添付一覧
○労働保険の保険料の徴収等に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の施行について
(平成四年一〇月一日)
(職発第六七三号)
(各都道府県知事あて労働省職業安定局長通達)
第一二三回通常国会において成立した労働保険の保険料の徴収等に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律(平成四年法律第八号。以下「改正法」という。)の施行については、平成四年三月三一日付け労働省発職第七一号「労働保険の保険料の徴収等に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の施行について」により、労働事務次官から通達されたところであるが、これが施行に関し、労働大臣が定める賃金日額の算定の方法を定める告示の一部を改正する告示(平成四年労働省告示第九二号)が、別紙1のとおり、本日告示されたところである。
ついては、今般の改正法の施行に伴う適用・給付関係の業務は、平成四年九月一四日職発第六二二号「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令の施行について」と併せて、別紙2「改正雇用保険法に基づく業務取扱について」(略)によることとしたので、業務運営に遺憾なきよう特段のご配慮をお願いする。
別紙1(略)
別紙2
改正雇用保険法に基づく業務取扱について
第一 定年後引き続き雇用された後の賃金日額算定の特例について
1 概要
定年後引き続き雇用された後離職した場合における賃金日額が定年時における賃金日額と比べて低い場合については、特例として、定年時における賃金日額を基礎として基本手当日額を算定する。
2 本措置の対象者
次のいずれにも該当する受給資格者について、本措置の対象とする。
(1) 六〇歳以上の定年に達した後、勤務延長又は再雇用等により当該受給資格に係る離職の日まで引き続き雇用された者。
なお、この場合、次の点に留意する。
① 当該勤務延長又は再雇用等は、定年時と同一事業主(業務取扱要領二二七〇一、二二七〇二参照)で行われた場合に限るとともに、当該勤務延長又は再雇用等について明示的な定めまたは慣行があるものに限る。
② 当該勤務延長又は再雇用制度等については雇用関係の中断がないもののみを対象とする。(業務取扱要領二二七五一参照)
③ 引き続き雇用された期間の長短及びその後の離職の理由は問わない。
④ 六五歳以上で離職した場合については、本措置の対象とはしない。
したがって、六五歳以上で離職する場合については、本措置を適用せず、通常の算定方法により、高年齢求職者給付金を支給するが、六五歳定年退職者等に係る基本手当の支給(雇用保険法(以下「法」という。)第三七条の六、業務取扱要領五四九〇一~五四九一〇)により、六五歳が当該勤務延長又は再雇用等の終期である場合については、本措置を適用して、基本手当を支給する。
(2) 定年時に公共職業安定所に求職の申込みを行った場合において、受給資格を得ることとなる者
(3) 平成四年一〇月一日以降(1)の定年に達した者
3 定年時の取扱いについて
(1) 適用事業の事業主は、その雇用する被保険者について六〇歳以上の定年に達した後も勤務延長又は再雇用等により引き続き雇用する場合には、雇用保険被保険者定年時賃金証明書(以下「定年時証明書」という。)を速やかにその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出するものであるので、その旨事業主を指導するとともに、当該被保険者にかかる雇用保険被保険者資格喪失届の備考欄に「賃金日額特例措置対象予定者」と記載するよう指導する。
また、当該勤務延長又は再雇用等について明示された労働協約、就業規則等の確認書類も提出するよう指導する。
なお、定年時証明書の様式は、別途定めるが、基本的に離職証明書の様式に準ずるものとし、当面は、離職証明書の表題を「定年時証明書」と訂正して使用することとして差し支えない。
(2) 定年時証明書の提出を受けた公共職業安定所は次の①から③の事項を審査の上、①から③のいずれにも該当することについて確認の上、事業主に対して、定年時証明書を交付するとともに、当該被保険者に対しては、別途定める定年時賃金登録通知書により通知する。
① 当該被保険者が六〇歳以上の定年に達した者であること
② 労働協約、就業規則又は慣行等により、制度的に勤務延長又は再雇用等がなされる旨が定められ、これにより当該被保険者が引き続き同一事業主に雇用されること
したがって、当該被保険者が定年を迎えた事業主と、離職時の事業主が同一である必要がある。
③ 定年時に公共職業安定所に求職の申込みを行った場合、当該被保険者が受給資格を得ることとなること。したがって、算定対象期間内に疾病、負傷その他一定の理由により引き続き三〇日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、受給要件の緩和によって受給資格の有無を判断する。
なお、通常この定年時賃金登録通知書は、事業主を通じて交付する。
また、賃金日額の算定は、引き続き雇用された後離職した段階で行うこととなるので、定年時において賃金日額の算定は要しない。
上記①から③のいずれかに該当しないことが判明した場合は、本措置の対象にはならないので、定年時証明書の交付は要しないが、その旨を当該被保険者及び事業主に通知する。また、この定年時証明書は、定年時証明書事業主控及び定年時証明書本人手続き用と三枚複写となっており、その取扱については、離職証明書における離職証明書事業主控及び離職票―2に準ずることとするが、交付番号は離職証明書とは別番号とし、その交付は、当該被保険者が、継続雇用後離職した場合に当該労働者に対して事業主より交付する必要があるので、当該離職時まで保管しておくように、事業主を指導する。
また、定年時証明書は、公共職業安定所において、一〇年間保管する。
4 定年後引き続き雇用された後離職した場合の取扱について
(1) 事業主は、対象予定者が、定年後引き続き雇用することとした期間の終了後又は途中で離職する場合は、定年時証明書を対象予定者に交付する必要があるので、その旨事業主を指導する。
また、事業主は、対象予定者が当該引き続き雇用することとした期間の終了後又は途中で離職する場合、通常の取扱いにより当該離職に伴う離職証明書を公共職業安定所に提出する。
(2) 公共職業安定所長は、事業主より離職証明書の提出を受けた場合の取扱いは業務取扱要領二一四〇一~二一四五〇によることとし、離職票の交付を行う。
(3) 事業主を通じて離職票及び定年時証明書の交付を受けた対象予定者は、この離職票と定年時証明書を併せて、その者の住所又は居所を管轄する公共職業安定所の長に提出する。
これらの提出を受けた公共職業安定所長は、次のとおり取り扱う。
① 離職票により、受給資格の決定を行う。
なお、受給資格の決定は、業務取扱要領五〇一〇一~五〇一〇三、五〇一〇五、五〇一五一~五〇一五三、五〇一五五、五〇二〇一~五〇二〇七に基づく通常の取扱いにより行う。
② 離職票により、賃金日額の算定を行うとともに、定年時証明書により、定年時の賃金日額の算定を行う。
また、この定年時の賃金日額の算定については、業務取扱要領五〇六〇一~五〇九〇〇による賃金日額の算定方法を準用して計算する。
③ ②により算定した離職時の賃金日額及び定年時の賃金日額を比較の上、高い方の賃金日額により、基本手当日額を決定する。
なお、当該受給資格者が再就職した場合で、所要の要件に該当する場合は、当該基本手当日額により算定した再就職手当、常用就職支度金を支給する。
第二 その他
1 出向に係る被保険者期間の取扱いについて(業務取扱要領二一二〇一、二一二〇三の改正)
(1) 出向のうち適用事業に雇用される労働者が当該適用事業の事業主における雇用関係を終了する場合であって、退職金又はこれに準じた一時金の支給が行われたものについては、業務取扱要領二一二〇三イ(ロ)fの移籍出向として取り扱う。
この場合、退職金又はこれに準じた一時金が支給されたか否かの確認は、賃金台帳等の支払実績が確認できるものにより行う。
(2) 上記(1)以外の出向については、すべていわゆる在籍出向の場合と同様の取扱とする(業務取扱要領二〇三五一、二〇六五一参照)。したがって、上記(1)以外の出向については、資格喪失届の⑥欄(喪失原因)は「1」の離職以外の理由によるものとして取り扱い、当該出向後離職した者が失業給付を受けようとする場合の取扱いは業務取扱要領二一六五一の定めるところによる。
2 再就職手当の額について(則第八二条の三、業務取扱要領五七一〇一の改正)
(1) 所定給付日数二一〇日以上の者であって、支給残日数一〇〇日以上の者については、基本手当の三〇日分の再就職手当を支給する。
(2) 上記(1)の再就職手当は、平成四年一〇月一日以後安定した職業に就いた受給資格者について適用する。
3 自己の労働による収入がある場合の基本手当の減額について(則第二八条の二、業務取扱要領五一六五三の改正)
(1) いわゆる内職収入がある場合の基本手当の減額を行う際の控除額は一三〇〇円とする。
(2) 上記(1)の控除額は、平成四年一〇月一日以後に行われる失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得た場合について適用する。
4 離職理由による給付制限を受けた者に係る受給期間の延長について(業務取扱要領五二二〇五の改正)
(1) 基本手当の受給資格に係る離職について、給付制限を行った場合において、当該給付制限期間に二一日及び当該受給資格に係る所定給付日数に相当する日数を加えた期間が一年を超えるときは、当初の受給期間(被保険者区分の変更があった場合の受給期間の特例(五〇二五二参照)に該当する者については、五〇二五二により計算された受給期間。また、疾病又は負傷等により受給期間の延長を行った者については、五〇二七二により計算された受給期間)に(給付制限期間+二一日+所定給付日数―一年)を加えた期間が、その者の受給期間となる。
(2) 上記(1)の受給期間の延長は、平成四年一〇月一日以後離職した者について適用する。