○病院会計準則の改正について
(平成16年8月19日)
(医政指発第0819001号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医政局指導課長通知)
標記については、平成16年8月19日医政発第0819001号をもって医政局長から通知のあったところであるが、これに関し、下記事項に留意の上、病院会計準則に従って適切な会計処理が行われるよう貴管内の医療機関に対してご指導願いたい。
記
1 病院会計準則の見直しについての基本的な考え方
(1) 病院会計準則の見直しに当たっては、厚生労働科学特別研究事業として実施した「病院会計準則見直し等に関する研究」の研究報告(平成15年9月5日に厚生労働省ホームページ上で公表済。以下「研究報告」という。)を踏まえ、医療を安定的に提供するための効率的で透明な医業経営の確立を図る観点から、全面的な改正を行ったものであること。
(2) 病院会計準則は、開設主体の異なる各種の病院の財政状態及び運営状況を体系的、統一的に捉えるための「施設会計」の準則であり、それぞれの病院の経営に有用な会計情報を提供することを目的としてきているが、今回の見直しでは、病院開設主体が病院の経営実態を把握し、その改善向上に役立てることを再認識するとともに、経営管理に資する有用な会計情報を提供する役割を担っている「管理会計」としての側面を重視したこと。
(3) 病院会計は、非営利を原則とする施設会計であるが、経営の健全性を高めるため、近年の企業会計の動向を踏まえ、最新の財務諸表体系及び会計基準を適用可能な形で導入し、病院経営の効率化に向け活用が図られるようにしたこと。
なお、病院会計準則は、従来どおり企業会計方式をとるが、病院の財政状態及び運営状況を適切に把握する手段として採用しているものであり、そのこと自体は病院経営が営利性や利潤追求を伴うとの意味を有するものではないことは、従前と同様であること。
(4) 今回の改正については、国民の意見聴取の手続を経ていること。
(5) 異なる開設主体間の会計情報の比較可能性を確保するため、病院会計準則が開設主体横断的に採用され、これに準拠した財務諸表が作成されることが期待されるものであること。
2 病院会計準則の見直しの主な内容
(1) 財務諸表体系の見直し
・ 財務諸表体系は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書及び附属明細表としたこと。
① 貸借対照表は、病院の会計年度末における財政状態を明らかにするために作成し、資産の部、負債の部及び純資産の部に区分するものとしたこと。
② 損益計算書は、病院の運営状況を明らかにするために作成し、医業損益計算、経常損益計算及び純損益計算に区分して記載するものとしたこと。
③ キャッシュ・フロー計算書は、施設の会計においても資金の状況を正確に把握する必要性が高まっていることから、病院の資金の収入、支出の状況を明らかにするために作成し、業務活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローに区分して記載するものとしたこと。
④ 附属明細表は、貸借対照表、損益計算書及びキャッシュ・フロー計算書の記載を補足する重要な事項について、その内容、増減状況を明らかにするために作成するものとしたこと。
・ 従来、巻末に一括して記載していた注解及び別表として添付していた各財務表の様式については、これを各財務表原則に続けて示すこととし、利便性を高めることとしたこと。
・ 利益処分計算書については、施設としての病院には利益の処分が予定されていないことから、財務諸表の体系から除外したこと。
(2) 表示内容の整備
・ 貸借対照表については、非営利組織会計における資産・負債差額の本質を再確認し、従来の資本の部を純資産の部に変更したこと。
・ 財務諸表の表示項目は、集約化を図り、一覧性を担保することに重点を置くとともに、必要な会計情報の詳細性を確保するために、附属明細表を充実したこと。
(3) 最近の企業会計制度の改革への対応
・ リース会計、研究開発費会計、退職給付会計等を導入し、財務諸表によって病院経営の実態をより適切に把握できるようにしたこと。
3 見直し後の病院会計準則の運用上の留意点
(1) 見直し後の病院会計準則による時期
上記1の病院会計準則の見直しについての基本的な考え方に照らし、準備が整った病院から時機をとらえて自主的に活用するよう、周知されたいこと。
なお、病院関係団体等に対して、当職より、周知文書を発出していること(別添①及び②参照)。
(2) 勘定科目
必要に応じて、同一勘定科目をさらに細分類した補助科目を設けることは差し支えないこと。
4 今後の取扱い
病院会計準則については、今後とも適宜必要な見直しを行い、さらに改善と充実を図っていくものとしていること。
別添①
別添②