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○一定の認可外保育施設の利用料に係る消費税の非課税措置の施行について

(平成17年3月31日)

(雇児保発第0331003号)

(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長通知)

消費税法施行令の一部を改正する政令(平成17年政令第102号。以下「改正政令」という。)が平成17年3月31日に公布され、これに伴い、消費税法施行令第14条の3第1号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する保育所を経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等(平成17年厚生労働省告示第128号。以下「消費税告示」という。)が同日付で公示され、平成17年4月1日(以下「施行日」という。)より施行・適用されることとなったところである。

これにより、「認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書の交付について」(平成17年1月21日雇児発第0121002号雇用均等・児童家庭局長通知。以下「証明書通知」という。)に基づき、各都道府県知事等から「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」(平成13年3月29日雇児発第177号雇用均等・児童家庭局長通知)の別添「認可外保育施設指導監督基準」(以下「指導監督基準」という。)を満たす旨の証明書(以下「証明書」という。)の交付を受けた認可外保育施設については、その利用料に係る消費税が非課税とされることとなった。

ついては、下記事項に留意の上、適切な取扱いに遺漏のないよう配慮されたい。

なお、本通知の発出に当たっては、事前に国税庁課税部消費税室に通知済みであることを申し添える。

第1 消費税の非課税措置の内容

1 非課税の対象となる認可外保育施設について

非課税の対象となる認可外保育施設は、児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)第59条の2第1項(認可外保育施設の届出)の規定による届出が行われた施設であって、法第59条第1項の規定に基づく都道府県知事(地方自治法第252条の19第1項の指定都市又は同法第252条の22第1項の中核市にあっては、それぞれその長。以下同じ。)の立入調査を受け、消費税告示中第一から第九までに掲げる事項のすべてを満たし、当該満たしていることにつき当該都道府県知事から証明書の交付を受けているものに限られること。

なお、消費税告示中第一から第九までに掲げる事項は、指導監督基準と同じ内容であること。

ただし、当該都道府県知事から当該証明書を返還することを求められた場合の当該施設については、当該返還することを求められた日以後においては非課税の対象となる認可外保育施設に該当しないこと。

(注1) 法第59条の2第1項の規定に基づく届出施設の範囲については、「児童福祉法の一部を改正する法律の施行に伴う児童福祉法施行令の一部を改正する政令等の施行について」(平成14年7月12日雇児発第0712004号雇用均等・児童家庭局長通知)及び「認可外保育施設に対する届出制の導入について」(平成14年7月12日雇児保発第0712001号雇用均等・児童家庭局保育課長通知。以下「届出通知」という。)を参照されたい。

なお、この場合において、幼稚園を設置する者が当該幼稚園と併せて設置している施設とは、届出通知により明らかにしているとおり、施設設備等の物的側面及び経営・運営等の人的側面において当該幼稚園と十分に関連を有する施設をいう。すなわち、単に施設設備の隣接状況を意味するものではなく、保育の実施状況や施設の経営・運営等が相互に関連してなされていない場合にあっては、法第59条の2第1項の規定に基づく届出の対象であること。

(注2) 当該都道府県知事から当該証明書を返還することを求められた場合とは、証明書通知の別紙「認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書交付要領」の第2の4により証明書の返還を求められた場合をいう。

2 非課税の対象となる利用料について

非課税の対象となる資産の譲渡等(非課税となる利用料を対価とするサービス)は、上記の証明書の交付を受けている施設において乳児又は幼児を保育する業務として行う資産の譲渡等(保育サービス)に限られること。

この場合の乳児又は幼児を保育する業務として行う資産の譲渡等には、児童福祉法に規定する保育所における保育サービスと同様のサービスが該当するのであり、具体的には次に掲げる料金等(利用料)を対価とする資産の譲渡等が該当すること。

① 保育料(延長保育、一時保育、病後児保育に係るものを含む。)

② 保育を受けるために必要な予約料、年会費、入園料(入会金・登録料)、送迎料

(注) 給食費、おやつ代、施設に備え付ける教材を購入するために徴収する教材費、傷害・賠償保険料の負担金、施設費(暖房費、光熱水費)等のように通常保育料として領収される料金等については、これらが保育料とは別の名目で領収される場合であっても、保育に必要不可欠なものである限りにおいては、上記①②と同様に取り扱われる。

他方、例えば、当該施設において施設利用者に対して販売する教材等の販売代金(※参照)のほか次に掲げるような料金等を対価とする資産の譲渡等は、これに該当しない。

① 施設利用者の選択により付加的にサービスを受けるためのクリーニング代、オムツサービス代、スイミングスクール等の習い事の講習料等

② バザー収入

※ 施設運営者自らが行う取引ではない金銭の受取について

施設運営者自らが行う取引ではない金銭の受取(例えば、施設運営者が、施設利用者の求める教材等について、当該教材等の販売業者への注文や施設利用者からの代金の集金を代行して行う場合における代金の受取など)を行う場合には、施設運営者においては「預り金」として経理しておくなど、施設の収入である保育料等とは区分して、収入以外の金銭の受取であることが明らかとなるよう経理を行う必要がある。

施行日前に証明書の交付を受けた施設については施行日から、施行日以後に証明書の交付を受けた施設については当該証明書の交付を受けた日から、上記の資産の譲渡等について非課税となること。

また、証明書の交付を受けた認可外保育施設が都道府県知事から当該証明書の返還を求められた場合には、当該返還を求められた日以後においては上記の資産の譲渡等であっても非課税とはならないこと(1の(注2)参照)。

3 非課税となった認可外保育施設の利用料の額の設定について

証明書の交付を受けた施設においては、当該施設の利用料に係る消費税が非課税とされることから、施設の運営事業者が消費税の納税義務者(第2参照)である場合の当該施設については、非課税となったことを踏まえた利用料の額の見直しを行う等の対応が適切に行われる必要があること。

なお、その場合においても、仕入れ(保育材料費・水道光熱費・備品等購入費など)に係る消費税相当分は当該利用料に転嫁することは適切な処理であること。

第2 消費税の納税義務等

1 消費税の納税義務について

事業者は、課税期間(個人事業者は暦年、法人は事業年度をいう。以下同じ。)の基準期間(個人事業者はその年の前々年をいい、法人はその事業年度の前々事業年度をいう。以下同じ。)における利用料収入(非課税となる前の利用料収入)などの課税売上高が1,000万円を超える場合、消費税の納税義務者となり、課税期間の課税売上げに係る消費税について、所轄の税務署に確定申告書を提出し、その納付すべき消費税を金融機関又は税務署の窓口で納付する必要がある。なお、納付すべき消費税額は、課税売上げに係る消費税額から課税仕入れ(保育材料費・水道光熱費・備品等購入費など(ただし、給与などの人件費はこれに該当しない。))に係る消費税額を控除した残額であること。

(注1) 課税仕入れに係る消費税額を控除するためには、帳簿の記帳及び請求書などの保存が必要となる。

(注2) 簡易課税制度を選択した場合には、「課税売上げに係る消費税額×みなし仕入率(保育サービスはサービス業に該当し、50%)」を課税仕入れに係る消費税額とみなして、納付すべき消費税額を計算する。

2 課税期間の途中において証明書の交付又は返還があった場合の消費税の取扱いについて

施設の運営事業者が納税義務者である場合の当該事業者が、課税期間の途中において証明書の交付を受けた場合にあっては当該証明書の交付を受けた日以後の利用料が、また、課税期間の途中において証明書の返還を求められた場合にあっては当該証明書の返還を求められた日の前日までの利用料が、それぞれ非課税となるものであって、これ以外の期間の利用料については課税期間の課税売上高に含める必要があること。

(注) 施行日前に証明書の交付を受けた施設については、施設の運営事業者が納税義務者である場合には、施行日前である本年3月末までの利用料収入については課税売上げであることから、例えば、個人事業者にあっては、平成17年の2年前の平成15年の利用料収入などの課税売上高が1,000万円を超えている場合には平成17年1月から3月末までの利用料収入などの課税売上げに係る消費税について、また、3月決算の法人にあっては、平成17年3月決算の事業年度の前々事業年度である平成15年3月決算の事業年度の利用料収入などの課税売上高が1,000万円を超えている場合には平成17年3月決算の事業年度1年分の利用料収入などの課税売上げに係る消費税について、申告・納付する必要がある。

第3 証明書事務等の適切な実施及び施設運営者に対する周知について

今般の消費税の非課税措置には、証明書の交付が密接に関連することから、証明書の交付に関し各都道府県等を通じて統一的な取扱いが求められること。

また、証明書を交付した事実の公表についは、利用者への情報提供として、各都道府県等のインターネットのホームページへの掲載等が行われることとなっているが、税務上の取扱いを明確にする観点からも、証明書の交付の事実については速やかに公表されることが求められること。

施設の運営事業者に対しては、証明書を交付する際その他の機会をとらえ、本通知記載の消費税の取扱い等について的確に周知することが必要であること。