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○行政事件訴訟法の一部改正等に伴う保育所入所不承諾通知書及び保育実施解除通知書の様式の変更について

(平成17年6月3日)

(雇児保発第0603003号)

(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長通知)

行政事件訴訟法の一部を改正する法律(平成16年法律第84号。別添1参照。)については、平成16年6月9日に公布され、行政事件訴訟法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成16年10月15日政令第311号。別添2参照。)により、平成17年4月1日から施行されているところである。この法律による改正後の行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号。以下「改正行政事件訴訟法」という。)第46条においては、行政庁による取消訴訟等の提起に関する事項の教示について規定されており、これに伴う保育所入所不承諾通知の取扱いにつき疑義照会が寄せられていることから、下記のとおり通知する。

貴職におかれては、下記内容を御了知の上、管内市区町村に御周知頂くよう、お願いする。

なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に基づく技術的助言である。

1.保育所入所不承諾等における行政事件訴訟法の適用について

保育所の入所については、保護者の意思表示を前提とした申込みを受け、市町村が保育サービスを提供し、当該サービスの提供を受けた利用者が市町村の定める保育料を支払うという双務関係に基づく利用契約と位置付けられている。

この契約については、市町村には、保育の実施責任を負っていることによる締結義務が課されている一方、保育所利用申込者が保育の実施基準に該当するか否かを判断し、やむを得ない場合には保育所入所児童を公正な方法で選考する権限が児童福祉法上認められているところであり(児童福祉法第24条第1項及び第3項)、こうした性質にかんがみ、保育所入所の不承諾又は保育の実施の解除は、行政事件訴訟法上の取消訴訟の対象となる。

2.改正行政事件訴訟法の教示制度

改正行政事件訴訟法第46条は、出訴期間等の取消訴訟等の提起に関する事項について情報提供をすべき行政庁の義務を定めることにより、国民が行政事件訴訟により権利利益の救済を得る機会を十分に確保しようとするものである。取消訴訟等の提起に関する事項を行政庁が教示しなければならない場合と、それぞれの場合における教示すべき事項は次のとおりであり、いずれの場合も、口頭による処分は教示義務の対象外とされている。

(1) 取消訴訟を提起することができる処分又は裁決をする場合(同条第1項)

この場合には、その処分又は裁決の相手方に対し、以下の事項を書面で教示しなければならない。

① 処分又は裁決に係る取消訴訟の被告とすべき者(同項第1号)

② 処分又は裁決に係る取消訴訟の出訴期間(同項第2号)

③ 法律にその処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消訴訟を提起することができない旨(いわゆる不服申立ての前置)の定めがあるときは、その旨(同項第3号)

(2) 裁決主義の定めがある場合(同条第2項)

法律に処分についての審査請求に対する裁決に対してのみ取消訴訟を提起することができる旨(いわゆる裁決主義)の定めがある場合には、その処分をするときは、その処分の相手方に対し、法律にその定めがある旨を書面で教示しなければならない。

(3) 形式的当事者訴訟を提起することができる処分又は裁決をする場合(同条第3項)

当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの(いわゆる形式的当事者訴訟)を提起することができる処分又は裁決をする場合には、その処分又は裁決の相手方に対し、以下の事項を書面で教示しなければならない。

① その訴訟の被告とすべき者(同項第1号)

② その訴訟の出訴期間(同項第2号)

3.保育所入所等の手続における取消訴訟の教示

1.で示したとおり保育所入所不承諾等は取消訴訟の対象となることから、市町村は、当該決定の際には、改正行政事件訴訟法の規定により取消訴訟の提起に関する事項を教示しなければならない。

保育所の入所不承諾等については、不服審査前置の規定も裁決主義の規定もなく、また、形式的当事者訴訟に係るものでもないので、当該教示の内容は、取消訴訟の被告とすべき者(改正行政事件訴訟法第46条第1項第1号)及び取消訴訟の出訴期間(同項第2号)となる。取消訴訟の被告とすべき者は市町村であり(同法第11条第1項第1号)、市町村長が訴訟の代表者となる(同条第6項)。また、出訴期間は保育所入所不承諾等の決定を知った日から6か月以内である(同法第14条第1項)。

4.保育所入所不承諾通知書及び保育実施解除通知書の様式の変更

保育所の入所等の手続については、「児童福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令等の施行について」(平成9年9月25日児発第596号。以下「施行通知」という。)により御対応頂いているところである。

その中で、保育の実施を行わない場合には、「保育所入所不承諾通知書」(施行通知別表第4号様式)により、また保育の実施を解除した場合には、「保育実施解除通知書」(施行通知別表第5号様式)により、行政不服審査法に基づく不服申立てについての教示がなされているが、これらの場合には、3.で示したとおり、今般の改正行政事件訴訟法の施行に伴い、取消訴訟についても教示を行う必要がある。

ついては、管内市区町村において、施行通知別表第4号様式及び別表第5号様式を、それぞれ別紙1及び別紙2の様式に変更して頂くなど、適切な対応を図られたい。

(別紙1)

(別紙2)