添付一覧
○雇用保険法等の一部を改正する法律の施行について
(平成六年六月二九日)
(発職第一五三号)
(各都道府県知事、各都道府県労働基準局長あて労働事務次官通達)
「雇用保険法等の一部を改正する法律」については、第一二九回通常国会において一部修正の上、平成六年六月二二日可決成立し、同月二九日「平成六年法律第五七号」として公布され、再就職手当に関する規定については同日から、日雇労働求職者給付金の受給要件の改善に関する規定については同年七月一日から、印紙保険料の額の変更に関する規定については同年八月一日から、日雇労働求職者給付金の引上げ等に関する規定については同年九月一日から、その他の規定については平成七年四月一日からそれぞれ施行されることとなった。
この雇用保険法等の一部を改正する法律は、今後の急速な高齢化や女性の職場進出等に対応し、高齢者や女性の職業生活の円滑な継続を援助、促進するための給付を創設するとともに、失業中の生活の安定及び再就職の一層の促進を図るための失業給付の改善を行うものである。その主たる内容は左記のとおりであるので、その趣旨を十分理解の上、その施行に万全を期せられたく、命により通達する。
記
第1 雇用保険法の一部改正
Ⅰ 改正の趣旨
今後の急速な高齢化や女性の職場進出等我が国の雇用を取り巻く諸情勢は大きく変わっていくものと予想される。このような状況の変化に的確に対応し、雇用保険制度が、今後、雇用に関する総合的な機能を一層発揮できるよう、現在の制度を見直し、その整備充実を図ることが必要である。
このため、高齢者や女性の職業生活の円滑な継続を援助、促進するための雇用継続給付を創設するとともに、失業中の生活の安定及び再就職の一層の促進を図るための失業給付の改善を行うものである。
Ⅱ 改正の概要
1 目的等の改正(雇用保険法第一条及び第三条関係)
雇用保険は、労働者が失業した場合及び雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進するため、失業等給付を行うこととしたこと。
2 公課の禁止(雇用保険法第一二条関係)
租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができないこととしたこと。
3 一般被保険者の求職者給付の改善等
(1) 基本手当の日額の算定方法の変更(雇用保険法第一六条関係)
受給資格に係る離職の日において六〇歳以上六五歳未満である受給資格者の基本手当の日額を、賃金日額が九、五六〇円以上一二、三六〇円以下となる者については賃金日額に一〇〇分の六〇から一〇〇分の五〇までの範囲で賃金日額の逓増に応じ一定の割合で逓減するよう労働省令で定める率を乗じて得た金額と、賃金日額が一二、三六〇円以上となる者については賃金日額に一〇〇分の五〇を乗じて得た金額とすることとしたこと。
(2) 賃金日額の年齢別上限額の設定(雇用保険法第一七条第四項関係)
賃金日額が、受給資格者の当該受給資格に係る離職の日における年齢に応じ、次の表に掲げる額を超えるときは、その額を賃金日額とすることとしたこと。
年齢 |
賃金日額の上限額 |
六〇歳以上六五歳未満 |
一八、〇八〇円(九、〇四〇円) |
四五歳以上六〇歳未満 |
一六、五七〇円(九、九四〇円) |
三〇歳以上四五歳未満 |
一五、〇七〇円(九、〇四〇円) |
三〇歳未満 |
一三、五六〇円(八、一四〇円) |
(注) ( )内は、賃金日額の年齢別上限額に対応する基本手当の日額の上限額
(3) 基本手当の日額の自動的変更の要件の改正(雇用保険法第一八条関係)
基本手当の日額を、毎月勤労統計における労働者の平均給与額の上昇し又は低下した比率に応じて各年度において変更することとしたこと。
(4) 所定給付日数の変更(雇用保険法第二二条関係)
所定給付日数を、受給資格に係る離職の日における受給資格者の年齢、被保険者であった期間等に応じて、次の表に定めるとおりとすることとしたこと。ただし、年齢が四五歳未満(短時間労働被保険者にあっては、三〇歳未満)の場合及び被保険者であった期間が一年未満の場合は、現行どおりとすることとしたこと。
(短時間労働被保険者以外の被保険者)
被保険者であった期間 年齢等 |
二〇年以上 |
一〇年以上二〇年未満 |
五年以上一〇年未満 |
一年以上五年未満 |
||
六〇歳以上六五歳未満 |
三〇〇日 |
三〇〇日 |
三〇〇日 |
二四〇日 |
||
(五五歳以上六五歳未満) |
(三〇〇日) |
(三〇〇日) |
(二四〇日) |
(二一〇日) |
||
四五歳以上六〇歳未満 |
三〇〇日 |
二四〇日 |
二一〇日 |
一八〇日 |
||
(四五歳以上五五歳未満) |
(二四〇日) |
(二四〇日) |
(二一〇日) |
(一八〇日) |
||
就職困難者 |
四五歳以上六五歳未満 |
三〇〇日 |
||||
(五五歳以上六五歳未満) |
(三〇〇日) |
|||||
四五歳未満 |
二四〇日 |
|||||
(五五歳未満) |
(二四〇日) |
|||||
(短時間労働被保険者)
被保険者であった期間 年齢等 |
二〇年以上 |
一〇年以上二〇年未満 |
五年以上一〇年未満 |
一年以上五年未満 |
||
六〇歳以上六五歳未満 |
二一〇日 |
二一〇日 |
二一〇日 |
二一〇日 |
||
(五五歳以上六五歳未満) |
(二一〇日) |
(二一〇日) |
(一八〇日) |
(一八〇日) |
||
三〇歳以上六〇歳未満 |
二一〇日 |
一八〇日 |
一八〇日 |
九〇日 |
||
(三〇歳以上五五歳未満) |
(一八〇日) |
(一八〇日) |
(一八〇日) |
(九〇日) |
||
就職困難者 |
三〇歳以上六五歳未満 |
二一〇日 |
||||
(五五歳以上六五歳未満) |
(二一〇日) |
|||||
三〇歳未満 |
一八〇日 |
|||||
(五五歳未満) |
(一八〇日) |
|||||
(注) ( )内は現行
(5) 給付制限の期間の改善(雇用保険法第三三条関係)
被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合であっても、公共職業安定所長の指示する公共職業訓練又は職場適応訓練を受ける受給資格者については、当該公共職業訓練等を受ける日以降、基本手当を支給することとしたこと。
4 高年齢継続被保険者の求職者給付の改善等
(1) 高年齢求職者給付金の改善(雇用保険法第三七条の四関係)
高年齢求職者給付金の額を、被保険者であった期間に応じて次の表に定める日数分の基本手当の額に相当する額とすることとしたこと。ただし、被保険者であった期間が一年未満の場合は、現行どおりとすることとしたこと。
被保険者であった期間 |
高年齢求職者給付金の額 |
五年以上 |
一五〇日分 |
(一〇年以上) |
(一五〇日分) |
(五年以上一〇年未満) |
(一二〇日分) |
一年以上五年未満 |
一二〇日分 (一〇〇日分) |
(注) ( )内は現行
(2) 六五歳の定年等により退職した者に関する特例の廃止(雇用保険法第三七条の六の削除)
高年齢支給資格者であって、当該資格に係る離職が六五歳の定年に達したこと等の理由によるものに係る求職者給付の支給の特例を廃止することとしたこと。
5 日雇労働被保険者の求職者給付の改善等
(1) 日雇労働求職者給付金の受給要件の改善(雇用保険法第四五条関係)
日雇労働求職者給付金の受給要件を、日雇労働被保険者の失業の日の属する月の前二月間に労働保険の保険料の徴収等に関する法律第一〇条第二項第四号の印紙保険料が通算して二六枚分(現行二八枚分)以上納付されていることとしたこと。
(2) 日雇労働求職者給付金の日額の引上げ等(雇用保険法第四八条関係)
日雇労働求職者給付金の日額を現行の四段階(第一級六、二〇〇円、第二級四、一〇〇円、第三級二、七〇〇円、第四級一、七七〇円)から三段階(第一級七、五〇〇円、第二級六、二〇〇円、第三級四、一〇〇円)とすることとしたこと。
(3) 日雇労働求職者給付金の日額等の自動変更要件の変更(雇用保険法第四九条関係)
日雇労働求職者給付金の日額等を、毎月勤労統計における労働者の平均定期給与額が当該日額等の制定又は改正の基礎となった平均定期給与額の一〇〇分の一二〇を超え、又は一〇〇分の八三を下るに至り、その状態が継続する場合に、当該平均定期給与額の上昇した比率等に応じて変更することとしたこと。
6 再就職手当の支給要件の改善等
(1) 再就職手当の支給要件の改善(雇用保険法第五六条の二関係)
再就職手当の支給要件を、基本手当の支給残日数が所定給付日数の三分の一以上であり、かつ、当該支給残日数が四五日以上であることに改めることとしたこと。
(2) 再就職手当の支給額の改善に係る暫定措置(雇用保険法附則二四条関係)
雇用及び失業の状況を参酌して政令で定める日までの間の暫定措置として、再就職手当の額を、基本手当の日額に三〇を乗じて得た額以上当該日額に一四〇を乗じて得た額以下の範囲内の額とすることとしたこと。
7 雇用継続給付制度の創設
(1) 高年齢雇用継続給付制度の創設
高年齢雇用継続給付として、高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金を設けることとしたこと。
イ 高年齢雇用継続基本給付金(雇用保険法第六一条関係)
一般被保険者が六〇歳に達した日の属する月から六五歳に達する日の属する月までの期間内にある月(以下イにおいて「支給対象月」という。)において支払われた賃金(臨時に支払われる賃金及び三か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く。以下同じ。)の額が、当該被保険者を受給資格者と、当該被保険者が六〇歳に達した日を受給資格に係る離職の日とみなして第一七条の規定を適用した場合に算定されることとなる賃金日額に相当する額(以下イにおいて「みなし賃金日額」という。)に三〇を乗じて得た額の一〇〇分の八五に相当する額を下った場合において、当該被保険者を受給資格者と、当該支給対象月において六〇歳に達した日に応当する日を第二二条第一項第一号に規定する基準日とみなして同条第六項及び第七項の規定を適用した場合に算定されることとなる算定基礎期間に相当する期間が五年以上であったときに、各支給対象月に支払われた賃金の額に一〇〇分の二五(当該賃金の額がみなし賃金日額に三〇を乗じて得た額の一〇〇分の六四に相当する額以上であるときは、みなし賃金日額に三〇を乗じて得た額に対する当該賃金の額が逓増する程度に応じ、一〇〇分の二五から一定の割合で逓減するように労働省令で定める率)を乗じて得た額の高年齢雇用継続基本給付金を支給することとしたこと。
ただし、支給対象月に支払われた賃金の額と支給対象月における高年齢雇用継続基本給付金の額との合計額が三六一、六八〇円(以下「支給限度額」という。)を超える場合には、支給限度額から当該賃金の額を減じて得た額を支給するものとすることとし、支給対象月において支払われた賃金が支給限度額を超えるときは、高年齢雇用継続基本給付金は、支給しないこととしたこと。
ロ 高年齢再就職給付金(雇用保険法第六一条の二関係)
受給資格者(その受給資格に係る離職の日における算定基礎期間が五年以上あり、かつ、その受給資格に基づく基本手当を受けたことがある者に限る。)が六〇歳に達した日以後安定した職業に就くことにより被保険者となった場合において、当該職業に就いた日の属する月から当該職業に就いた日の翌日から起算して二年(当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が二〇〇日未満である受給資格者については、一年)を経過する日の属する月(その月が当該被保険者が六五歳に達する日の属する月以後であるときは、六五歳に達する日の属する月)までの期間内にある月(以下ロにおいて「再就職後の支給対象月」という。)において支払われた賃金の額が当該受給資格を取得したときに算定した賃金日額に三〇を乗じて得た額の一〇〇分の八五に相当する額を下るときは、当該再就職後の支給対象月について、イと同様の方法により算定した高年齢再就職給付金を支給することとしたこと。
ただし、当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が一〇〇日未満である受給資格者については、支給しないこととしたこと。
(2) 育児休業給付制度の創設
育児休業給付として、育児休業基本給付金及び育児休業者職場復帰給付金を設けることとしたこと。
イ 育児休業基本給付金(雇用保険法第六一条の四関係)
一般被保険者が、労働省令で定めるところにより、その一歳に満たない子を養育するための休業をした場合において、当該休業を開始した日前二年間に、当該休業を開始した日又は各月においてその日に応答し、かつ、被保険者である期間内にある日(以下「休業開始応答日」という。)の各前日から各前月の休業開始応当日までさかのぼった各期間のうち賃金の支払の基礎となった日数が一一日以上であるものが通算して一二か月以上であったときに、当該休業の期間内において、休業開始応当日から各翌月の休業開始応当日の前日(当該休業を終了した日の属する月にあっては、休業を終了した日)までの各期間(以下「支給単位期間」という。)について、当該被保険者が当該休業を開始した日に離職して受給資格者となったものとみなしたときに算定されることとなる賃金日額(三〇歳以上四五歳未満の受給資格者に係る賃金日額を上限とする。以下「休業開始時賃金日額」という。)に三〇を乗じて得た額の一〇〇分の二〇に相当する額の育児休業基本給付金を支給することとしたこと。
ただし、支給単位期間において当該被保険者が当該事業主から賃金を支払われた場合において、当該賃金の額と支給単位期間における支給額との合計額が休業開始時賃金日額に三〇を乗じて得た額の一〇〇分の八〇に相当する額を超えるときは、当該超える額を支給額から減じて得た額を支給するものとし、当該超える額が支給額を超えるときは、支給しないこととしたこと。
ロ 育児休業者職場復帰給付金(雇用保険法第六一条の五関係)
育児休業基本給付金の支給を受けた者が当該休業を終了した後当該事業主に引き続いて六か月以上雇用されたときは、当該休業の期間内における育児休業基本給付金の支給を受けることができる支給単位期間の数に休業開始時賃金日額に三〇を乗じて得た額の一〇〇分の五に相当する額を乗じて得た額の育児休業者職場復帰給付金を支給することとしたこと。
8 国庫の負担(雇用保険法第六六条及び附則第二三条関係)
国庫は、雇用継続給付については、当該雇用継続給付に要する費用の八分の一(当分の間は一〇分の一)を負担することとしたこと。
第2 労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正
Ⅰ 印紙保険料の額の変更(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第二二条第一項関係)
日雇労働求職者給付金の日額の三段階化に伴い、印紙保険料の額を三段階とし、日雇労働被保険者一人につき、一日当たり、次に掲げる額とすることとしたこと。
(一) 賃金の日額が一一、三〇〇円以上の者については一七六円
(二) 賃金の日額が八、二〇〇円以上一一、三〇〇円未満の者については一四六円
(三) 賃金の日額が八、二〇〇円未満の者については九六円
Ⅱ その他
その他所要の整備を行うこととしたこと。
第3 船員保険法の一部改正
船員保険制度失業部門について、雇用継続給付の創設、失業保険金の給付額の算定方法の改善、高齢求職者給付金の改善、再就職手当の支給要件の改善、給付制度の期間の改善等の改正を行うこととしたこと。(厚生省所管)
第4 その他
Ⅰ 施行期日(附則第一条関係)
この法律は、平成七年四月一日から施行することとしたこと。ただし、第1のⅡの6並びに第3のうち失業保険金の給付額の算定方法の改善及び再就職手当の支給要件の改善に係る改正規定については公布の日(平成六年六月二九日)から、第1のⅡの5(1)については公布の日の属する月の翌月の初日(平成六年七月一日)から、第2のⅠについては同年八月一日から、第1のⅡの5((1)を除く。)については同年九月一日から施行することとしたこと。
Ⅱ 経過措置(附則第二条から第二五条まで関係)
1 基本手当の日額等に関する経過措置
その受給資格に係る離職の日が施行日前である受給資格者であって、当該資格に基づく基本手当の支給を受ける初日が平成八年八月一日前であるものに係る基本手当の日額等は、改正前の規定の例によることとしたこと。
2 基本手当の所定給付日数及び個別延長給付に関する経過措置
施行日において五五歳以上六〇歳未満であり、その受給資格に係る離職の日が施行日から平成一二年三月三一日までの間にある受給資格者であって、就職が困難な者であると認められる者については、改正後の規定にかかわらず、所定給付日数を超えて、基本手当を支給することができることとしたこと。
3 日雇労働求職者給付金の日額に関する経過措置
平成六年九月中に支給する日雇労働求職者給付金については、新第一級印紙保険料(一七六円)の納付日数が二四日分に満たない場合であっても、平成六年八月中の日についての新第一級印紙保険料の納付日数が一二日分以上であって、かつ、平成六年七月中の日についての旧第一級印紙保険料(一四六円)の納付日数と合わせて二四日分以上あれば、新第一級給付金(七、五〇〇円)を支給することとしたこと。
4 高年齢雇用継続給付に関する経過措置
平成七年四月一日前に六〇歳に達した被保険者については、「六〇歳に達した日」を「平成七年四月一日」と読み替えて高年齢雇用継続給付に関する規定を適用することとしたこと。
5 育児休業給付に関する経過措置
平成七年四月一日前に育児休業を開始した被保険者に対しては、休業開始応当日が同日以後である支給単位期間について支給の対象とすることとしたこと。
6 その他
その他この法律の施行に関し必要な経過措置を定めることとしたこと。
Ⅲ 関係法律の整備等(附則第二六条から第三二条まで関係)
地方税法、国家公務員退職手当法、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律及び労働保険特別会計法についての所要の整備等を行うこととしたこと。
