添付一覧
○兵庫県南部地震に係る当面の緊急雇用対策の実施について
(平成七年一月二三日)
(職発第二八号)
(各都道府県知事あて労働省職業安定局長通達)
今般の兵庫県南部地震により多数の貴い人命が失われ、かつ甚大な経済的被害がもたらされたところであるが、政府としては、これに対する抜本的対策を早急に実施すべく、緊急対策本部を設置し、全力を挙げて取り組むこととしているところである。労働省としても各般の対策を緊急に講ずることとしているところであり、その一環として、今般、兵庫県南部地震に係る当面の緊急雇用対策を左記のとおりとりまとめたので、その実施に遺漏のないよう特段の御配意をお願いする。
記
第1 雇用調整助成金の特例的な適用
1 標記について、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(労働省令第二号・別添一参照)が平成七年一月二三日付けで公布・施行されたことに伴い、平成八年一月二二日までの間に、兵庫県神戸市、尼崎市、明石市、西宮市、洲本市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、三木市、川西市、三田市、川辺郡、美嚢郡、津名郡若しくは三原郡の区域(以下「兵庫県南部地域」という。)若しくは大阪府豊中市の区域内に所在する事業所の事業主であって、休業、教育訓練又は出向を行ったものに対して、一定の要件を満たす場合に雇用調整助成金を支給するものとすること。
2 兵庫県南部地域若しくは大阪府豊中市の区域内に所在する事業主に対する雇用調整助成金の適用は、雇用調整助成金支給要領(昭和五二年九月三〇日付け婦発第二四五号・職発第四四六号・訓発第二五五号別添一、以下「雇調金要領」という。)により行うこととするが、次の点については、雇調金要領の定めにかかわらず左記によるものとすること。
(1) 支給対象事業主としての要件
兵庫県南部地域若しくは大阪府豊中市の区域内に所在する事業主についての雇用調整助成金の支給対象事業主としての要件のうち要領の5の(1)、6の(1)、7の(1)のそれぞれのイについては雇調金要領の定めにかかわらず、次の定めによること。
兵庫県南部地震の影響による経済上の理由により、当該事業所において、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主であること。
この場合において、「兵庫県南部地震の影響による経済上の理由」とは、兵庫県南部地震による被害の発生又はその復旧の遅れに伴う①人的・物的交通の阻害又は途絶、②需要の減少又は集客の困難、③従業員の出勤困難、④事業所の損壊及び早期修復不能による事業活動の阻害、⑤その他これらに準ずる経済事情の悪化をいうものとすること。
(2) 対象被保険者の範囲の特例
当該災害により事業を休止又は廃止するに至ったため、再雇用を予約した上で一時的に対象被保険者(要領2の(1)である労働者を解雇することを余儀なくされた事業主であって、事業再開等により当該労働者を再雇用し、兵庫県南部地震の影響による経済上の理由により災害前の事業規模で操業することが困難である等、事業活動の縮小を余儀なくされて当該労働者について雇用調整を行う場合にあっては、当該労働者の対象被保険者としての資格の判定に当たっては要領2の(1)のイは適用しないものとすること。
(3) 指定期間
兵庫県南部地域若しくは大阪府豊中市の区域内に所在する事業主に係る要領2の(14)に定める指定期間は、平成七年一月二三日から平成八年一月二二日までの一年間とすること。
(4) 休業に係る手当
兵庫県南部地域若しくは大阪府豊中市の区域内に所在する事業主が休業を行う場合は、要領5の(1)のロの(ハ)の規定にかかわらず、使用者の責に帰すべき事由による休業でない場合であっても、当該労働者に対して支給する休業に係る手当が労働基準法第一二条に規定する平均賃金の一〇〇分の六〇に満たないときは、当該事業主に対して当該休業に係る雇用調整助成金を支給しないものとする。
(5) 事業活動の縮小についての確認
当該事業所の事業活動の縮小を確認する場合(要領5の(5)のイの(イ)のd、6の(5)のイの(イ)のd、7の(5)のイの(イ)のf)、以下の点に留意すること。
イ 当該災害により事業を休止又は廃止するに至ったため、再雇用を予約した上で一時的に労働者を解雇することを余儀なくされた事業主が、事業再開等により当該労働者を再雇用する場合には、当該再雇用による入職者数は、新規入職者数として算入しないこと。
ロ 当該事業活動の縮小の確認に当たっては、平成七年一月二三日前の生産高及び入職者数について、確認の困難なものは事業主からの疎明により事業活動の縮小を判断すること。
第2 失業給付についての特例措置
1 兵庫県南部地震の発生に伴い、災害救助法第二条の規定に基づき都道府県知事により指定された市町村等の区域(災害救助法適用地域)に所在する適用事業所に雇用される被保険者については、求職者給付の支給に関する特例措置を実施し、求職者給付を支給すること。
2 被災者である受給資格者に係る失業給付については、原則として、受給者の住居地を管轄する公共職業安定所以外の安定所においても受給できることとすること。
第3 関係公共職業安定所における特別相談窓口の設置等
兵庫県及び隣接府県の公共職業安定所において、特別相談窓口を設置し、所長の直接の指揮のもとに被災を受けた事業主及び求職者に対し、前記の特例措置の活用を図りつつ、きめ細かな相談援助を行うこと。
また、前記以外の公共職業安定所においても被災者が来所した場合には、適切に対応すること。
第4 雇用促進住宅等の活用
雇用促進事業団が設置運営している移転就職者用宿舎の空戸を、現地の対策本部等との連携の下に被災者の一時的居住の場として提供するとともに、勤労者福祉施設及び職業訓練施設についても、避難場所等としてできる限り有効に活用されるよう提供することとしており、既にその旨、雇用促進事業団理事長あて(別添二参照)通知しているところであること。