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○医療機器の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令の施行について

(平成17年3月31日)

(薬食発第0331038号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知)

医療用具の製造(輸入)承認を受けようとする者等が行う医療機器の安全性に関する非臨床試験については、「医療用具の安全性に関する非臨床試験の実施の基準について」(平成14年9月30日付医薬発第0930001号厚生労働省医薬局長通知)によって指導してきたところであるが、薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(平成14年法律第96号)による改正後の薬事法(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第14条第3項等に基づき、今般、医療機器の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令(平成17年厚生労働省令第37号。以下「本省令」という。)を制定し、本年4月1日から施行することとなった。

本省令は、法第14条第1項(第19条の2に基づき準用する場合も含む。)の規定に基づき製造販売承認を受けようとする者等が行う医療機器の生物学的安全性に関する非臨床試験に関する遵守事項を定め、その適正な実施を確保し、もって医療機器の安全性に関する非臨床試験に関する資料の信頼性の確保を図ることを目的としている。

医療機器の安全性に関する非臨床試験の適正かつ円滑な実施には、本省令の遵守が極めて重要であるので、下記事項について留意の上、貴管下関係業者に対して周知徹底を図られるようお願いする。

なお、本通知の写しを独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長、医療機器関係団体協議会会長、在日米国商工会議所医療機器・IVD小委員会委員長及び欧州ビジネス協議会医療機器委員会委員長あて送付することとしている。

1 本省令の適用範囲及び適用時期について

(1) 適用範囲

本省令は、製造販売業者又は外国特例製造販売承認取得者(以下「製造販売業者等」という。)が行う医療機器の製造販売承認申請、一部変更申請、再審査申請及び再評価申請(以下「承認申請等」という。)に当たって添付又は提出する資料のうち医療機器の生物学的安全性に関する非臨床試験(以下「機器GLP対象試験」という。)に係るものに適用する。ただし、使用模擬試験等の生物学的安全性評価が二次的な目的である試験、プロトコル設定試験等の予備試験及び試験系として、動物、植物、微生物又はそれらの構成部分を用いない試験は、本基準の対象外となるものであること。

(2) 適用時期

平成17年4月1日以降に行われる機器GLP対象試験に適用されること。

なお、本省令は、従前の通知の内容を踏襲するものであり、平成15年10月1日以降に開始された試験、及び平成15年4月1日以降に開始され、平成15年10月1日以降に終了した当該試験についても適合しているべきものであること。

2 現行通知の取扱い

医療機器の安全性に関する非臨床試験については、平成15年10月1日以降に開始される安全性に関する非臨床試験について、平成14年9月30日付医薬発第0930001号厚生労働省医薬局長通知「医療用具の安全性に関する非臨床試験の実施の基準について」及び平成14年9月30日付医薬審発第0930001号厚生労働省医薬局審査管理課長通知「医療用具の安全性に関する非臨床試験の実施の基準の施行について」が適用されているところであるが、平成17年4月1日をもって同通知は廃止すること。

3 各条について

(1) 第2条関係

ア 第1項の「原材料を構成する化学的物質又は生物学的物質」とは、試験施設に委託等のために作成された被験物質の抽出物や埋植試験用に成形加工された成形物についても含むものであること。

イ 第5項の「生データ」とは、ワークシート、ノート、覚え書き又はそれらの正確な転写等の最終報告書の再構成と評価に必要なものをいい、写真、マイクロフィルム、マイクロフィシュ、コンピューター記録、観察結果が口述された磁気記録、自動装置により記録された試験結果等を含むものであること。

(2) 第4条関係

ア 第2項の「確認」の方法は、各事例ごとに適切な方法をとればよく、必ずしも委託者による受託者への実地の調査を必要としないこと。

イ 第3項の「文書による記録」のうち通知の記録は、契約書その他の文書への記載により行ってよいこと。

(3) 第5条関係

第2項の「保健衛生上必要な注意」には、試験に従事する者の業務の遂行に適した着衣の使用、試験の信頼性に悪影響を及ぼす疑いのある疾病にかかっている者の試験責任者又は運営管理者への報告と健康状態が改善されるまでの間の試験への関与禁止等を含むものであること。

(4) 第6条関係

ア 第2号の「指名」は試験責任者の交替の際の指名も含むものであること。

イ 第4号の「確認」は、同一性、純度、安定性及び均一性の確認が困難な抽出液又は抽出物を抽出後、標準操作手順書に従いすみやかに使用する場合については適用しないこと。

ウ 第9号の「その他試験施設の運営及び管理に関する業務」には、第8条第1項第1号の「試験施設で行われるすべての試験について、試験委託者の氏名(法人にあっては、その名称)、試験責任者の氏名、試験系、試験の種類、試験開始の日付、試験の進捗状況、最終報告書の作成状況等を被験物質ごとに記載した書類」(いわゆる「主計画表」)が適切に作成・管理されていることを確認する業務が含まれるものであること。

(5) 第9条関係

ア 第2項の「飼育施設」は、必要に応じ次の各号に定める機能を果たしうるものであること。

(ア) 種別又は試験系別の分離飼育

(イ) 試験計画ごとの分離飼育

(ウ) 動物の検疫

(エ) 通常の又は特殊な動物飼育

イ 第2項の「動物用品供給施設」は、必要に応じ飼料、床敷、補給品及び機器の保管場所としての機能を果たしうるものであること。

ウ 第2項の「その他必要な施設設備」は、次のものを含むものであること。

(ア) 揮発性物質、放射性物質又は感染性因子等を用いる試験を他の飼育施設と隔離して実施しうる動物室又は区域

(イ) 疾病動物の隔離及び治療ができる設備

(ウ) 試験系からの廃棄物を収容し、衛生的に処理する設備又は試験施設から搬出するまで廃棄物を安全かつ衛生的に保管する設備

エ 第3項の「被験物質等の取扱区域」は、被験物質及び対照物質の汚染又は混同を防ぐために、次の各号に定める機能を果たしうるものであり、かつ、これらの物質の品質が保持されるように設計すること。

(ア) 被験物質及び対照物質の受領及び保管

(イ) 被験物質又は対照物質と媒体との混合

(ウ) 被験物質又は対照物質と媒体との混合物の保管

オ 第3項の「試験操作区域」は、生化学検査、病理組織学的検査等の定期的な測定業務及び各種の操作を行うため、必要に応じ分離されたものであること。

カ 第3項の「その他の試験を適切に実施するために必要な区分された区域」は、次のものを含むものであること。

(ア) バイオハザートの対象となりうるような動物又は微生物の構成部分を使用する場合の隔離区域

(イ) 試験実施中に使用される補給品及び機器の洗浄、滅菌並びに保存のための分離された区域

(6) 第10条関係

データの収集、測定又は解析に使用する機器は、テスト、校正及び標準化のうち必要なものを適切に実施しなければならないこと。

(7) 第11条関係

ア 標準操作手順書は運営管理者の責任において作成するものであること。

イ 標準操作手順書を補足するものとして文献等を利用することができること。

ウ 第1項第1号の「管理」には、各部門における受領、表示、保管、取扱い、媒体との混合及びサンプリングの方法等を含むものであること。

エ 同項第2号の「機器の保守点検及び修理」には、機器の点検、清掃、保守、テスト、校正及び標準化の方法及び実施計画(スケジュール)並びに機器が故障あるいは機能不全を生じた際にとられる修理手続を明記すること。

(8) 第12条関係

ア 第2項の規定により「隔離」した動物については、必要に応じ、試験に支障を来さない限り試験責任者による治療措置の承認を受けて治療を施すことができること。この場合において、治療を必要とした理由、当該治療措置の承認、治療法、治療薬剤、治療の日付、治療結果等を記録し、保管しなければならないこと。

イ 第4項の「必要な措置」には、次の各号に定める措置を含むものであること。

(ア) 必要に応じ、室内で各動物を識別するための情報をケージ、檻又は架台の外部に明示すること。

(イ) 異種の動物は、原則として別々の飼育室に収容すること。

(ウ) 同一の飼育室に同種の動物を収容し、異なる試験に使用する場合には、空間をおいた適切な区分及び識別を施すこと。

ウ 第5項の「衛生的に管理」には、次の各号に定める措置を含むものであること。

(ア) 動物のケージ、檻、架台及び附属装置については、清浄かつ衛生的に保持されるよう適切な間隔で所要の措置を講じること。

(イ) 動物のケージ又は檻に使用される床敷については、試験の目的又は実施に支障を来すものであってはならず、かつ、動物を乾燥した清潔な環境に置くため、必要な頻度で取り替えること。

(ウ) 動物の飼料及び水については、定期的に分析すること。この場合において、その分析の記録は、生データとして保管されなければならない。

(エ) 適切な試験の実施に支障を来すような洗剤又は殺虫剤は、これを使用しないこと。洗剤又は殺虫剤を使用した場合には、記録すること。

(9) 第13条関係

ア 第1項の「適切な管理」には、次の各号に定める措置を含むものであること。

(ア) 適切な保管場所を確保すること。

(イ) 汚染や品質低下のおそれのない方法で配布を行うこと。

(ウ) 配布の過程を通じて、必要な表示を行うこと。

(エ) 被験物質及び対照物質の同一性、含量、純度、組成等これらの物質を規定する特性については、その測定が困難な物質を除き、試験委託者等又は試験施設が原則として試験開始前に確認すること。この場合において、対照物質として市販の製品を用いる場合は、その物質を規定する特性についての表示を記録することにより、これらの測定又は記録に替えることができること。

(オ) 被験物質又は対照物質の安定性については、原則として試験の開始前に測定すること。試験開始前に安定性を測定できない場合にあっては、安定性試験に関する標準操作手順書を定め、それに従って定期的に分析を行なうこと。この場合において、安定であることが明らかであり、かつ、安定性を測定できない場合にあっては、その旨を記録することにより、これらの測定に替えることができること。また、安定性の評価が困難な抽出液又は抽出物を抽出後、標準操作手順書に従いすみやかに使用する場合についてはこの限りではないこと。

(カ) 被験物質又は対照物質の保管容器ごとに名称、略名又はコード番号及びロット番号を明記するとともに、有効期限のあるものについてはその日付、特定の保管条件が必要であるものについてはその条件を、それぞれ明記すること。

なお、この場合において、専用の保管容器の特定が必要とされる被験物質については、その旨を指定すること。

(キ) 試験施設は、4週間以上にわたる試験に用いる被験物質及び対照物質のロットごとのサンプルを、薬事法施行規則第101条(第110条において準用する場合を含む。)、第104条第1号及び第2号に規定する期間保存すること。ただし、当該被験物質又は対照物質の品質が著しく変化するものにあっては、その品質が評価に耐えうる期間保存すること。

イ 第2項の「測定等により適切に使用」には、次の各号に定める措置を含むものであること。

(ア) 被験物質又は対照物質を媒体と混合物して使用する場合の被験物質又は対照物質の安定性については、その測定が困難な場合を除き、原則として、被験物質等の使用開始前に混合後の被験物質又は対照物質の安定性を測定すること。

使用開始前に安定性を測定できない事情がある場合にあっては、安定性試験に関する標準操作手順書を定め、それに従って定期的に分析すること。この場合において安定であることが明らかであり、かつ、安定性を測定できない場合にあってはその旨を記録することにより、これらの測定に替えることができること。また、安定性の評価が困難な抽出液又は抽出物を抽出後、標準操作手順書に従いすみやかに媒体と混合して使用する場合はこの限りでない。更に、必要に応じ、被験物質等の使用開始前にその測定が困難な場合を除き、その均一性を測定するとともに、混合物中の被験物質又は対照物質の濃度を定期的に測定すること。

(イ) 混合物中の各成分については、使用期限があるときはその日付を保管容器に表示すること。この場合において、二以上の成分につき使用期限があるときは、早い方の日付を表示するものとすること。

(10) 第15条関係

ア 試験計画書は試験責任者の責任において作成するものであること。

イ 第1項の各号には次の内容を含むものであること。

(ア) 第5号の「被験物質及び対照物質に関する事項」には、その名称、略称又はコード番号

(イ) 第6号の「試験系に関する事項」には、その種、系統、数、年齢、性別、体重範囲、供給源、選択の理由及び識別方法

(ウ) 第7号の「試験の実施方法に関する事項」には、偏りを小さくする実験計画法、試験系の環境条件、飼料の名称又はコード番号(混在する可能性がある汚染物が一定の濃度以上含まれていると、試験の目的又は遂行に支障を来す場合にあっては、その許容濃度の設定も含む。)、被験物質又は対照物質の溶解又は懸濁のために使用される溶媒及び乳化剤並びにその他の媒体として使用される物質、被験物質及び対照物質の使用方法及びその選択理由、被験物質及び対照物質の使用方法及び使用期間並びにそれらの選択理由、準拠する生物学的安全性試験に関する規格名(該当する場合)並びに実施される観察、測定、検査及び分析の種類、頻度、実施方法及び日程

(11) 第16条関係

ア 第1項の「適切に実施」には次の内容を含むものであること。

(ア) 試験ごとに固有の識別を定め、試験に関する記録、標本等にはこの識別を行なうこと。

(イ) 標本には、試験の種類、試験系の識別番号及び採取日を適切な方法で表示すること。

(ウ) 組織標本の病理組織学的検索を行うときは、当該標本についての剖検時の肉眼的観察記録が当該検索を担当するものにより利用できるようにすること。

イ 第2項の「適切に記録」には次の内容を含むものであること。

(ア) 生データは、コンピューターに直接入力する場合を除いて、容易に消すことのできない方法で、直接、直ちに、かつ、読みやすく記録すること。

(イ) コンピューターにより直接生データを記録する場合にあっては、生データの入力の日付及び入力者を記録すること。

ウ 第3項の「適切に訂正」には次の内容を含むものであること。

(ア) 生データの記載事項の訂正については、最初の記載事項を不明瞭にしない方法で行うとともに、その変更の理由が明示され、かつ、変更の時点でその日付及び変更者の署名又は記名なつ印を行う等、訂正者の確認ができるようにすること。また、コンピューターに記録された事項の訂正についても、最初の記載事項を不明瞭にしない方法で行うとともに、その変更の理由及び日付並びにその入力者を記録すること。

(12) 第17条関係

ア 最終報告書は試験責任者の責任において作成するものであること。

イ 第1項の各号には次の内容を含むものであること。

(ア) 第4項の「試験責任者その他試験に従事したものの氏名」には、その業務分担

(イ) 第5項の「被験物質及び対照物質に関する事項」には、その名称、略称、又はコード番号及びロット番号並びに同一性、含量、純度、組成等これらの物質を規定する特性及び使用条件下における安定性

(ウ) 第6項の「試験系に関する事項」には、種、系統、数、年齢、性別、体重範囲、供給源、入手年月日及び飼育条件

(エ) 第8項の「試験の実施方法に関する事項」には、被験物質又は対照物質の使用方法設定の理由並びに実施された観察、測定、検査及び分析の種類及び頻度並びにこれらの実施方法

(13) 第18条関係

ア 第1項の「適切に保存」には、次の内容を含むものであること。

(ア) 標本又は生データを最終報告書と別に保管するときは、当該最終報告書を保管する施設においてその旨を記録すること。

(イ) 試験関係資料は被験物質、試験系及び試験の種類ごとに索引をつける等、検索に便利な方法で整理し、保管すること。

イ 第1項の規定による試験関係資料の保存期間は、薬事法施行規則第101条(第11O条第1項において準用する場合も含む。)に規定する期間とする。ただし、組織化学標本、電子顕微鏡標本及び血液標本等、保管中に品質が著しく変化する湿標本及び特別に作成された標本の保管期間は、その品質が評価に耐えうる期間とする。