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○身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について

(平成15年1月10日)

(障発第0110001号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

身体障害者福祉法施行規則(昭和25年厚生省令第15号)の別表第5号「身体障害者障害程度等級表」の解説については、「身体障害者障害程度等級表について」(昭和59年9月28日社更第127号厚生省社会局長通知)により取り扱ってきたところであるが、今般、新たに別紙のとおり「身体障害認定基準」を定め、平成15年4月1日から適用することとしたので、留意の上、その取扱いに遺憾なきよう願いたい。

また、今後は本通知の別紙を「身体障害認定基準」と位置づけ、その取扱いについては別に定める「身体障害認定要領」によることとする。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言(ガイドライン)として位置づけられるものである。

おって、平成15年3月31日をもって、「身体障害者障害程度等級表について」(昭和59年9月28日社更第127号厚生省社会局長通知)は、廃止する。

別紙

身体障害認定基準

第1 総括事項

1 身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号。以下「法」という。)は、身体障害者の更生援護を目的とするものであるが、この場合の「更生」とは必ずしも経済的、社会的独立を意味するものではなく、日常生活能力の回復をも含む広義のものであること。従って、加齢現象に伴う身体障害及び意識障害を伴う身体障害についても、日常生活能力の回復の可能性又は身体障害の程度に着目することによって障害認定を行うことは可能であること。なお、意識障害の場合の障害認定は、常時の医学的管理を要しなくなった時点において行うものであること。

2 法別表に規定する「永続する」障害とは、その障害が将来とも回復する可能性が極めて少ないものであれば足りるという趣旨であって、将来にわたって障害程度が不変のものに限られるものではないこと。

3 乳幼児に係る障害認定は、障害の種類に応じて、障害の程度を判定することが可能となる年齢(概ね満3歳)以降に行うこと。

また、第2の個別事項の解説は主として18歳以上の者について作成されたものであるから、児童の障害程度の判定については、その年齢を考慮して妥当と思われる等級を認定すること。この場合、治療や訓練を行うことによって将来障害が軽減すると予想されるときは、残存すると予想される障害の限度でその障害を認定して身体障害者手帳を交付し、必要とあれば適当な時期に診査等によって再認定を行うこと。

4 身体障害の判定に当たっては、知的障害等の有無にかかわらず、法別表に掲げる障害を有すると認められる者は、法の対象として取り扱って差し支えないこと。なお、身体機能の障害が明らかに知的障害等に起因する場合は、身体障害として認定することは適当ではないので、この点については、発達障害の判定に十分な経験を有する医師(この場合の発達障害には精神及び運動感覚を含む。)の診断を求め、適切な取扱いを行うこと。

5 7級の障害は、1つのみでは法の対象とならないが、7級の障害が2つ以上重複する場合又は7級の障害が6級以上の障害と重複する場合は、法の対象となるものであること。

6 障害の程度が明らかに手帳に記載されているものと異なる場合には、法第17条の2第1項の規定による診査によって再認定を行うこと。正当な理由なくこの診査を拒み忌避したときは、法第16条第2項の規定による手帳返還命令等の手段により障害認定の適正化に努めること。

第2 個別事項

一 視覚障害

1 総括的解説

(1) 視力の屈折異常がある者については、眼科的に最も適当な矯正眼鏡を選び、矯正後の視力によって判定する。

(2) 視力表は万国式を基準とした視力表を用いるものとする。

(3) 視野はゴールドマン視野計及び自動視野計又はこれらに準ずるものを用いて測定する。ゴールドマン視野計を用いる場合、中心視野の測定にはⅠ/2の視標を用い、周辺視野の測定にはⅠ/4の視標を用いる。それ以外の測定方法によるときは、これに相当する視標を用いることとする。

2 各項解説

(1) 視力障害

ア 等級表中「両眼の視力の和」とは両眼視によって累加された視力の意味でなく、両眼の視力を別々に測った数値の和のことである。

これを図解すれば次の表のとおりである。

0.1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

0.2

5

 

 

 

 

 

0.09

 

 

 

 

 

 

 

 

 

0.18

5

0.19

5

 

 

 

 

 

0.08

 

 

 

 

 

 

 

 

0.16

5

0.17

5

0.18

5

 

 

 

 

 

0.07

 

 

 

 

 

 

 

0.14

5

0.15

5

0.16

5

0.17

5

 

 

 

 

 

0.06

 

 

 

 

 

 

0.12

4

0.13

5

0.14

5

0.15

5

0.16

5

 

 

 

 

 

0.05

 

 

 

 

 

0.1

4

0.11

4

0.12

4

0.13

5

0.14

5

0.15

5

 

 

 

 

 

0.04

 

 

 

 

0.08

3

0.09

4

0.1

4

0.11

4

0.12

4

0.13

5

0.14

5

 

 

 

 

 

0.03

 

 

 

0.06

3

0.07

3

0.08

3

0.09

4

0.1

4

0.11

4

0.12

4

0.13

5

 

 

 

 

 

0.02

 

 

0.04

2

0.05

3

0.06

3

0.07

3

0.08

3

0.09

4

0.1

4

0.11

4

0.12

4

0.22

6

0.32

6

0.42

6

0.52

6

0.62

6

0.01

 

0.02

2

0.03

2

0.04

2

0.05

3

0.06

3

0.07

3

0.08

3

0.09

4

0.1

4

0.11

4

0.21

6

0.31

6

0.41

6

0.51

6

0.61

6

0

0

1

0.01

1

0.02

2

0.03

2

0.04

2

0.05

3

0.06

3

0.07

3

0.08

3

0.09

4

0.1

4

0.2

5

0.3

6

0.4

6

0.5

6

0.6

6

 

0

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

0.07

0.08

0.09

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

すなわち横軸及び縦軸に両眼の視力をとれば上段は視力の和、下段は等級を示す。

例えば一眼の視力0.04、他眼の視力0.08ならばその和は0.12となり4級となる。

イ 視力0.01にみたないものの内、明暗弁のもの又は手動弁のものは視力0として計算し、指数を弁ずるもの(50cm以下)は0.01として計算する。例えば一眼明暗、他眼0.04のものは、視力の和は0.04となり2級となる。

ウ 両眼を同時に使用できない複視の場合は、非優位眼の視力を0として取り扱う。例えば両眼とも視力が0.6で眼筋麻痺により複視の起こっているものは一眼の視力を0とみなし6級となる。

(2) 視野障害

ア 「両眼の視野が10度以内」とは、求心性視野狭窄の意味であり、輪状暗点があるものについて中心の残存視野がそれぞれ10度以内のものを含む。

イ 視野の正常域の測定値は、内・上・下内・内上60度、下70度、上外75度、外下80度、外95度であり、合計560度になる。

ウ 両眼の視能率による損失率は、各眼毎に8方向の視野の角度を測定し、その合算した数値を560で割ることで各眼の損失率を求める。さらに、次式により、両眼の損失率を計算する。損失率は百分率で表す(各計算における百分率の小数点以下は四捨五入とし、整数で表す。)。

(3×損失率の低い方の眼の損失率+損失率の高い方の眼の損失率)/4

エ 「両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの」とは、両眼で一点を注視しつつ測定した視野の生理的限界の面積が2分の1以上欠損している場合の意味である。したがって両眼の高度の不規則性視野狭窄又は半盲性視野欠損等は該当するが、交叉性半盲症等では、該当しない場合もある。

この場合の視野の測定方法は、片眼ずつ測定し、それぞれの視野表を重ね合わせることで視野の面積を測定する。その際、面積は厳格に測定しなくてもよいが、診断書には視野表を添付する必要がある。

二 聴覚又は平衡機能の障害

1 聴覚障害

(1) 聴力測定には純音による方法と言語による方法とがあるが、聴力障害を表すにはオージオメータによる方法を主体とする。

(2) 聴力測定は、補聴器を装着しない状態で行う。

(3) 検査は防音室で行うことを原則とする。

(4) 純音オージオメータ検査

ア 純音オージオメータはJIS規格を用いる。

イ 聴力レベルは会話音域の平均聴力レベルとし、周波数500、1,000、2,000ヘルツの純音に対する聴力レベル(dB値)をそれぞれa、b、cとした場合、次の算式により算定した数値とする。

(a+2b+c)/4

周波数500、1,000、2,000ヘルツの純音のうち、いずれか1又は2において100dBの音が聴取できない場合は、当該部分のdBを105dBとし、上記算式を計上し、聴力レベルを算定する。

なお、前述の検査方法にて短期間中に数回聴力測定を行った場合は、最小の聴力レベル(dB値)をもって被検査者の聴力レベルとする。

(5) 言語による検査

ア 語音明瞭度の検査語は、次に定める語集による。検査に当たっては、通常の会話音の強さでマイク又は録音機により発声し、その音量を適度に調節し、被検査者に最も適した状態で行う。

検査語はその配列を適宜変更しながら2秒から3秒に1語の割合で発声し、それを被検査者に書きとらせ、その結果、正答した語数を検査語の総数で除して、求められた値を普通話声の最良の語音明瞭度とする。

語音明瞭度検査語集

イ 聴取距離測定の検査語は良聴単語を用いる。大声又は話声にて発声し、遠方より次第に接近し、正しく聴こえた距離をその被検査者の聴取距離とする。

ウ 両検査とも詐病には十分注意すべきである。

2 平衡機能障害

(1) 「平衡機能の極めて著しい障害」とは、四肢体幹に器質的異常がなく、他覚的に平衡機能障害を認め、閉眼にて起立不能、又は開眼で直線を歩行中10m以内に転倒若しくは著しくよろめいて歩行を中断せざるを得ないものをいう。

(2) 「平衡機能の著しい障害」とは、閉眼で直線を歩行中10m以内に転倒又は著しくよろめいて歩行を中断せざるを得ないものをいう。

具体的な例は次のとおりである。

a 末梢迷路性平衡失調

b 後迷路性及び小脳性平衡失調

c 外傷又は薬物による平衡失調

d 中枢性平衡失調

三 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害

(1) 「音声機能又は言語機能の喪失」(3級)とは、音声を全く発することができないか、発声しても言語機能を喪失したものをいう。

なお、この「喪失」には、先天性のものも含まれる。

具体的な例は次のとおりである。

a 音声機能喪失…無喉頭、喉頭部外傷による喪失、発声筋麻痺による音声機能喪失

b 言語機能喪失…ろ・う・あ・、聴・あ・、失語症

(2) 「音声機能又は言語機能の著しい障害」(4級)とは、音声又は言語機能の障害のため、音声、言語のみを用いて意思を疎通することが困難なものをいう。

具体的な例は次のとおりである。

a 喉頭の障害又は形態異常によるもの

b 構音器官の障害又は形態異常によるもの(唇顎口蓋裂の後遺症によるものを含む)

c 中枢性疾患によるもの

(3) 「そしゃく機能の喪失(注1)」(3級)とは、経管栄養以外に方法のないそしゃく・嚥下機能の障害をいう。

具体的な例は次のとおりである。

a 重症筋無力症等の神経・筋疾患によるもの

b 延髄機能障害(仮性球麻痺、血管障害を含む)及び末梢神経障害によるもの

c 外傷、腫瘍切除等による顎(顎関節を含む)、口腔(舌、口唇、口蓋、頬、そしゃく筋等)、咽頭、喉頭の欠損等によるもの

(4) 「そしゃく機能の著しい障害(注2)」(4級)とは、著しいそしゃく・嚥下機能または、咬合異常によるそしゃく機能の著しい障害をいう。

具体的な例は次のとおりである。

a 重症筋無力症等の神経・筋疾患によるもの

b 延髄機能障害(仮性球麻痺、血管障害を含む)及び末梢神経障害によるもの

c 外傷・腫瘍切除等による顎(顎関節を含む)、口腔(舌、口唇、口蓋、頬、そしゃく筋等)、咽頭、喉頭の欠損等によるもの

d 口唇・口蓋裂等の先天異常の後遺症による咬合異常によるもの

(注1) 「そしゃく機能の喪失」と判断する状態について

そしゃく・嚥下機能の低下に起因して、経口的に食物等を摂取することができないため、経管栄養(口腔、鼻腔、胃瘻より胃内に管(チューブ)を挿入して流動食を注入して栄養を補給する方法)以外に方法がない状態をいう。

(注2) 「そしゃく機能の著しい障害」と判断する状態について

「そしゃく・嚥下機能の低下に起因して、経口摂取のみでは十分な栄養摂取ができないために、経管栄養(口腔、鼻腔、胃瘻より胃内に管(チューブ)を挿入して流動食を注入して栄養を補給する方法)の併用が必要あるいは摂取できる食物の内容、摂取方法に著しい制限がある(注3)状態」又は「口唇・口蓋裂等の先天異常の後遺症による著しい咬合異常があるため、歯科矯正治療等を必要とする状態」をいう。

(注3) 「摂取できる食物の内容、摂取方法に著しい制限がある」と判断する状態について

開口不能のため流動食以外は摂取できない状態又は誤嚥の危険が大きいため、摂取が半固形物(ゼラチン・寒天・増粘剤添加物等)等、極度に限られる状態をいう。

四 肢体不自由

1 総括的解説

(1) 肢体不自由は機能の障害の程度をもって判定するものであるが、その判定は、強制されて行われた一時的能力でしてはならない。

例えば、肢体不自由者が無理をすれば1kmの距離は歩行できるが、そのために症状が悪化したり、又は疲労、疼痛等のために翌日は休業しなければならないようなものは1km歩行可能者とはいえない。

(2) 肢体の疼痛又は筋力低下等の障害も、客観的に証明でき又は妥当と思われるものは機能障害として取り扱う。

具体的な例は次のとおりである。

a 疼痛による機能障害

筋力テスト、関節可動域の測定又はエックス線写真等により、疼痛による障害があることが医学的に証明されるもの

b 筋力低下による機能障害

筋萎縮、筋の緊張等筋力低下をきたす原因が医学的に認められ、かつ、徒手筋力テスト、関節可動域の測定等により、筋力低下による障害があることが医学的に証明されるもの

(3) 全廃とは、関節可動域(以下、他動的可動域を意味する。)が10度以内、筋力では徒手筋力テストで2以下に相当するものをいう(肩及び足の各関節を除く。)。

機能の著しい障害とは、以下に示す各々の部位で関節可動域が日常生活に支障をきたすと見なされる値(概ね90度)のほぼ30%(概ね30度以下)のものをいい、筋力では徒手筋力テストで3(5点法)に相当するものをいう(肩及び足の各関節を除く。)。

軽度の障害とは、日常生活に支障をきたすと見なされる値(概ね90度で足関節の場合は30度を超えないもの。)又は、筋力では徒手筋力テストで各運動方向平均が4に相当するものをいう。

(注4) 関節可動域は連続した運動の範囲としてとらえ、筋力は徒手筋力テストの各運動方向の平均値をもって評価する。

(4) この解説においてあげた具体例の数値は、機能障害の一面を表わしたものであるので、その判定に当たっては、その機能障害全般を総合した上で定めなければならない。

(5) 7級はもとより身体障害者手帳交付の対象にならないが、等級表の備考に述べられているように、肢体不自由で、7級相当の障害が2つ以上ある時は6級になるので参考として記載したものである。

(6) 肢体の機能障害の程度の判定は義肢、装具等の補装具を装着しない状態で行うものであること。なお、人工骨頭又は人工関節については、人工骨頭又は人工関節の置換術後の経過が安定した時点の機能障害の程度により判定する。

(7) 乳幼児期以前に発現した非進行性の脳病変によってもたらされた脳原性運動機能障害については、その障害の特性を考慮し、上肢不自由、下肢不自由、体幹不自由の一般的認定方法によらず別途の方法によることとしたものである。

2 各項解説

(1) 上肢不自由

ア 一上肢の機能障害

(ア) 「全廃」(2級)とは、肩関節、肘関節、手関節、手指の全ての機能を全廃したものをいう。

(イ) 「著しい障害」(3級)とは、握る、摘む、なでる(手、指先の機能)、物を持ち上げる、運ぶ、投げる、押す、ひっぱる(腕の機能)等の機能の著しい障害をいう。

具体的な例は次のとおりである。

a 機能障害のある上肢では5kg以内のものしか下げることができないもの。この際荷物は手指で握っても肘でつり下げてもよい

b 一上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうちいずれか2関節の機能を全廃したもの

(ウ) 「軽度の障害」(7級)の具体的な例は次のとおりである。

a 精密な運動のできないもの

b 機能障害のある上肢では10kg以内のものしか下げることのできないもの

イ 肩関節の機能障害

(ア) 「全廃」(4級)の具体的な例は次のとおりである。

a 関節可動域30度以下のもの

b 徒手筋力テストで2以下のもの

(イ) 「著しい障害」(5級)の具体的な例は次のとおりである。

a 関節可動域60度以下のもの

b 徒手筋力テストで3に相当するもの

ウ 肘関節の機能障害

(ア) 「全廃」(4級)の具体的な例は次のとおりである。

a 関節可動域10度以下のもの

b 高度の動揺関節

c 徒手筋力テストで2以下のもの

(イ) 「著しい障害」(5級)の具体的な例は次のとおりである。

a 関節可動域30度以下のもの

b 中等度の動揺関節

c 徒手筋力テストで3に相当するもの

d 前腕の回内及び回外運動が可動域10度以下のもの

エ 手関節の機能障害

(ア) 「全廃」(4級)の具体的な例は次のとおりである。

a 関節可動域10度以下のもの

b 徒手筋力テストで2以下のもの

(イ) 「著しい障害」(5級)の具体的な例は次のとおりである。

a 関節可動域30度以下のもの

b 徒手筋力テストで3に相当するもの

オ 手指の機能障害

(ア) 手指の機能障害の判定には次の注意が必要である。

① 機能障害のある指の数が増すにつれて幾何学的にその障害は重くなる。

② おや指、次いでひとさし指の機能は特に重要である。

③ おや指の機能障害は摘む、握る等の機能を特に考慮して、その障害の重さを定めなければならない。

(イ) 一側の五指全体の機能障害

① 「全廃」(3級)の具体的な例は次のとおりである。

字を書いたり、箸を持つことができないもの

② 「著しい障害」(4級)の具体的な例は次のとおりである。

a 機能障害のある手で5kg以内のものしか下げることのできないもの

b 機能障害のある手の握力が5kg以内のもの

c 機能障害のある手で鍬又はかなづちの柄を握りそれぞれの作業のできないもの

③ 「軽度の障害」(7級)の具体的な例は次のとおりである。

a 精密なる運動のできないもの

b 機能障害のある手では10kg以内のものしか下げることのできないもの

c 機能障害のある手の握力が15kg以内のもの

(ウ) 各指の機能障害

① 「全廃」の具体的な例は次のとおりである。

a 各々の関節の可動域10度以下のもの

b 徒手筋力テスト2以下のもの

② 「著しい障害」の具体的な例は次のとおりである。

a 各々の関節の可動域30度以下のもの

b 徒手筋力テストで3に相当するもの

(2) 下肢不自由

ア 一下肢の機能障害

(ア) 「全廃」(3級)とは、下肢の運動性と支持性をほとんど失ったものをいう。

具体的な例は次のとおりである。

a 下肢全体の筋力の低下のため患肢で立位を保持できないもの

b 大腿骨又は脛骨の骨幹部偽関節のため患肢で立位を保持できないもの

(イ) 「著しい障害」(4級)とは、歩く、平衡をとる、登る、立っている、身体を廻す、うずくまる、膝をつく、座る等の下肢の機能の著しい障害をいう。

具体的な例は次のとおりである。

a 1km以上の歩行不能

b 30分以上起立位を保つことのできないもの

c 通常の駅の階段の昇降が手すりにすがらねばできないもの

d 通常の腰掛けでは腰掛けることのできないもの

e 正座、あぐら、横座りのいずれも不可能なもの

(ウ) 「軽度の障害」(7級)の具体的な例は次のとおりである。

a 2km以上の歩行不能

b 1時間以上の起立位を保つことのできないもの

c 横座りはできるが正座及びあぐらのできないもの

イ 股関節の機能障害

(ア) 「全廃」(4級)の具体的な例は次のとおりである。

a 各方向の可動域(伸展←→屈曲、外転←→内転等連続した可動域)が10度以下のもの

b 徒手筋力テストで2以下のもの

(イ) 「著しい障害」(5級)の具体的な例は次のとおりである。

a 可動域30度以下のもの

b 徒手筋力テストで3に相当するもの

(ウ) 「軽度の障害」(7級)の具体的な例は次のとおりである。

小児の股関節脱臼で軽度の跛行を呈するもの

ウ 膝関節の機能障害

(ア) 「全廃」(4級)の具体的な例は次のとおりである。

a 関節可動域10度以下のもの

b 徒手筋力テストで2以下のもの

c 高度の動揺関節、高度の変形

(イ) 「著しい障害」(5級)の具体的な例は次のとおりである。

a 関節可動域30度以下のもの

b 徒手筋力テストで3に相当するもの

c 中等度の動揺関節

(ウ) 「軽度の障害」(7級)の具体的な例は次のとおりである。

a 関節可動域90度以下のもの

b 徒手筋力テストで4に相当するもの又は筋力低下で2km以上の歩行ができないもの

エ 足関節の機能障害

(ア) 「全廃」(5級)の具体的な例は次のとおりである。

a 関節可動域5度以内のもの

b 徒手筋力テストで2以下のもの

c 高度の動揺関節、高度の変形

(イ) 「著しい障害」(6級)の具体的な例は次のとおりである。

a 関節可動域10度以内のもの

b 徒手筋力テストで3に相当するもの

c 中等度の動揺関節

オ 足指の機能障害

(ア) 「全廃」(7級)の具体的な例は次のとおりである。

下駄、草履をはくことのできないもの

(イ) 「著しい障害」(両側の場合は7級)とは特別の工夫をしなければ下駄、草履をはくことのできないものをいう。

カ 下肢の短縮

計測の原則として前腸骨棘より内くるぶし下端までの距離を測る。

キ 切断

大腿又は下腿の切断の部位及び長さは実用長をもって計測する。従って、肢断端に骨の突出、瘢痕、拘縮、神経断端腫その他の障害があるときは、その障害の程度を考慮して、上位の等級に判定することもあり得る。

(3) 体幹不自由

体幹とは、頸部、胸部、腹部及び腰部を含み、その機能にはそれら各部の運動以外に体位の保持も重要である。

体幹の不自由をきたすには、四肢体幹の麻痺、運動失調、変形等による運動機能障害である。

これらの多くのものはその障害が単に体幹のみならず四肢にも及ぶものが多い。このような症例における体幹の機能障害とは、四肢の機能障害を一応切り離して、体幹のみの障害の場合を想定して判定したものをいう。従って、このような症例の等級は体幹と四肢の想定した障害の程度を総合して判定するのであるが、この際2つの重複する障害として上位の等級に編入するのには十分注意を要する。例えば臀筋麻痺で起立困難の症例を体幹と下肢の両者の機能障害として2つの2級の重複として1級に編入することは妥当ではない。

ア 「座っていることのできないもの」(1級)とは、腰掛け、正座、横座り及びあぐらのいずれもできないものをいう。

イ 「座位または起立位を保つことの困難なもの」(2級)とは、10分間以上にわたり座位または起立位を保っていることのできないものをいう。

ウ 「起立することの困難なもの」(2級)とは、臥位又は座位より起立することが自力のみでは不可能で、他人又は柱、杖その他の器物の介護により初めて可能となるものをいう。

エ 「歩行の困難なもの」(3級)とは、100m以上の歩行不能のもの又は片脚による起立位保持が全く不可能なものをいう。

オ 「著しい障害」(5級)とは体幹の機能障害のために2km以上の歩行不能のものをいう。

(注5) なお、体幹不自由の項では、1級、2級、3級及び5級のみが記載され、その他の4級、6級が欠となっている。これは体幹の機能障害は四肢と異なり、具体的及び客観的に表現し難いので、このように大きく分けたのである。3級と5級に指定された症状の中間と思われるものがあった時も、これを4級とすべきではなく5級にとめるべきものである。

(注6) 下肢の異常によるものを含まないこと。

(4) 脳原性運動機能障害

この障害区分により程度等級を判定するのは、乳幼児期以前に発現した非進行性脳病変によってもたらされた姿勢及び運動の異常についてであり、具体的な例は脳性麻痺である。

以下に示す判定方法は、生活関連動作を主体としたものであるので、乳幼児期の判定に用いることの不適当な場合は前記(1)~(3)の方法によるものとする。

なお、乳幼児期に発現した障害によって脳原性運動機能障害と類似の症状を呈する者で、前記(1)~(3)の方法によることが著しく不利な場合は、この方法によることができるものとする。

ア 上肢機能障害