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○定期の予防接種による事故の防止について(勧告)
(平成一七年六月七日)
(健感発第〇六〇七〇〇一号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)
予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)に基づく定期の予防接種による事故の防止については、「予防接種による事故の防止について」(平成十五年十二月二十四日健感発第一二二四〇〇一号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)(以下「課長通知」という。)により要請しているところ、今般、茨城県、東京都、愛知県、三重県及び大阪府管内の市区において、相次いで有効期間が経過したポリオワクチンを接種した違法な事例が発生した。これらは、有効期間の終期が間近に到来するワクチンが供給されたことも要因の一つであるが、いずれにせよ、定期の予防接種の安全性及び信頼性の確保を図るため、この種の事故再発の防止については、左記の事項に留意の上、定期の予防接種の実施に遺憾のないようにされたい。
本通知は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十五条の四第一項に規定する勧告である。
あわせて、同項の規定に基づき、ポリオワクチンその他のワクチンについて、同種の有効期間が経過した事例がないか調査の上、貴管下市町村(保健所を設置する市及び特別区を含む。以下同じ。)分を取りまとめ、六月二十四日までに本職まで関係資料を提出されたい。
なお、貴管下市町村及び関係機関に対しては、貴職から周知願いたい。
記
1 有効期間を経過したワクチンの有効性と安全性
定期の予防接種は、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第四十二条第一項に規定する検定に合格し、かつ、同法第四十二条第一項の規定に基づく厚生労働大臣の定める基準に現に適合している接種液を用いなければならないこととされており、有効期間を経過した接種液を用いることは、同基準及び予防接種実施規則(昭和三十三年厚生省令第二十七号)第二条の規定に違反するものであること。
また、有効期間を経過したワクチンについては、直ちに有効性が否定されるものではなく、安全性についての疑義が完全に否定できるともいえないことから、同種の有効期間内のワクチンの再接種を積極的に勧奨する必要はないが、再接種を特に希望する保護者に対して必要な説明の上、明示の同意を得て、定期の予防接種として実施することは、差し支えない。
2 健康被害に対する取扱いについて
適法な定期の予防接種が実施されなかった場合に、健康被害が生じたときは、第一義的には、当該定期の予防接種を実施した市町村に損害賠償責任が生ずるものであること。
なお、予防接種法第十一条第一項に基づく定期の予防接種による健康被害の救済の給付の申請があって、厚生労働大臣による因果関係の認定があった場合においては、市町村は救済の給付を行うこととなるが、これについては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)の規定により、予防接種法第二十三条第二項による国庫の負担の対象外となること。
3 公表の実施等
定期の予防接種による事故が発生した場合は、直ちに保護者等に十分な説明を行うとともに、速やかに広く公表し、再発防止のための対策を徹底すること。
4 予防接種実施要領の遵守等
定期の予防接種の実施については、予防接種法及び結核予防法(昭和二十六年法律第九十六号)、これらに基づく命令並びに関係法令を遵守するとともに、「定期の予防接種実施要領」(平成十七年一月二十七日健発第〇一二七〇〇五号厚生労働省健康局長通知)及び課長通知に従い、各市町村等において事故防止のためのマニュアルを作成し、適正な実施を確保すること。
5 定期の予防接種の実施計画の策定
出生児数、乳幼児の人口、接種率の推測により、定期の予防接種の実施計画を策定し、ワクチンの発注を的確に行うこと。
なお、同計画の策定に当たっては、ワクチンの有効期間を考慮し、定期の予防接種の時期とワクチンの有効期間の終期が重複しないように留意すること。