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○組換えDNA技術応用食品の検査方法について(一部改正)

(平成17年5月17日)

(食安発第0517001号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)

組換えDNA技術応用食品の検査方法については、平成13年3月27日付け食発第110号厚生労働省医薬局食品保健部長通知(平成16年6月28日付け食安発第0628001号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知により一部改正)によって通知しているところであるが、今般、安全性未審査の遺伝子組換えトウモロコシBt10の検査法を追加する等のため、当該通知を下記のとおり改正することとしたので、検査を行う場合には、これらの方法により実施されたい。

なお、改正後の同通知別添「組換えDNA技術応用食品の検査方法」全文を参考までに添付する。

1.「1.1.1.トウモロコシ及び大豆の穀粒の検体採取」の項目中、注釈を「安全性未審査の組換えDNA技術応用食品のうち、該当するトウモロコシ系統の検査を目的とした定性PCR用試料又は安全性審査済みの組換えDNA技術応用食品を対象とした定量検査用試料として用いるには、500g必要である。」に改める。【理由:安全性未審査の遺伝子組換えトウモロコシBt10の検査法を追加したことから。】

2.「1.2.1.トウモロコシ及び大豆の粉砕加工品(コーングリッツ、コーンフラワー、コーンミール等、穀粒を粉砕したもの)」の項目に、「なお、安全性未審査の組換えDNA技術応用食品のうち、該当するトウモロコシ系統の検査を目的とした定性PCR用試料には、採取した検体のうち、500gを均質に粉砕した試料を用いる。」を加える。【理由:安全性未審査の遺伝子組換えトウモロコシBt10の検査法を追加したことから。】

3.「2.1.1.2.1.2.2.電気泳動」の項目中、「ゲルの1/3から2/3まで」を「ゲルの1/2から2/3まで」に改める。【理由:泳動が不十分であると誤判定を招くおそれがあることから。】

4.「2.1.1.2.1.2.3.ゲルの染色(後染色)」の項目に、「その後、TAE緩衝液のみの入った容器に染色済みのゲルを移し、30分程度軽く浸透しながら脱染色を行う。」を加える。【理由:染色したゲルをそのまま解析に供すると、PCR増幅バンドが不明瞭となり誤判定を招くおそれがあることから。】

5.「2.1.2.2.2.結果の判定」の項目の次に、「2.1.3.トウモロコシ(Bt10)の検査」として別紙1に示すトウモロコシ(Bt10)の検査を加える。【理由:安全性未審査の遺伝子組換えトウモロコシBt10の検査法を追加したことから。】

6.「2.2.1.1.CTAB法」の項目に、注釈2として「ホモゲナイザーを使用しない場合には、ボルテックスミキサーを用いて試料塊がないように激しく混合する。その際には、まず15mLのCTAB緩衝液を加え十分に混合した後、さらにCTAB緩衝液30mLを加え混合する。混合後は、加温処理以降の操作に従う。」を加える。【理由:抽出操作の簡便化及びコンタミネーションの防止に資することから。】

7.「2.2.1.3.シリカベースレジンタイプキット法」の項目を別紙2のとおり改める。【理由:DNA試料原液を定量PCR法に供する際に、従来法ではDNAの収量が少なく、かつ、安定しないとの報告があること等から。】

8.「2.2.2.1.CTAB法」の項目に、注釈として「マイクロミキサーを使用しない場合には、ボルテックスミキサーを用いて試料塊がないように激しく混合する。その際には、まず300μLのCTAB緩衝液を加え十分に混合した後、さらにCTAB緩衝液300μLを加え混合する。混合後は、加温処理以降の操作に従う。」を加える。【理由:抽出操作の簡便化及びコンタミネーションの防止に資することから。】

9.「2.2.4.DNA試料原液中のDNAの純度の確認並びにDNA試料液の調製と保存」の項目に、注釈2として「定量PCR法に供する際は、TE緩衝液を用いて希釈する。」を加える。【理由:定性PCR法と定量PCR法でDNA試料原液の溶解液が異なることから。】

(別紙1)

2.1.3.トウモロコシ(Bt10)の検査

2.1.3.1.定性PCR法

トウモロコシ穀粒又はトウモロコシ半製品について、PCR増幅及び結果の判定を除き、2.1.1.2.1.と同様の方法で定性PCRを行う。なお、DNA抽出精製は、2.2.1.2.に示すシリカゲル膜タイプキット法を用いる。

2.1.3.1.1.PCR増幅

PCR用反応試料管に反応液を以下のように調製する。反応液は、PCR緩衝液*1、0.16mmol/L dNTP、1.5mmol/L塩化マグネシウム、0.6μmol/L5’及び3’プライマー*2並びに0.8units Taq DNAポリメラーゼ*3を含む液に、10ng/μLに調製したDNA試料液5.0μL(DNAとして50ng)を氷中で加え、全量を25μLにする。次に、その反応試料管をPCR増幅装置*4にセットする。反応条件は次の通りである。94℃に10分間保ち反応を開始させた後、94℃25秒間、62℃30秒間、72℃45秒間を1サイクルとして、40サイクルのPCR増幅を行う。次に終了反応として72℃で7分間保った後、4℃で保存し、得られた反応液をPCR増幅反応液とする。PCR反応のブランク反応液として、必ずプライマー対を加えないもの及びDNA試料液を加えないものについても同時に調製する。また、試料からDNAが抽出されていることの確認として、DNA試料液ごとに、Bt10検出用プライマー対の代わりに陽性対照用プライマー対*5を用い、同様にPCR増幅を行う。

*1PCR緩衝液

PCR buffer II(アプライドバイオシステムズ社製、塩化マグネシウムを含まないもの)又は同等の結果が得られるものを用いる。

*2Bt10検出用プライマー対は以下の通りである。

F―primer(JSF3):5’―CAC ACA GGA GAT TAT TAT AGG G―3’

R―primer(JSR3):5’―GGG AAT AAG GGC GAC ACG G―3’

*3Taq DNAポリメラーゼ

AmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ(アプライドバイオシステムズ社製)又は同等の結果が得られるものを用いる。

*4PCR増幅装置

GeneAmp PCR System 9700(アプライドバイオシステムズ社製)又は同等の結果が得られるものを用いる。

*5陽性対照用のプライマー対は以下の通りである。

F―primer(Zein n―5’):5’―CCT ATA GCT TCC CTT CTT CC―3’

R―primer(Zein n―3’):5’―TGC TGT AAT AGG GCT GAT GA―3

2.1.3.1.2.結果の判定

陽性対照プライマー対を用いたレーンで157bpのPCR増幅バンドが検出され*1、Bt10検出用プライマー対を用いたレーンで130bpのPCR増幅バンドが検出された場合、新たに同一のDNA試料液を用いPCR反応液を調製し、Bt10確認用プライマー対*2を用いPCR増幅を行う。得られたPCR増幅反応液についてアガロースゲル電気泳動、ゲルイメージ解析を行い、127bpのPCR増幅バンドが検出された場合、本検体はBt10系統陽性と判定する*3。なお、2つのDNA抽出液での結果が異なった場合は陽性と判定する。また、どちらか一方の抽出液において、陽性対照プライマー対で予定長のPCR増幅バンドが検出されない場合には、再度電気泳動以降の操作を行い、それでも予定長のPCR増幅バンドが検出されない場合には、その抽出液での結果を無効とし、もう一方の抽出液の結果だけで判定する。2つのDNA抽出液とも陽性対照プライマー対を用いたレーンで対応するPCR増幅バンドが検出できない場合には、改めて3回目の抽出を行い、さらにPCR以降の操作を実施して、判定を行う。3回目のDNA抽出液を用いた場合でも陽性対照プライマー対でPCR増幅バンドが検出されないときは、本試料からの安全性未審査の食品の検知は不能とする。判定例は2.1.1.2.1.4.を参照のこと。

*1Bt10検出用プライマー対を用いた試験においては、特異的PCR増幅バンドとは異なる位置に非特異的PCR増幅バンドが検知される場合があるため、PCR増幅バンド長の確認は正確に行うこと。

*2Bt10確認用プライマー対は以下の通りである。

F―primer(Bt11 3―5’):5’―AAA AGA CCA CAA CAA GCC GC―3’

R―primer(Bt11 3―3’):5’―CAA TGC GTT CTC CAC CAA GTA CT―3’

*3Bt10確認用プライマー対を用いて増幅するDNA配列は、既に安全性審査を終了しているBt11トウモロコシにも導入されている。本試験法は、Bt10検出のための反応液組成及び反応条件を示しているが、Btllが混入している場合にも確認試験の結果は陽性となる可能性が考えられるため、必ずBt10検出用プライマー対を用いた結果と併せて結果の判定を行うこと。

(別紙2)

2.2.1.3.シリカベースレジンタイプキット法

均質に粉砕した試料2gをポリプロピレン製遠沈管(50mL容)に量り採り、抽出用緩衝液*117.2mL、5mol/Lグアニジン―塩酸2mL及び20mg/mL Proteinase Kを0.8mL加え、激しくボルテックスミキサーで撹拌後、55~60℃で振とうしながら3時間保温する。次いで、室温まで温度を下げ、3,000×gで10分間遠心する。上清が濁っている場合、上清の一部をマイクロ遠沈管(1.5mL容)に移し、さらに14,000×gで10分間遠心する。得られた澄明な上清500μLと、DNA Clean-up Resin1mLをマイクロ遠沈管(1.5mL容)に採り、転倒混和し、混合液とする。次にmini columnの上部に注射筒を付け、マニホールド(吸引装置)に装着する。マニホールドのコックを閉じ、吸引装置内部が十分に減圧になっていることを確認した後、混合液を注射筒からmini columnに負荷する。直ちにコックを開け、最速で減圧吸引して溶液を完全に除去し、次いで2mLの80%イソプロピルアルコールを注射筒から加えカラムを洗浄する。注射筒を外したmini columnをマイクロ遠沈管(1.5mL容)に装着し、室温下10,000×gで2分間遠心し、カラムを乾燥する。次にmini columnを新しいマイクロ遠沈管(1.5mL容)に移し、あらかじめ65~70℃に温めておいた水100μLを滴下する*2。1分間放置後、室温下10,000×g以上で1分間遠心し、DNAを溶出し、得られた溶出液をDNA試料原液とする。

*1抽出用緩衝液

150mM塩化ナトリウム、2mmol/L EDTA及び1%SDSを含む10mmol/L Tris-塩酸緩衝液(pH7.5)

*2定量PCR法に供する際は、水の代わりにあらかじめ65~70℃に温めておいたTE緩衝液100μLを滴下する。

別添 略