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○医療ガーゼ・医療脱脂綿の基準について

(平成17年6月30日)

(薬食機発第0630001号)

(各都道府県知事衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知)

平成16年12月28日厚生労働省告示第461号をもって、「日本薬局方を定める件(平成13年3月厚生労働省告示第111号)の一部を改正する件」が公布され、ガーゼ、滅菌ガーゼ、脱脂綿、精製脱脂綿、滅菌脱脂綿、滅菌精製脱脂綿(以下、「ガーゼ等」という。)及び絆創膏の局方からの削除については平成17年4月1日に施行された。

削除される以前の局方に適合するガーゼ等に該当するものについて、局方からの削除後に製造販売・製造する場合、医療機器製造販売業・医療機器製造業許可を要するものである。

今般、ガーゼ等が医薬品から医療機器の「医療ガーゼ」又は「医療脱脂綿」に移行したことを鑑み、新たに基準を定めたので、下記にご留意のうえ、関係者に対する周知徹底に御配慮頂きたい。

なお、本通知の写しを独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長、日本医療機器産業連合会会長、在日米国商工会議所医療機器・IVD小委員会委員長及び欧州ビジネス協会協議会医療機器委員会委員長あて送付することとしている。

「医療ガーゼ」及び「医療脱脂綿」の基準については、別紙のとおりとする。

なお、各国薬局方などの適切な基準に基づき、本基準に代えることも可能であるが、この場合、基づいた基準及びその形状に関する情報(条数・標準重量など)を、これに添付する文書又はその容器若しくは被包に表示しなければならない。

別紙

医療ガーゼ・医療脱脂綿基準

1.目的

「医療ガーゼ・医療脱脂綿基準(以下、「本基準」という。)」は、「医療ガーゼ」及び「医療脱脂綿」の品質を恒常的に保証することを目的とする。

2.適用範囲

本基準は、平成17年厚生労働省告示第71号の「医療ガーゼ」及び「医療脱脂綿」に適用する。

3.定義

(1) 医療ガーゼとは、出血の抑制、液の吸収、擦過傷、乾燥又は汚染からの器官の保護のため、外科切開口、他の皮膚創傷又は内部構造に適用することを目的とする主としてガーゼから成る器具をいう。

(2) 医療脱脂綿とは、医薬品を塗布する又は患者の体表から少量の体液を吸収する医療目的に使用されるパッド状の綿繊維からなる材料である。

(3) 綿繊維とは、Gossypium属の種子の毛を脱脂し、漂白したものである。

4.無菌性保証

滅菌済みであることを標榜するものは、滅菌バリデーション基準又はこれと同等以上の基準に基づき無菌性を保証しなければならない。

5.包装

(1) 一次包装

製品を清潔に、又は無菌に保つために滅菌紙又はフィルムもしくはそれらの組合せ等で包装したものを言い、使用前に容易に破れる恐れが無く、微生物の侵入を防止することができ、通常の取り扱い、輸送、保管中に内容物を適切に保護できるものであること。ただし、一次包装は単回使用の包装とする。

(2) 二次包装

販売される最小包装単位であり、直接の容器又は直接の被包に該当する。販売される形態として、一次包装の形で流通する場合は二次包装に記載すべき事項を一次包装に記載する。

6.要求事項

(1) 医療ガーゼは、次に掲げる事項に適合しなければならない。

ア 水溶性物質

本品20gに水500mLを加え、蒸発する水を補いながら15分間穏やかに煮沸し、漏斗を用いて浸液を1000mLのメスフラスコに入れ、ガーゼを漏斗に移し、ガーゼに含まれた液をガラス棒で圧し、熱湯250mLずつで2回洗い、毎回ガーゼを圧して浸液及び洗液を合わせ、ろ過した後、水を加えて1000mLとする。ろ液400mLをビーカーにとり、蒸発濃縮し、秤量瓶に入れ、ビーカーを少量の水で洗い、洗液を秤量瓶に合わせ、105℃で恒量になるまで乾燥するとき、残留物は、20mg以下である。同様の方法で空試験を行い補正する。

イ 酸又はアルカリ

アの浸液200mL(常温まで冷却したもの。以下同じ。)にフェノールフタレイン試液5滴を加えるとき、液は赤色を呈しない。また、浸液200mLにメチルオレンジ試液2滴を加えるとき、液は赤色を呈しない。

ウ デキストリン又はでんぷん

アの浸液200mLにヨウ素試液2滴を加えるとき、液は赤紫色~青色を呈しない。

エ 色素

本品10gにエタノール(95)80mLを加えて冷浸し、圧出して浸液50mLをとり、ネスラー管に入れ、上方から観察するとき、液の色は黄色を呈することがあっても青色又は緑色を呈しない。

オ 蛍光増白剤

本品は、暗所で紫外線を照射するとき、全面に染着された蛍光を認めない。

カ 沈降速度

本品10gをとり、径0.4mmの銅線を用いて作った径50mm、深さ80mm、線と線の距離20mmで重さ3gの試験かごの中に均等に入れ、水温24~26℃の水面上12mmの高さからかごを横にし、深さ200mmの水の中に静かに落とすとき、かごは8秒間以内に水面下に沈む。

キ その他の繊維

本品1gを0.5mol/Lヨウ素試液に1分間浸し、よく水で洗うとき、着色した繊維を認めない。

ク 形状試験

本品の形状を次に示す。

タイプ

1cm間の条数(本)

1cm×1cmの条数の許容誤差

標準幅(cm)

標準質量(g)

縦糸

横糸

平均

許容誤差

平均

許容誤差

12

±1

12

±1

24+2

24-1

30+0.5

30-1.0

幅30cm 長さ100cm 10.3±8%

12

±1

12

±1

24+2

24-1

91.4±1.5

幅91.4cm 長さ30cm 8.7±8%

11

±1

9

±1

20+2

20-1

91.4±1.5

幅91.4cm 長さ30cm 7.6±8%

9

±1

8

±1

17+2

17-1

91.4±1.5

幅91.4cm 長さ30cm 6.1±8%

長さ:本品を平らな台の上に置き、不自然なしわや張力を除き、全長を置尺で中心線を測定するとき、表示の95%以上である。ただし、長さの方向の両端に密織部分のあるものは全長を測定し、密織部分のないものは網目組織だけを測定する。

幅:本品を平らな台の上に置き、不自然なしわや張力を除き、異なった3箇所以上について全幅を置尺で測定するとき、その平均値は表示が5cm以下のものは表示の80~120%、5cmを越え、30cm以下のものは表示の-1.0cm~+0.5cm、30cmを越えるものは表示の±1.5cmとする。ただし、幅の方向に密織部分があるものは全幅を測定し、密織部分のないものは網目組織だけを測定する。

条数:1cm×1cmの空間のある枠を作り、枠の端に糸を合わせ、枠内の条数を数え整数位を読み3回以上の平均値をとる。ただし、密織部分を除く。

質量:本品を約10cm平方にたたみ、あらかじめ亜硝酸ナトリウム飽和溶液の蒸気で飽和したデシケーターに入れ、常温で4時間放置した後、質量を量る。各タイプのもので標準幅、長さがなく、種々の幅、長さに加工されたものは約900cm2になるよう試料を採取し、規格値の標準面積の質量から換算して算出する。この場合の許容誤差は、±12%である。ただし、長さ又は幅の方向の両端に密織部分があるものは全長又は全幅を測定し、また、長さ又は幅の方向に密織部分のないものは網目組織だけに調整して長さ又は幅を測定し、規格値の標準面積の質量から換算して算出する。

ケ 灰分

あらかじめ白金製、石英製又は磁製のるつぼを500~550℃で1時間強熱し、放冷後、その質量を精密に量る。本品5gを採取し、前のるつぼに入れ、その質量を精密に量り、必要ならばるつぼのふたをとるか、又はずらし、初めは弱く加熱し、徐々に温度を上げて500~550℃で4時間以上強熱して、炭化物が残らなくなるまで灰化する。放冷後、その質量を精密に量る。再び残留物を恒量になるまで灰化し、放冷後、その質量を精密に量り、灰分の量(%)とする。灰分の量は、0.25%以下である。

この方法で、なお炭化物が残り、恒量にならないときは、熱湯を加えて浸出し、定量用ろ紙を用いてろ過し、残留物はろ紙及びろ紙上の不溶物と共に炭化物がなくなるまで強熱する。これにろ液を加えた後、蒸発乾固し、強熱する。放冷後、質量を精密に量り、灰分の量(%)とする。この方法でも炭化物が残るときは、エタノール(95)少量を加えて潤し、ガラス棒で炭化物を砕き、ガラス棒をエタノール(95)少量で洗い、エタノールを注意して蒸発した後、前と同様に操作して灰分を量る。放冷はデシケーター(シリカゲル)で行う。

(2) 医療脱脂綿は、次に掲げる事項に適合しなければならない。

この試験に用いる試料は本品の10箇所の異なった部分から、約5gずつ計約50gを採取し、十分ほぐして用いる。

ア 酸又はアルカリ

本品10gに新たに煮沸して冷却した水100mLを加えて冷浸し、浸液25mLにフェノールフタレイン試液3滴を加えるとき、液は赤色を呈しない。また、浸液25mLにメチルオレンジ試液1滴を加えるとき、液は赤色を呈しない。

イ 水溶性物質

本品5gに水500mLを加え、蒸発する水を補いながら30分間穏やかに煮沸し、漏斗を用いて浸液を他の容器に入れ、綿を漏斗上に移し、綿に含まれた液をガラス棒で圧出し、熱湯150mLずつで2回洗い、毎回綿を圧して浸液及び洗液を合わせてろ過する。ろ液を蒸発濃縮し、秤量瓶に入れ、105℃で恒量になるまで乾燥するとき、残留物は、14mg以下である。同様の方法で空試験を行い補正する。

ウ 色素

本品10gにエタノール(95)100mLを加えて冷浸し、圧出して浸液50mLをとり、ネスラー管に入れ、上方から観察するとき、液の色は黄色を呈することがあっても青色又は緑色を呈しない。

エ 蛍光増白剤

本品は、暗所で紫外線を照射するとき、全面に染着された蛍光を認めない。

オ 沈降速度

本品5gをとり、径0.4mmの銅線を用いて作った径50mm、深さ80mm、線と線の距離20mmで重さ3gの試験かごの中に入れ、水温24~26℃の水面上12mmの高さからかごを横にし、深さ200mmの水の中に静かに落とすとき、かごは8秒間以内に水面下に沈む。

カ 吸水量

オで沈下したかごを水底に3分間放置した後、横にして水中から静かに取り出し、10号ふるいの金網上に1分間横において水を滴下させ、ビーカーに入れ、その質量を量るとき、吸水量は100g以上である。

キ その他の繊維

本品1gを0.5mol/Lヨウ素試液に1分間浸し、よく水で洗うとき、着色した繊維を認めない。

ク ネップ及び混在物

本品約1gを10cm平方の2枚の無色の透明板の間に均等に拡げ、透過光でネップ及び混在物(果皮または種子の破片など)を検査するとき、径2.5mm以上のネップ及び混在物の合計は5個以下である。

ケ 灰分

あらかじめ白金製、石英製又は磁製のるつぼを500~550℃で1時間強熱し、放冷後、その質量を精密に量る。本品5gを採取し、前のるつぼに入れ、その質量を精密に量り、必要ならばるつぼのふたをとるか、又はずらし、初めは弱く加熱し、徐々に温度を上げて500~550℃で4時間以上強熱して、炭化物が残らなくなるまで灰化する。放冷後、その質量を精密に量る。再び残留物を恒量になるまで灰化し、放冷後、その質量を精密に量り、灰分の量(%)とする。灰分の量は、0.25%以下である。

この方法で、なお炭化物が残り、恒量にならないときは、熱湯を加えて浸出し、定量用ろ紙を用いてろ過し、残留物はろ紙及びろ紙上の不溶物と共に炭化物がなくなるまで強熱する。これにろ液を加えた後、蒸発乾固し、強熱する。放冷後、質量を精密に量り、灰分の量(%)とする。この方法でも炭化物が残るときは、エタノール(95)少量を加えて潤し、ガラス棒で炭化物を砕き、ガラス棒をエタノール(95)少量で洗い、エタノールを注意して蒸発した後、前と同様に操作して灰分を量る。放冷はデシケー夕ー(シリカゲル)で行う。

7.表示

医療ガーゼは、これに添付する文書又はその容器若しくは被包に次の事項を表示しなければならない。

本基準に基づく場合、その形状のタイプ及び寸法(折りたたみガーゼの場合は、折り上がり寸法と重なり枚数)