七 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、開示することにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの

イ 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ

ロ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ

ハ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ

ニ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ

ホ 国若しくは地方公共団体が経営する企業、独立行政法人等又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ

なお、同条第七号本文については、総務省行政管理局監修『行政機関等個人情報保護法の解説』において、「「次に掲げるおそれ」としてイからホまでに掲げたものは、各機関共通にみられる事務又は事業に関する情報であって、その性質上、開示することによって、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられる典型的な支障を挙げたものである。これらの事務又は事業の外にも、同種のものが反復されるような性質の事務又は事業であって、ある個別の事務又は事業に関する情報を開示すると、将来の同種の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの等、「その他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があり得る」とされています。

2 生活保護業務に関する個人情報の保護について

地方公共団体は、各地方公共団体の個人情報保護条例に基づき個人情報の適正な取扱いを確保することとされていることから、個人情報の保護に関する法律第2条第3項の「個人情報取扱事業者」にも、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第2条第1項の「行政機関」にも含まれていません。生活保護業務ついても、各地方公共団体の個人情報保護条例に基づき、個人情報の適正な取扱いを確保していただくようお願いします。

なお、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律において、国の行政機関に課せられる個人情報の取扱いに関する規定は次のとおりですので、御参考にしてください。

(個人情報の保有の制限等)

第三条 行政機関は、個人情報を保有するに当たっては、法令の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。

2 行政機関は、前項の規定により特定された利用の目的(以下「利用目的」という。)の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を保有してはならない。

3 行政機関は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。

(利用目的の明示)

第四条 行政機関は、本人から直接書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録(第二十四条及び第五十五条において「電磁的記録」という。)を含む。)に記録された当該本人の個人情報を取得するときは、次に掲げる場合を除き、あらかじめ、本人に対しその利用目的を明示しなければならない。

一 人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要があるとき。

二 利用目的を本人に明示することにより、本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがあるとき。

三 利用目的を本人に明示することにより、国の機関、独立行政法人等(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号。以下「独立行政法人等個人情報保護法」という。)第二条第一項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)、地方公共団体又は地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)が行う事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

四 取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められるとき。

(正確性の確保)

第五条 行政機関の長(第二条第一項第四号及び第五号の政令で定める機関にあっては、その機関ごとに政令で定める者をいう。以下同じ。)は、利用目的の達成に必要な範囲内で、保有個人情報が過去又は現在の事実と合致するよう努めなければならない。

(安全確保の措置)

第六条 行政機関の長は、保有個人情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他の保有個人情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。

2 前項の規定は、行政機関から個人情報の取扱いの委託を受けた者が受託した業務を行う場合について準用する。

(従事者の義務)

第七条 個人情報の取扱いに従事する行政機関の職員若しくは職員であった者又は前条第二項の受託業務に従事している者若しくは従事していた者は、その業務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。

(利用及び提供の制限)

第八条 行政機関の長は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。

2 前項の規定にかかわらず、行政機関の長は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供することができる。ただし、保有個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供することによって、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。

一 本人の同意があるとき、又は本人に提供するとき。

二 行政機関が法令の定める所掌事務の遂行に必要な限度で保有個人情報を内部で利用する場合であって、当該保有個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。

三 他の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人に保有個人情報を提供する場合において、保有個人情報の提供を受ける者が、法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、専ら統計の作成又は学術研究の目的のために保有個人情報を提供するとき、本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるとき、その他保有個人情報を提供することについて特別の理由のあるとき。

3 前項の規定は、保有個人情報の利用又は提供を制限する他の法令の規定の適用を妨げるものではない。

4 行政機関の長は、個人の権利利益を保護するため特に必要があると認めるときは、保有個人情報の利用目的以外の目的のための行政機関の内部における利用を特定の部局又は機関に限るものとする。

(保有個人情報の提供を受ける者に対する措置要求)

第九条 行政機関の長は、前条第二項第三号又は第四号の規定に基づき、保有個人情報を提供する場合において、必要があると認めるときは、保有個人情報の提供を受ける者に対し、提供に係る個人情報について、その利用の目的若しくは方法の制限その他必要な制限を付し、又はその漏えいの防止その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置を講ずることを求めるものとする。